LEDで遊んでみよう
ここでは、LEDをたくさんつないで、何かイルミネーションのようなものをつくって遊んでみることを念頭に、LEDの基礎的なことがらを確認していきましょう。
LEDは安価で安全で品質も安定している電子部品なので、オームの法則に関する電圧・電流・抵抗などを理解する道具として使うにはもってこいです。
回路を組んで、次のことを確認していきます。
1)LEDの種類の違いや個々の特性の違いで、LEDの明るさがどうなるのでしょう?
2)多数個のLEDを直列・並列につないたときの光り方はどうなるでしょう?
3)直流ではなく、交流でも点灯するのでしょうか?
・・・などを試してみます。
LEDは安いものですので、Amazonなどで販売されている100個程度のセット品を購入するのもいいですし、個別にいろいろな種類を10~20個ずつぐらいを購入して準備しておくと結構楽しく遊べます。
LEDを点灯させるための基本回路
図1
図2
基本的な「LEDの点灯回路」と普通型のLEDの特性図の一例です。
通常はこのように、抵抗器を直列に入れると、抵抗に流れる電流とLEDに流れる電流が同じになるので、これがLEDに流れる電流を制限して点灯させる基本的なやり方です。
この抵抗器を「電流制限抵抗」という場合がありますが、抵抗に変えてダイオード(定電流ダイオード)を使う場合もあります。 また最近では、直接電源につないでも正常に点灯するLEDも製造されています。
特性図を見ると、2.2V以上の電圧を直接かけると、たくさんの電流が流れすぎて焼け切れてしまうということが(点線をつかって)示されています。
この図では、1mA程度の電流が流ればLEDが点灯することもわかります。
LEDはいろいろな種類のものが製造されています
LEDはニクロム電球に比べて、非常に低電力で長寿命であることから、「エコ照明」の代表と言われるようになっていますし、明るい高輝度タイプと呼ばれる「白色LED」も、ずいぶん安くなりました。
電子工作では、このような、3mmと5mm砲弾型のLEDがよく使われますので、ここではこれを使用していろいろなことをやります。
左の写真のものは、順電圧(点灯に必要な電圧)が2V程度の普通タイプで、右の写真の「白色」とあるのは、3V程度の電圧が必要な白色LED(写真一番右)です。
形状が同じですので紛らわしいので、混同しないようにしましょう。 混同しても、少し慣れてくると、例えばテスターの抵抗レンジを使うことなどで区分できるようになります。(詳しい説明は割愛します)
これらは一般的によく用いられていますが、現在ではさらに、非常に高輝度な大電力で発光させるものや、3色や七色に点灯するなどの、点灯の仕方に工夫したものなどもあって、沢山の種類が販売されています。
LEDの特性
先のグラフ(図2)は、2V・15mA程度で使う仕様の普通タイプのLEDの特性例です。特に「高輝度」と書いていない場合は、この仕様のLEDとして説明しています。
LEDは、流す電流の大きさを増すと明るく輝くのですが、言い換えると、必要な電流を流すためには電圧を高くする必要があり、上図のような電圧と電流の関係があります。
加える電圧を上げていくと、LEDに流れる電流量が増えるので、明るく点灯するのですが、このグラフでは、1.7V・1mA程度で光り始めて、35mA程度以上は点線になっています。
縦座標は対数になっているように、少し電圧を上げると、急に電流が増えるので、電源の電圧が2V以上の場合は、電圧を下げたり、電流を制限しなくてはなりません。
実際には、そのLEDの持つ輝度の限界があって、電流を増やしても、大して明るくなりません。 むやみに電流を高くすると、単寿命になるだけということになってしまいます。
このために、図1のように、点灯に必要な電源電圧(約2V以上)の場合には、抵抗器を直列に入れることで、電圧降下と電流制限を同時に行って、LEDには2V・15mA程度が加わるようにして使用します。
