温度センサには ①熱起電力を利用する「熱電対」 ②精密温度測定に利用される「白金測温体」 ③サーミスタ ④温度センサIC などがあり、様々な目的や用途で利用されています。
①の熱電対(ねつでんつい)は、幅広い温度範囲で使うことができるものがありますし、 ②の白金測温体はさらに高精度な温度計測ができるのですが、ここでは、電子工作レベルで使いやすそうな、使い方も簡単で安価で 0~100℃程度の温度範囲のセンサとして、ここでは ③のサーミスタ を取り上げます。

また、④の温度センサIC と、温度を感知してオン・オフする部品などは、さらに簡単に電子工作で使えそうですので、ページを変えてこちらで紹介しています。
(お断り) ここの内容は、専門的ではない、電子工作に使えそうなヒントなどの簡単な内容です。
サーミスタ
「サーミスタ」は温度によって抵抗値が変わる半導体電子部品です。
サーミスタには、性質の違う2種類のものがあり、①温度が高くなるにつれて抵抗値が下がるもの ②温度がある温度に達すると、急に抵抗値が増すもの の2つの特徴ある性質を持つサーミスタがあり、用途に応じて使われています。
①のタイプは、温度に対する抵抗値の変化が大きいことで、電子工作のレベルで手軽に使えそうな温度センサで、いろいろな用途に利用しやすそうなので、ここではこの①のタイプの使い方を取り上げます。
この①のタイプ(周囲温度が上がると、抵抗値が下がる)のサーミスタは、温度に対して抵抗値が下がる「負特性:Negative」があることから NTCサーミスタ と呼ばれており、温度測定や温度補償回路などに用いられます。
また、ここでは取り上げない ②のサーミスタは、温度が上がると抵抗値が増す「正特性:Positive」で、PTCサーミスタ と呼ばれており、過昇温警報や温度制限回路などに適しています。
②のタイプの PTCサーミスタ では、村田製作所さんが製造しているものが有名で、「ポジスタ」と呼ばれており、これは、装置の温度を検知したり、過熱状態を検知したり、過電流保護回路を働かす … などの用途で、自動車や家電製品などに使われています。
この、抵抗値が急変する特性を、リレーなどと組み合わせて利用すると電子工作でも面白い使い方ができそうですが、通常の電子工作では、①が多く使われているようですので、ここでは①のタイプだけを取り上げます。
通常、「サーミスタ」といえば、①のタイプの NTCサーミスタ のことをいいます。

この写真のサーミスタは ①のタイプの標準的なもので、25℃における抵抗値が10kΩのもので、温度が上がるとともに抵抗値が下がるという特性があります。
抵抗の変化を電圧・電流の変化に変える
サーミスタ(NCTサーミスタ)は、素子の温度が上がると、抵抗値が下がります。
ここでは、103AT-2 という型番を用いて説明しますが、通常の使い方を考えると「温度変化によって抵抗値が変化する」… という「温度と抵抗の関係」は使いにくいので、通常はこれを 「温度変化を電圧変化」に変えて使用されることが多いようです。
このためには、下図のように、サーミスタに電圧をかけて、抵抗値の変化を電圧電流変化に変える方法や、抵抗を直列に入れることで、電源から「分圧した電圧」を取り出す方法が用いられます。

また、上の右図のように、電流変化(または抵抗変化)を利用する場合でも、抵抗値が変化すると電圧が変化するので、通常は、温度と電圧変化の関係として用いるのが一般的です。(この変化曲線の図は、イメージを持てるように、適当に線を書いたものです)
一般的に製品化を考える場合には、抵抗値を加減することによって、必要な区間の温度範囲の変化を直線に近づける工夫をします。
このあとで、その例を紹介していますが、この直線的な関係にすることを「リニアライズ」といいます。
温度を測りたい範囲の変化が直線的になるようにすることで、温度誤差が少なくなるので、固定抵抗を入れて電圧変化にすると、直線的な変化になって扱いやすくなります。
データシートに記載の抵抗値を基準に電圧に変換
ここで使用するサーミスタ「103AT-2」ですが、データシートの温度と抵抗値の関係は下表のようになっています。

サーミスタ単体を空気中におくと、その温度によって抵抗値が変わるので、それをこの表から読めばいいのですが、この数字をグラフにしたのが右図で、これは、2次曲線的なので、ちょっと扱いにくい感じです。
このサーミスタは、室温25℃のときに、規定の抵抗値(この場合は10kΩ)になるように作られています。

例えば、この写真のように、サーミスタだけの抵抗値では、7.74kΩとなっていて、室温は室温33℃を示しています。
そこで、データシートの表で見ると、7.74kΩでは、30℃と40℃の間の抵抗値になっているのがわかります。
ただ、表は10℃ごとなので、正確な温度対比ができません。
そこで、抵抗変化を電圧変化に変換します
そのために、下のような方法で、抵抗変化を電圧変化に変換すると直線に近づきますので、区間の温度が求めやすくなります。 これが「リニアライズ」です。
下左は、サーミスタの、室温における電圧値を測定する回路で、下右は、サーミスタの「室温と抵抗値の関係」から、模擬的な抵抗値にして、その時の電圧を確かめるための回路です。
数字の4.16~27.28kΩは、温度の0~50℃に対応しているという意味合いです。

5V(実測4.94V)の電源を用いて、10kΩ(実測9.99kΩ)の抵抗をサーミスタに直列にして、OUTからの出力電圧を測定してみました。

つまり、ここでは、サーミスタの周囲温度を変えるのは大変なので、サーミスタの代わりに可変抵抗で模擬的な抵抗値を与えて出力電圧を測定しています。 その結果が次のようになりました。

