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電界効果トランジスタFETを使ってみよう 基礎編

この記事は約12分で読めます。

この記事では、FETを使って電子工作ができるように、専門的な内容はできるだけ含まないで、使っていける内容で紹介しています。 そのために、基本的な動作原理や構造などの説明はしていません。

このページでは、FETの基礎知識を、そして、次のページでFETの使い方を紹介しています。

FETには大きく分けて2種類、使いやすいのはMOSFET

FETの種類を分類すると、次のように、JFETとMOSFETがあり、さらに図のように区分されます。JFETはJ-FET、MOSFETはMOS-FETと表記される場合もあります。

FETの分類

外観のかたちは、次のようなもので、バイポーラトランジスタと同じような、「ディスクリート半導体」の仲間です。

このような製品に分かれていて、それぞれに特徴がありますが、趣味の電子工作では、「エンハンスト型NチャンネルのMOSFET」が使いやすいということを覚えておいてください。

FETの外観の例

単体のFETは3本足で、種類も用途も多様

このように、単体のFETは3本足で、それぞれ、ゲート(G)、ソース(S)、ドレイン(D)という呼び方をします。この足については、後で説明がでてきます。

ここで、JFETは、低雑音と高い入力インピーダンスのために、ゲート電流が少なくて、温度安定性も高いのですが、出力(ドレイン電流)が小さいので、オーディオなどの、信号増幅や高周波用に用いられることが多いようです。

それに対して、MOSFETは、ゲートの電圧によって、大きな出力(ドレイン電流)制御ができ、低消費電力なので、デジタル回路や電流の制御に向いています。

FETはバイポーラトランジスタに比べて消費電力が少ないので、単体以外でも、集積回路(IC)に組み込まれるなどで、広く使用されています。

NチャンネルとPチャンネル

この、NチャンネルとPチャンネルの違いは、トランジスタ半導体の内部構造の違いで、電流の流れる方向の違いがあるものです。

通常は、Nチャンネルの製品が多い という状況です。

これは、Nチャンネルの方が、低電圧で使用できること、構造的に小型化しやすいこと、製造コストの低いこと … などで、Pチャンネルの製品に比べて、Nチャンネルの製品が多いようです。

それらから、私達アマチュアが電子工作で簡単に使いやすいのは、どちらかといえば、MOSFETで、販売されている種類の多い、エンハンスト型のNチャンネルのものをつかってスイッチング動作に利用するのが使いやすそうです。

そこで、趣味の電子工作では、最初のうちは、『FETを使う場合は、MOSFETのNチャンネルのエンハンストタイプのものを「ソース接地」になるようにして使う』・・・ということで考えておくのがいいでしょう。

ここでは、電子工作でどのようにFETが使えるのかや、どのような使い方をするのか … の基本的なところを見ていくことにします。

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電界効果トランジスタ(FET)は電圧で電流を制御する

原理やしくみなどはここでは説明していませんが、FETはトランジスタの1種です。

今まで見てきたバイポーラトランジスタのように、3本の足を持ち、その3つの足でバイポーラトランジスタと同じように、増幅やスイッチング(電流のON-OFFなど)ができる素子です。

構造的な違いからバイポーラトランジスタに対して、「モノポールトランジスタ」という呼び方をされています。

バイポーラトランジスタでは、NPNとPNP型があり、コレクタ・ベース・エミッタの3本足がでていて、ベースに加える電流量によって、コレクタ電流を変化させていました。

このFETの場合も、その3本足は、 ドレイン・ゲート・ソース と呼び、N型とP型があり、ゲート・ソース間の電圧変化で、ドレインの電流が変化させることができます。

つまり、バイポーラトランジスタは、小さな電流で回路の電流をコントロールしますが、FETは小さな電圧で回路に流れる電流をコントロールするという違いがあります。

単体で使うFETの外観形状を見ると、JFETの多くは、小電力用のバイポーラトランジスタ(例えば、2SC1815)と同じ外観形状のものが多く、MOSFETの多くは、大電流が扱えるので、大電力用のバイポーラトランジスタに見られるような、背面に放熱板を取り付けて使うような外観形状のものが多いです。

