7セグメントLEDをスイッチを使って表示する
この記事は、これから自由に電子工作を楽しみたい初心者の方に、型にはまらない電子部品の使い方を考えていただくヒントになるようにと書いています。
数字やアルファベットの一部を表示する7セグメントLEDはよく見かけます。 この使い方は、マイコンなどで使うのが一般的ですが、アナログ回路に組み込んで使えないかということを考えて、ともかく、何でもいいからやってみた・・・という内容です。
そのために、最初にお断りしますが、ここに書いたアナログ的な使い方は無理がありますので、広く使えるものではありません。 何かのヒントになりそうなこととして書いている点をご承知ください。
アノードコモンとカソードコモンの2種類がある
7セグメントLEDは輝度や色、大きさなどが違う、いろいろなものが販売されています。 ここでは、もっとも一般的な7セグLEDを取り上げてその様子や使い方をみてみましょう。
本来はデジタル回路で使うものなので、アナログ的な使い方では、せいぜい固定的な表示が精一杯です。
各セグメントを、スイッチなどを使って発光させて数字を作ればいいのですから・・・。
このような使い方であれば、例えば、ガソリンスタンドの金額表示のような大きな表示などのように、数字を固定して使う場合などでは、マイコンなどを使うよりも使い勝手がいい場合もあるかもしれませんので、何かのヒントにはなるでしょう。
PR基本的には、下の回路のようにLEDの7つの棒(セグメント)とドット(小数点)を点灯させることで 0~9の数字や、疑似的なアルファベットを表示します。 そして、使い方を考える場合は、接続方法が違う2種類のタイプがあるので注意しましょう。
カソードコモン(-側が共通)が一般的に使われます
このように、7セグLEDは、ドットをあわせて8つのダイオードでできています。
電流はアノード(+側)からカソード(-側)に流れることに注意して回路を組めばいいのですが、あとで紹介する「表示用のデコーダIC」を使う場合には、それに対応する7セグLEDは、「カソードコモン」のものが多いようです。
このこともあるので、初めて購入する場合は「カソードコモン」のものを購入するのが使い勝手がいいでしょう。
各セグメントを点灯させてみる
カソードコモンの7セグLEDで、各セグメントを発光させるには、1つのセグメントが1つのLEDですので、次のようにすればいいことがわかります。
多くのLEDの仕様は「2V・20mA」程度で点灯させますので、5V電源で使用する場合の電流制限抵抗は、(5-2)/0.02=150Ω が適当ですが、ここでは手持ちの220Ωを使っています。
電流をたくさん流してもそんなに明るくならないので、抵抗値は厳密に考えないで、150-330Ω程度の抵抗を使えば良いと考えておくといいでしょう。
PR高輝度タイプで、3.5V30mAの仕様のものであれば、5V電源で20mA流すとして、R=V/A=(5-3.5)/0.02=75Ω の電流制限抵抗を使えば点灯します。
このとき、各セグメントの抵抗をつけずに、下図のように、1つに集約するとどうなるでしょうか?