上のグラフは1.7V以上のグラフになっていますが、例えば仕様が2V・15mAのLEDでは、仕様より低電圧(たとえば1.5V)では、LEDを光らせる力(電圧)がないので全く光りません。
そして、このグラフには書いていない高い電圧(例えば、3V)の電池などを直結すると、100mA以上の電流が流れて、瞬時に壊れてしまいます。
LEDが切れてしまうのは、「電圧」ではなく、電流による「熱」が原因です。 このことは、通常のLEDは「熱に弱い」ということです。
この特性のグラフの左上にTa=25°と書かれていることに注目ください。これは、周囲温度が25℃で測定したデータで、周囲温度が高くなると破損しやすいので、周囲温度や放熱に気をつけないといけません。
近年はフィラメントによる白熱電灯がLED電球に変わってきて、白熱電灯と同じ器具で使えるようになっていますが、照明器具の放熱が悪いと、LED電球の寿命が極端に短くなリますので、このことは覚えておくといいですね。
制限抵抗値は簡単に計算できます
LEDの仕様は、2Vの電圧を加えて15mA程度の電流で点灯させるのが標準です。高輝度LEDなどでは3.5V15mAなどがあるので、それをもとに制限抵抗値を決めます。
LEDを1つ点灯させると2Vの電圧降下があるとすると、例えば、電源の電圧が3Vであれば、LEDで2Vが必要ですので、(3V-2V)=1Vの電圧を下げるための抵抗器を用いれば良いことになります。
これを上の図1の回路で考えてみます。
LEDに15mAの電流が流そうとすれば、(直列の回路ですので、抵抗器にも同じ15mAの電流が流れるので) オームの法則を用いて、R=E/I から、R=(3-2)/0.015=67Ω の抵抗をつなげばいい・・・ということになります。
もしもここで、12Vの電源を用いるのであれば、LEDでの電圧低下は2Vですので、抵抗器によって10Vの電圧を下げて、LEDと抵抗器に15mAが流れるようにするには、 10/0.015=667Ω の抵抗器を直列につなげばいいことになります。
もしもそれ以上に明るくしたいなら、電流を増やせばいいのです。 20mA流したいなら、 10/0.02=500Ω の抵抗に変えれば、若干ですが明るくなります。(電流をたくさん流せばそれに応じて明るくなるというものではありません)
下の図は、①青字が3Vの電源を用いたとき、②赤字は12Vの電源を用いたときの計算値で、同じ電流値になるように抵抗値を決めると、明るさも同じ程度になります。(この図の値は計算値です)
12Vの電源を用いて、もっと明るくしたい場合は、流れる電流を増やせばいいのですが、実際にはそんなに明るくなりません。 例えば、30mAを流すために、10/0.03=333Ωとしても、実際は、LED自体の特性から、たいして明るくなりません。 つまり、もっともっと明るくしたいという場合は、最初からたくさんの電流を流して明るいように作られた高輝度のLEDを使用しなければならないのです。一般的には「白色LED」は普通タイプに比べてかなり明るいのですが、もっと明るいLEDはいろいろ販売されています。
ここまではオームの法則のおさらいをしながら進んできましたが、ここまでは、いいでしょうか? それでは、LEDを使った時の様子をいくつか実験してみましょう。
LEDは「ぱっ」と一瞬で点灯するでしょうか?
ここでは5Vの電源を用いています。 この電源についてはこちらで紹介しています。
図1で、電源電圧5V、電流制限抵抗220Ωにすると、約14mA の電流が流れて、この写真のように点灯します。
ここで、LEDは電流を流して点灯すると、すぐに見た目には明るく光りますが、その電流値の経過を調べてみました。
すると、実際は、明るさが安定するまでに時間がかかっています。
下のグラフのように、少しの電流の差ですが、やはり「安定するまでに30秒程度の時間は必要」のようです。
グラフでは、約30秒で安定しています。いろいろなLEDについての測定をする場合には、約30秒以上おいてから測定したほうがいいということですね。
LEDの色によって何か違いがあるのでしょうか?
