楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント:LED

定電流ダイオード(CRD)と定電流源IC(CCR)

定電流ダイオード(CRD)や定電流源IC(CCR)は、幅広い電圧範囲で作動し、また、電圧変動に影響されることなく、一定の電流を供給する電子部品です。

ここでは、LEDに用いると、加える電圧を気にせずに、LEDを点灯させることができる部品としての紹介ですが、希望する明るさで点灯させたり、多数個のLEDを同時に点灯させるなどの場合は、すこし検討が必要なので、LEDに対しては、普通に行われている、抵抗器による電流制限の方法のほうがいい感じがします。

CRD/CCR の特徴は、加える電圧に影響されないで一定の電流を流すことができ、温度変化に対する電流の安定性も高く、それら自身による電圧降下も少ないので、安定化電源、電流制御回路、バッテリーなどの充電回路、センサーの供給電流用 ・・・ などで、過剰な電流が流れないようにする目的や用途に適しています。

定電流ダイオード(CRD)の特性例

LEDを点灯する場合は、一般的に、抵抗器を回路に直列に入れる使い方をしますが、抵抗器のかわりに、10~15mA用の定電流ダイオード(CRD)や定電流源IC(CCR)が用いることでも、電源電圧を気にすることなく、LEDを点灯させることができます。

定電流ダイオード(CRD)は0.1mA用~18mA用、定電流源IC(CCR)は10~350mA のものなどが入手可能で、価格も100円までで購入できます。

また、定電流源IC(CCR)には、電流が可変できるもの(可変定電流源IC :加える電圧によって、電流量が変化できるもの) があるので、使い方を考えると、応用範囲が広がるでしょう。

使用する場合の注意点としては、①希望する電流値のものを使う ②極性に注意する ・・・ということに注意すれば、使いやすい部品です。

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LEDに使う場合では、抵抗値を計算する必要もありませんし、(後で実験していますが) 直列で多数個のLEDを点ける場合には、このような定電流部品を使う妙味もあります。

しかし、抵抗器を使う場合と比べて、部品の単価が高いので、LEDの点灯用などの、厳密さが要求されない用途では、少し使うのがもったいない感じがします。

ここでは、定電流ダイオード(CRD)をつかって、LEDを点灯し他様子などを紹介していますが、使い方は難しくはありません。


定電流ダイオード(CRD)をつかって、LEDを点灯させる

ここでは、定電流ダイオードの例を紹介します。

定電流ダイオード(CRD)は、希望する電流値のものを使用する必要があります。LEDを点灯する場合は、10mA~15mAのものを使えばいいでしょう。

定電流ダイオードは、1.5mm径x3.5mm長さ 程度の小さい電子部品です。

電流方向を示す表示(カソード側にマーク)があるので、使用時には、接続方向を間違えないように接続します。

私の覚え方は、LEDもCRDも、「ダイオード」の一種ですので、「ダイオードは、アノード(+)からカソード(-)に電流が流れる」・・・ というようにして覚えています。

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【ちなみに、逆につないだ場合ですが・・・実験してみました】 

これは危険なのでおすすめしない実験ですが、10mA用のCRDだけを電源に直結して5Vの電圧を加えると、仕様通りに約9mAの電流値でした。

しかし、CRDを逆に接続すると、テスターの200mAレンジが振り切れました。 

CRDは、接続を間違えると危険ですので、注意ください。

この実験は、一瞬の確認なので、CRDはパンクせずに無事でしたが、WEBの記事には、「逆につなぐと、電流が流れない・・・」という記述がありましたが、そうではありません。

普通のダイオードでは整流作用があって、逆方向には電流が流れないのですが、CRDは、そうではないので、ともかく、くれぐれも、逆に接続しないように注意をしてください。

また、ここで使ったCRDは、データシート通りの電流出力範囲には入っていますが、10mA用の定電流ダイオードで、10mAきっちりの電流が流れるものではありません。 

そして、データシートにあるように、使用できる電圧の上限(最高使用電圧)があります。例えば、10mA用では25V以内で使用しないといけませんし、電圧が低いと、出力電流も小さいので、何Vでも使える・・・というものではないことに注意ください。

