電子工作に最小限必要な知識や理論は・・・
このページは、オームの法則や抵抗の合成などの、電気を習ったときに出てくる知識について書いていますが、これらは、趣味の範囲であれば、必要になったときに学べばいいもので、私のHPでは、あえて必要ではありませんが、記事中で説明している内容もあるので、確認程度に、サラッと読んでいただくといいでしょう。
趣味で始める電子工作では、とくに、知識も技量も経験が無くても、楽しめるのですが、ただ、知識や理論は道具の一つだといえますので、無理に避けようとしないで、必要になったときに使えるようになるのが得策です。
私自身も、基本的な電気計算を知っておこうと思って、下の本を購入して、直流関係だけを一通りやりました。 直流回路部分だけであれば、数字嫌いの私でも、苦痛ではありませんでした。
この過程で、キルヒホッフの法則の練習問題で、30年ぶりに3元1次連立方程式を解いたのですが、解けた喜びや達成感がありました。 もちろん、交流理論は難しくてお手上げですが、この本は、いつか役に立つと思って本棚に残しています。
価格:2,200円 |
もちろん、このHP記事の内容には、理論や計算はでてきますが、それらを駆使しなくては先に進めないというものはほとんどありません。
ここでは、このHPで出てくる、回路図などの決まり事や、オームの法則や合成抵抗などは、知っておくと役に立つと思いますので、記憶を呼び戻す意味で、項目だけでも見ておいていただくといいでしょう。
次に書いたことは、私が、頭で考えてもよく分からなかったのですが、実際に測定して納得できたことですが、回路をつなぐ際のプルアップやプルダウン抵抗値がでてくるのですが、下のことを自分で納得して理解したことで、すっと理解できた・・・という経緯もあるので、こんな簡単なことを・・・と思わずに、ちょっと、お付き合いして、考えてみてください。
切れている回路とつながっている回路の電圧の話
V1~V6の電圧は? という問題の答えを考えてください。
答えは、V1とV2は5Vで、それ以外は0Vですが、これはOKでしたか?
PRV4~V6は「0V」と言うのは、直感的にわかりますが、私は、上の図のV1とV2が5V ということがわかりにくかったのです。
100Ωの抵抗で、電圧が下がっている感じを持ってしまっていたのですが、実際に回路を組んで測定してみると、5V でした。
もしも、電流が流れていない上の図で、電源が5Vではなくて、100Vで100kΩの抵抗の場合はどうでしょう。
V1端子とアース側を手で持つと、100Vが体にかかって、感電しますね。
抵抗器があるために、電流が制限されているので、感電死する可能性は下がるのですが、つまり、このときの抵抗器は、電圧を低下させるのではなく、電流を制限する役目になっている・・・と言うことを理解するのに、私は大変な時間がかかリましたが、わかるとスッキリします。
ここでは、電圧計に電気が流れていますが、この電気量は「考えない(または、無視する)」という暗黙の決まりがあります。
電子工作をする上では、このような、下のような「決まりごと」があります。
「オームの法則」は絶対に成り立つ・・・などの「決まりごと」
ちなみに、赤丸部分の電流値は、「オームの法則」を使って求められます。
このオームの法則ですが、私は E=IR とだけで、オームの法則の式を覚えています。
つまり、電圧=電流x抵抗 と表されるので、式を変形して、5Vで抵抗100Ωに流れる電流は、 5/100=0.05A(=50mA) ですね。
これが、100V100kΩでは、100/100000=0.001A(=1mA)ですから、5V50mAでも、100V1mAでも、感電しても電流が制限されているので、ビリビリ程度ですむのです。
このように、電圧・電流・抵抗のうちの2つがわかれば、残りの1つが計算できるのが「オームの法則」ですね。
詳しく書きませんが、電子工作をする上では、「オームの法則は正しい!」・・・と考えておかないと、電子工作が先に進めません。 これも「決まりごと」で、・・・
オームの法則は常に成り立っている そして・・・
1)テスターで測った電圧値や電流値は「正しい」
2)導線の抵抗は考えないし、抵抗の温度変化も考えない。
3)電源や抵抗器などの誤差は無視する。
