乾電池の特性を知って使用条件に合わせて使おう
前のページでは、電池の寿命について紹介していますが、このページでは、電池の特性を知って、乾電池を用途に応じて使うようにして長持ちさせることを考えていきます。
大きな乾電池ほど大きな電流を長時間流すことができるので、単1>単2>単3と、場所の余裕があれば、大きい乾電池を使うのは基本です。
マンガン電池は小電力・間欠使用に向いており、アルカリ電池は大電力向きで、さらに、新旧混ぜて使ってはいけない・・・と言われていますが、これらを確認しながらみていくのですが、
1)使用する場合の大電力・小電力とはどの程度なのか
2)アルカリ電池とマンガン電池では、使い方が違うのか
3)間欠使用の場合のインターバル(休止時間)はどれくらい必要なのか
4)新旧の電池を混ぜて使うとどうなるのか・・・
などは、漠然とした言い方なので、数値で捉えられないだろうか・・・などを確かめていきたいと思います。
もちろん、数多くのデータを集めるのは個人の作業なので限界があるのですが、納得できる答えを実験などを含めて見つけていきましょう。
取り出す電流量で電池サイズを選ぶ必要あり
使用する電流値によって、単1~単4などを使い分けます。
大きい電池のほうが長持ちしますし、大きな電流が取り出せることを示すのが下のグラフです。
100mAを流す機器では、アルカリ単1は単3の10倍長持ちする・・・などがこのグラフでわかります。
取り出す電流と寿命までの時間の関係が比較できるように、上のパナソニックさんのHPからの資料を(アバウトですが)書き直してみました。 ほかの図も使用していますし、傾向をイメージするためのものですので、詳細を見たい場合は、パナソニックさんのHPを御覧ください。
単1と単3の違いと、アルカリ電池とマンガン電池の違いがわかるように、1つの図にまとめています。
縦軸が対数になっていますが、そうしないと、同じグラフに描けないほど、寿命の違いがあります。
まず、何Vまで使用するかによって、大きく変わるところを見てください。
前のページで、メーカーさんは0.9Vになった時点を「寿命」としていたのですが、デリケートな機器では、1.3V以下で影響が出始めましたが、モーターでは、回転数が低下しますが、0.9Vでも回転が停止しなかった実際の例を紹介しましたが、寿命とする電圧の取り方で、使用時間が大きく変わるところを見ておいてください。
例えば、300mA流れる機器に単3アルカリ電池を使うとすると、0.9V寿命では5Hr使用できるものが、1.2V寿命であれば、1.2Hr程度しか使用できない状態になります。
グラフが対数目盛で、見にくいので、アバウトな数字ですが、私が読み取った数字では、次のような寿命時間の違いがあります。
0.9V寿命の場合を見ると、①使用する電流の大きい方が寿命は短い ②電池サイズの大きい方が寿命が長い ③マンガン電池よりアルカリ電池のほうが長寿命 ・・・ などですが、これは、特に言わなくてもわかることですので、ここでは少しちがった見方でコストパフォーマンスを評価してみようと考えてみました。(一つの見方で、絶対的なものではありません)
100円ショップの乾電池類のコスパを数値化する
パナソニックさんの乾電池性能の優秀さは、いろいろな方が記事にされているように確かに高性能のようですが、例えば、エボルタネオ(アルカリ)単1のパックで、1個あたり155円程度の税抜き実勢価格に対して、100均ショップでは100円ですので、価格に負けてしまい、会社用途ではエボルタを購入するのですが、自宅用途では、安いものを購入してしまいます。
ここではそのような品質を含めた比較ではなく、100均ショップ的な価格で考えた電池の種類でのコスパ評価を、パナソニックさんの技術資料を利用させていただいて、どういう乾電池を使えばコスパが良いのかを考えてみました。
