フォトインタラプタとフォトリフレクター
これらは、光を出す素子(この場合は赤外線LED)と光を受けて反応する素子(この場合はフォトトランジスタ)が組み合わさった部品です。
ここではもう少しこれらの特性と応用例を見てみましょう。これらの型番はメーカー廃盤になっているかもしれませんが、同型番はまだ購入できますし、他型番でも考え方などは同じです。
このフォトインタラプタCNZ1023は、赤外線LEDとフォトトランジスタがコの字型の隙間の両側に配置されています。
この隙間を塞ぐ・塞がない(またはLEDの光を受けるか受けないか)でフォトトランジスタに流れる電圧または電流の変化することで、隙間に遮蔽物のあるなしを判定できます。
また右のフォトリフレクタLBR-127HLDは、同様に赤外線LEDとフォトトランジスタが前向きに配置されており、反射してくる赤外線を捉えて、その量でトランジスタに流れる電圧(または電流)が変化するので、近接物のある無しや近接物までの距離を知ることができます。
基本的な使い方(回路図)は同じです。
(注意)それぞれ片方の足が長くなっており区別できるようになっていますが、アノードとエミッタの足が長くなっています。ただLED側はいいのですが、トランジスタ側はコレクタ→エミッタに電流が流れるのですが、エミッタの足が長くなっています。私も間違ったのですが、逆につないでしまいそうなので注意しましょう。データシートで確認しながら結線してください。
ここで、その変化の様子などを見てみます。
フォトインタラプタ CNZ1023
こちらのページでも紹介しましたが、コの字型の隙間部分を遮るとフォトトランジスタに電流が流れないので、上図の出力端には電圧、電流の差が生じます。
(データを再掲)
この場合は電源5Vに対して3つの抵抗を変えて測定しましたが、高い電圧差を得ようとすると抵抗R は大きくしないほうが良さそうですね。
電流の差は小さいので、電圧差を捉えるほうがいいと思います。
ここでは、一つの使い方として、遮蔽による電圧差を捉えて、モーターの回転数をオシロスコープで見る方法を紹介します。
フォトインタラプタによる回転数の検出
下の写真のように、3V用DCモーター(FA130)に回転盤をつけて、その一部に切れ込みを入れて、土台にインタラプタ(CNZ1023)とともに固定しています。
そして、モーターの端子をオシロスコープにつないで表示されるデジタル情報で毎秒の周波数を読み、それを60倍すると毎分の回転数(RPM)になります。
ここで使用したモーターFA130は、マブチモーターの純正品とは異なり、非常に消費電力が少なく、回転速度も遅いものですが、いずれにしても、これで見ると、電圧にほぼ比例した回転数になっていることがわかります。
これは使い方の一例ですが、インタラプタのコの字内に入るものであれば、品物があるかどうかや穴の有無を判定したり、複数個を使って品物の位置決めをする・・・などにも使えそうです。
今回の場合は、光量変化はアナログ的な変化になっていますが、例えば穴があるかないかなどの判定には、後で紹介するコンパレータの回路を使って制限値を設けて行うのもいいでしょう。
フォトリフレクタ LBR-127HLD
同じようにフォトリフレクターについて、この回路図を使って、どのような特性になっているのかを確かめました。 (この場合も、足の長さに惑わされないように、コレクタ・エミッタをデータシートで確認しながら結線するようにしてください)
フォトリフレクターの上部に何も障害物がなければ、下の写真のように4.91Vの電圧出力がありました。(ほぼ電源電圧と同じで、インスタントカメラでは赤外線LEDが光っているのがわかります)
光量が減ると、電圧が低くなっていきます。
フォトリフレクターで色の違い(反射度)を判定する
赤外線は黒いものに吸収されやすい性質があります。 また、色の違いによる反射度の違いが出ます。
それを利用して、例えば、よく行われている例としては、ロボットマウスなどを「引かれた線」に沿って動く動作をさせること・・・などに使うことができます。
ここでは、紙に黒い線を引いて、白の部分と黒の部分との電圧を見てみました。すると、下のように0.71V程度の差が検出されました。
もちろん、紙との距離による差の影響もでるので、きっちりとセンサーと対象物の距離を固定して詳しく測定すると、微妙な色の差(反射度の差)なども検出できるでしょう。
フォトリフレクターで距離を測る
次は距離の測定について見てみます。
一般で使われている「距離計・距離センサー」なども同じ仕組みを利用しているのですが、反射した赤外線をフォトトランジスタが捉える量によって電圧差が生じます。
電圧と距離の関係を知ればセンサーと測定物との距離がわかります。
ここでは、反射度を良くするために鏡を用いてセンサと鏡の距離と電圧を測定しました。
もちろん、手持ちですし、測定もきっちりしたものではありませんが、距離と電圧の関係が見られる点に注目してください。
このセンサでは、近距離が変化量が多いので、そこを利用するといいでしょう。
コンパレーターを加えて障害物までの距離を特定する
距離と電圧の関係はアナログ的ですが、例えば、**cmになったら警報を出したい等の動作は、オペアンプのコンパレータ回路を利用すると、少ない部品で簡単に使えそうです。
これを応用すれば、ロボットが壁に近づいたときに方向転換したり、別の動作を加えることもできますね。
オペアンプは、今まで使っているLM358Nを使いますが、片電源で使える安価なものであれば、使いやすいですし、また、どんなものでも使えますので、安価なもので試してみてください。
おさらいになりますが、LM358Nを使ったコンパレータは、次の回路で説明しました。
ここでは、ピン3に加える電圧は5Vの半分になるようにして、ON-OFFしたい電圧は、10kΩのボリュームを使ってピン2に加割るようにしています。
そして、ピン2の電圧がピン3よりも大きくなったら、出力がゼロになりました。
それと同様に考えれば、今回は、フォトリフレクターの電圧が、距離に対応する電圧になれば出力がONになればいいことになります。
そこで、次のような回路にしました。
10kΩで判定しようとする電圧を決めます。 実際に使用する場合は、電圧と距離の関係を測定したものから電圧を決めるよりも、実際にセンサを壁などに近づけたときに反応するようにボリュームを調節するといいでしょう。
このオペアンプは、5Vの電源電圧では、障害物がないときには3.63Vの最大電圧が出力されており、障害物を近づけるとフォトレフレクタの電圧は下がっていくのですが、その電圧が、設定した値まで下がると、それを境に出力電圧はゼロになります。
(イメージ)
これは原理的なものを見るための実験回路ですので、出力がMAXから0になるような回路ですが、例えば、センサが対象物に近づくと何かの動作をさせるためにMAX電圧をかける方法なども考えていくと面白いでしょう。
このHPは、電子工作のヒントを書いていますので、具体的な応用例は別に考えることにして、この内容は以上とします。
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