オペアンプLM358Nの記事の2ページ目です。 前のページでは、ピンの位置や単電源、両電源について説明しています。 このページでは、電圧によってオペアンプの回路をON-OFFをさせる「コンパレータ」の動作を説明していきます。
コンパレータとは
compareは「比較する」ことですが、コンパレータは、入力電圧が、決められた電圧かどうかをみて、条件に合えば決められた動作をする「スイッチのような役割のもの」です。
例えば、電圧が3Vになったらモーターを回そうという時に、3V担っているかどうかを判断する回路のようなもの … と考えるといいでしょう。
オペアンプLM358 のデータシートには、次のような説明があります。

このLM358シリーズは、使いやすいオペアンプICで、オーディオアンプに使うには、雑音などでイマイチですが、増幅や回路実験に使うには、まさに初心者用にうってつけのICです。
ここでは、簡単なコンパレータの回路を作って、次のような動作をみてみましょう。
・入力+と入力-に加わる電圧で出力電圧がON-OFFする様子を見る
・入力+の電圧を変えると、出力がどのようになるかを見る
・オペアンプの出力電流を測ってみる
・電源電圧を変えたとき、電源電圧とON-OFFがどのようになるかを見る
などを、回路を作って、実際に測定していきます。
「コンパレータ」は、例えば、「3Vの電圧になれば、電気をOFFにする・・・」「電圧が半分まで下がったら、ONにして電気を流す」・・・というイメージですから、用途は多いでしょう。
このような動作をさせる専用のICもたくさんあります。 ただ、汎用オペアンプは、いろいろな用途に使うことができるというものですので、これを使って、この動作をさせてみましょう。
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コンパレータ回路の例

LM358Nは、8ピンに、2つのオペアンプが内蔵しているので、その片側を使います。 そして、5Vの単電源で作動させます。 ピンの位置は下図のようになっています。
(ピンの位置:再掲)
回路図をみると、No.3の入力ピンには、1kΩと1kΩの中点ですので、5Vの半分の2.5Vの電圧がかかっていて、10kΩのボリュームを回すと、No.2ピンの電圧が、0-5Vの間で変化する回路になっています。
ここではこの「2.5V」を基準の電圧(判定電圧)としていますが、普通は判定電圧は自由に変えることで使います。
また、ここでは、電源の5Vを使うために、このような回路にしていますが、判定する「基準の電圧」を、別に持ってきてもいいのです。後で実験しています。
結論としては、この回路では、2.5V以上では5Vを出力し、2.5V以下になると電圧を0 にする … という動作をする回路になっています。
このように、コンパレータは、ピン2や3の電圧が目的の電圧よりも高いか低いか … ということを判定して、条件にあっておれば、出力側(図では出力+)に、適当な電圧を出力させる働きをします。
これだけのものですが、便利なので、いろいろな場面で使えます。
ただ、オペアンプの特性から、5Vの電源を使っていても、オペアンプの出力は5V にはならずに、3.7V程度 しか出力しませんし、たくさんの電流も流れないなどの制約がありますが、ボリュームを回して電圧を上下すると、2.5Vで、きっちりとに目標の電圧でON-OFF動作をすることを確かめていきましょう。
【寄り道】回路を考えるために知っておくと便利なこと
単電源でオペアンプを使う場合は、この「中点の電圧を使うこと」はよく出てきます。
電源電圧の中点2.5Vを基準電圧にすれば、交流電圧を増幅する場合などでは、出力を最大幅に振らしてやることができるという利点があります。
もしも、0Vを基準にすると、交流の上半分しか反映(増幅)されない状態になります。(もちろん、振らせる幅は、電源電圧で変わりますし、オペアンプの特性で、目いっぱいの電圧幅が取れないこともありますが、これは、後で説明します)
ここでは、この 電源5Vの中点の電圧 2.5V が判定の対象としている電圧にしようというものですが、判定電圧を変えたいなら、No.3ピンに加える電圧を、可変抵抗などを用いて変えるといい … というです。
ここで、おさらいになりますが、「1kΩ」の抵抗にしたのは、3番ピンに加わる電流を小さなものにして、さらに電圧を下げるためのものです。
抵抗器には、I=E/R=5/2000=2.5mAの電流が流れます。 LM358Nのデータシートには、50mAを超えてはいけないとなっているので、OKですね。
ただ、ここでは、抵抗を使って、流れる電流を少ないものにしていますが、本来、オペアンプは、入力インピーダンスが高いという特徴が「売り」ですので、高い電流を加えても、それがそのまま、オペアンプに流れるというものではありません。
そしてさらに、さらに、たくさん入力側に電流を流しても、出力電流が増えるということもありません。(後で説明しています)
だから、抵抗器は、発熱しない程度の電流が流れる抵抗値にすればいいということで、適当に、1kΩにしただけです。
上の回路では、1kΩの抵抗の中点からとった3番ピンに、2.5Vの電圧がかかっています。 そして、10kΩの可変抵抗を介して、「入力-(ピン2)」に、0V~5Vを変化させて加えるようにしています。
つまり、(この図の場合は、電源が5Vですので) ピン2に加えた電圧を変えると、出力電圧がどうなるのかを見ている … ということです。
もちろん、この10kΩも適当に決めています。 2番ピンに加わる電圧を変化させるだけですし、電流も小さなものですから、1kΩでも100kΩでもいいでしょう。 手持ちのものを使ってください。
この「適当」でいいところはオペアンプのいいところです。
バイポーラトランジスタでは、ベース電流によってコレクタ電流を制御していましたが、電流は「熱作用(熱損失)」があるので、電圧で制御できるということは、消費電流が少ないという「長所」ですね。
コンパレーター回路をブレッドボードに組みました

