スイッチの種類とリレーについて
前のページ(→こちら)で、スイッチの分類やノイズ対策、注意点などを紹介しました。 このページでは、スイッチの例や雑知識をあわせてみていきます。
押しボタンスイッチ・ON-OFFスイッチ
プッシュスイッチPush switch
これは、モーメンタリー(押すとON、離すとOFFになる動作)の1回路1接点A接点のプッシュスイッチです。 押すと2つの端子が導通してONになり、手を離すと、バネでもとに戻って、OFFになります。
タクトスイッチTactile Switch
電子機器で多く使われる形状の小さなものは「タクトスイッチ」と呼ばれるものがあります。 タクトスイッチは、回路基板に取り付けて用いるタクタイルスイッチ(Tactile Switch)のことで、ボタンを押すと、「プチッ」とした感触がある小型スイッチのことで、ほとんどは1回路1接点A接点モーメンタムのものです。
オルタネートタイプのプッシュスイッチ
オルタネートの2回路2接点スイッチでは、ONまたはOFF状態が保持されるので、電気機器にはたくさん使われています。 この写真は2接点の2回路スイッチで、3本の端子の真ん中がコモンの2回路スイッチです。
トグルスイッチToggle switch
これは保持タイプの1回路2接点スイッチ(端子が3本)です。 バーをどちらかに倒すことでON-OFFするスイッチで、中立位置(両側が常時OFF)のあるものもあります。トグルとは「留め木」の意味で、ハンドル部分が留め木の形に似ているので付けられた名前なのでしょうか。
リミットスイッチLimit switch
リミットスイッチは、マイクロスイッチを樹脂などで埋め込んだスイッチをいい、電子工作では、このようなヒンジタイプや、小さな突起を押すとON-OFFするタイプなどがあって、軽い力で動くものが使いやすいでしょう。
この写真のものは、1回路2接点(モーメンタリー)のリミットスイッチで、例えば、扉や引き出しなどを開閉すると、スイッチがON-OFFするような位置検出の用途に使われます。
PRこのようなソリッドタイプのスイッチ以外にも、電卓などに使用されている、導電ゴムを接点にしたキーパッドなどの、非常に多くのスイッチ類があります。
そのように多彩のスイッチ類ですが、電子部品用のスイッチは、端子の寸法などが規格化されていますので、プリント基板やブレッドボードに用いるときにはリード(足)のピッチと差し込む時の細さに見合うものを購入すると便利なのですが、残念ながら、ブレッドボード用に考えられているものは少ないので、私は、ブレッドボードように、しばしば、使い勝手がいいように、端子を細いワイヤで継ぎ足すなどの細工をして使う場合もあります。
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使ってみると面白そうなスイッチ類
以下に紹介するものは、部品としてのスイッチというよりも、センサーという感じです。 電子工作で使えそうないろいろなスイッチ類を紹介します。 いずれも安価なものですので、使いみちを考えるのも面白いでしょう。
リードスイッチ
磁石(マグネット)を近づけると内部に封入された接点がくっついて ON になり、磁石を遠ざけると OFF になる小さなスイッチです。
磁石の位置でタイミングなどを決める用途で、例えば、磁石と組み合わして、ドアの開閉の感知などに使います。
下は、磁石の接近でLEDランプを点滅させる例で、このような電磁スイッチで、ブザーや音楽を流したり、鉄道模型の電車が踏切に近づくとランプを点滅させたり、何かが動き出すタイミングを検出する・・・ということなども、簡単な回路でできます。 いろいろなアイデアを考えて応用できれば面白いでしょう。
アームの回転に合わせて点滅するYou Tube動画をとっています。御覧ください。
転倒(傾斜)スイッチ
私の手元にある傾斜を感知してON-OFFします。 内部に、ボールや「振り子」などが入っていて、それが移動して接点に接触・離脱をすることでスイッチのON-OFFができるようになっています。