定電流ダイオード(CRD)の状態を実験してみました

10mA用の定電流ダイオードを使って、普通タイプの仕様が2V・10mAのLEDにCRDを直列にして、電源の電圧を2Vと5Vにした場合のLEDの明るさを見ると、加える電圧によって、明るさが違う(流れる電流量が違う)ことがわかります。

このときに、LEDは、加える電圧が1.6Vぐらいから点灯し始めて、2Vでは、約1mA、5Vでは7.6mAの電流が流れて点灯しています。 もちろん、電圧によって電流値が違いますから、明るさにも違いがでています。

そこで、加える電圧と流れる電流の関係を見るために、普通タイプのLED1個を直列につないで、電圧を変えたときの電流値を測定したところ、下のようになりました。

(注)このCRDは、25V以上は許容外ですが、確認のために32Vでも測定しました。

これからもわかるように、10mA用CRDと言っても、10mAの電流が取り出せるというものではありませんし、電圧と電流の関係も使用する電圧の範囲では、一定でないのですが、この10mAと15mA用のCRDの場合では、5~15V程度の範囲を見ると、電圧変動があっても、出力される電流は、ほとんど変動していないことがわかります。

定電流ダイオード(CRD)は、1つが30-50円程度で購入できますが、1/8W型の抵抗器は5円以下ですので、LEDを点灯させるだけならば、安価な抵抗器をもちいて、自分が好む明るさ(=電流量)にして使う方が、使いやすい感じです。

最後になりますが、CRDを使って、数個のLEDを、直列と並列にして点灯させる場合の様子を紹介します。

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LEDを多数個同時に点灯させる場合は・・・

定電流化部品とは、抵抗器、CRDなどのことですが、ここでは、まず、15mA用の定電流ダイオード(CRD)を使って、並列・直列で、9個のLEDを点灯させてみました。

直列つなぎの場合は、直列につないだ、CRDや個々のLEDに流れる電流量は、全て等しくなるので、LEDは同じ明るさで点灯します。

ただ、LED1個で約2V の電圧が必要ですので、2Vx9個=18V 以上の電圧が必要になり、写真は、22.1V を加えたときに、それぞれのLEDには、10.4mAの電流が流れて、明るく点灯している状態です。

これに対して、並列つなぎにすると、各LEDには同じ電圧がかかるのですが、全体の電流を左の直列つなぎの10.4mAに合わせると、各LEDに電流が分散して1/9程度の電流量になってしまうので、9個のLEDは、同じ明るさとはいえ、左の直列つなぎに比べて、かなり暗く点灯しています。

10.4mAが分散されて、LED1つあたりに流れる電流は、10.4/9≒1.2mA程度ですので、明るくはありません。

これを、左と同じような明るさにしようとすると、10.4mAx9個≒94mA の電流が必要ですが、定電流ダイオード(CRD)には、そのような大電流に対応する製品がありません。

ここでは紹介していない、定電流源IC(CCR)を使う方法もありますが、そのためには、目的の電流値になるように、適当な電圧を決めないといけないので、これでは、使い方が簡単ではなくなります。

いろいろな条件を考えるよりも、普通に、目的の電流が流れる抵抗値を計算して抵抗器を使うほうが簡単ですので、そうなると、CRDやCCRを使う意味が薄れてきます。

参考に抵抗値を計算してみましょう。 例えば、5Vの電源を用いて、2V・10mAの普通タイプの砲弾型LED9個のそれぞれに10mAの電流を流そうとすれば、E=V/A=(5-3)/0.09≒22Ωの抵抗器をつければいいのですから、簡単ですね。

このように、LEDを点灯させるためだけでは、CRDやCCRを使う優位性はありませんが、定電流化が必要なときに利用できる部品として、覚えておくといいでしょう。


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