次に、上図右ですが、4種類8つのLEDを、すべて220Ωの抵抗を使ってLEDを点灯したときの電流値です。(抵抗器はテスターを使って1Ω以内のものを揃えて使いました)
明るさは、LEDを覆うアクリルカバーの色の違いによるものだと思っていたのですが、どうも光り方(明るさ)に差が出ているようです。
ここでは並列につないでいるので、各LEDに加わる電圧は等しいので、明るさが違うということは、流れる電流量が違うということです。
測定してみると、LEDの色ごとに流れる電流に1.5mAの差があります。
同時に購入した2V15mAの5mm砲弾型とよばれる4種類のLEDですが、下の写真のように、並列に4種類8個を並べて点灯させると、明らかに明るさに違いがあることがわかります。
見た目の明るさは、流れている電流値の大きいほうが明るく輝いています。
このことは、ディスプレイなどでいろいろな色のLEDをつないで、それをいっせいに点灯させる場合にバランス良く発光させようとすると、LEDの製品によって明るさが変わると、見え方の調整が必要になるかもしれないという問題が出るかもしれません。
種類の違うLEDを一緒に点灯させる場合は、もっと難しくなります
高輝度タイプのLEDは加える電圧仕様が違ううえに、輝度も異なっています。
下の小さな写真のように、左は3mmの2Vの普通タイプ、右2つは3Vの白色LEDのそれぞれを別々に点灯させると、問題ないのですが、上の写真のように、それらを一緒につなぐと、白色LEDは点灯しません。
この場合も並列につないでいるので、各LEDには同じ電圧がかかっていますが、白色LEDに対しては、電圧不足の感じです。
いずれにしても、違う仕様のものを同じように組み込むのは問題があるようです。
以上から、色の違い、種類の違いでそれぞれの光り方が異なっていますので、「見た目を同じようにする」のは難しそうだということがわかります。 そこで・・・
流す電流値を同じにすると、同じように光ってくれるのでしょうか?
これは、5mm普通タイプの「赤と緑」「赤と透明赤」のそれぞれに10mAの電流を流したときのLEDの様子です。
抵抗は半可変抵抗を使って、流れる電柱が0.02mA以内の誤差になるようにして写真を取りました。
結果は、同じタイプのLEDであれば、電流値で明るさが決まる・・・と見ていいようですが、やはり、色の違いで見た目の見え方の違いがあって、色から受ける明るさの印象は異なっています。
いずれにしても、見た目を揃えるには、何かの工夫が必要のようです。
以上を踏まえて、次は、たくさんのLEDを一度に点けるための、直列つなぎ、並列つなぎについて見てみることにします。
その前に、小中学校で習った「電灯の場合の明るさ」について、直列つなぎと並列つなぎでは、どの様になるのかを思い出してください。
【寄り道ですが】電灯の直列と並列についてのおさらいです
家庭用の電球は「ワット数」で明るさが変わりますね。 これは、家庭の回路は下図の上のように電気器具が「並列」につながれているためで、同じ電球が直列になると、明るさが変わります。
並列の場合は、(家庭の電気器具はこのような並列になっていますが)それぞれの電球に加わる電圧が等しいという事になり、ワット数の大きい電球が明るく輝きます。
ちなみに、この時のフィラメントの抵抗値は、どうなっているのでしょうか?