100均大手のダイソウさんの場合は、単1アルカリ(1個)、単1マンガン(2個)、単3アルカリ(4~6個)、単3マンガン(8個)が税抜き100円で販売されています。
もともと単3は大電流用には不向きですので、300mA以上では避けたほうがいい・・・などとともに、単3マンガン電池は省電力用と割り切れば、1つあたりの単価はもっとも安いので、良い使い方があるように思います。
また、ダイソーさんの店頭では、単3アルカリで、4本・5本・6本がおなじ値段になって販売されているので、これもなぜ?と気になるのですが、ここでは価格あたり寿命をグラフ化してみました。
その方法は、上の「消費電流と使用可能時間」の数値を読み、マンガン単3単価を1として、それに対する寿命を指数化しただけのものです。
予想される結果では、そんなに特出するものはないと思っていたのですが、マンガン電池は、意外に、コスパがよくないことがわかりますし、とりわけ、マンガン単3を省電力で使う場合は、6本セットのアルカリ単3を使うのが良いことがわかります。
このように、(性能は考えないことにすれば)、本数の多い単3のほうがコスパは高いのは当たり前ですが、使用する装置の余裕があれば、アルカリ単1を使うようにするといいことがわかります。
そのようなことなら、マンガン電池は消えてしまってもいいはずですが、そうなっていないのは、なにか理由はありそうなのですが、一つの理由は「休ませる時間」の問題と、使用するときの電力量にあるとすれば、それを調べてみようということで、実験しました。
つまり、(後で休憩による電圧回復の実験をしますが)低電力短期間の場合は、マンガン電池の使い道が残っているような感じがするためです。
実験に使用した単3乾電池類
今回は電池の特徴を捉えるために、実験測定では、下のようなアルカリ電池とマンガン電池の単3電池を使いました。
ここでは、ダイソーさんで購入した単3のマンガン黒(A1~A5:@13円)とアルカリ(B1~B5:@20円)の1.6V以上の初期電圧がある新品各5本と、使用して若干起電力(電圧)の落ちているけれども十分使えているマンガン赤(C1・C2:電圧1.5V)と使用途中のアルカリ(D1:電圧1.4V)などを用意して、古いものと新品を組み合わせて使用したときの様子などを調べていきます。
100均の製品も品質は良好
まず、100均で購入したものの初期電圧を測定して驚いたのですが、マンガン黒8本セットのすべてが1.660~1.662Vで、アルカリ電池も1.628~1.630Vと、セット内の電圧のばらつきはほとんど無い優秀品であるのに驚きました。
(購入時期の異なるパックでは、0.015V程度の初期電圧の違いがありましたが、この電圧差では使用上は問題ではありませんし、それぞれのセット内のばらつきが0.01V以下なので、品質は非常にいいようで、安心して使うことが出来ます。
乾電池の初期電圧は1.5Vではない!
一般的に、乾電池の電圧(起電力)は「1.5V」と言いますが、新品を測定すると、初期の電圧はすべてが1.6V以上あります。
それを使っていくうちに徐々に電圧が低下していって、1.3V以下の電圧しか出なくなったら、寿命に近いと判定するのですが、テスターで測って、1.5Vでていても、「新品ではない」と疑ってかかるぐらいでいいと思います。
確実に新品である場合以外は、テスターで電圧を測るくらいに慎重であってもいいでしょう。(前のページで、電池チェッカーを使うときは要注意という記事を参照ください)
現在は、乾電池には使用期限が書いてあるので、未開封の期限内のものであれば電圧のばらつきは問題なさそうですが、パックを開封している場合は、テスターで確認する習慣をつけると確実です。
最近の乾電池は、(外国製の安いものであっても)保管中に液漏れしたり、起電力不足のものに出会ったことはありませんから、粗悪品は無いと考えていていいでしょう。
