前のページでは、設定した電圧で電源のON-OFFができる「低電圧ボルテージデテクタ R3111-211A」の2.1V用での使い方を紹介しています。
ここでは、同様に、電源電圧の変動(変化)がある場合に、目的の温度で接続した回路をON-OFFさせるために使用できる「システムリセットIC」でも同じ用途に使用することを確認していきます。
このICのほうが電子工作では使いやすそうです。
システムリセットIC M51957
このICが動作する電源電圧は 2~17V なので、広い範囲で使用できます。
比較的簡単に検出電圧の設定ができることに加えて、遅延時間の設定もできるので、前のページで紹介したボルテージデテクターよりも、こちらのほうが一般的な電子工作には使いやすそうです。
このICはルネサスさんの製品で、表面実装用の小さいものです。 そのために、ボルテージデテクタの場合と同様に、秋月電子さんのDIP変換用基板を使ってブレッドボードで回路を組んでいます。
その他の製品では、ブレッドボードに直接挿して使えるDIP8ピンのICとして、新日本無線さんの NJM2103D などがありますので、それを使うとさらに使いやすいでしょう。
ここでは、手もちの M51957 を、秋月電子さんが販売しているDIP変換基板を使って、ICをはんだ付けしたもので説明します。
このように「はんだ付け」をして、さらに、ブレッドボードに挿しやすいようにピンを付けています。


8ピンの小さなICで、図のように 5つのピンを使います。(NCの部分は使いません)
上で説明したボルテージリテクターとの違いを見ると、最初から R1とR2を使って検出電圧を変えることが想定されており(入力端子)、さらに、遅延時間を設定できるという特徴があります。

標準的に使用する回路は上のようですが、この 抵抗RL は後段のロジック回路用のプルアップ抵抗です。
ここにある「ロジック回路」とはパソコンなどをさしていますが、ここではそれらを接続することはしないで、6番の出力だけをみてみます。
R1・R2は検出電圧を2~15Vで設定する分圧回路で、さらに、Cd のコンデンサ容量で遅延時間を設定できるようになっています。
ここでは、このHPでしばしば使っている、5Vを検出電圧として、電源電圧を振らせたときに出力の状態がどのようになるのかを見ますので、下のような回路を考えて、それで作動する様子を見ます。

データシートには、R1・R2 は大きくないほうがいい … との説明がありますので、ここでは R1=1kΩ、Cd=0.1μF にして、検出電圧=5V になるように、上の式から R2 を求めます。
そのために、より正確にするため R1 を実測すると 0.99kΩ でしたので、それを使って、上の式で計算すると R2=5.24kΩ となります。
この抵抗値も中途半端な数字です。
そこで、ここでは、10kΩの多回転の半固定抵抗器を使って R2 を5.24kΩ にしておいて、それを用いて回路を組み、電源電圧を 4~6V程度 に変えて、検出電圧が出てくるところを調べました。

その結果、検出電圧が5Vですので、写真左の、電圧が4.99Vのときは出力側は「0V」ですが、右のように、5Vを少し超えると出力が切り替わっていることがわかります。

高い電圧から下げてきても、5±0.1V以内で切り替わりますので、上の計算式は、「約1.25 … 」と「約」がついていますが、このように、かなり高精度で切り替わることがわかります。
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次に遅延時間を決める コンデンサCd について見てみます
実際の回路を考える場合は、5V の電源を用いるので、何らかの原因で 4.5V に電源電圧が低下した時を想定して、検出電圧を 4.5V として再計算すると、R2=2.54kΩ となります。
それで回路を組んで、同様に検出電圧を見たのが下の写真です。
左の4.48Vでは出力電圧は「0V」ですが、検出電圧の4.5Vを少し超えると、出力側に電圧がでていることがわかります。