家庭用の電気器具は並列で使うことを前提にしているので、100Wと10Wの電球で言えば、P=IE=E2/R からR=E2/P なので、100Wの電球は (100x100/100=)100Ω、10Wの電球は(100x100/10=)1000Ωのニクロム線が使われており、それに電流が流れると、電流の熱作用で発熱し、それに見合った「色温度」の光を発するという理屈です。
100Wの電球は100Ω、60Wでは167Ω、30Wでは333Ω、10Wでは1000Ω・・・ということになります。
並列では、各電気器具に加わる電圧が100Vで等しいので、電気製品を使うのであれば、電流を消費する器具(たとえば、電球)で言えば、P(電力)=IE=E2/R なので、電圧が変わらなければ、抵抗の少ない電灯や器具(すなわち、ワット数の大きなもの)のほうが消費電力が大きいので、電灯では明るくなります。
家庭等の電気器具を直列にして使うことはないと思いますが、もしも、それをすると、上のように光り方が並列の場合と全く異なってしまいます。
電球は本来家庭用に作られていますので、直列にする事はありませんが、直流にすると、変な状況になってしまいます。
ここでは、「直列では、抵抗器などの部品に流れる電流が等しい」「並列では、抵抗器などの部品加わる電圧が等しい」・・・ということを覚えておいてください。
さて、LEDの場合にはどうなのでしょう・・・
LEDは、100V電灯のように、たくさんの電流は流れませんので、電灯とは少し違うのですが、ここからは、LEDを直列並列につなぐと、どのようになるのかを見ていきましょう。
ここでは、LEDを2つ用いて直列並列にしたときの光り方や電流値を調べ、そして3つにするとどうなるかを見ていきます。
LEDを2つの直列と並列の場合
LEDが2つの場合では、LED1つの順電圧(電圧低下)が2V程度なので、単純にいうと、4V以上の電圧が必要になりそうなので、5Vの電源を使って数個のLEDで試してみます。(5Vの電源は、こちらで説明している、スマホの充電器を改造したものを使用しています)
このような例でみていきます。 ①がLEDが一つの場合で、LEDが2つの、②が直列つなぎ、③が並列つなぎです。
LEDの明るさや電流値がどうなるのか、実験して確かめてみましょう。
①の回路:LEDが1つの場合
①の回路で、220Ωの電流制限抵抗を接続して黄色のLEDを接続しました。
そうすると、下の写真のように通常に点灯します。この時の電流は、テスターで測ると、13.1mAの電流が流れています。
写真1
また、テスターを用いて測定した220Ωの抵抗器のテスターでの値は217Ωで、電源の電圧は、4.94Vでした。
この場合では、抵抗器とLEDを直列につないでいるので、抵抗器にもLEDにも同じように13.1mAの電流が流れているということです。(このことが大事です)
そして、電流が抵抗とLEDの2つを通過して電源電圧の4.94Vの電圧降下が起きているのですから、このときに、抵抗器での電圧降下は、E=IRから、0.0131Ax217Ω≒2.84V です。
すなわち、LEDでの電圧降下は、4.94-2.84=2.10V ということになります。
(当初は、LEDの電圧降下を2Vとして計算していましたが、このように、2.1Vですので、当たらずとも遠からず・・・でしたね)
必ず指定の順電圧以上の電源が必要か?
LEDを点灯させるために必要な電圧とは、言い換えると、LEDでの電圧降下分と言えますので、「LEDの順電圧は**Vである」という言い方をされる場合があります。
上の例では2.1Vでしたが、それでは、2.1V以下では点灯しないのでしょうか?
これを確かめるために、定電流の可変電圧の電源を用いて、何VでLEDが光るのかを実際に測定してみました。
電圧を徐々に下げていくと、1.6V程度で消灯しました。
上のLEDのグラフ(図2)では 最低の数字が1.7Vで1mAの電流値になっています。
つまり、この順電圧2.1Vというのは「公称値」であり、一つの目安ということで考えておくといい・・・ということですので、2V15mAというのはそういうところからきているのでしょう。
それでは、本題に戻りましょう。
②の回路:LEDが2個で直列の場合
②のように2つのLEDを直列につなぐと、どうなるでしょうか?