きっちりとした角度でON-OFFするという高精度さは無いのですが、水平においたテーブルが傾くとブザーが鳴る・・・などの、バランスゲームのようなものを考えるのも面白いかもしれませんし、うまく使うと面白い物ができそうです。
PR同じような、傾斜や振動の検出用には、いくつかのタイプがあるようです。手持ちのものを紹介します。(扱いやすいように基板に取り付けられています)
ボールスイッチ Ball switch
中に小さなボールが入っており、傾けるとボールが移動して内部のい接点が導通するようになっており、使い道は、上に紹介した「傾斜スイッチ」と同じようなものです。
水銀スイッチ Tilt switch
容器内に水銀が入っており、傾けると水銀が流動して接点をつないでONになる・・・というものです。 水銀は便利な流動スイッチになるのですが、割れたりした場合に、有害な水銀が飛散するので、このような水銀を使う製品は、今後、消えていく運命かもしれません。
振動スイッチshock switch
このスイッチは、中に柔らかいバネが入っていて、振動を加えると、そのバネが揺れて、スイッチが入る仕組みになっています。
うまく作られているのですが、チャタリング(短時間で何回もスイッチがON-OFFすること)の悪影響がでそうなために、アナログ回路では、一度ONになった情報を自己保持させる回路などを用いてON情報を保持してやるような使い方をする必要がありそうで、どうもこれは、デジタル向けなのでしょう。
内部は、この写真のように、心棒とコイルが電極になっていて、全体が振動すると、コイルが揺れて、コイルと芯棒が短絡して導通する仕組みです。
スイッチの紹介は以上ですが、アイデア次第で、面白い使い方ができそうなセンサーのようなスイッチ類もいろいろあるので、使ってみてください。 つぎに、リレーについて簡単に紹介します。
PRリレー(メカニカルリレー)
スイッチと同様に、回路を分岐する電子部品にリレーがあります。 最近では、無接点のものも増えていますが、ここでは、簡単に使えて便利な有接点のリレー(ここではメカニカルリレーをいいます)について紹介します。
リレーは、電圧の異なった回路を制御できるので、小さな信号を加えるだけで、商用電力や大きな電流の機器などを簡単に制御できるのは魅力的です。
また、スイッチと同様に、回路のON-OFFや信号とワーク(動作させる機器)回路を分けることができます。
回路を分離して扱えるのは便利
このように書くと難しいようですが、2つの回路の電圧が違ったり、交流と直流を混在させたり・・・という回路を、別々にできるというのは非常に便利です。
また、何と言っても、リレーコイルに電流を流すと、「カチッ」と小さな音がしてON-OFFするのは、レトロ感もあって、電子的な無接点リレーとは違う楽しさや面白さが感じられます。
スイッチと同様に、接点があるので、ノイズ対策が必要になる場合がありますが、趣味の電子工作では、それは後回しでいいので、ともかく、いろいろな使い道を考えるだけでも、非常に楽しめるでしょう。
小さいリレーはマイクロリレーと言う呼び方もあり、通常でよく使うものは、負荷側が「1回路1接点」または、「2回路2接点」のものが一般的です。 上の写真は両方とも2回路2接点です。 8本端子のうちの離れている2本は、リレー動作用の電源をつなぎ、残りがスイッチ部分です。
1接点のものはON-OFF動作のみですが、2接点のものは、ON-OFFとともに、信号の分岐ができるので利用範囲も広いでしょう。
保持動作
動作では、リレーに電流を流している間は、その状態を「保持」しています。
電子工作のレベルでは、スイッチのオルタネートや保持機能でもいいのですが、工作機械などで、緊急時の人間の動作を考えると、機械などの電源をONすると、スイッチから手を離しても機械が動き続け、「OFFスイッチ」を押すことで機械を停止する・・・という動作を回路を組んでさせることが多く、それを「自己保持回路」といいますが、これは、リレーや電磁スイッチ(マグネットスイッチ)を用いて行うものが多いようです。
自己保持回路の説明はこちらのページで紹介しています。
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