LEDで遊んでみよう:LEDの基本知識
LEDについて、次のような内容を取り上げています。盛りだくさんですので、下の目次を記事にリンクさせていますので、ジャンプして読んでいただけます。
LEDをLEDを点灯させるための基本回路
制限抵抗値の計算
電流を多く流すとどうなるか、少ないとどうなる?
適当な電圧は2Vでいい?
LEDは瞬間に点灯しているのか?
LEDの色の種類で明るさが違うのか・・・
流す電流が同じなら、同じ明るさになるのか
そして次のページでは、多数個のLEDを点灯させる場合の、直列つなぎ、並列つなぎなどの様子や交流による点灯などについても取り上げています。
LEDにはいろいろな種類がありますが、ここでは、一般的に取り扱いやすい砲弾型(3mm・5mm)の普通タイプを10~20個程度を準備して、いろいろな実験をしています。
LEDは、アマゾンなどでまとめて購入すると、1つあたり10円以下で購入できるようになりましたので、多めに用意しておくといろいろなことで遊べます。
LEDを点灯させるための基本回路(抵抗器を使う)
砲弾型の普通タイプ(高輝度LEDでないもの)は「2V 15mA」という仕様のものが一般的です。
これは、2Vの電圧をかけて15mA以下の電流を流して使用するのが標準ですよ・・・・・という意味です。
点灯させるための基本回路は次のようになります。
図1 標準的な回路
R(抵抗器)があるのは、「電圧降下と電流制限」の目的です。 下のグラフで見ると、2.1V以上の電圧を抵抗なしに直接にLEDに加えると、電流が流れすぎて、LEDが切れてしまいます。
オススメしませんが、乾電池2本をLEDに直接つないでみると、下のグラフで見るように、100mA以上の電流が流れて、一瞬にLEDが切れてしまいます。
この図は、LEDの特性図の例ですが、1.7Vで点灯しはじめて、2Vでは20mAの電流が流れ、2.2Vになると、切れてしまうものが出てくることが示されています。
つまり、このLEDを点灯させるには、およそ2Vの電圧で20mA以上を流さないことが基本ということですし、逆に、乾電池1個を直接つないでも、点灯しないということです。
乾電池2個を直列にして使えばOKですが、その余分な電圧の (1.5Vx2個)-2V=1V を抵抗器を使って下げて、さらに、15mA以上の電流が流れないように抵抗器の値を決めます。(これは、オームの法則を使って簡単に計算できます。この後で説明します)
乾電池では、電圧が不安定ですし、また、計算が面倒な場合は、「定電流ダイオード」を使う方法があります。
定電流ダイオードは1つが30-50円程度しますので、ここでは定電圧電源を使って、安価な「抵抗器」を使うことを考えていきます。
定電流ダイオードを使うと、下の写真のように、3Vでも10Vでも、面倒な抵抗計算をする必要もありません。 ただ、このように、3倍に電圧を変えると、やはり明るさは少しですが、変わっていますね。
LEDと定電流ダイオードのV1・V2の電圧・電流を測ると、10Vの場合はV1=2.15V、V2=7.85V、A=15mAで、3Vの場合は、V1=1.95V、V2=1.05V、A=5mA と、ある程度、高い電圧を想定して設計されているようですから、明るさを自分の好みにしたいのなら、やはり、抵抗値を計算して使うのがいいようです。
電流制限抵抗値の計算は簡単です
LEDの仕様は、2Vの電圧を加えて15mA程度の電流で点灯させるのが標準ですから、5Vの電源であれば(5-2)=3V、10Vの電源であれば、(10-2)=8Vを抵抗器を使って下げてやればいいのです。
LED(ここでは1つだけ)を点灯させるとして計算してみます。
LEDでは 2V の電圧降下があるのですから、例えば、電源の電圧が5Vであれば、(5V-2V)=3V の電圧を「抵抗器を直列につなぐ」ことで、電圧と電流を調整する方法が一般的です。
標準的な回路(再掲)
電源→抵抗→LED→ と、直列なっていると、LEDと抵抗器に同じ電流が流れますので、オームの法則を用いて計算で抵抗値を求めることが出来ます。(直列並列については、下で、簡単なおさらいをしていますので思い出してくださいね。 →こちらのページ)
オームの法則 R=E/I から、電源電圧が5Vであれば、
R=(5-2)V / 0.015A=200Ω の抵抗をつなげばいい・・・ということになります。0.015Aは15mAです。
もしも、5Vではなく、12Vの電源を用いるのであれば、LEDでの電圧低下は2Vですので、抵抗器によって (12-2)=10V の電圧を下げて、さらに 15mA が流れればいいので、 10V / 0.015A=667Ω の抵抗器を直列につなげばいい計算になります。
ここで、少し寄り道します。
電流を多く流しても寿命を短くするだけ
上のLED特性のグラフで、電圧を上げれば、たくさんの電流が流せるので、LEDは明るく輝きます。
この写真は、うすオレンジの砲弾型LED(2V・15mAの仕様)を使って、可変電源を使って、LEDに流れる電流値を変えて点灯させたものです。(露出が一定でないので、イメージでこの写真を見てください)
電流量が多くなるにつれて明るく光っています。