2番ピンの電圧が0Vのときに最大電圧になっていて…
下の写真のように、ピン2に加わる電圧が0Vのときは、3.66Vの出力が出ています。

電源電圧の「5V」が出力されずに、3.66V しかないのですが、これは、オペアンプの性能の最大値なので、どうしようもありません。
後で、2番ピンや3番ピンの電圧を変えて測定して確認しますが、オペアンプが何かの仕事をして、精一杯頑張った結果が、3.66Vの出力ということです。
このように、一般的には、オペアンプは、電源電圧以下の出力電圧になります。
(注)高級・高価なオペアンプには、この取り出せる電圧が電源電圧まで広がったものがあります。(これを「レールツーレール」「フルスイング**」などと呼ばれます) さらに、無駄な電流やノイズが少ないものなどが数多く販売されています。 しかし、もちろんですが、特性が良いものは、ICの価格は高額です。
ボリュームで2番ピンの電圧を上げていくと、突然、出力が0Vになる
2番ピンの電圧が0Vで3.66Vが出力されている状態から、ボリューム(半固定抵抗)を回して、ピン2に加わる電圧を上げていくと、突然に出力が0Vになります。
その後にMaxの電圧4.92Vまでいっても、ずっと出力が0V という状態です。(右のテスターは加えている電圧を、左のテスターは出力電圧を示しています)

そこで、切り替わる電圧を調べてみました

切り替わる境界は、2.4Vと2.5Vあたりにあります。
つまり、2.5V付近を境にして、出力がON-OFFしたことになります。
このように、入力電圧に対して、出力電圧が、ある電圧を境に切り替わるのが「コンパレータ」の動作ということですね。
この場合は、ピン3に加える電圧に対して、2.5V以上かどうかを判定しているということです。
ちなみに、出力が出ているときの出力側の電流は?
そしてこのとき、どのくらいの電流が出力されているのをみてみましょう。

写真のように、出力側に1Ωの抵抗を介して、その電流値を測定します。 この方法を取ると、計算の上で、 I=V/R で R=1なので、 I=V となるのでわかりやすいという理由です。
まず、上の写真のように、2番ピンの電圧が2.5Vより高い(写真では2.75V)状態では、出力側の電流は0です。 そして2番ピンの電圧を下げていくと・・・