数字を表示させる場合に、セグメント数でいえば、1を表示させる場合は2セグメントですし、8の場合では、7つのセグメントを使います。
この回路では、セグメントのLEDが並列につながれているので、(LEDの直並列のところでやったように) 2つのセグメントが点灯すると、電流は1/2になり、8つのセグメントが点灯すると、1/8になります。
つまり、点灯するセグメントが多くなればなるほど、1つのLEDにいく電流が分散されるので、数字の一部が暗くなったり数字によって明るさの差が出る・・・と予想できます。
これを試してみました。
下のように、左の1は2セグメント、中の5は5セグメント、右のは、ドットを含めて、8セグメント全部が点灯している状態です。
見たところ、そんなに明るさの違いがない感じがしますが・・・。
しかし、写真の露光を絞り込んでみると、下の写真のように、点灯しているセグメントの数が増えると、1>5>8 の順で暗くなっているのがわかります。
ただ、この程度の違いであれば、抵抗1本の回路でも結構使えそうかもしれませんが、普通は、各セグメントLEDごとに抵抗をつける方が無難なようです。
ディップスイッチを使って、1から9の数字を表示させる
数字を点灯させるためのスイッチに、4桁のディップスイッチを2つ使って、セグメントごとにON-OFFすることで数字を表示させてみました。
この7セグLEDは、アノードコモン(+側が共通)を使っています。 3・8ピンがコモン(電源のプラス側)です。
PRここではアノードコモンの7セグLEDを使っていますので、3・8のいずれかの端子を+5Vに接続すればいいことになります。
このように、1つの数字を表示させるだけでも、結構配線が多くなりますが、頻繁に表示を変えないのであれば、これで対応できます。 下は、3と5を表示させている時のスイッチの状態です。
数字を表示する場合は、対応するセグメント部分を点灯させるので、対応するスイッチをONにします。Dpは小数点です。
例えば、写真左のように、「3と小数点」を表示したいのであれば、下の表にあるように、2・4・6・7・10ピンに対応するスイッチをONにすればいい…ということです。
この方法では、下に紹介したAmazonの製品のような巨大なLEDを使って、番号を案内するなどの、数字をある程度の時間で固定させている用途であれば、目的の番号を示すように、手でスイッチをON-OFFしても、充分に目的は果たせそうです。
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ただ、1桁の数字だけでなく、桁数が増えると大変です。 そこで、一つの方法として、デジタルICを使って、スイッチの数を減らすことを考えてみました。
7セグデコーダIC「TC4511BP」を使ってみる
ここではデジタル用のICの「TC4511BP」というICを使っています。(@100円程度です)
デジタルというと、難しい感じがしますが、「これを使うとこんなことが出来る」・・・ということを説明しているだけですので、読み流していただいてもいいでしょう。
このような目的で使うICは、「LEDドライバIC」「7セグメントドライバ」などのキーワードで探すと、同様の「7セグLED用のIC」が検索できます。
それぞれで、点灯制御のための入力が4ビットであったり、16ビットになっていたり、接続できる7セグLEDの数の制限がある・・・などの違いはあるのですが、ここで紹介するように、アナログ用途的にも使えますし、単価もやすいので、WEBでチェックしてみるといいでしょう。
ここで紹介するTC4511BPは、「BCDコード(二進化十進表現コード)」と呼ばれる、2進数4ビットの入力によって、10進数の0-9を表せるようになっているというICです。(ここでは、聞き流してください)
PRこれを上のように、4PのDIPスイッチを使って入力してもいいのですが、ここでは「10ステップの正論理DIPロータリースイッチ(@100円程度)」というものを使ってみることにします。
このDIPロータリースイッチを使うと、1回転で0-9までの10進数が直感できるので、ちょっと便利なような感じがします。
ロータリースイッチを使った回路例です
ブレッドボードに組む回路は次のような感じです。
ロータリースイッチの端子1・2・4・8ピンはICのA・B・C・Dピンに対応しているので、図のように接続します。
このICにはピン接続図にあるように余分な端子があり、デジタル的には便利なものですが、ここでは使わないので、データシートにある「真理値表」を参考にして、上のように電源端子に接続しています。
このICはDp(小数点)を扱わないので、上のように、それだけは5番ピンに電源を接続して点灯させてやる必要があります。(回路図の1点鎖線部分で、これは独立したスイッチを付けないといけないのですが、ここでは常時点灯させるようにしました)
ロータリースイッチを回すと、0123456789と小数点が表示されます。
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7セグLEDは、電子工作では、どこかで使ってみたい部品の一つです。 しかし、アナログ的な使い方では、この記事のように、結構、煩雑な配線をするので、少し使いにくい感じもします。
でも、このような考え方で点灯させていることを知っておくと、例えば、大きな表示板のブロックごとのLEDの点灯をコントロールするなどの場合のヒントになるでしょう。
【参考】 LEDもICなども、部品自体も安いものです。 ちなみに、私は、秋月電子さんで購入したのですが、DIPロータリースイッチ(@50円)、7セグLED(@80円)、ドライバIC-TC4511BP(@80円)でした。ぜひ購入していろいろと遊んでみてください。
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