NPNバイポーラトランジスタの2SC1815 を使った「増幅回路」の抵抗値を計算で求めてみましょう。

いきなりで、難しいかもしれませんが、何回もこのような図や考え方の説明が色んなところで出てくるので、時間とともにわかってきます。 ここでは「こんなことをする … 」と眺めておくだけでも問題ありません。
… というのも、これから紹介する計算やその考え方は、厳密なものではなく、「エイヤァと仮定して」計算しやすいようにしているなどで、結構アバウトなものです。
だから、最終的には、実測して確かめるといいのですし、やり方はアバウトでも、そんなに誤差もないこともわかります。
ここでは、上図の右側の「最終のかたち」のR2やR3を決める計算をしていきます。
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R2を求める計算をしましょう
ここでは、ベースに適当な電圧と電流が加わるようにする R2 を求めていきます。
まず、大まかな数値を仮定します。
まず、LEDには、最大で15mA程度の電流(Ic)を流し、2SC1815の増幅度(h)は100としましょう。
そして、下の3つの「関係と考え方」を使います。
①コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h
②コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie
③エミッタベース間電圧Vbe=0.7V
【1番目】は、 コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h という関係があり、 Ic・Ib・h の3つの数字のうちの2つの値がわかれば、残りの数値が求められる … というものです。
ここでは、ベース電流(Ib)を求めたいので、h=100、Ic=15mA とすると、ベースに流す電流 Ib=Ic/h=0.015/100=0.00015A と求まります。(単位は アンペアA です)
【2番目】は計算しやすいように、 コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie と仮定します。
本来は、エミッタからアースに流れる電流は、「コレクタ電流+ベース電流」ですが、ベース電流に対するコレクタ電流の増幅率が 100 もあるので、コレクタ電流に比べて、ベース電流は 1/100、すなわち、1% と小さい値ですので、その程度の違いは「どうでもいい・・・」と考えて、計算を簡単にしようという理由です。(もちろん、正しくなるように計算しても問題ありません)
【3番目】は、 エミッタベース間電圧Vbe=0.7V と仮定して決めてしまいます。
コレクタ電流を流すためには、ベースとエミッタ間に電圧Vbe を与えるので、下の特性グラフから読みとってもいいのですが、おおむね、バイポーラトランジスタではよく似たグラフになっており、Vbe はほとんどが 0.6~0.8V程度の範囲 ですので、ここでは やはり、計算をわかりやすくするために、0.7V としたというだけのものです。

こんな「いい加減な」ことでいいのかと思うでしょうが、最終的に、これで計算した求めた抵抗値の抵抗器はほとんど市販されていないので、結局、近似の抵抗を使うことになりますし、また、少々違う抵抗を使っても、測定してみると、そんなに結果に影響ないことから、この計算でも問題ない … という理由からです。 もう一度、ここで使う考え方は、
①コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h
②コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie
③エミッタベース間電圧Vbe=0.7V ・・・の3点です。
これから計算しようとする回路では、この3つを全部使わないのですが、もしも、エミッタ側に抵抗が入っていたりして複雑になっていても、常に、この3つで未知の数値を求めることができます。
さて、以上をつかって、R2 を計算しましょう
①から、ベース電流は(式を変形すると) 0.015A/100=0.00015A となり、Vbe が 0.7V なので、ベース電流を150μA 流して、(5-0.7)=4.3V の電圧降下をさせる抵抗器を用いればいいということになります。
そこで、オームの法則 R=E/I から、4.3/0.00015=28667Ω つまり、28.7KΩ の抵抗をつければ良いことになります。
市販の抵抗器には、28.7kΩという値のものはないので、市販されている抵抗値は 22kΩか33kΩ などを使用すればいいことになります。
ここでは、大きい方が安全だと考えて、R2は 33kΩ の抵抗とします。
これで R2 が決まったので、上にあった、 *最終のかたち* の回路について考えます。

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上図の一番右の *最終のかたち* の回路について
最終的には、ボリューム(可変抵抗)を付けて、LEDの明るさを変えてみようと考えた回路が「最終のかたち」です。
例えば、それではない、上図の真ん中の回路を実際に組んでみると、下左図のように、ボリュームをいっぱい回しても、LEDがうっすらと点灯していて、完全に消えません。
これは、微弱でもベース電流が「0」になっていないためで、トランジスタの増幅率が100倍もあるので、ベース電流が少しでも流れると、LEDが消灯してくれません。
そのために、微小な電流がベースに行かないように、アースに落とす方法をとったのが「最終のかたち」です。

