電子部品の使い方の基礎の基礎 気軽に電子工作を楽しむために

フォトリフレクターを使ってみましょう


フォトリフレクタは、前のページなどで紹介した、光を利用する素子の「透過型のフォトインタラプタ」と同様に、LEDとフォトトランジスタを一体化させた電子部品です。

赤外線LEDからの受光量によって、出力値が変化することを利用して、位置検知や品物の有無の検出などに使える部品で、価格も安価なので、趣味の電子工作に使っていきたい部品です。

フォトリフレクタの色々な商品例

ここでは、LBR-127HLDという部品を使って説明しますが、上のように、いろいろなものが入手できます。また、いずれの単価も100円以下で安価です。


フォトリフレクタ LBR-127HLD 

この部品は、発光側のLEDと受光側のフォトトランジスタを合体させたものですので、合計4本足になっています。

足の長さを変えている製品もありますが、間違いやすいので、最初は、データシートの接続図でを見て確認するのがいいでしょう。

フォトリフレクタLBR127HLD

フォトリフレクターの使用回路例

この回路図を使って、どのような特性になっているのかを確かめました。この「1kΩ」の保護抵抗は、フォトインタラプタのページ(→こちら)で確認したように、適当なものでいいでしょう。


フォトレフレクタの結線状態

フォトリフレクターの上部に何も障害物がなければ、下の写真のように4.91Vの電圧出力がありました。(ほぼ電源電圧と同じで、インスタントカメラでは赤外線LEDが光っているのがわかります)

障害物がなければ4.91Vが出力

光量が減ると、電圧が低くなっていきます。

(注)電流変化もありますが、ここでは、電圧変化で見ています。

フォトリフレクターで色の違い(反射度)を判定する

赤外線は黒いものに吸収されやすい性質があります。 また、色の違いによる反射度の違いが出ます。

それを利用して、例えば、よく行われている例としては、ロボットマウスなどを「引かれた線」に沿って動く動作をさせること・・・などに使われています。

黒の線で赤外線の吸収を見る実験

ここでは、紙に黒い線を引いて、白の部分と黒の部分との電圧の差を見たところ、下のように0.71V程度の差が検出されました。

電圧差が見られます

(注)もちろん、紙との距離による差や角度の影響もでます。 きっちりと、センサーと対象物の距離を固定して測定すると、微妙な色の差(反射度の差)なども検出できるでしょう。ここでは、「違いの差が出ます」ということを示しているだけです。

フォトリフレクターで距離を測る

次は距離の測定について見てみましょう。 

一般で使われている「距離計・距離センサー」なども、同じ仕組みを利用しているのですが、反射した赤外線をフォトトランジスタが捉える量によって電圧・電流に差が生じます。

そこで、電圧と距離の関係を知ればセンサーと測定物との距離がわかります。

このLBR-127HLDの測定距離は10mm程度となっていますが、もっと長い距離用のものも販売されています。 

赤外LEDとフォトトランジスタが合体しただけの形状ですので、近接しすぎる場合や、遠方過ぎる場合は、LEDの光量の直線性や変化量は信頼性が低くなるのは仕方ないでしょう。

LBR-127HLDのデータシートに、距離と電圧の関係資料がないので、実際に使用しようとする場合には、当然、その関係性を調べて、条件を決めるないといけません。

実際に測定してみます

ここでは、下のように、鏡に反射させた場合と、圧縮ボード(MFD材)の場合で、出力の状態を見ます。 

【注意】これは、使用範囲を超えた使い方ですので、あくまでもこのような方法で使うことができるという例でみておいてください。

電源の電圧は5V(実測値は4.94V)。

反射板の距離と出力電圧を測ります

反射材によって、出力は変わります

測定した結果は、①反射材の種類で出力値が異なる ②また、距離関係が検知できる範囲は限られる ③変化範囲では、直線性は見られない ・・・ などありますが、使用範囲を超えても何か使えそうな感じがします。(もっとも長距離対応のものを使えばもっと正確な距離測定ができます)

実験結果です

しかし、小さな範囲で見ると、結構直線的です。範囲を限定すれば、かなり直線的です

コンパレータの回路を使って、ある電圧で位置を特定させてアクションをさせれば、「10.3mmまで近づくと音を出す・・・」などの操作は、そんなに難しい回路を付加しなくても使えるでしょう。 その仕様例をマイコンなどを使わない方法で考えてみましょう。

使用例:障害物までの距離を検知する

距離と電圧の関係はアナログ的ですが、例えば、**mmになったら警報を出したい等の動作は、オペアンプのコンパレータ回路を利用すると、少ない部品で簡単に使えます。

これを使えば、たとえば、ロボットが壁に近づいたときに方向転換したり、別の動作を加えたりさせることもできますね。

オペアンプは、今まで使っている安価で汎用性の高い LM358N を使っていますが、片電源の汎用オペアンプが使いやすいのですが、どんなものでもいいので、安価なもので試してみてください。

LM358Nを使ったコンパレータは、下の回路を、オペアンプのページ(→こちらで紹介しています。

コンパレーターを考える参考回路例

ここでは、ピン3に加える電圧は5Vの半分になるようにして、ON-OFFしたい電圧は、10kΩのボリュームを使ってピン2に加わるようにしています。

そして、ピン2の電圧がピン3よりも大きくなったら、出力がゼロになります。

それと同様に考えれば、今回は、フォトリフレクターの電圧が、距離に対応する電圧になれば出力がON(またはOFF)になればいいことになります。

そこで、次のような回路にしました。

今回使ったフォトレフレクタとオペアンプの回路例

まず、10kΩのボリュームで、判定しようとする電圧(=距離)を決めます。 実際に使用する場合は、電圧と距離の関係を測定して電圧を決めるよりも、実際にセンサを壁などに近づけたときに、うまく反応するように、このボリュームを調節するといいでしょう。

オペアンプを使った結線例

このオペアンプは、5Vの電源電圧では、障害物がないときには3.63Vの最大電圧が出力されており、障害物を近づけるとフォトレフレクタの電圧は下がっていくのですが、その電圧が、設定した値まで下がると、それを境に出力電圧はゼロになります。

コンパレータの作用例イメージ(イメージ)

これは原理的なものを見るための実験回路ですので、出力がMAXから0になるような回路ですが、例えば、反対の動作で、センサが対象物に近づくと何かの動作をさせるためにMAX電圧をかける方法・・・なども同様に考えられますので、いろいろ試してみてください。

このHPは、電子工作のヒントを書いていますので、具体的な応用例は別に考えることにして、この内容は以上とします。

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(来歴)R2.10記事作成  R5.7月実験数値の一部を修正 R7.5月に確認
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