電子工作に最小限必要なことは・・・ (1-1)
初心者に必要な基本の基本はなにでしょうか・・・と問われると、
1)簡単な回路図が読めること
2)実際に回路図を見て配線できること
3)回路図を見て電気の流れをイメージできること
4)テスターで電圧などを測定して回路の結果を確認できること
などが思い浮かびます。
電子工作キットなどでは、いろいろ工夫されて完動するようになっていますが、実際にいろいろな部品を使ってブレッドボードなどに回路を組んでいくと、目的通りに動くことがゴールになります。 それが確認できると一件落着になるので、そのためには、上のような4つのことができると楽しさも倍加するでしょう。
ここではこれらのことを簡単に紹介していきますで理解できているかどうかを確認していただくといいでしょう。
まず、使っている【回路図】ですが・・・
フリーソフトBSch3Vを使わせていただいて記事中の回路図部分を書いています。
結構便利ですので、興味があれば、この回路図の「BSch3V」というフリーソフト(こちら)のサイトから、ダウンロードして使ってみるといいでしょう。
上手く作られていて、CADの知識はなくても、この記事のような回路図は少し練習すると描けるようになります。
部品表記などは最新のJIS表記ではないものも使われていますが、フォーラムのみなさんが使いやすいように改善されているものなので、細かいことは考えずに、標準仕様のままで使わせていただいています。
主に「ブレッドボード」を使っています
確認用の回路が主ですので、多くは、ブレッドボードに回路を組んでいます。
ユニバーサル基板上に組んで使うのもいいのですが、部品配置をしっかり検討しておかないと、裏の配線が入り組んでしまうなどの難しさがあるので、ここでは回路図とブレッドボードに組んだイメージ写真で説明するようにしています。
ブレッドボードはいろいろな大きさがありますが、始めに準備するのであれば、10cm以下の小さなもので充分です。(小さなものは2-300円程度で、それらを連結できるようになっていますので、同メーカーのものを2-3個購入しておくと便利です)
ジャンパー線やジャンパーピンも同時に購入しておきます。
ジャンパー線があればともかく配線できますが、少し慣れると、スッキリした配線にしたいということから、ジャンパピンを多用するようになっていくと思います。
ブレッドボードは水色線のように穴の内部がつながっていて、配線が非常に簡単になります。 大変うまく考えられたものです。
真ん中の溝を利用してICを取り付けたり、両端の電源ラインを使って、たくさんのLEDをつけたり・・・と、自由に使えばいいのですが、無理に部品やピンを押し込むと、穴のロック端子の部分が「バカ」になって固定できなくなるので、「優しく扱う」ということを頭に叩き込んでおいて、長く使えるようにしましょう。
まず、手を動かす
このHPの回路は、私のオリジナルではなく、ほとんどは、データシートに載っている代表的なものを基本にしたものです。
なるべく詳しくわかりやすく書いているつもりですが、不足分はWEBで調べていただくとよく似たものが出てくるので、それらも参考にしてください。
書籍に掲載された回路図は意外と不親切なものが多いのですが、楽しむのが目的ならば、理屈の全てを理解するよりも、まず手を動かして回路を完成することを主眼に置くようにするといいでしょう。
必要な理論や知識は?