20mA以上になると、発熱量が多くなって、寿命が短くなるのですが、必要以上に電流をたくさん流しても、そんなに明るくならない・・・ので、規定の、15mA前後の電流量になるようにして使用するのがやはり正しい使い方でしょう。(1mA以下の状態も、後の記事で取り上げています)
PR適当な電圧がかかっていないと、LEDは光りません
LEDに1mAの電流が流れると、少しですが発光していいます。しかし、適当な輝度にするには、充分に発光させるだけの電圧がないと、発光に必要な電流量が確保できません。
2V15mAタイプのLEDでは、上のグラフでは、10~20mA程度の電流を流すためには、1.9~2.0V程度の電圧が必要ということですが、同じ砲弾型のLEDでも、その電圧と電流の関係が同じかどうかを見たところ、下のように、かなり差がありました。
上の図をアレンジ
手持ちのいくつかの砲弾型のLEDについて、電圧と電流を上のグラフに加えてプロットしたのですが、通常の2V15mAタイプでもかなりの特性差があります。
少し変わり種の、「赤発光」と書いたLEDは、透明カバーで発光部分が赤く発光する、少し変わったLEDですが、かなり変わった傾向です。
さらにもちろん、LEDのカバーの色によって、見え方(明るさ)がかなり違います。(これについては、後ろで取り上げています)
このように、使うLEDによって、明るさが変わることになってしまいますが、見え方に違いは少ないので、2Vで15mA流すように抵抗値を決めておいて、気になるようであれば、ケースバイケースで調節する・・・ということで考えておくのがいいでしょう。
ただ、20mA以上流さないことだけは、気をつけておいたほうがいいですね。
さらに、LEDには、2V・15mAだけでなく、白色LEDや高輝度LEDとよばれる3Vや3.5Vなどのものがあるので、その仕様に沿って電圧電流を設定する必要があるということになります。
【注意:砲弾型のLEDは、きっちりと分類しておきましょう】
砲弾型のLEDの仕様がわからない場合には、3V仕様のものは2Vでは点灯しないので区別できますし、2Vタイプでも高輝度タイプでも、LEDが切れていないかどうかの確認はテスターの最低の抵抗レンジで確認できるのですが、上の「赤発光」のものや赤外線LEDなどの特殊なものは、テスターでは判別できないので、何でも分別できると過信してはいけません。 そのために、いろいろな種類が混ざらないように、きっちり区分して保管する癖をつけておきましょう。
ここからは、少しマニアックなことを見ていきましょう。
LEDはどれぐらいの最少電流で点灯する?
5mm砲丸型のLEDは15mA程度が適正電流ですが、上で示したように、電流値が5mA程度に減ってくると暗くなってきて、1mAでも点灯しているのですが、もっと少ない電流の場合も確認してみました。
このように、加える電圧を徐々に下げていくと、次第に流すことができる電流量が下がってきて、30μA(=0.03mA)程度になっても、電極に色がついて発光しているのがわかります。 しかし、このあたりが発光の限界でしょう。(消える電圧は、1.6V程度ですが、次の記事で紹介しています)
以上から、5-20mA程度の電流が流れていれば、適当な明るさで点灯するので、電流制限抵抗値は、少しぐらい抵抗値がちがっても問題ありません。 そして、毎回詳しく計算する必要もありませんから、5Vの場合は200Ω程度と覚えておくといいでしょう。
私は、5Vの電源をよく使いますので、ほとんど、何も考えないで220Ωの抵抗を用いることにしています。 これより抵抗値を小さくするのは寿命を低下させますが、逆に、500Ω程度大きな値でも、気にすることはないということです。(自分のLEDで、可変抵抗とテスターがあればOKですので、時間があるときに調べておくといいでしょう)
次に、何ボルトまで電圧を下げるとLEDが消えるのかを実験してみました。
電圧を下げていき、1.7V以下でLEDが消えた
LEDを点灯させるためには、2V程度の電圧があれば、かなり小さな電流値であってもLEDが点灯したのですが、それでは、2Vより電圧が低い場合はどうなるのか・・・というと、上の特性グラフでは1.7V以下になると、電流が流れなくなり点灯しないということになります。 それを実際に確認しましょう。
これを実際に確かめるために、ちょっと荒っぽいやり方ですが、可変直流電源装置を使って、電流制限抵抗をつけずに直接LEDに電圧を加え、2V程度から徐々に電圧を下げていきました。 2V以上加えると、電流が流れすぎるので注意しながら実験すると・・・・・。
徐々に暗くなっていき、1.6V程度で消灯しました。
つまり、電流制限抵抗のあるなしに関わらず、上の特性グラフにあったように、電圧が足りなければ、電流が流せなくなります。
LEDの仕様である2V・15mA はこの状態が明るさと寿命のバランスがいいところ・・・ということですね。
(注)2V以上を加えると、大きな電流が流れるので、この実験をするときには充分に注意してくださいね。
次に、明るさの時間変化を確認しました。
LEDは「ぱっ」と一瞬でFull点灯するでしょうか?
