大阪1の河川「淀川」の起点の謎

淀川三川合流域は京阪「八幡市駅」が最寄り駅

京阪電車の八幡市駅を降りて、北に徒歩10分ほどのところにある「さくらであい館」(こちらに、「淀川」の別の記事があります)の展望塔からは、タイトルロゴの写真にある、「淀川三川合流域」が展望できます。(下の写真の0番の位置)

このあたりで桂川・宇治川・木津川の三川が合流して淀川となって大阪湾にそそぎます。

ロゴの写真風景に見える右側の丘は明智光秀と豊臣秀吉などの話で出てくる天王山から太閤道で、左の小山が石清水八幡宮がある「男山」です。

その谷あいで三川は「淀川」となって流れていくのですが、この「さくらであい館の展望台」からは、桂川・宇治川・木津川の合流地点の全部は完全に見ることができませんが、このあたりを「淀川三川合流域」と言っています。

三川合流地域 GoogleMapより   グーグル写真を利用して加工

この「淀川」については、琵琶湖から流れ出て「宇治川」となり、大阪府に入って「淀川」と名前を変える・・・と一般には説明されます。

このGoogle写真をみると、(小さい字ですが)京都府八幡市の石清水八幡宮付近で桂川、宇治川、木津川の三川が合流して下流に進んでいるのがわかります。

上の地図に示したみどりの◇十字マークは、「淀川」と書かれた国土交通省の看板がある位置を示しています。これは、現地を歩いて表示板を確かめたものです。

しかし、このマークの地点のグーグル地図を見ると、不思議な事に気づきます。下のように、川の名前が重複しているのです。

三川合流地域 グーグル地図より GoogleMap

ここにつけた星印は、グーグル地図に表記されている川の名前が書いてある位置を色分けしたもので、赤:宇治川ピンク:桂川青:木津川、そして緑:淀川 で区分しましたが、このあたりは、このように、川の名前が入り混じっている不思議な地域になっています。

一般的には、川の名前は、管轄する機関(府県市町村、管理者)が定めるので、管理者の管理地域ごとに変わっているのが通例ですが、この地図のように入り混じっているのは珍しいし不思議です。

それもあって、川の管轄がどのようになっているのかを、実際に現地を歩いて、標識・表示を確かめてみました。


管理管轄自体もややこしい

淀川は、「1級水系」「1級河川」ですので、桂川、宇治川、木津川、淀川などは国土交通省が管轄しています。

もう少し詳しく言えば、国土交通省淀川河川事務所の出張所ごとに管理しているということになっています。

それが、各川の右岸左岸で管理区域が異なっているために、この地図の状態になっている・・・というのが理由のようです。

大まかな説明になってしまいますが、淀川の管理は、国土交通省 近畿地方整備局 淀川河川事務所が所轄で、その管理地域は、枚方出張所が大阪側境界左岸高槻出張所が同右岸伏見出張所が京都川境界から木津川左岸京阪橋梁までと宇治川合流点から木津川京阪橋梁まで・・・のように、右左岸での担当が異なっています。

淀川河川事務所のHPにも管理境界が図示されているのですが、それもかなり複雑です。

管理事務所の各出張所も、用地第1課(淀川、宇治川、木津川の土地)、用地第2課(桂川の土地)、工務第1課・第2課(改修、土木営繕)、沿川整備課、河川環境課、河川公園課、施設管理課などがあって、それぞれに独自に関係業務を担当していますので、「管理・管轄」と言っても、かなり複雑な感じです。

この「管理管轄と川の名前」が関係しているとすれば、どこかにその目印があるはずなので、それを確かめてみようと、現地を歩いてみることにしました。

写真や地図に「0~3」の数字を入れていますが、この付近に問題を解くヒントが有ったのですが、まずは、高い展望塔のある「さくらであい館」から調査を始めることにします。


三川合流域が見渡せる『さくらであい館』

さくらであい館遠景

「さくらであい館」は、上のGoogleの写真で「0番」のところにあり、この施設はH29年の春に出来たもので、展望塔から桂川、宇治川、木津川の合流地域の360度の景色が楽しめます。(利用は無料ですが、花見シーズンは有料)

上のGoogle地図で、河川敷などの緑色に着色された部分は「淀川三川合流地域」として整備されていて、随所に駐車場やトイレもあって、ちょっとした外出にはもってこいのところです。