「直列」ですので、抵抗~LED1~LED2 にはすべて同じ電流が流れます。そして、それぞれで電圧降下がおきます。
ブレッドボードに回路を組んでみた結果は、このようになりました。
写真ではわかりにくいのですが、LED1つのときよりも、両方のLEDがかなり暗くなりましたが十分に光っています。
その時の電流を測ると 4.8mA になっています。電圧が下がって、十分な電流が流せなくなったためですが、特性のグラフ(図2)にあったように、1mA以上の電流が流れればLEDは点灯するので、暗いくなったけれども点灯します。
結論は、LED2個を直列にすると、それぞれに同じ電流が流れるのですが、LEDによる電圧低下によって、流すことができる最大電流が制限されているので、1つのLEDに流れる電流が少なくなって暗くなります。
さらにもう一つ直列にしてLEDを3つつなぐと・・・
どのLEDも光らなくなりました。完全に電圧不足でしょう。
このときの電流値を測定すると1mA以下で「ほぼゼロ」です。(それでも少しの電流が流れています)
LEDへの電流不足は電圧不足のため・・・というのが根本的な理由のようです。
電流をたくさん流れるようにするためには・・・
電流を流すためには電圧が必要です。LEDにかかる電圧を上げてやる必要があります。
電流制限抵抗の抵抗値を下げて、LEDにかかる分圧を上げる方法や電源の電圧を上げる方法が考えられますね。
ここでは、220Ωの抵抗で電流と電圧を制限しているので、電流制限抵抗の抵抗値を小さくする方法を試してみましょう。
1/2、1/4の抵抗器では、市販されているものでは、100Ω、51Ωというのがあるので、それで試してみます。
しかし、51Ωにしても、やはりダメです。
写真では見にくいですが、かすかに赤色の一部が光っています。全体では「光っていません」
電流値も、100Ωの時52μA、51Ωで55μAです。つまり、計算上で電流が流れるような状態にしても、電圧不足のために、十分に点灯するだけの電流が流せないのです。
ちなみに、LEDを2個にもどして100Ωと51Ωでためしてみました。
これならば、根本的な「電源の電圧不足」が満たされて、解消されるはずです。電流に着目します。
左が100Ω、右が51Ωです。LEDを点灯させるだけの充分な電流が流れていますので、正常に点灯しています。
基本的には、電流が明るさを決めるのですが、充分な電圧がないと電流自体を流すことができないということのようです。 少し掘り下げましょう。
3つではダメ、2つではOK・・・これはどういうことでしょう
LED2つの場合を単純に考えると、電圧的に、順電圧2Vx2個 < 電源電圧5V ・・・ですのでOKだということになります。
そのことから、3つのLEDを点灯させるためには、5V電源では電圧が足らないので、もっと高い電圧の電源を用るか、あるいは、電流制限抵抗値をもっと小さくしていくと、たくさん電流が流れて明るくなっていく・・・ということが予想できます。
そこで極端ですが、固定抵抗をなくすと・・・
【危険!ですので内容を理解してからやってください】 これは、電流制限抵抗がないので、たくさん電流が流れてLEDが壊れたり、熱が発生して危険な場合があります。
これは、LEDに乾電池を直接つなぐのも同じことで、これも非常に危険です。乾電池1個では電圧不足でLEDは点灯しません。しかし、2個(3V)をつなぐと、LED1個では、焼き切れるまで、無制限に電流が流れてしまいます。
ここでは、安全を確保して、実験をやってみます。
LEDの接点が焼けるだけならいいのですが、破裂することもあるので、危険なことを頭に叩き込んでおいてください。
写真7
2つの場合はかなり明るく点灯します。電流値を測定すると、49.8mAも流れています。もちろんこの状態では、LEDはまもなく焼け切れてしまうかもしれません。
計算上の電圧は、4.94/2≒2.47 なので、図1のLED特性図を見ると、電流の線が切れてしまって表示がないほど多くの電流が流れる状態なので、非常に危険ですね。
これを防ぐために、抵抗を直列に入れて電流値を制限するのですが、そうすると、若干の電圧が下がって暗くなるのは仕方ありません。
LED3つの場合に、1つだけ薄く点灯していました・・・なぜ?
