楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

バイポーラトランジスタの互換性をみてみよう

  

このページでは、電力増幅のおさらいをしながら、いろんなトランジスタの互換性を見てみようと思います。トランジスタについてさらに見ていくと、いろいろなアイデアが浮かぶかもしれません。

前のページでは、ポピュラーなバイポーラトランジスタ2SC1815を使ってLEDの明るさを変える回路を作って、その様子を見ましたが、すでにお持ちの同様の低電力増幅用トランジスタであれば同じように使うことができます。

ここでは、手元に数種類のNPNのトランジスタがあるので、それが使えるかどうかを検討してみます。


NPNトランジスタ

  

実験したNPNトランジスタ

前のページで使用したのは、写真左の2SC1815でしたが、電力増幅用でNPNのものをいくつか抜き出しました。

これらのトランジスタは、Amazonで中国製のものをまとめて購入したもの  の数個ですが、これらは、1つあたり5円以下と、非常に安いもので、現在でも広く販売されているようです。(ここでは、ブレッドボードに挿すために、写真のように足を曲げる加工をしています)

まず、データシートを見ることから

まず、トランジスタを使うときには、「定格」ということが重要です。それを超えて使用することはできません。

直流電力(電流)増幅をするためだけでは、難しいことは考えなくても多くのものが使えるでしょう。

交流や音声増幅などは波形やノイズなどの問題を考えなければなりませんが、直流の電力(または電流)増幅、低電力(低電流、低電圧)では「定格」を超えない使い方であれば、難しいことは特に「何も」考えなくていいでしょう。

そうなると、トランジスタを使ってモーターの速度を可変したり、ON-OFFスイッチの用途などでトランジスタを使うためのアイデアはいろいろと出てくると思います。

さて、この中にある2SA1015はPNPで、それ以外はNPNであることに注意ください。

これは別の用途に使う予定で、それ以外の4つ種類はNPNで、その仕様をピックアップしたのがこの表です。ここでは比較用に2SC1815のコンプリメンタリ・ペアとしての2SA1015を表に加えています。

トランジスタの仕様抜粋

考えるのは、次の基本的な回路です。

今回の回路 エミッタ接地回路

これは、通常では基本となる、エミッタ接地回路です。この図のトランジスタをいろいろなものに入れ替えて、コレクタエミッタ電流がどれくらい流れるのかを見れば、それが使えるかどうかがわかります。

前のページでは、電源電圧が5Vで、コレクタ電流も十数mAでLEDが点灯していたので、それを見れば、いずれのトランジスタも定格を超えそうにないので、いずれのトランジスタも使えそうな感じがしますね。

前のページのおさらいをしながら、もう一度この回路を見ていきます。

1)電源(図ではVCC)は5Vの定電圧電源を使います。

2)負荷は前回と同様に5mm砲弾型LEDを点灯させますので、前回と同じ定電流抵抗は220Ωですが、これは、LEDの一般的な仕様から、順電圧(LEDを点灯させるために必要な電圧)を2V、15mAと仮定して、R=E/Iから、(5-2)/0.015=200(Ω) ですので、100-300Ω程度で適当な抵抗器を使えばいいことになります。

もし100Ωであれば、I=E/Rから 30mAで、300Ωであれば、10mAです。この30mAは流しすぎだったでしょうか? 特性図を見ればわかります。

LEDの基本特性(再掲)

先に紹介した特性図(再掲)から見ると、10~30mAは実線の範囲ですので、問題ないことがわかりますね。

3)ベース電流は、別に電源を取るのではなく、主電源から抵抗を通して電圧を下げてベースに加えるのが簡単です。

ここで、これに使う抵抗値を決めるための「3つの基本事項」がありましたね。

①コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h
②コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie
③エミッタベース間電圧Vbe=0.7V
   ・・・の3点でしたね。順次に覚えましょう。これが重要です。

2SC1815の場合では、①から、コレクタ電流(15mA) 電流増幅率(100)から、ベース電流を求めます。 

0.015/100=0.00015A すなわち150μA から、③を使って、R=E/I から、(5-0.7)/0.00015=28666Ω(約29kΩ) と計算できます。

これも20から40kΩ程度の手元にある抵抗値を使えば良いことになります。

ここでは、前のページで33kΩのものを使っていたので、それで回路図を書いてみます。

下図は前のページで使った回路で、100kΩは可変抵抗を使っていましたが、100kΩに固定して、(もちろん、これはなくてもいいのですが※)ベース電流とコレクタ電流を測定すればいいことになります。

※この回路を見ると、100kΩの抵抗にも電流が流れます。計算では7μAと少ないですが、その分、ベース電流が減ります。(→わかりにくければ、前のページ参照)

実験用の回路図

これは2SC1815のものですが、これを各トランジスタごとに計算すればいいのです。ここで、よく考えると、使用した「電流増幅率(100)」や使用した抵抗(33kΩ)は適当なものですので、不確かな数値で、問題がないのでしょうか?