・・・ などです。 これらについては、説明すると難しいものですから、難しいことは必要になったときに考えることにして、ここでは、難しいことは考えないで、「決まりごと・・・」ということにしておきます。
PR抵抗器は、電圧を下げるとともに、電流を制限する働き
このように、閉じた回路では、抵抗器は電圧を下げる役割と、電流を制限する役割で使われますので、こんなものを作ってみました。 「電圧調整器」です。
回路図では、こんな感じでしょうか? 例えば、5Vの電源を使えば、ボリュームを回せば、5V~0.5Vの電圧が取り出せるという、簡単な道具です。
これは、低周波発振器の出力電圧を下げたり、電源の5Vを下げるときに使うために作ったのですが、電流も、I=E/R=5/(5000+500)=1mA程度から、ボリューム最小では 5/500=10mAが流れます。 電流を増やそうと思えば、500Ωと50Ωのように、抵抗値の低いものを用いればいいことになります。
回路内の電圧を下げる場合に、このような回路が使われているのですが、単に、実体配線図や回路図に書かれた回路を組んでいくだけの電子工作では、とくに、何も考える必要はありません。
しかし、「ちょっと何かをやってやろう・・・」と思うと、やはり、オームの法則、抵抗の合成の考え方・・・などは、知っておくと便利ことがしばしば出てきます。
こういう道具を作ってみると、電圧を変えるイメージがわかってくるでしょう。
ここで使っている【回路図】ですが・・・
このHPの回路図は、 フリーソフトBSch3V を使わせていただいて図を書いています。
「BSch3V」というフリーソフト(こちら)のサイトで、無料ダウンロードできますので、興味があれば使ってみてみてください。
抵抗記号などの部品表記は、最新のJIS表記ではないものもありますが、フォーラムのみなさんが使いやすいように、部品図などを作られているために、ソフトの標準仕様のままで使わせていただいています。
PR
理論は必要になったら学べばいい・・・と書きましたが、最低限のことを知っているかどうかや、忘れたことを思い出すために、以下を簡単に眺めておいてください。
最低限で知っておくこと
難しい内容はありません。 オームの法則、抵抗の合成、直列・並列 について理解しておきましょう。
オームの法則
「オームの法則」を使うと、電圧、電流、抵抗のうちの2つがわかれば、残りが計算できる ・・・という、便利な道具です。
オームの法則には、2つの法則があって、「①導線の電流は両端の電位差に比例し、その比例定数は一定で、その逆数が抵抗である」「②導線の抵抗は長さに比例し、断面積に反比例する」があります。 文字で書くと難しそうですが、・・・
第1法則は 「電流=電圧/抵抗」という式で表されます。 第2法則は、とくに、覚えておかなくてもいいでしょう。
PR電流はI、電圧はE、抵抗はRと表記していますが、I・E・Rではなくて、A・V・R などと表示されていることもありますから、E=IR I=E/R R=E/I などでも、V=AR A=V/R R=V/A などでも、V=IR でも、電圧=電流x抵抗 でもいいので、自分で計算できれば何でもいいでしょう。
そして、電力W=電圧Vx電流A という関係も、覚えておいてください。 そうすると、オームの法則で V=AR などから、 W=A2R V2/R などに変形して計算することなどができますね。
PR
抵抗の合成について
市販の抵抗器セット
市販の抵抗器は飛び飛びの値のものしかありませんので、計算値に「近い値の抵抗器を使う」ということがしばしば起こります。本文でもしばしば書いているのですが、趣味の電子工作では、近い値の抵抗に変えて使うことがしばしばでてきます。 もちろん、電流や状態などは変わりますが、「そんな程度でいい・・・」と考えておくと、気が楽です。
ほとんどは、このような1/8W型(=0.125W)の小さな抵抗器の手持ちしかないと思いますが、少し大きな電流を流すと、規格値をオーバーしてしまうことに注意してください。
少し大きな電流を流す場合は、オームの法則で計算して、大丈夫かどうかを確認するようにするのが安心です。
例を上げれば、1/8W・100Ωの抵抗器に、5Vで25mAの電流を流しただけで、5x0.025=0.125W になってしまいます。