写真8
このようにLED3つを直列にすると、・・・。当然、この場合は2つの場合以上に電圧不足の状態ですので、すべてのLEDは光らないはずですが、よく見ると、写真8のように、赤色LEDだけがかすかに光っています。
つまり、3つつないで電圧不足のはずですが、流れやすいLEDだけに電流が少しは流れるようです。
もちろん、「一部が光っている」だけなのですが、このときの電流値は0.06mAでした。
先のLED特性のグラフでは、1mAぐらいから光るということになっていましたが0.06mAでは「ひかる」という状態までいっていないのですが、電気が流れて「光ろうとしている状態」のようです。
さらに少しでも電圧を高くしていけば、「赤」から光りだすのでしょうが、ここでの結論は、「3つを直列にすると、5Vの電源では電圧が不足して、電気を流せない」といっていいでしょう。
先程計算した黄色のLEDの順電圧は約2Vとしていましたが、実際は1.7V で点灯しましたので、1.7x3=5.1で、電源電圧が約5Vであれば、2つは点灯しますが、3つは無理・・・というのが計算でもわかります。
しかし、5.2Vの電圧をかければいいのか?といえば、うまくいくかもしれないのですが、気になる方は、やってみてください。私はLEDの特性差などがあって、うまく点灯しない感じがします。
結論的には、直列ではLEDによる電圧降下を考えて電源電圧を決める必要がある・・・と言えるようです。
あまり現実的な内容ではありませんでしたが、次に「並列」の場合について見てみましょう。
LED2個を並列につなぐと・・・
つぎはLEDを並列につないだ場合はどのようになるのでしょう。
220Ωの抵抗に2つのLEDを並列につなぐと、写真のように、両方が少し暗いですが点灯しています。
並列にすると各LEDにかかる電圧は電源と同じ電圧が加わるのですが、電流が2つに分断されるので、約半分になることで少し暗くなります。
LED一つ一つのときの電流値も13mA前後でしたので、半分ずつの電流が各LEDに流れて光っているのでしょう。(もちろん個々の特性が違うLEDですので、両方が同じ電流値かどうかはわかりません)
一つに流れる電流値が約半分に減ったので、若干暗くなっていますが、それでも、見たところ、半分の明るさになってはいない感じです。
3つのLEDを並列につなぐとどうなるのでしょう
3つのLEDを並列につなぐと、合計した電流を測定すると、14.2mAが回路に流れています。
もしもそれぞれのLEDに平均で流れてくれれば、3つともにそこそこ点灯しても良さそうなのですが、並列につないでいれば、電気を流しやすいLED(この場合は赤色)に電流が流れるので、この写真のように、明るさの差が出てしまっています。(先に計算したように、赤が最も順電圧が低かったですね)
このために、赤色だけが明るく輝き、それに電流が取られてしまったのか、他の2つは点灯していません。
このように、並列つなぎにした場合は、標準の電流値より低い電流になると、LEDの特性が微妙に違っただけで、明るさの違いが顕著になる可能性が高いということになる・・・ということが予想できます。そこで・・・
並列で十分な電流を流すと・・・ちゃんと光りました
そこで、先ほどのように、電流制限抵抗値を小さな値に変えて、十分な電流を流すようにすると、しっかりと光ってくれるはずと考えられるのですが、・・・ どうなるのかを確認してみましょう。
220Ωから100Ωの制限抵抗に変えると、写真のように約30mAの電流が流れています。(それぞれのLEDに流れる電流値は同じではないのですが、それぞれが認識できる程度の電流が流れているということです)
このように、3つのLEDに見合った電流を流すようにすると、問題なくLEDは点灯します。
さらに抵抗値を下げて 51Ω にすると、54.4mAが流れて、3つともが、非常に明るく光りました。
明るすぎる状態では、比較的短時間でLEDが切れてしまうかもしれません。
このように、若干の特性の違いがあっても、適当な電圧と電流があれば、並列つなぎをすることでたくさんのLEDを点灯させることがわかりました。
結果のまとめ
以上、LEDを直列・並列につなぐことで光り方がどのようになるのかを見てきました。
LEDが3つの場合までですが、表にまとめてみました。
写真で示していないところも、実際に測定して表を作っています。黄色が明るく、橙→赤と暗くなっていき、無色は点灯していないことを示しています。
