磁気センサの一つ「磁気抵抗素子」
磁気に反応するセンサの一つとして使えるもので、磁気の大きさによって抵抗値が変化する「磁気抵抗素子」について、どのようなものか、そして、なにかに使えそうかどうかをみていきましょう。
前のページ(こちら)で、ホールICを使って、磁気の変化でLEDをON-OFFできる様子を紹介しましたが、ホールICは流せる電流が大きいので、このHPで扱うような電子工作ではスイッチのような使い方が簡単にできて使いやすかったのですが、ここで紹介するICは、抵抗の変化や電圧の変化が小さいので、「増幅回路」を組み合わせて使用するようになりそうです。
ここでは、増幅についての内容は含めませんが、磁気抵抗素子の用途では、磁気を利用した非接触のスイッチや、歯車、モーターなどの回転部品の回転状態の検出などにたくさん使われていますので、この使い方や基本的な内容を知っていると、何かのときに役立つでしょう。
磁気抵抗素子とはどのようなもの?
ここでは、SONYのDM-106Bを使っていますが、上の写真のような形状で、バイポーラトランジスタのような形です。
データシートでは、磁気抵抗素子は、このように、内部に、磁気によって抵抗値が変わる素子を2つ持っている抵抗器のようなものです。可変の矢印の方向を変えてあるのは、指向性ありますよ・・・という意味でしょうか。
電流はそんなに多く流せそうにない感じですが、データシートでは、最高電圧が10Vまで直接に加えられるので、オペアンプやMOS-FETを使うなどで出力を増幅すれば、電子工作分野でも何かをして遊べそうな感じです。(増幅回路を含んだ使い方は別のところで考えることにして、ここでは触れません)
実際に抵抗の変化を測定してみました
磁石はダイソーで購入した、6mm径のネオジム磁石を使って、写真のように、素子に近づけて、抵抗値が最小になる数値を調べました。
テスターのレンジの関係で、このようなkΩとΩの数字になりましたが、40Ω程度の変化です。
データシートでは「H=8000 A/m Revoiving magnetic fieldで2.3kΩ変化する」という数字があるのですが、その状態や測定条件がどのようなものかはよくわかりません。
ダイソーのミニ磁石に280mmテスラとあり、それは非常に強力なのですが、それでも、上記の変化の大きさですので、実用的には40Ω程度変化する・・・と考えておけばいい感じがしています。
そして、磁石を持っていくときに、変化しやすい最適位置があるような感じで、データシートには水平垂直方向が変化が大きいように書いてありますが、そうとは言えず、実際に使う場合には、最適なところを考える必要がありそうです。
次に、磁力と電圧変化を見るために、次のような回路で変化を調べました。
Vccの1/2あたりで電圧は最大変化する
このような回路で、2-3端子間に100kΩのボリュームで電圧調整した時の出力端子の電圧を測定しました。
100kΩのボリュームでは5/100000=0.05mAの電流量なので、100kΩに限らないで、適当なボリュームを使えばいいでしょう。
ここでは5V(実測4.95V)の電源を使っていますが、その1/2の2.5V程度の電圧付近で、磁力のあるなしでの電圧の差が大きいことがわかります。抵抗素子が2つ内蔵しているので、均等にするのがいいということのようです。
データシートには、2つの素子を背面でくっつけてブリッジにして測定すると、『出力電圧が2倍になる』ということを書いていますが、実際に使用するときには、増幅して使うことになるので、こういう使い方をすることはなさそうなので、これについては確認していません。
また、はんだ付けは260℃以下で10秒以内に、また、素子に強い力を加えないように・・・という注意などもデータシートには書いてあります。
実際に使用するときには、データシートを読んで頂くのがいいでしょう。
記事は以上ですが、今回わかったことは、
1)磁気抵抗素子とは、磁気の大きさで抵抗値が変化するもの
2)抵抗の変化は40Ω、電圧変化は0.1V程度なので、増幅を併用する必要あり
・・・ということで、電子工作に使うとすれば、ホールICも磁気抵抗素子も50円以下の単価なのですが、付加回路の費用が加わるので、ホールICのほうが使いやすいかな?・・・という感じがします。
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