疑問を持つことは大切です。

電流も電圧も感電するようなものではないですし、さらに、たとえトランジスタが壊れても、安いものですから、ふところも身体も大して傷まないので、とりあえず、トランジスタを入れ替えて測定してみることにします。

もしもこれで、測定した結果が変なようなら、後で何かを考えて対策すればいいのです。

いい加減だと思われるかもしれませんが、これは、そういう「思い切り」が常に必要だというために、このような書き方をしているだけで、トランジスタの「定格」から考えると、十分余裕があるので、トラブルが起きることはなく、心配することはありません。



ブレッドボードに回路を作ります

実験の様子

実験に使用したもの全部

ごちゃごちゃしていますが、皆さんは、もっとシンプルに配線・配置をしてくださいね。

ここで注意するのは、トランジスタの型番で、3本の足の配列が異なっていることです。上の表に入れておきました。

トランジスタを使う場合は、絶対に仕様書を見て足の配列を確認しなければなりません。

2SC1815の外観 東芝資料

これは東芝の2SA1815のデータシートの図ですが、この足(ピン)の位置を間違わないように配線をしましょう。

測定では、テスター2つを電流計にして、順番にトランジスタを取り替えて、2ヶ所の電流を測定します。(かなり途中経過を省略しましたが)結果は次のようになりました。増幅率は、負荷電流/ベース電流で計算しています。

今回の実験結果

このように、若干の違いはありますが、概ね、どれも同じような値になっています。

すなわち、トランジスタの仕様が似通っているなら、同じもの(ここでは33kΩ)を使えばいいということになり、全般的にも、かなり適当な抵抗値でいいということがわかりました。

100mAの負荷の場合はどうなるでしょうか?

「3つの基本事項」で変わるところは、コレクタ電流です。

①コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h ②コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie ③エミッタベース間電圧Vbe=0.7V ・・・で、この③から オームの法則を使うと、R=E/I から (5-0.7)/0.1=43Ωとなります。

それに近い市販の抵抗値は39Ω、43Ω、47Ω、51Ωなどを使うことになります。

しかしここでは、トランジスタによっては、今回では2SC945のように、コレクタ電流が100mAを超えてはいけないものがあることや、電流が増えることで、抵抗値が発熱で破損しないかどうかを考える必要があります。

発熱についても意識しましょう

発熱に関係するのは主に電流値で「(0.24xIxVx秒)カロリー」の発熱量があります。

電流Ix電圧V=電力W ですので、普通は「危険か大丈夫なのか・・・」は電力で考えます。

(現在のSI単位系では、calではなくジュールを使うのですが、J(ジュール)では、どうも実感がわかないのでカロリーで示しました[1cal=4.2J] )

電力W=電流Ix電圧V です。

上の基本式①からベース電流は(増幅率を100とすると)0.1A/100=0.001Aですので、0.001x4.3=0.0043Wから、1/8W型の小さな抵抗器でも問題ないことを確認すればいいでしょう。

小さな抵抗器は1/8型や1/4型のものが多いのですが、1/8W=0.125Wですので、余裕を見て、計算した電力の3倍の値を考えて、それが0.125を超えなければ1/8W型でいい・・・と考えます。

もしも、不安なら、1/4Wの抵抗器を使えばいいのです。

ここでは直接に関係ないことかもしれませんが、抵抗器は焼け切れると電気が流れなくなるので、危険だという心配は少ないといえます。

しかし、コンデンサなどは、定格を超えたりして壊れると、回路に変な電流が流れるなどで危険な場合があります。

電子機器の異常原因で最も多いのは「コンデンサ不良」ともいわれているほどコンデンサは注意しなくてはいけません。これは、コンデンサがでてきた時に説明しますが、頭に入れておいてください。

ここまでトランジスタの基本をおさらいしてきましたが、あと一つに、ICとしてよく使われている「オペアンプ」があります。

オペアンプは内部にダーリントン結合などを組み込んで、非常に高い増幅率が得られるようになっています。次のページでは、そのダーリントン結合をバイポーラトランジスタを使って紹介をすることにします。

→安価なトランジスタで高い増幅率を得るためのダーリントン結合の話

→ INDEX(目次)のページへ


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