いずれにしても、その他の電子部品と形状がにているので、本体の表示に注意して、間違わないようにしましょう。

JFETとMOSFETは特性も用途も全く違う

JFETとMOSFETの用途も特性も全く違うものです。

だから、これらを比較するというのは適当ではありません。 そのために、それぞれの特徴や使い方などの違いを知っておいて使い分けるのがいいでしょう。

FETの大きな特徴は、入力インピーダンスが高くて低電力

この特徴から、多くの部品を小さなパッケージに詰め込んでいるIC(集積回路)では、バイポーラトランジスタに代わって、FETのICが主流になってきています。

ディスクリート半導体(増幅や発振などに使用する能動素子)として、単体で使う場合のFETの特徴では、 ①電圧で制御する素子  ②入力インピーダンスの高い回路を組める  ③電力損失が少ない … という点があげられます。

そして、FETは、バイポーラトランジスタと同様に ①増幅作用 ②スイッチング の用途に使用されます。

単体で使用するFETでは、大電流が使用できて、電力効率の良いMOSFETは重要な電子部品です。

ここでは、FETについて、少し古いタイプですが、JFET(2SK30A)とMOSFET(2SK2231)について、東芝さんの資料で、その違いや特徴をみていきます。

違い① JFETとMOSFETの用途の違い

JFETの2SK30AとMOSFETの2SK2231のデータシートの冒頭にある用途・目的などが全く違う別物であることがわかります。

データシートに見るFETの特徴 東芝

ここに様々な特徴が挙げられていますが、JFETは「低雑音」、MOSFETは「取り扱いが簡単」… というところが特徴的です。

ここには、出力される電流のことは書かれていませんが、データシートの「電気的特性」を見ると、ドレイン電流(出力で扱える電流)は、JFETは「数mA」で、MOSFETの多くは「数A」となっていて、扱う電流量が全く違います。

違い② エンハンスメント型とディプレッション型の違い

MOSFETには、ディプレッション型とエンハンスメント型の2つのタイプがあります。

これは、下の出力図のように、出力の傾向を表すタイプの違いをさします。

ただ、MOSFETのディプレッションタイプはほとんど出回っていないので、ここでは、JFETのディプレッションタイプを使って説明します。

「エンハンスメント型」は、ゲート・ソース間電圧(ここでは「ゲート電圧」と書いています)をかけないとドレイン電流が流れないものを言い(下図の右側)ます。

MOSFETでは、このエンハンスメント型が主流です。(さらに、後ででてきますが、Nチャンネルのエンハンスメント型が主流です)

それに対して、ゲート電圧をかけなくてもドレイン電流が流れるタイプの「ディプレッション型」に分類されています。(MOSFETではほとんどが「ゲート電圧をかけないとドレイン電流が流れない」エンハンスメント型です)

エンハンスメント型は、ゲート電圧が0Vの状態で電流が流れないOFF状態になっているので、「ノーマリーオフ制御」という言い方をされますし、もう一方のディプレッション型は、ゲート電圧が 「0V で ONの状態」 になっているので、ノーマリーオンと言われます。

MOSFETをスイッチング用途に使う場合に、ノーマリーオンでは使い勝手が悪いことから、ノーマリーオフのエンハンスト型(のNチャンネル型)が多く使われています。

その、ディプレッション型とエンハンスメント型の出力イメージは以下のようなものです。(ディスプレッション型のMOSFETの例がほとんどないので、JFETの図を使っています)

ドレイン電流の比較 図3

上左はディプレッション型の代表的なJFET(2SK30A:ただし製造中止)の静特性の例です。(MOSFETでないことに注意して図を見てください)