訪れた日にも、たくさんの自転車愛好家(ローダー)やマイカーが休憩に利用されていました。

川の堤防は自転車用に走りやすいように整備されており、景観も素晴らしく、車も遮断されて安全なので、ローダーには人気のスポットのようです。


さくらであい館 正面 さくらであい館 自転車置き場

展望台からは三川の合流地点は広すぎて見渡せませんが、桜の名所「背割堤(せわりつつみ)」が真下に見えますので、桜のシーズンは多くの人が訪れます。

館内では、淀川と三川に関する情報ビデオなどや淀川の歴史が紹介されています。

この背割堤は、度重なる川の氾濫洪水の対策として、川の流れをコントロールするために作られたもので、老木の桜の木が一斉に花をつける時期は最高の見頃・・・と紹介しています。

この堤の竣工当初には「松」が植えられていて、それが桜(ソメイヨシノ)に植え替えられたようで、桜の寿命は50年という一説もあって、年月を経た巨木の老木は、かなり傷んでいる感じですが、毎年、きれいな花を咲かせてくれるようです。

この背割堤を進んだ先端に「三川合流点(地図に示した②番)」があります。


「三川合流点」は木津川右岸の終点

三川合流点は、御幸橋(ごこうばし)欄干から片道約1kmすこし歩いたところにあります。
上のGoogleMapの2番のところです。

この御幸橋は「淀川御幸橋」と「木津川御幸橋」の2つの橋が続いている大きな橋です。(2つの橋の切れ目の堤防に「さくらであい館」があります)
背割堤の入口付近
この背割堤を歩くと、その突端付近の木津川右岸に「三川合流点から0.0km」の道標が見つかりました。

背割堤の終点 三川合流点の標識
木津川0km
これで、木津川の右岸の終点(=淀川の起点)が確認できました。

しかし、この背割堤は桂川と宇治川との間にある堤防ですが、堤の途中には、下の写真のように、宇治川と淀川の道標があります。

つまり、宇治川と淀川の境界がこのあたりで入り混じって、ややこしくなっています。

背割堤の淀川道標 背割堤の宇治川道標

堤から河川敷をさらに先に進んで、実際の「川の流れの合流点」を見たかったのですが、下の写真のように、草が生い茂り、足場も悪いので、そこには行けませんでした。

多分、河川敷は、すこしの雨でも川の地形が変わってしまうので、少し離れているけれども、水量に影響されない堤の上に「合流点」の標識をおいて、標識位置を管理境界にしている・・・ということが推定できます。

合流地点に歩いていけない
残念ながら真の川の合流点までは近寄れません。

しかしこれで、「木津川右岸の淀川との境界」「宇治川左岸のおおよその淀川との境界」がわかりました。

桂川の終点(淀川の起点)探索

次に、上のGoogleMapの1番の「桂川と淀川の境目」を探します。

まず、桂川の右岸で境界を見極めていきます。

阪急電車水無瀬駅付近から上流に歩くと、下の写真のように、河口から35km地点を示す道標があって、そこは「淀川」となっています。

(実は、朝1番は、この場所から探索を開始しましたが、このHPでは、わかりやすいように、「さくらであい館」を中心において説明しています)

この場所では、桂川ははっきりと独立していて、木津川・淀川と分離して流れています。

もちろん、真の淀川との合流点(流れの合流点)は、この標識のある場所よりずっと下流なのですが、ここには「淀川」と明示されています。

基本的に、管理境界は府県境になるハズですので、その表示と川の状態を確認しながら上流に進みます。


このIR35.0の表示は「淀川右岸で河口から35km」

桂川と淀川の合流付近 河口から35km

IR35.0 とは、Iの部分が「地点の位置」を示す線、Rは「右岸」、35.0は淀川河口から35.0km地点を示しています。 つまりI(アイ)はではなくて、位置を示す線のようです。

この地点からさらに上流には、写真に白字で入れた位置に「淀川」の表示があって、この上流も「淀川」で、桂川ではありません。

もちろん、府県境もまだ上流になります。

しかし、県境の手前(下流側)に、こんな道標があります。「ここから桂川」という意味でしょうか。変ですね。

昔の桂川と淀川の境界
字に黒い炭が入れられているところを見ると、どなたかわかりませんが、やはり、気になった方がおられたのでしょう。

桂川右岸の淀川との境は「県境」

桂川と淀川の表示の変わり目は、やはり「県境」にありました。
大阪府と京都府の県境の手前200mくらいのところに小さな川があり、それを挟んで「淀川」と「桂川」の看板表示が変わっているのを確認できました。

桂川と淀川の境界の京都側 桂川と淀川の境界の大阪側  桂川と淀川の境界の淀川の看板 大阪府と京都府の境界

やや県境の位置とこの看板の場所がずれていますが、先に見える白い管理小屋のまだ上流側に京都府と大阪府の県境があるので、ともかく、府県境が桂川の終点で、淀川の起点と言えるでしょう。

この場所から背割堤の木津川・淀川合流地点0.0kmからは、約500m程度下流に位置します。

これで、やっと、桂川右岸の境界がわかりました。

桂川左岸の境界も県境になっているとすれば、地図上の県境は淀川を縦に割った中心にあるので、桂川左岸と淀川右岸の堤防となっている「背割堤」では標識が混在していることも納得できました。

いすれにしても、川の合流点と川の名前が変わる境界とは別の場所なのです。

次に、歩く順序で、宇治川右岸で淀川との境界を確認していきます。

宇治川左岸の 淀川の起点=宇治川の終点 は?