やはり正確に4.5Vの検出電圧が捉えられています。
遅延時間について確認してみましょう
遅延時間を決める Cd について、セラミックコンデンサを使って 0.1μF →10μF に変えて低い電圧(たとえば4.3V)から 4.5V以上 になってからの遅延時間を見ると、計算では、0.1μの場合は34m秒、10μでは3.4秒と計算されます。
目測での遅延時間の長さは、計算値よりも短めの感じです。 だからこの遅延時間は、正確ではないので、「約」と考えておくといいでしょう。
このように、コンデンサの値で、遅延時間を調整できます。
ただ、低い電圧から上げていくと、遅延時間は有効に働くのですが、反対に、高い電圧から下げていって 4.5V以下 になったときは、遅延時間なしで、すぐに出力電圧が0Vになります。(これはどうにもなりません)
また、コンデンサの値を変えると、出力電圧も微妙に変わります。
コンデンサ容量が大きくなるにつれて、若干ですが出力電圧が下がります。(そのために、データシートには、瞬停への対応や時間誤差の問題から、10μF以下 の使用を推奨してあります)
(参考) 検出電圧5V で 0.1μから30μ 程度に変えて出力電圧を見ると、2~3.6V程度 でした。
出力できる電流値は小さい
本来このICは、後段のパソコンなどのロジック回路をリセットするためのものなので、出力電流は小さい設計となっています。
そのために、出力側で モーター などの消費電力のおおきなものを動かそうと思うと、電力増幅をしてやることが必要になります。
例えば、このICを、C接点(A接点+B接点)を持つリレーを動作させれば、電源が4.5V以下になったときにリレーをONさせることもOFFにすることができますので、コンパレータを使って色々考えるよりも簡単に使えそうな感じがします。
その使い方の一例を示しましょう。
実用化を考える回路例
ここでは、上のシステムリセットICを使って、規定の電圧になると、リレーを介してモーターを回したり、電飾を光らせる … ということをやってみます。
データシートによると、M51957 の6番ピンからの電流を、トランジスタ(ここでは2SC1815)を用いて増幅して、リレーを動かします。

このようにすれば電源電圧が既定値を超えれば、モーターを回したり、または、回っているモーターを止めたりすることができます。 回路の注釈を説明します。
注1 これらのコンデンサはノイズ対策で加えていますが、容量値が適当かどうかは特に検討はしていない「経験的な値」です。
注2 半固定抵抗を用いて、計算値に抵抗値を調整します。(この場合は検出電圧4.5V)
注3 逆電流防止用で、1JU41(ファストリカバリーダイオード)を用いましたが、ショットキーバリアダイオードでも何でもいいでしょう。
注4 ここではセラミックコンデンサを用いましたが、電解コンデンサでもOKです。
注5 ベース電流用で、リセットICへは4mA以上が流入しないようにという注意書きがありますが、20kから50k程度で問題はありません。
注6 使用したリレーの動作電流は30mAとそんなに大きな電流でないし、100mA程度で問題なく使える2SC1815を使いましたが、どんなNTNタイプでも問題なく使えるでしょう。
注7 5V用のメカニカルリレーは941H-2C-5Dというマイクロリレーを使っています。 2回路のC接点のものですが、用途に合わせるといいでしょう。 また、モーターはFA130です。 回路図には書いていませんが、下写真のように、サージ防止用のコンデンサをつけています。
追加部品は、この写真のようなものです。

LEDを点灯させて動作を確認しました
モーターでは動作が分かりにくいので、DC3Vのモーターを回すのではなく、LEDを光らせる回路にして、その様子を見てみました。
LEDをつないで様子を見ています。

まず、リレーのブレーク(B接点)にLEDをつなぐと、電圧が下がると、すぐに点灯しますが、検出電圧より高い電源電圧にすると、2秒程度遅延して消灯します。
検出電圧は4.5Vとしていますが、写真のように、4.51Vが検出電圧で、10μFのコンデンサによる遅延は2秒程度 … になっています。
リレーの動作を変えるのには接点の接続を変えます

この写真のようにメイク接点(A接点)側につなぎ直すと、電圧が4.5Vより高くなるとLEDが点灯します。
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以上です。 これらのICは、用途が決まっているものですから、これを使って、画期的な使い方というものは考えつきにくいのですが、こういうものがあることと、その使い方を知っておれば、なにかの時に使える場合がでてくるかもしれません。
このHPに書いている内容は実際に作って動かしたものですので、その内容は事実ですが、それが理論上正しいかどうかは専門家でないのでわかりませんので、その点はご承知ください。