電池の「内部抵抗」について
電池に負荷をかけると、その一瞬に電圧が低下します。
これはどんな電源を用いてもこの現象は避けられないのですが、これは「内部抵抗」の仕業のようです。
負荷をつないで電流を流すと、「内部抵抗部分」にも同じ大きさの電流が流れると考えられるので、内部抵抗が小さい方が電圧低下が少なくて、たくさん電流を取り出せることになります。
その電圧低下と電流値の関係を実験して測定すると・・・
これは、負荷をかけた瞬間に起きる電圧降下の数値ですが、電圧低下は e=I・r なので、この r は変わらないとすれば、負荷(消費電流I)が大きくなると、電圧低下が大きくなっています。
しばしば、乾電池を使っていて、負荷にたくさんの電流を流すと電池の電圧が大きく下がることを経験することが多いのですが、負荷が大きいと、つないだ瞬間に「寿命電圧」まで電圧が下がってしまってモーターが回らない・・・ということも起こってしまいます。
上のグラフでは、アルカリ電池のほうがその低下度合いが低いので、アルカリ電池のほうがパワーがある・・・と言えますね。
この図で、負荷をかけない場合を考えてみましょう。これは、テスターで電圧を測る場合を考えるといいのですが・・・
電圧計で電圧を測る場合
電圧計(テスター)の内部抵抗は数MΩと大きいので、電流量は極小です。例えば10MΩのテスターの内部抵抗であれば、I=E/R で、1.5V/10000000Ωと、流れる電流は極小ですので、電圧計による電圧低下を考えなくていいとします。
もっとも、極小でも電流が流れると、直列になっている電池の内部抵抗にも同じ電流が流れるので、現実的には、内部抵抗による電圧降下が起きますが、これはどうしようもありませんから「極小」ということで、無視するしか無いでしょう。
そして、上の負荷による電圧の低下グラフを見ると、電流量で電圧降下の大きさが変わっていることから、内部抵抗は一定でなくて、使用条件で変わている感じがします。
それをイメージするためにアバウトな計算をしてみると、上のグラフの単3マンガン電池で30mAの電流を流した場合の電圧低下が0.08V とすると、電池の内部抵抗は、オームの法則R=E/Iから、0.08/0.03≒2.7Ωとなり、70mAの場合では0.115/0.07から 1.6Ω 程度と計算されますので、使用する条件によって、内部抵抗による電圧降下程度も変化しているようだと考えられます。
このような内部抵抗が原因して、使用中に電池の電圧が下がってくると、思ったように電池が働いてくれなくなるのは、内部抵抗の増加による起電力降下や電池自身の元気が衰えて、十分な電流が作り出せなくなるのが一因ですが、オームの法則E=IRで考えると、I(使っているときの消費電流)が同じでR(抵抗値)が増えるとE(取り出せる電圧)が低下しますし、R(内部抵抗値)が同じでも、I(電池の電流発生能力)が低下するとE(電池の電圧)が下がるということがイメージできますね。
また、(あとの実験でもわかるのですが)電流容量の大きい電池(例えば、マンガン電池よりアルカリ電池、単3よりも単1電池)のほうが負荷をつないだときの瞬間の電圧降下が少なく、また、電流をたくさん流すと内部抵抗は大きくなることと、さらに、容量の大きい電池のほうが内部抵抗は小さい・・・ということを合わせると、電流を多く流す場合は大きな容量の電池を使うほうがいいというが鉄則になります。
そしてまた、単3のような小さな電池では、電圧を急激に落とさないためにも、100mAを超える使い方を避けるのが良さそうです。(・・・と言っても、100mA以下の器具は少ないのですが)
乾電池は休ませると電圧が回復する
乾電池を休ませることで長持ちすると言われますが、どの程度の時間でどの程度のパワーが回復するのでしょうか?