特別な勉強をしなくても電子工作は十分に楽しめます。
私の記事の内容程度では、、オームの法則を使った抵抗値、電流、電圧の計算程度が理解できれば十分と思います。
オームの法則などの基本的な法則や考え方を知っておれば、確実にその適正な値が素早く求められますが、それでも、測定値はそのとおりにはならないこともあるのですから、これらは「一つの道具」だと思って、楽しむためなら、必要になれば勉強すればいい程度に考えておいてもいいと思います。
簡単な回路図を読めるようになりましょう
この図も、最新のJISに従った標準的なものではありませんが、とりあえず、ここに書かれた電気の流れや状態がイメージできれば、このHPの回路図は理解できるでしょう。
電気(電流)は赤い矢印の方向に流れます。
右の図では、5Vの乾電池のような「電源」に「抵抗器」と「LED」が「直列」つながれており、LEDが点灯しているという回路です。
LEDと抵抗器が直列につながれているので、抵抗器とLEDに流れる「電流」の大きさは同じはずです。(これは重要な内容です)
回路内の抵抗器とLEDのそれぞれで電圧降下が起きています。 電流が流れると熱や光や振動などが発生しているかもしれません。 長時間に電気を流していると、LEDや抵抗に変化があるかもしれません。 ・・・。
こういうことを「ぼんやりと」イメージできれば充分だと思います。
それらがイメージできると、LEDに流れる電流が10mAであれば、少しLEDが暗いかもしれませんので、これを明るくなるようにするにはどうしたらいいのでしょうか? ・・・ というようなことが頭に浮かんでくるとしめたものです。 考え方としては、
①電源の電圧を上げる ②固定抵抗値を下げる ③明るいLEDに変える・・・などが頭に浮んでくれば、実際にそれをやってみると楽しみが増すと思います。
こういうことも「回路図を読む」ことに含まれますが、分かるまでには時間がかかるかもしれませんが、それはしかたがないでしょう。慣れるしかありません。
2)実際に配線できる
私自身も、このHPを作るために、しばしば実験のようなことをやっています。 そして、トランジスタに大きな電流を流してしまったり、電解コンデンサの定格以上の電圧をかけたりしてそれらを爆発させるなどの失敗をしています。
LEDも同様で、無理をさせていくつもオシャカにしています。
それらを経て、危険がないような回路をこのHPで紹介していますので、逆に、色々とアレンジをしていろんなことを試していただきたいと思います。
ブレッドボードに部品等をさしていくのですが、その都度部品を購入するのも大変ですので、最初にある程度の部品類を購入しておくことをおすすめします。
ちなみに、以下に、約半年間で書いた記事中で取り上げた部品類をピックアップしてみました。数量は余分を含めていますし、価格は適当ですので参考にしてください。
かなりの点数になりますが、高額商品のいくつかを除くと、個々の部品代は安いものです。これだけあると、色々楽しむことができると思いますので、参考にしてください。
表示の価格は適当ですが、抵抗、コンデンサなどをまとめ買いすると、単価はもっともっと下がるのですが、持っていてもムダになるかもしれないので、常に「ムダなものは買わない」という姿勢は忘れないのが賢明でしょう。
もしも、もっと腰を落ち着けて取り組みたい方は、①バイポーラトランジスタ各種 ②1/8W抵抗器各種 ③セラミックコンデンサ各種 などのいろいろなChina製の部品セットがアマゾンなどで販売されているので、(無駄も多いのですが)安いし結構使えますのでチェックしてみてください。
部品類は、こちらで紹介しているようなWEBの通販ショップが購入しやすいでしょう。
私はWEBで購入する部品は秋月電子さんでの購入が多いのですが、大阪の日本橋(電気街)にマルツさん、共立(デジット)さん、千石さんなどの店舗がありますので、そちらでも購入しています。 購入については、後ろのページでも取り上げています。
Amazon・楽天などのショップは、製品類やセット販売が主なので、かえって買いにくいのですが、WEBを見ていると面白いものもあるので、何かのヒントになるので、目を通しておくと、何かのアイデアが浮かぶかもしれません。
常用する電源を用意しましょう
一番手っ取り早い電源は、「乾電池」で、単3電池などを電池ケースに入れて使うと簡単で便利です。
ただ、4個を直列にすると6.5V以上になるなど、きっちり「6V」・・・ではないのが気になりますし、電圧が変動するので、できれば後に示す「定電圧電源」を用意しましょう。
電池ケース
5V電源を自作しましょう
5Vというのは、USBなどでよく使われていますし、この5Vというのは結構便利ですので、このHPでは5Vを多用しています。