通常は、発熱などで問題が起きないように、ワット数の1/3や1/2以下のワット数で使うことが推奨されているので、この場合は、「200Ωを2個並列にして使う・・・」というような使い方をすることもできますね。 この、「抵抗の合成」は、どこかの時点で覚えるようにしましょう。
抵抗器を直列・並列につないで合成合体することで、目的の抵抗値を得ることができます。
ただ、直列の抵抗値は、足せばいいだけ なので、私もよく使いますが、並列の計算は分数の計算をしないといけないので、使いにくく、5kΩと3kΩの抵抗器を直列につなぐと、8kΩですが、並列にした場合はお手上げです。
しかし、同じものを並列にすると、抵抗値が半分になる・・・ということだけでも覚えておくと便利ですね。 5kΩを2つ並列にすると2.5kΩです。
多分、特殊な抵抗値が必要になれば、計算できるようにしておけばいい・・・というものの、このHPでも、計算して合成抵抗を使うことはほとんどありませんし、計算しても、近い抵抗器が販売されているとは限りません。
このHPの内容では、その値に近いものを使うことで、ほとんどは問題ないでしょう。 ともかく、下の図で確認しておいてください。
1)直列
2)並列
このとき、直列の場合は、回路に流れる電流が等しい、並列の場合は、各抵抗器に掛かる電圧が等しい ということがよく出てきます。 出てきたときに説明しますが、これも覚えておいてください。
電灯の直列と並列をもう一度・・・
この、抵抗器を直列につなぐと、各部品(抵抗器)に同じ電流が流れること、並列の場合は、各部品(抵抗器)にかかる電圧が等しいこと・・・という考え方をするときは、よくあります。
小学校では、直列と並列で、家庭用の電球で明るさがどうなるかを習いましたね。
今は、LED が主流で、どのような教え方になっているのかわかりませんが、わかりやすい、フィラメントの電灯で、直列・並列の場合は、下のようなイメージになります。
家庭の回路を見ると、下図の上のように電気器具は「並列」につながれているので、白熱電球は、「ワット数」が多いほど明るく光ります。 しかし、これを「直列」にすると、全く逆の光り方になります。
図示している光の大きさはイメージですから、鵜呑みにしないでください。 つまり、直列つなぎでの各電球に流れる電流の計算値は0.08Aですので、こんなに明るい感じではなく、ほとんど光らないでしょう。それを少し取り上げます。
普通の家庭は並列つなぎ
並列の場合は、それぞれの電球に加わる電圧が等しいのですから、ワット数の大きい電球が明るく輝きます。
家庭用の電気器具は並列で使うことを前提にしているので、100Wと10Wの電球で言えば、100Wの電球のほうがたくさん電気を消費して、明るく輝きます。
ここで、電力P = IE = E2/R で、これを変形して、R=E2/P から、フィラメントの抵抗値を計算すると、100Wの電球のフィラメントは (100x100/100=)100Ω、10Wの電球は(100x100/10=)1000Ω という抵抗値です。
フィラメントに電流が流れると、電流の熱作用で発熱し、それに見合った「色温度」の光を発する・・・という理屈ですが、各電気器具に加わる電圧が100Vで等しいので、P(電力)=IE=E2/R から、Rが小さいほうが電流をたくさん消費するので、より明るくなります。
もう一方の「直列つなぎ」ですが、家庭等の電灯を直列にして使うことはないと思いますし、上の図の総電流量が小さいので、これでは実用にならないのですが、もう一度、思い出してみましょう。
直列の場合は、各電灯に同じ電流が流れます。 P=IE=I2・R ですので、Rが大きいほうが電力をたくさん消費して明るく輝くことになります。 つまり、Rのおおきい「10Wの電球」がもっとも明るくなるということですが、図に書いてあるように、この図の場合は、総電流量(=各電灯に流れる電流)が0.08Aと、非常に小さいので、並列つなぎのような明るさではありません。これは実験するまでもないでしょう。
ここではともかく、「直列では、抵抗器などの部品に流れる電流が等しい」「並列では、抵抗器などの部品加わる電圧が等しい」・・・ということを覚えておいてください。