0V(電圧がかかっていない状態)で、上左は3mA程度の電流が流れており、(これがノーリーオンと言われ) 0Vの時が最大電流値になっています。

そこで、この図のように、ゲートに負電圧をかけることで、出力のドレイン電流をコントロールをします。

それに対して、上右がエンハンスメント型のMOSFET(2SK2231)の例です。

上右図を見ると、ゲートに十分な電圧(VGS)をかけた状態(図では2.5~10Vの場合)でも、ドレインソース電圧が0Vであれば、このときはドレイン電流が流れていない(ノーマリーオフ)のですが、ドレインソース間に電圧がかかると、急に大きなドレイン電流がながれつことがわかります。

この特性を利用して、電流を流すか流さないか … という、スイッチング用途に使われます。

もちろん、立ち上がり部分を使えば、ドレインソース間電圧を変えることで、ドレイン電流量をコントロールする利用法もあるのですが、普通は、そのような使い方はしないで、電流を流すか流さないか … という大電流をON-OFFするスイッチのような使い方をされています。

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違い③ NチャンネルとPチャンネルの違い

難しい説明は省き、一般的な知識として知っておくと良い程度の内容を説明します。

この、NチャンネルとPチャンネルの違いは、内部構造の違いです。

内部構造の違いで、ゲートへ電圧の加え方やドレイン電流の流れ方が違います。

MOS-FET Nチャンネル

これは、MOSFETのNチャンネルの図です。

上でのMOSFET(Nチャンネル)の特性グラフを見るとわかるように、ドレインソースにプラス電圧が加わっている時に、ゲートソース間に+の電圧が加わっていくと、ドレイン電流が流れはじめます。

それに対して、JFETのNチャンネルでは、上の特性図の左図のように、ゲートに電圧をかけない 0Vの状態 で、ドレインからソースに電流が流れている「ONの状態」になっていて、そこに、ゲートにマイナスの電圧をかけて、電圧が下がっていくと(つまり、マイナス電圧が上がると)、ドレイン電流が減少していくグラフになっています。

つまりこれは、ゲートに加える「負電圧」をコントロールすることで、ドレインからソースに流れる電流を制御できるということです。

次に、JFETのPチャンネルの場合では、下のグラフのように、ゲートに電圧をかけなくても電流が流れているのはNチャンネルのものと同じですが、Nチャンネルとは違って、ゲートに加える電圧も、ドレイン電流の流れる向きも逆です。(グラフの座標数字のプラスマイナスが、NチャンネルのものとPチャンネルのもので違っている点を見ておいてください)

下図のように、PチャンネルのJFETでは、ゲートにプラスの電圧をかけると、電流が減っていき、ついに流れなくなります。

PチャンネルJFETのドレイン電流の例

この図では、電流の向きが逆に書かれています。

これは実は、JFETは、ドレインもソースも同じ種類の半導体を接合して作られている「モノポール構造」なので、ドレインとソースを逆にしても同じ動作になります。

つまり、電流の流れる方向でドレインとソースを区別していることで、このようなグラフになっています。

別の言い方で、NチャンネルのFETは、ドレインからソースに電流を「吸い込む方向に流れる」 また、もう一方のPチャンネルのFETは、ソースからドレインに吐き出す方向に流れる … というような言い方で表現されています。

これはつまり、電流の流れ方が違うということを言っています。

MOSFETの多くはNチャンネルのエンハンスト型

MOSFETの場合ですが、販売されている型番の多くは、Nチャンネルのエンハンスト型で、Pチャンネルのものは少ないという現状です。

Nチャンネルの上の特性グラフを見ると、ゲートソース間に充分な電圧(図では2.5V~10V)をかけた時のドレインソース間の電圧に対するドレイン電流は、0V のときには、ドレイン電流が流れていなくて、少しの電圧をかけるとドレイン電流が急に増えていきます。

それが、PチャンネルのMOSFETになると、下図のように、加える電圧も、流れる電流も、Nチャンネルとは座標の数字が全て反対になっています。

PチャンネルMOSFETのドレイン電流の例

つまり、NチャンネルでもPチャンネルでも、電流の向きが違うだけですので、どちらでもいいのですが、使う場合の統一性を考えて、Pチャンネルの製品よりも、Nチャンネルの製品が多いということなのでしょう。