そこで、家庭で余っているスマホ充電アダプターを改造して、5Vの電源を自作してみましょう。
下のような「スマホ充電器」は、リチュームイオン電池の充電に使うものですので、ほとんどのものが「定電圧電源」になっており、電圧は非常に安定しています。
みなさんも家庭にも使わない充電器が転がっていると思います。
ACアダプターなどは定電圧電源でないものもあるので、「リチウムイオン用の5V充電器」を使うようにしましょう。
ちなみに、この製品には「5V 1A」と表示されています。 もしも2Aなどの容量の大きいものがあれば、それに越したことはありませんが、1Aのものでも十分です。
加工後の定電圧電源
本体にケーブルを差し込んで使うタイプでしたので、この写真のように、余っていたスマホ充電器のコードの先を加工して、ブレッドボード用のピンを取り付けました。ワニ口クリップでもいいですね。
テスターで線のプラスマイナスを見ながら、ハンダゴテを使って加工してみましょう。
スマホに差し込む側についている、ミニUSBプラグの根本を切断して、そのコードの皮をはぐと、シールドの網の中に4本の細い線が入っています。
「赤・黒・緑・シロ」で、そのうちの「赤と黒」の2本に5Vの電圧が出ています。 ここでは、他の2本(緑・シロ)は使いませんので殺しておきます。
赤の線がプラス側で、私は、ブレッドボード用のピンをはんだ付けして、絶縁テープで固定しました。
テスターでその電圧を測ると、4.94Vになっています。もちろん、電圧は、安定しています。
【参考】トランジスタやオペアンプのところで、電源を2つ(または正負電源)を使う記事が出てきます。家庭に5Vのアダプターが余っておれば、そのときに使えそうですので、キープしておいてください。
テスターで測定する
テスターは絶対に必要です。
私は、この2つの安価なテスターを使っています。 電流と電圧を同時に測りたい場合がしばしばあるので、テスターは安いものでいいので、「2つ持ち」が便利です。
テスターの例
普段は右をメインに使っており、これは日本の会社の製品ですが「中国製造」で4000円までの価格でした。
今では安くて高機能なものがたくさん販売されていますので、予算に合わせて購入するといいでしょう。
このHPでは、テスターの用途は精密測定するのではなく、「確認用」ですので、この価格帯のものでも必要充分な測定ができます。(多分できている・・・とおもっています)
左のテスターはMade in Chinaで、これだけの機能があるのに400円程度です。
使った感じの違いは、左の「安い方」は、安定するのに1分程度の「慣らし時間」が必要な程度で、この2つの測定値を比べると、最終桁で値の違いが出ることもありますが、これも、どちらの数値が正しいのかわかりませんので、あくまでも「確認用」と考えています。
電流計や電圧計を個別に購入するよりも安くて便利ですから、ぜひ、2台を持たれることをおすすめします。
電流、電圧、抵抗の測定ができるようになっておきましょう
ここでは使い方は説明しませんが、テスターの説明書には、いろいろな使い方が示されていますので、下のような回路の値が測定できるようにしておきます。
電流測定は、回路の途中に電流計が入るので、ちょっと大変ですが、いろいろな点を測定してみましょう。
測ってみると、こんな感じです。 黒字が「呼び値」、赤字が測定値で、「A」「V」がテスターで測った値です。
この数字は、変ですが、測定値はこんな程度です
測定した数字をみると、①各部品の電圧降下の和が電源電圧になっていない ②直列では各部に流れる電流値が等しいはずだが違いがある ③オームの法則に合っていない ・・・ などが出てきます。
実は、測定値では、こういうことがたえず発生します。
測定値には、「誤差の問題」「測定自体の問題」「環境の問題」「避けられない問題」などがいつもつきまとっていて、それを検証して突き詰めていくのは、通常(設備や環境の面)では非常に難しいのですが、ここでは(変な言い方ですが) 測定器で測定した値は、「基本的に正しい」と考えるようにすることにします。
測ったテスターの精度(誤差)や、テスターをつなぐことによる導線の損失などの影響、あるいは、温度の問題や装置が安定するまでの時間・・・などの様々なものがこの結果に影響しているのでいうことになるのですが、ある程度の「誤差」は「常にあるもの」・・・とするのは仕方がないことです。
ここでは、テスターを使って、抵抗、電流、電圧が、適当なレンジを使って測定できることに慣れてください。
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