ここでは、固定抵抗器を用いて、そこに所定の電流を一定時間だけ流したあとに、乾電池を放置して、時間が経過したときの電圧の回復程度を調べました。
単3のアルカリ電池・マンガン電池で30mA・135mA・600mAを15秒流したあとの電圧回復は下のグラフのようになりました。
15秒という、短い時間ですが、30mA程度の少ない電流では、1分後には完全に回復していますが、大きい電流で使用すると、回復に時間がかかるようになり、100mAを超える、単3では比較的に大きな電流で使用すると、短時間後の次の使用までに回復していない・・・という事になってしまうかもしれません。
無責任な言い方ですが、アルカリであっても、マンガン電池であっても、できるだけ電流を流さないようにして、十分に休ませるといいことがわかります。
マンガン電池のほうが回復力は大きい
乾電池に大きな電流を流すと、電圧が低下して、次の使用時までに回復しないのですが、上のグラフで大電流600mAの60分後の回復電圧をみると、マンガン電池0.057V、アルカリ電池0.035Vと、遥かにマンガン電池の回復が大きいことがわかります。
また、一連の実験を終えたあとの、使用して電圧が下がった電池(今回の実験で使用した13本の単3電池)を長時間放置しておいた場合の電圧回復の平均値を見ても、下のグラフのように、23Hr、53Hr後の電圧の上昇も、いずれも僅かな回復ですが、明らかにマンガン電池の回復が優れているようです。
マンガン電池は大電流を流すと電圧低下がアルカリ電池に比べて大きいのですが、回復も速いので、短時間少電流で使用するのに適していると言えます。
マンガン電池の長所は、「価格が安いこと」ですから、電流値の小さい「電卓」や、めったに作動しないドアチャイム、TVのリモコン、短時間点灯させるLED電灯などではその長所が活かせるということになります。 マンガン電池に大きな電流を流さないようにするのがメリットを活かせるポイントですね。
ここでは単3だけの実験ですが、大きな電池を使って、電圧を低下させないように使用すると、非常に長時間使用できるということになります。
異種の電池を一緒に使うことは良くない
「電池を混ぜて使ってはいけない・・・」というのはよく聞いていますが、なぜ、どうしてそれが良くないのでしょう。
ともかく一つの実験をしてみます。
2本の電池を直列にして、固定抵抗をつないで電流を流す場合を考えてみます。
上の図のように、電池にはそれぞれに内部抵抗があり、その内部抵抗は電池の状態(電圧や電流量)で変わります。また、出力される電圧が変化することで、回路(負荷)に流れる電流は変わります。 (I=E/R)
このことから、異なる電池の種類や流すことのできる電流容量に違いがあると、(A)予想以上の電圧降下を引き起こす (B)十分な電流が流せなくなる (C)どちらかの電池に負荷が加わる ・・・などが起こることが予想できます。
その様子を正確に見極めるのは、簡単な実験では難しいのですが、ここでは、新品同士や異種の電池を直列にして、電圧降下や回復状態をみてみました。
試験方法は、22Ωの負荷抵抗を使って、電流を1分間流し(計算での予想電流約145mA)、その後4分間休止して、その後、もう一度くりかえして電圧を測定した結果が上の表です。
新品だけを使用したのが1~3ですが、予想通り、2個を直列にすると、単品の電圧の和より直列したときの電圧は低い電圧になっていますし、3のように異種の電池をつなぐと、その電圧差が大きくなっています。
すなわち、どちらかの内部抵抗が変化していると考えると、新品でも、異種の電池を合わせて使わないほうがいいことがわかります。
古くなった電圧差のある電池を使った場合が4~6ですが、まず、そもそも電圧が低くなっている分だけ、初期の電圧が制限されます。【表中の③参照】 たとえば、3V以上欲しい場合などでは、電圧不足が起こってしまう場合がでてきます。
次に、3と6のケースがアルカリとマンガン電池を混合した場合ですが、表中の⑧をみると、それぞれの電圧差が広がっています。これも、どちらかの電池に負担がかかっているのでしょう。
このように、この実験だけでは、予想していた問題点が十分反映されませんでしたが、少なくとも、異種の電池を直列にすると、いずれかの電池に負荷をかけることになっているようです。
人間の場合でも、ストレスが大きくなりすぎたり、それが長く続くと問題なのと同様に、異種の電池をつなぐと、内部で発熱したり、液漏れで機器類を痛める可能性があります。
もっとも、この実験での数値の差異は微々たるものですが、使用条件や使用時間によって大きな問題が起きる可能性がありますので、「電池は同じ種類のものを使う」ということを徹底ください。
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今回は以上ですが、時間があるときに、もう少し負荷の大きさと回復の関係の確認の実験をしたいと考えていますが、ともかく、100円ショップで販売されている単3・単4のアルカリ電池は非常に安いので、うまく使うとコスパの高い遊びができそうです。
電子工作でも、よく使うアイテムですので、その特性を知っておくとなにかの役に立つでしょう。
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