このように特性から使い勝手を見た場合には、趣味の電子工作ではスイッチ機能は使えそうなので、Nチャンネルのエンハンスメント型のMOSFETが使いやすそうな感じです。

MOSFETは安価ですし、入手できる型番も多いので、ともかく、NチャンネルのMOSFETを使うことで考えて行くといいかもしれません。

FETの図示記号と表示の見方と実験で使うFET

FETの図示については、このHPでは、BSch3VというFREEのCADソフトを使わせていただいているので、このHPの記事は、それにしたがって、下記のような記号を使っています。

このHPで使うFETの図示記号

そして、ここで実験で使う2種類のFETはこれです。

ここで使う2種類のFET 外観の例

2SK30Aは、本体に「K30A GR 8A」と書かれています。 そして、2SK2231は(写真では見にくいですが)「東芝セミコンダクタのメーカーマークと型番のk2231 7・G」とあります。

このK30Aは「2SK30A」の略称で、東芝の資料では、GRは特性(この場合も、東芝さん独自の特性区分)で、8Aはメーカー管理番号です。

K2231も同様に、2SK2231の略称で、7はロット番号、GはRoHSに準拠して、有害物質は使っていない … という表示ということです。

これらは廃番だが、流通している 代替え品でもOK

この2SK30A と 2SK2231 の両方ともに、現在では製造中止になっています。 しかし、まだまだ普通に流通していて入手可能です。

しかしもちろん、新しい代替品でも同じように使えますので、できるだけ、新しい型番のものを使うようにするのがいいでしょう。

2SK30Aに代わる、新しい製品としては、2SK117、2SK246、などが代替品として使えますし、2SK2231も、2SK2232、2SK2312、2SK2313などが特性的に似通ったものですので、問題なく代替できます。

バイポーラトランジスタと同様に、FETも互換性が高いので、データシートの最大定格内の電圧・電流に気をつけておけば、特殊なものを除いて、同様に使えますので、入手しやすくて安価なものを使うのがベターです。

さて、実際にFETを使っていくのですが、それはページを改めますが、このページの最後に、私自身がわかりにくかった、「負電圧」に付いて紹介します。

JFETの使い方で、負電圧をかけることがわかりにくい

上でもでてきましたが、「負電圧をかける … 」ということが、私自身もわかりにくかったので、ここで、NチャンネルJFETの負電源のかけ方について説明します。

JFETの静特性の例

この図で、左半分の、右上がりのカーブの部分のゲート電圧が、マイナスの電圧になっていることに注目ください。

これは、ドレインソース間の電圧が10Vのときに、ゲートに「負電圧」をかけると、ドレインD→ソースS に流れる電流が変化することが示されています。

ゲートにかかる電圧が正電圧(プラス)では作動しません。

この図の特性が「ノーマリーオン」で、ゲート電圧が0Vのときに、ドレイン電流が最大で、この図の場合では、3mA程度 の電流が流れています。

余談ですが、JFETは、原理的に、ドレインDとソースS の「足」を入れ替えても、プラス側からマイナス側に電流が流れるので、DとSが、どちらの「足」であってもいいことになるのですが、便宜的に「D」を書きいれて、「この回路ではD→Sに電流が流れる」… としてわかりやすくしているようです。

このために、あえて、図示記号には、あえて小さい「D」で表記している場合が多いので、これを覚えておくといいでしょう。

このグラフでは、0V のときのドレイン電流が最大になっていて、そこに負電圧を加えていくと、ドレイン電流が少なくなっていっています。

つまり、JFETは、このカーブの直線に近い範囲を利用することで、歪の少ない増幅ができる … というのがJFETの特徴です。

もちろん、ゲート電圧で、スイッチとして使うこともできますが、図で見ると、0mAと約3mAの制御ですから、あえてJFETを使うこともなさそうです。

以上でひとまずページを変えて、次のページで、増幅やスイッチの実際の使い方を見ていきます。

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