電流値が高いと明るく光っていることがわかります。
表中の電流値をLEDの個数で割った計算値で言えば、それぞれで10mA程度の電流が流れていないとLEDが明るく点灯しないということがわかります。
以上から、2V・15mAのLEDを直列並列にする場合は、
直列ではLED個々で電圧降下が起きるので、LED1個に対して2Vの電源電圧が必要になり、並列の場合は、LED1つあたり、15mAの電流を増すように電流値を考えればいいということになります。
このように、並列にすると、小さな電流値でたくさんのLEDを点灯することができるので、LEDは非常に消費電力が少ないエコ照明だといえるとともに、たくさんのLEDを同時に見栄え良く点灯させようとすると、基本的には並列つなぎにすればいいことがわかります。
言い方を変えると、直列でLEDの1つが切れてしまうと、その「組」は消灯してしまいますが、並列にした中の1つが消灯しても、明るさのバランスがくずれて、見栄えが悪くなる程度で照明が消えてしまうことはないので、基本は並列につないで照明やディスプレイを制作すればいいということになりそうです。
これを念頭に、実際に、多数のLEDを点けることに挑戦してみましょう。
多数個のLEDを点灯させるためには
安定してLEDが光る範囲の電流制限抵抗を用いて、複数個のLEDを並列につなげば、多数個のLEDを点灯できることがわかりました。
しかし、たくさんのLEDを並列に付けていいのかどうか不安になります。どれくらい同時点灯できるのでしょうか?やってみましょう。
5mm砲弾型の持ち合わせが少なかったので、3mmの砲弾型を用いて、数を増やすとどうなるかを実際にやってみました。
並列ですので、各LEDには同じ電圧が加わります。電源5Vに電流制限抵抗100Ωで、8個づつ並列にしていったときの電流値や光の具合を見てみます。
8個→16個→24個と増やしていきました。
写真ではわかりにくいですが、すべて点灯しています。ただ、光り方(輝度や明るさ)はLEDの色によって異なるのは、今まで見てきたように、しかたないとしておきましょう。
ここでは、緑色→黄色→赤色の順で明るくなっています。そして、黄色8個に緑色8個と加えると、すこし黄色の輝度は低下しましたが、総電流値は増えていくものの、少ない増え方です。
さらに赤8個を加えると、急に、緑・黄が減光しました。赤色は総じて電気が流れやすいようですね。そして、その時も、総電流値は少ししか増えていません。
数を増やしても、大して総電流は増えていないということは、つまり、LEDは非常に省エネ・・・ということがわかると思います。
抵抗器に流れる電流について計算してみます
I=E/R から、抵抗器に流れる電流は、(5-2)/100=30mA です。そして、実際の測定値も24個を点灯させると、30mAに近づいているので、ほぼこの個数が限界だ・・・と言えそうです。
これが限界なのかどうか・・・を見るために、さらに手持ちの5mm砲弾型を加えていくと、30.7mAで飽和してしまって、それ以上のLEDをつなぐと、今まで均一だった点灯状態が不安定になってきます。
電流の限界値近くになると、すでにさらなる電流を流す余裕がないので、少しの電流変化が明るさに反映してしまって、不安定な光り方になっているのでしょう。
このように、たくさんのLEDを並列にして、同じ明るさで点灯させる場合には、ただ多くをつなぐといいのではなくて、個数を考えたり、色のバリエーションを考えたり・・・と、何らかの工夫が必要になってきそう・・・だということがわかります。
市中でたくさんのイルミネーションLEDを点灯させているのを見かけますが、均一に光らせるのには、ただつないでいるだけではいけないということなので、イルミネーション製作にもいろいろな「苦労」が隠れているのでしょう。
イルミネーションを均一に光らせようとすれば、LEDの特性を揃えることも必要かもしれません。
そうすると、たとえば、特性の違ったものを層別(区分け)して、それぞれについて回路に流れる電流値を検討しないといけない・・・などが必要になってくるかも知れません。
そんなことを考えると、たくさんのLEDを点灯させているChina製のクリスマスツリーなどは、安くうまく作られているのに改めて感心させられます。
ともかくたくさんのLEDを同時につけようとすれば、LEDが切れてしまって見苦しくなることを避けるためには、この写真18のように、いくつかの抵抗を並列にして、それぞれの抵抗に対してLEDを何個も「並列」にすると良いことになるでしょう。 100個を1つの組にするのではなく、50個x2や25個x4のように分割した構成にするのがいいでしょう。