2番ピンの電圧が2.5V以下(写真では1V)になると、突然に32mAの電流が流れます。(テスターが2つしかないのでこのときの電圧は測定していませんが、3.66Vの出力電圧になっているはずですね)
ここで、32mA しか流れないというのも「このオペアンプの特性」です。
言い換えれば、このLM358Nでは、最大32mAの電流を流すことができるということです。
30mA程度の電流量であれば、直接にLEDは点灯できますが、小さなDCモーターを直接のつなぐのは無理ですね。
つまり、このオペアンプだけでは、大きな電流量を扱うことができません。(トランジスタを使えば電流の操作ができますが、ここではこれについては示しません)
もちろん、入力+(3番ピン)の電流量を変えても出力電流は変わらない
上の回路では、1kΩの中点から2.5Vの電圧を入力+に加えていますが、抵抗を変えて、抵抗に流れる電流値や入力+(3番ピン)に加わる電圧を変えても、オペアンプの出力特性で、出力側の最大電流は32mAと変わることはありません。
そして、電源が5Vであれば、1kΩx2個の抵抗を10kΩx2個に変えて測定にすると、流れる電流は I=E/R=から 1/10になっても、その中点とGNDの電圧は2.5Vで、この場合でも、出力側の電流量は変わりません。
さらに、(後で実験していますが) 3番ピンに加える電圧を変えても、出力側の電圧も最大電流も変わりません。
つまり、出力側の電流量は、オペアンプの特性で決まっている … ということです。
この時にオペアンプに入っていく電流はどれくらいでしょうか?
最大電流が出力されている時に、抵抗器の中点から3番ピンに流れる電流(オペアンプに入っていく電流)を測定してみると … (テスターで測ったところが) いずれも 0μAです。
これはなぜでしょう?
これは、オペアンプの入力抵抗(入力インピーダンス)が非常に高いためで、このように、省電力で、なおかつ、目的の仕事をしてくれるというのも、オペアンプの特徴です。
ただし、ここでは 1kΩx2個 の抵抗にしていますが、これは、10kΩでも100kΩでも、いくらでもいい … と書きましたが、当然ですが、オペアンプの入力インピーダンスを越える高抵抗はダメということです。
もっとも、こんな抵抗器は使うことがないにしても、回路設計をするときには、知っておくといいですね。
オペアンプは、電圧を制御している
このLM358Nでは、流すことのできる最大の電流が32mAでした。
このように、一般的には、オペアンプを用いて直接に負荷を制御できる電流はそんなに大きくありませんから、オペアンプは、電流を制御するというよりも、電圧を制御しているということを覚えておくといいでしょう。(もっと大きな電流を扱えるものがありますが、高価です)
このような電圧でON-OFFのような動作をさせるのがコンパレータで、コンパレーターに特化した専用のICも各種販売されています。
ここでは、安価な汎用のオペアンプでも、このようなコンパレータ動作ができることがわかりました。
次に、さらに、電源電圧について、もう少しオペアンプの特性をみてみましょう。
電源電圧5Vを変えるとどうなるのでしょう
結論的には、電源電圧が変われば、出力電圧が変わります。

5Vの電源で約3.7Vでしたが、定電圧電源装置を用いて、2V、5V、15V、20Vにして出力された電圧を測定しましたが、入力電圧より若干低くなっています。これも、オペアンプの特性です。
データシートでは、LM358Nは、単電源では3V~32Vという広い範囲の電源電圧で使用できます。
ここでは分圧抵抗が1kΩ+1kΩで回路を作っていますので、電源電圧の1/2の電圧付近でON-OFFが切り替わっています。
別電源で3番ピンに電圧をかけてみます
ここまでは電源電圧を抵抗で下げて判定用の入力電圧を3番ピンに加えましたが、次に、別の電源を用いて、判定用の電圧を直接3番ピンに加えても、その電圧でコンパレーターの機能が働くかどうかを確認してみましょう。
電源電圧を、5Vに固定しておいて、3番ピンに加わる電圧(仮に、判定電圧と呼びます)を変える、下のような回路で測定してみます。

結果は、下のように、うまく判定できています。

オフセット電圧、オフセット電流について
今回の実験では、電圧は簡単なテスターで測定しているものですし、0.1Vにまるめてグラフを書いていますし、さらに、部品の誤差などもはあるでしょうから、厳密なものではありません。
そして、ここでは、出力電圧の最低が0Vになっていますが、実は、これは、たまたま、結果オーライとなったものだったのかもしれません。
オペアンプのデータシートに、普通は、「オフセット電圧・電流」があります。
これは、どのようなオペアンプでも、オフセット電圧やオフセット電流があって、出力電圧が、0にならない場合があるということで、もしも、実際に何かをしようとする場合には、0でないことなどを想定して、使い方も考えないといけないということです。
でも、このようなON-OFFのしくみが簡単にできるので、応用範囲は広いでしょう。