このボリューム R3 は 100kΩ としていますが、これも「エイヤァ」で決めています。
この計算することもできますが、すでに、いろいろな仮定が入っているので、それよりも、回路を測定するほうがはっきりします。
もし、ボリュームをいっぱい回しても、LEDが消えなければ、もっと大きい1MΩなどの可変抵抗に変えるなどをしてみればいいのです。
【念のために、寄り道ですが100kΩの是非を計算してみます】
100kΩで、結果はうまくいきましたが、ここで、アースなしの場合を計算して確かめてみましょう。
ボリュームの抵抗が最小の「0Ω」の場合には、ベース電流は計算したように150μAです。
そして、最大抵抗の133kΩのときには、(5-0.7)/(100000+33000)≒33μAと計算されます。
もしも、1MΩの可変抵抗を使うとすれば、最小電流は、(5-0.7)/(1000000+33000)から、4μAとなり、ボリュームを最大抵抗値にしたとしても、いずれにしても可変抵抗器を通して、ベースには「常に」若干の電流が流れています。
だから、このように、少しでもベース側に電流が流れると、トランジスタが増幅して、完全にLEDが消えてくれない可能性があります。(こちらのLEDの記事にあるように、LEDに流れる電流が 30μA と極小でも、LEDが点灯していましたから)
ボリュームで抵抗値を最小にした時にベース電流が最大になって、コレクタ電流も最高になるのですが、この場合に、100kΩの抵抗に流れる電流は、いくらになるのでしょうか?
測定してみたところ・・・ 8μAでした。
おさらいになりますが、これを計算しようとすると、どうすればいいのでしょうか?
何か難しそうですが、ベースからエミッタに流れる時に トランジスタ内で 0.7V 電圧低下するというのが「3つ目」の考え方でしたので、つまり、100kΩで0.7Vが電流が流れて0Vになるのですから、R=E/I から 0.7/100000=0.000007A、すなわち、計算では7μAが流れます。
測定値は 8μA でしたが、計算値とほぼ合っています。 これを次の図でイメージしてください。

ボリュームが最小のときは、100kΩの抵抗がないとして計算すると、電流値は150μAになり、100kΩの最大にすると、計算値で7μAが流れるので、ベース電流Ibは 150-7=143μA がベースからエミッタ側に流れる電流値ということになります。
このように、アースを取ることで、ボリュームの抵抗が最大の時に、トランジスタのベースに流れる電流がなくなるはずです。
これが正しいかどうかは、回路を作って測定して確認できます。
このような計算は、数字の遊びのような計算ですから、計算をして回路を組む機会はほとんどないのですが、考え方を知っていると、その他のトランジスタや、もっと大きな電流で使おうとする場合に役立ちます。
・・・ということで、前のページにあるようにブレッドボードに回路を組んで確かめてみました。
はんだ付けした回路の間にテスターをつなぐのは面倒ですが、ブレッドボードであれば簡単でしょう。
ここでは、下の回路図での、測定した値を示しています。 赤字が実測値で、それ以外は、見かけの数字または仮の数字です。

測定誤差があるでしょうが、ともかく、計算値とそんなに違いがないことも確認できました。
ボリュームを回すとベース電流が0から0.12mAになり、それに伴ってコレクタ電流が0から11.5mA流れるようになっており、ほぼ、計画通りです。
余談ですが・・・ 最初に、電流増幅率を100 として計算していました。
測定した結果では、ベース電流の最大値0.12mAとエミッタ電流の最大値11.6mA なので、約97 と、100に近い増幅率になっているのがわかります。
つまり、「エイヤッ」と決めた値も、結果的に「そこそこ合っている」ことになります。
そして、もし合っていなくても、本来の目的の、LEDの明るさが調節できればいいのです。
つまり、「計算は一つの道具」ということですし、「論より証拠」で、測定した結果がよければすべてよし … ということです。
ついでに、もう少し見ていきます。
【コレクタ損失の確認や上で決めた33kΩでない場合は … 】
これも寄り道になりますが、最後に、データシートのところで出てきた、コレクタ損失やベース電流を決める抵抗が33kΩより小さい場合を確認しておきます。
計算自体がアバウトでしたから、測定したほうが手っ取り早いので、測定して確認しました。
まず、LED輝度を最大にして、コレクタエミッタ電圧を測ると、0.75Vでした。
次に、ベース電流を決めるための33kΩを20kΩにして、ベース電流、コレクタ電流を測定したところが、これらは同じ値でした。
つまり、かなり適当に「エイヤァ」と決めた条件値であっても、結構うまくいくということのようです。
そして、さらに、少し危険な実験ですが、コレクタ電流を上げたときのコレクタ損失の状態をみてみました。
もちろん、これについても、電流が流れると、回路のどこかの温度が上がって、データシートの数字とは異なってくることは考えられますが、5Vの電源電圧で、50mAの電流を流すには、LEDではなくて、5V/0.05A=100Ω なので、100Ωの抵抗器に変えます。
コレクタエミッタ電圧を計算用の「0.7V」として、ベースの制限抵抗値を計算すると、8.6kΩになります。
そこで、10kΩの抵抗器が手元にあったので、それでコレクタ電流を実測すると、44mA流れています。
その時のコレクタエミッタ電圧は実測すると 0.81V でしたので、コレクタ損失は0.81Vx0.044A=36mW です。
つまり、コレクタ損失を気にする必要はあるのですが、このHPでやっている内容程度の小さな電流量では、それが問題になることなさそうなようです。
以上のようなことについて、計算や確認することは無駄なことかもしれませんが、計算と実測をうまく使って、一度、自分で確かめておくと、何か、電気を手なづけた感じで安心する感じがしませんか?
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書籍などに載っている回路は、問題なく動作しているものなので、あえて、このような計算や測定をする必要はないのですが、回路を少しアレンジしたり、自分で考えた回路を組むと、予期しないことやわからないことが起こることがあるかもしれません。
しかし、それは、部品の誤差や使用温度などで変わるものなので、ある程度は仕方がないことですから、その原因を考えるためにも、このような計算できれば心強いでしょう。
変な言い方ですが、電気を流す瞬間のワクワク感も、結構楽しいものですが、それよりも、自分が楽しむものなので「危険がなければいい」という程度に考えておいて、色々なアレンジをしてみると、結構楽しめます。
回り道の内容でしたが、一度自分で確かめてみると、いろいろなことがわかってくる感じがしますから、頭で考えているだけでなく、ぜひ自分でやってみてください。