こうすることで、電流値と抵抗での発熱に気をつければ、かなりの数のLEDを同時点灯できそうです。
ただ、LEDごとの特性や見え方の違いが出てくるのは仕方ないことで、つなぐ数のバランスを取ったり、抵抗値を加減するなどで、明るさや見え方を調整する必要はあるかもしれません。
ここで最後に、今までのおさらいも兼ねて、直列と並列を組み合わせてLEDを点灯させさせることを試してみましょう。
LEDは3mmのもので、12Vの電源と220Ωの抵抗で18個のLEDをつないでみます。
220Ωに10mAの電流を流すとすれば、抵抗での電圧低下は、220x0.01=2.2V、12-2.2=9.8Vなので、2Vの順電圧のLEDであれば直列分で5つがカツカツという数字になるのですが、この数字にも余裕があるはずですので、ここでは6つを直列にして3組を並列にした18個を点灯させました。
写真19
このように無事点灯しました。
やはり写真ではわかりにくいのですが、赤色は若干明るいし、緑色の中に、少し暗いLEDが1つあります。暗いものは別のものに取り替えたり、抵抗値の「調整」をすることは当然必要になってきますが、でも、点灯できそうなことは確認できました。
見栄え良くするには、色々試行錯誤する必要がありそうですが、ともかく、考えて計算した結果が反映されています。こうなると、いろいろな電飾なども、なんとか考えると出来そうですね。
このように、オームの法則で計算すると結果が予想できるのが面白いところですね。
ここで少し寄り道してみましょう。 このHPでは、直流をメインにしており、交流は扱わないのですが、LEDは交流でも点灯することを知っておいてください。
【寄り道】交流でもLEDは問題なく点灯します
LEDは「発光ダイオード」と呼ばれるように、本来から「一方にしか電流を流さない」整流作用があるものです。だから、交流であっても、問題なく点灯するはずです。
トランスで家庭の100V の電圧を下げて、点灯してみました。
電源電圧は実測6.6Vで、217Ωの抵抗に順電圧3.5Vの白色LEDをつなぎました。写真のように、明るく点灯しています。
交流は、プラスマイナスが交互に入れ替わっていますので、LEDはどちら向けにつないでも問題ないはずです。10個の白色LEDを交互の向きにつないでみても、下の写真のように、問題なく点灯しています。
これも何かの折に覚えておくと使えるかもしれません。
面白いLEDもあるので紹介します
アマゾンで7色に自動点滅するLEDがあったので購入しました。
「順電圧3.5-4.0V LED5mm RGB(Fast)」という表示があるMade in Chinaのものですが、100球1パックを購入しました。
嘘みたいな安い価格でしたが、点灯させると非常に面白いもので、うまくできています。
基本の回路で、220Ωの電流制限抵抗にこのLEDをつないだだけですが、色を変えながら点滅します。その様子を動画で撮っています。 →ユーチューブの画像を見る
また、トランジスタの増幅を利用して、これを使って遊んでいる記事もあります。参考に。
これを交流で点灯させると・・・ダメでした
電源はこれまで使った5Vで、その他もこのHPで説明用に使っているものです。しかし、これを「交流電源」につないでみました・・・
そうすると、やはりうまく点滅しませんでした。 点灯しますが、7色の変色も点滅もしません。(LED3つを並列にした写真です)
そして、普通のLEDでは、極性に関係なく点灯しましたが、3つのうちの1つの極性を入れ替えると、3つとも消灯してしまいます。
このLEDがどんなものなのかも、どうしてそうなるのかもよくわかりませんが、ともかく「なんでもやってみる精神」でやってみただけです。
ともかく、何でもチャレンジしてみましょう。その過程で、面白いことに出会えるかも知れません。
以上、何かのヒントになれば参考にしていただき、自分流のLEDの電子工作を楽しんでください。
LEDだけではなく、Amazonや楽天でLEDを使った電子工作製品を検索すると、安価で様々な面白そうなものが販売されています。下のリンクを参考に、何かを探してどんどん電子工作で遊んでみてください。
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