重要な実験ではありませんが、LEDは、普通は「ぱっ」とついている感じですが、実際はどうなのでしょうか?
ここでは5Vの電源で実験しています。 この電源はこちらで紹介したものです。
上の写真のように、電源電圧5V、電流制限抵抗220Ωにすると、13.78mA の電流が流れて、この写真のように点灯しているのがわかります。
計算値では、 (5-2)/220=0.0136A なので、ほぼ計算値通りになっています。
そして、見た目には、すぐに点灯して明るく光っているように見えます。 しかし、その電流値の時間経過を調べてみると、実際には、明るさが安定するまでに時間がかかっていることがわかりました。
PR下左のグラフのように、少しの電流の差ですが、電流値は徐々に増えています。
ここでは、電流値が安定するまでに30秒程度の時間がかかっているのですが、それでも、見た目には明るさの変化はわかりません。
先ほどの電流値の違いでの明るさを見たように、10mA以上流れていると、明るさの違いは、見た目にはわからないのでしょう。
その他のLEDについても、点灯直後(青棒)と30秒後の電流値(赤棒)を比較すると、、若干ですが違っています。(減っているものもありますね)
これも、実験した1例にすぎませんが、ずっと点灯させていて、周囲温度が変われば、当然流れる電流値が変わりますし、見た目ではわからない程度の明るさの差だと言えます。(さらに、次で取り上げていますが、LEDの色で輝度の違いがあるようです)
このような実験は、あまり役に立つ物ではありませんが、なんでもやってみると、LEDが身近に感じられますから、ぜひいろいろ試してみてください。
LEDの色によって明るさが違う?
上右の棒グラフを見ると、4種類8つのLEDを、すべて220Ωの抵抗を使ってLEDを点灯したときの電流値を見ると、LEDの色によって、電流値がかなり異なっています。
そして、色による見え方は別にして、電流値の高いほうが明るいように見えるのですが、使用した抵抗器はテスターを使って1Ω以内のものに揃えて使っていても、LEDの色(すなわち種類)によって明るさに差があるようです。
ここではLEDを並列につないでいるので、各LEDに加わる電圧は等しいので、LEDの種類によって流れる電流量が違うために明るさの差が出ているということが予想されます。
もちろん、同時に購入した2V・15mAの5mm砲弾型とよばれる4種類のLEDですが、下の写真のように、並列に4種類8個を並べて点灯させると、明らかに明るさに違いがあります。(右側から2個ずつ、明るい順に並べています)
そして、見た目の明るさは、流れている電流値の大きいほうが明るく輝いているはずです。
これはこの後で、各LEDに流れる電流値を合わせると、見た目の明るさはほとんどおなじになることを実験しています。
つまり、目に見える色に対する感じ方ではなくて、LEDに流れる電流値で見える明るさが決まるようです。
このことは、例えば、いろいろな色のLEDを同じような見え方に同時点灯するのには、工夫がいるということになります。
種類の違うLEDの同時点灯は、見え方の工夫がいりそう
種類(色や仕様)の違うものを組み合わせて同時点灯させたときに、同じような光り方に見えるようにするのは、電流値を合わせる必要があるので、これには、工夫がいりそうです。
さらに、普通タイプと高輝度タイプのLEDを同時点灯しようとすると、電圧仕様や輝度も異なるので、さらに大変そうですね。
上の写真は、2V普通タイプ3つと右側2つは、高輝度のものを5つ並列につなぐと、高輝度のものは電圧が不足しているために点灯しません。
また、下の2つの写真のように、普通タイプでも、高輝度タイプでも、区分して電圧を適正にして点灯させてみても、製品によってかなり明るさが違います。
このように、違う仕様のLEDを同時に組み込んで見え方を揃えるようにしようとすると、色々の難しさがありそうです。
そこで次のようなことを調べてみました。
流す電流値を同じにすれば、同じように光るか?
これは、5mm普通タイプの「赤と緑」「赤と透明赤」のそれぞれ個別に電流を流したときのLEDの様子です。
上で実験したように、ただ、電圧を合わせるだけでは、LEDによって明るさの程度が変わりますが、半固定抵抗を使って、流れる電流が0.02mA以内の誤差になるように電流を調節すると、見た目での光り方は同じ程度なってきます。
つまり、LEDの基本的な仕様が同じ種類のものでは、流す電流値で明るさが決まる・・・ということがわかりますので、同じ感じの明るさにしようつすると、電流値を合わせるようにしないといけないことになります。
しかしそれでも、LEDの見え方の違いがあります。 これは人間の目の色に対する特性もあるので、「見え方を合わせる」のは大変だということがわかります。
ただ、上の電流値による輝き方の違いを見ると、電流が10~20mAの間にあれば、そんなに明るさが違わない感じですから、まずは、その電流値に合わせておいて、マイナーチェンジが必要かどうかを見ればいいと思います。
このページの内容は以上です。
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次のページでは、LEDの場合について直列にしたり並列にした場合の光り方などを実験をして、少し多くのLEDを点灯させてみようと思います。
→(参考)Amazonの電子工作用LEDのページへのリンク
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