このHPの記事は、主に、5Vの電源を使用していますが、その他の電圧を使いたい場合のために、①三端子レギュレータを使って電源を作る例 と、 ②規定よりも少し高い電圧が必要な場合に使えるテクニックなどを紹介します。
これらの内容は、三端子レギュレータのデータシートを見ると掲載されているもので、特殊なものではありません。 それを、「実際に作って見た結果」ですので、参考にしていただくといいでしょう。 ここでは、2つの内容を紹介します。
三端子レギュレータを使った電源の製作
三端子レギュレータには、ほしい電圧以上の電圧を供給する必要があります。5Vが欲しければ、5V以上の電圧をかけて5Vを取り出します。
今回は、12Vの定電圧電源を作るので、手元にあった、実測で15.75VのDCアダプターを使って、それと三端子レギュレータなどを使って、データシートの参考回路をもとに、12Vの電源を自作してみました。
市販されている、三端子レギュレータの型番は、どんどん在庫状況も変わっているようで、この型番も見つからないかもしれませんが、ほしい電圧・電流値のものを探す・・・ということで探すといいでしょう。
そして、12Vの定電圧を得るためには、12Vより高い電圧を入力する必要があるのですが、高すぎると、電圧降下分が「熱」となって効率が悪くなることを頭においておいてください。
また、ここでは説明しませんが、オペアンプに用いる負電源用のものもあって、選択を間違えないことや、たとえば、1A用であっても、電流を流すと発熱しますから、(私の感覚では)仕様の半分以下の電流で使うのが良さそうだ・・・ということも頭に入れておいてください。
PR組み込むと、このような小さなもので、部品も少ないですので、簡単に作ることができます。
突然「回路図」が出てきましたが、このHPで使う回路図は、フリーソフトを利用させていただいています。 フリーソフトは、こちらのページで紹介しています。
写真の、約16V の電圧が出ているAC-DCアダプターを、12V・1A用の三端子レギュレータ(78012AP)と数個の部品を取り付けただけのもので、これだけで安定した電圧の電源になります。
コンデンサ①はサージ除去用で、②③はリップル除去用です。
ダイオードは逆電圧の対策用につけているもので、手元にあるものを使いましたが、使用する電圧の10倍以上で、電流は、使用する電流を見て、整流用、ショットキー、スイッチングなどのダイオードなどが、ほとんど問題なく使えます。
この回路自体は、「三端子レギュレータ78012のデータシート」に掲載されているものです。
①の入力側 0.1μF は、データシートでは 0.33μF と書いてありました。 0.33μFの手持ちがなかったので 0.1μFにしています。
この0.1μFは、できるだけ三端子レギュレータの近くに取り付けます。
②③のコンデンサ容量については、大きなほうがいいはずですが、他の方の作った回路を見ても、まちまちでしたし、10-1000μF と値を変えて、オシロスコープで出力波形の違いを見たところ、見た目では大して違わなかったために、この値の手持ちの部品を使いました。
「オシロスコープ」は、少し電子工作に慣れてくると、きっと、欲しくなってくるでしょう。 オシロがあると非常に便利ですし、近年、急に、安価なデジタルオシロが増えました。・・・ もちろん、日本製や高品質品は高価ですが、このオシロスコープについては、こちらで紹介しています。参考に。
ちなみに、AC-DCアダプター(入力側)のリップル(交流電源の影響)は約4%で、この12V出力側のリップルは2.5%でしたので、高音質のオーディオ用には不十分でしょうが、一般的な電子工作の用途ですので、この状態で使っています。
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【参考】この平滑コンデンサについては、くわしく書きませんが、上で測定したリップル値は、負荷が増えると増えます。 また、平滑コンデンサが小さいと、負荷が増えると電圧降下が生じます。
実際に使用していく場合には、余裕のある設計が必要ですが、個人仕様で、実用性を考えただけですし、データシートにある回路ですから、細かいところまで検討していません。
ただ、このような実験をやってみると、下のように、オシロスコープがあると、いろいろなことが目で見ることができます。 オシロスコープの使い方は、電圧計の感覚で簡単に使うことができますので、実験好きな方は、ぜひ、購入を、視野に入れておいてください。
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ちょっと高い電圧がほしいときのテクニック
ブースト回路と呼ばれるものがあります。 これも、データシートなどにある内容で、それを実際に実験してみました。
三端子レギュレータは、安定な電圧を簡単に得られる「定番部品」で、ここでは、手元にあった、少電力用の三端子レギュレータL78L05ACZ(5V100mA用:下に写真あり)を使って、違った電圧を取り出せる「ブースト回路(高い電圧を得る回路)」について実験をしてみました。
(通常の回路例)
基本はこのような回路で、ダイオードや抵抗器を使うことで、出力する電圧を変えることができます。その様子をみてみました。
下図のように、GND端子をアースする手前にダイオードや抵抗を入れると、5V用の三端子レギュレータでも、若干高い電圧が出ます。
このグラフは、三端子レギュレータは、目的の電圧を出力させるには、(当然ですが)それに応じて、予め、少し高い入力電圧が必要になることがわかります。
これは出力電圧が5Vの三端子レギュレータですので、6.5V以上が必要ですが、5.5Vにブーストさせれば、7V以上が必要になります。
しかし、三端子レギュレータの電圧降下分は熱になって放出するので、余計な高い電圧をかけるのも問題ですから、このグラフの、発熱が少なくする適当な電圧を選ぶのが得策です。
ただ、このように、電圧を上げて使う「電圧ブースト」を使う場面は、ほとんどないようですから、このブースト回路が役に立つかどうかはわかりません。 ただ、微妙な電圧調整ができるということは、知っておくといいでしょう。
PR三端子レギュレータについては以上です。 次のページは、知っておいた方がいい知識などを紹介します。 回路図、オームの法則、抵抗の合成・・・などですが、無理に理解する必要も特にないかもしれませんが、私は、結構役に立っていますから、忘れていれば、確認の意味で、サラッと読んでいただくといいでしょう。