可変抵抗は、多回転の半固定抵抗を使えば、かなり正確に抵抗値を調整できます。
例えば、先に示したサーミスタの表では50℃のときの抵抗値が4.16kΩなので、半固定抵抗をその数値に調整して上右の回路の電圧を測りました。
測定した結果は、グラフのように、ほぼ直線になっています。
そのために、ある温度の時の出力電圧は、1次式 y=ax+b として 出力電圧=傾きx温度+0℃の電圧 で計算できるようになります。
この場合は、例えば、33℃の出力電圧は、傾きが(3.49-1.31)/50=0.0436 で、1℃の電圧差(傾きa)が0.0436V で、0℃の電圧(b)が1.31Vなので、y=0.0436x(温度)+1.31 という1次式が得られます。 この式はあとの説明でも使います。
だから33℃のときの電圧は 0.0436x33+1.31 から、2.75V と計算できます。
求めたい電圧をV、求める温度をT とすると、
V=0.0436xT+1.31 ・・・ となります。
逆に、上左の回路で得た電圧から温度を算出することもできますね。
抵抗値の変化は直線的でないので扱いにくい
ここで、(前に戻るのですが)「温度-抵抗値」については『使いにくい』と書きました。
そこで、温度幅を上と同じに 0-50℃ の範囲でグラフにすると、下のようになります。

前のような「広範囲温度のグラフ」と違って、この狭い温度範囲では、かなり直線に近づいているようです。
しかし、やはり直線ではありません。
やはり、抵抗値のままではなく、電圧に変換したほうが直線に近づいているので、補間誤差(表にある数字の間の場合の誤差)は電圧を用いるほうが少なくなっています。
また、この抵抗値との関係は右下がりの曲線ですので、右上がりになっている電圧と温度の関係のほうがイメージ的にも使いやすそうな感じがしますね。
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そこで、固定抵抗を変えるとどうなる?
次に、上の10kΩにしている固定抵抗を変えると、出力電圧がどうなるのかを見るために、10kΩの固定抵抗を(テスターによる実測値で) 6.70kΩと32.8kΩ につけ変えて測定しました。

見た目で 「6.7kΩの時の直線性」 を見ると、10kΩの場合よりも直線的な感じがします。
しかし、33kΩにすると、逆に、直線性がなくなってきます。
つまり、直線に近づけるためには、抵抗値を選ぶ必要があります。
あるサーミスタメーカーの解説に、「固定抵抗値を直並列するなどで、温度範囲内の直線性を変えることができる」… とありました。
つまり、正確さが要求される場合は「直線性」を検討しなければならないのですが、このサーミスタ(103AT-2)は室温25℃を基準にしているので、固定抵抗の値は難しいことを考えないで、サーミスタの呼び抵抗(この場合は10kΩ)にすると、このグラフにみられる程度の直線性が得られるので、そんなに正確さを必要としない電子工作では、サーミスタの呼び抵抗値の固定抵抗を使う … と考えていても、大きな問題は出ないでしょう。
ただ、電源電圧や固定抵抗値が変わると、出力電圧が変わるので、それに合わせてグラフ(や数表)を作り直さないといけないことになるのが少し不便なところです。
ただ、これを測定する場合でも、疑似抵抗を使って測定すると、大した手間ではありませんから、一度やっておくと後々使えます。
もちろん、ここで使用したものと同じであれば、ここにある数字を利用いただくといいでしょう。
また、この電圧変換と直線化(リニアライズ)では、電源電圧の分圧が出力電圧なので、『出力電圧=電源電圧/(サーミスタの抵抗+固定抵抗)x固定抵抗』 という関係があります。
例えば、40℃になると、何かの機器をON-OFFさせたい場合に、その時の出力電圧を求る場合は、固定抵抗が10kΩであれば、40℃のサーミスタの抵抗値は5.827kΩなので、電圧は 5/(5.827+10)x10≒3.16V となります。
上のグラフで確かめてみましょう。
40℃の値は、ほぼ3.1V程度です。 そして、先ほど求めた1次式から、0.0436x40+1.31 を計算すると、3.054Vとなって、計算と実測から読み取る値は少し違います。
これらの違いは、精密測定ではないので、目をつむればいいのですが、気になる方は傾きの基準位置を変えたり、もっと個々について精密に測定すれば、ある程度は改善できそうです。
しかし、趣味の電子工作では、この程度の違いはあっても仕方がない … と割り切ってもいいかもしれません。(商品化するには問題ですが)
そして、電子工作を含めて、サーミスタを使う場合には、電源電圧が高くて、固定抵抗値が小さい、と電流が増えて発熱の影響がでてきます。
また、温度変化が急速な場合は、その温度環境になるまで、ある程度の応答時間が必要なことなどに留意しておく必要があります。
このような長短所は、どのようなセンサを用いてもあることので、どんな場合でも個別に対応しなければならないのは仕方がありません。
サーミスタを使う場合に…
サーミスタを使う応用例を考えるには、サーミスタの抵抗変化ではなくて、電圧変化が利用できるのは便利です。
つまり、電圧は簡単に「増幅」ができますので、応用範囲も広いでしょう。
そうすると、たとえば、こちらで紹介するオペアンプやコンパレータを使うとON-OFF動作や何かができそうな感じがします。 (別のところで何か考える予定ですが、話題の紹介だけに留めます)