背割堤には、淀川と宇治川の道標が混在しているのは先に示しました。

この背割堤は桂川と宇治川(または淀川)の堤防にもなっていることから、宇治川は京都府、淀川は大阪府が管轄しているはずですので、それの証拠の表示を探してみます。

まず、最初に示した、GoogleMapの3番(宇治川と淀川の分かれ目)の地点に行きます。
このために、京滋バイパス横のR478号の石清水大橋のたもとから淀川(宇治川)の右岸を上流に進みます。

地図上での八幡市(京都府)と京都市の境界は、京阪電車の橋梁の上手200mのところですので、そのあたりを調べました。

宇治川の管理境界の京阪橋梁 京阪橋梁の上流側看板

写真のように、京阪電車の橋梁を挟んで看板がたっており、通行止めされていますが、橋梁下をくぐって向こう側を確かめると、両方共に表示は「淀川」と書いてあり、書かれた数字も同じで、「大阪湾から37.8km」と表示されています。

つまり、橋梁から均等な位置に看板があることから、橋梁位置が37.8km地点ということのようです。

そしてさらに上流200mのところで、ついに、境界の道標を見つけました。

下流から上ってくると、ここで「淀川」が「宇治川」の表記に変わっています。

宇治川と淀川の境 河口38km地点 38km地点の境界道標

ここは京都市と八幡市(京都府)の境界ですが、この境界が「宇治川の終点=淀川の起点」としていいでしょう。

淀川河口から38.0kmです。これが公式の淀川の長さとなっている長さです。

琵琶湖に端を発し、宇治川となり、淀川に名前を変えて、ここから38km流れて大阪府民の水となっていくというストーリーが頭の中に蘇りました。

対岸にも、同じような標識が小さく見えるので、これで宇治川と淀川の境界点が確定しました。

川の合流点とは全く違うところが境界になっているのですが、淀川の起点はまさにこの場所なのです。

少し足を伸ばして、木津川左岸で、淀川との境界を確認することにしました。(木津川右岸では合流地点の背割堤になっていましたね)


木津川左岸の上流にも境界標識を発見

木津川右岸の境界は淀川との合流点近くにありました。そこで今度は、淀川と木津川間の堤防にある、「さくらであい館」から、木津川右岸を上流に進んでみます。

すると、京阪電車の橋梁を越えたところに、河川の管理境界と、木津川と淀川の境界を示す道標があります。


木津川の河川管理境界 木津川の河川境界の位置は合流点から1.6km

ここには、背割堤の合流0.0kmの位置から1.6km上流ということが記されています。

これは、「河川の管理境界で管理分担が変わっているけれども、木津川と淀川の境目は、三川合流域0.0kmですよ!」ということですので、木津川についてはこれで完全にはっきりしました。

木津川と淀川の合流点は、実際の川の合流点で名前が変わっています。



以上をまとめると・・・

1)桂川と淀川の境は、大阪府と京都府の県境
2)宇治川と淀川の境は京都府(八幡市)と京都府(伏見区)の県境
3)木津川と淀川の境は三川合流域0.0km地点
というで、実際の川の合流点と川の名前が変わる境界は異なっているということです。

調査を終えた帰りがけに、木津川左岸から淀川左岸を、京阪電車八幡市駅から橋本駅までの旧京阪国道沿いに歩いたのですが、すべて道標や看板は「淀川」の表示でした。

更に橋本駅の南に行けば、大阪府と京都府(八幡市)の府県境があるはずですが、多分、淀川河川事務所の伏見出張所が府県境から北側の京都府側を、そして、枚方出張所が大阪府側を受け持っている看板が立っていて、「淀川」表示されているという予想はできますので、ここまでで、桂川、宇治川、木津川の三川と淀川の境界や実際の合流点が確認できた・・・ということにして、調査終了にします。

河原での昼食を含めて約19kmを5時間半かけて歩きました。

淀川左岸を河口まで歩いた記事はこちら



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(来歴)H31.1 従来記事「淀川を歩く」の内容から、起点関係記事を分離   
     H31.3文章見直し  R1.8 見直し R2.7誤字脱字見直し R2.9見直し
  

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