楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

電子工作に使えそうなトランジスタ

  

ここではNPNバイポーラトランジスタを使うことを考えてみましょう。

この電子工作の記事は、初歩の内容で、直流の低電圧・低電流のアナログに限定しており、大きな電力や交流、高周波、デジタル回路・・・といったものはほぼ扱いません。

「トランジスタ」をWEBで検索すると、いろいろな種類や型番が出てきますが、安価で一般的なものを使って、増幅作用とスイッチングの初歩的なことに限定して、工作に使えるような何かを考えてみます。

これをトランジスタを使って電流コントロールをしようというのですが、これは、主にNPNバイポーラトランジスタ2SC1815を使って考えていきます。(これでなくても、いろいろなものがつかえることも紹介していきます)

この「増幅作用」は、例えば、小さな電流の変化で大きな電流の変化をさせるというものです。これは、小さな電流をトランジスタに流すことによって、大きな電流を生み出すイメージですが、そうではなく、電源から流れてくる電流を、小さな電流でコントロールしようというものです。

次の「スイッチング」は、「無接点のスイッチ」のようなものと思えばいいと思います。これは、小さな信号で大きな電流をON-OFFする・・・などをするのですが、これは、MOS-FETという、電界効果トランジスタを使うことで考えていきます。

その他のトランジスタは取り上げていませんが、非常に高い増幅を行う「ダーリントン接続回路」をトランジスタ内に組み込んだ「ダーリントントランジスタ」や大きな電流(電力)を扱うことが出てきた場合でも、バイポーラトランジスタとFETの使い方がわかれば、それらも使い方をイメージできるので、ともかく簡単で安全に扱えるものを「自分で触ってみる」ことが大事ですので、かんたんなことから始めましょう。

まずはバイポーラトランジスタとは

ここでは、低電力増幅用のポピュラーで安価なバイポーラトランジスタを使うことで、LEDを点灯させる回路でトランジスタの特性の見方や選ぶときの考え方などを見てみることにします。

バイポーラトランジスタは、NPN・PNPなどと、N型とP型の2種類の半導体を組み合わせた構造で、増幅作用があリます。原理や理論にはふれません。

電子素子としては昔からある種類のトランジスタですので、「トランジスタ」といえば、これを指していると言っていいでしょう。

2SC1815外観

このHPで使おうとするNPNの2SC1815です。ただ、同様の用途のトランジスタの種類はたくさんありますし、それぞれの特徴もあるのですが、最も適したものを使おうとすると難しくなってしまいます。だからここでは、かなり適当な考え方で見ていくことにします。

各種バイポーラTr

このような外観です。よく似た形状のものが多いので、書かれた文字をルーペでしっかり見て、間違わないようにしましょう。

左から、NPNの2SC1815、PNPの2SA1815ですが、この2つは、コンプリメント・ペアのものです。 そして、左から3番めだけがNECのNPNの2SC945で、その他のオリジナル品は東芝製です。表記の仕方も少しちがいますね。これらの見方も、後で、簡単に説明しています。

このコンプリメント・ペアとは、PNPとNPNトランジスタの特性が似たものをいいますが、プッシュプル回路などのように、極性を反転して同じような働きをさせたいときに使うことを想定してつくられているもので、カタログにはそれについて示されているものもあります。

左側の3つはバイポーラトランジスタですが、いちばん右側の2SK30Aは接合型の電界効果トランジスタ(JFET)です。同じ外観ですので、使う場合には型番を確かめることとともに、3本足が何であるかをカタログなどであらかじめ調べておく必要があります。

・・・・ などと説明されても、何がなんだかわかりにくいのですが、読みすすめるうちにわかってくるので、ここでは「使うときにはルーペで確認する」ということだけ知っておいて、あとは気にしないで読み進めてください。

ディスクリート半導体

3本足の例

半導体を使ったトランジスタやダイオードをICの中に組み込んでいないで単体の部品として使うものを「ディスクリート半導体」とよび、形や大きさはいろいろなものがあります。

このHPでは、バイポーラトランジスタと電界効果トランジスタ(FET)を取り上げます。

写真の真ん中は「バイポーラ」と書いてありますが、先にあった写真の4つのものとは、全く形が違いますネ。

さらに、3本足でも、全く用途種類の違うものがあります。・・・。このように、やはり、ひとつひとつ見ていかないと、何がなんだかわかりにくいのですが、これらも、こんな物があるという程度に見ておいてください。

いくつか購入して用意しましょう

現在は、バーポーラトランジスタを使って工作する記事が少なくなり、電子工作の主流は、ICやマイコンなどを使って遊ぶ記事が多いのですが、マイコンやパソコンから命令を出力しても、それで扱える電圧、電流、電力は小さいので、トランジスタやオペアンプなどを使って、それらとは別に動作させることも必要になるので、トランジスタの知識は、いろいろなことに役に立つはずです。

電子部品は安くなるとともに革新も進んでいます。これから使おうとする2SC1815は本家の(株)東芝のものは廃番になっているようですが、幸いに、オリジナルの会社製でないものもWEB上でたくさん出回っています。

まだまだバイポーラトランジスタの需要があるということなのでしょう。一つの考え方が理解できれば、同様の仕様のもので、安くて使えそうなものも数多く出回リます。

後で説明しますが、このHP の内容では、「低電力増幅用」であればほとんどのものが使えますので、電子部品を扱うWEB店で5個程度づつ数種類を買って見てもいいし、アマゾンのサイトでは、大量のものが安価に販売されています。購入して実際に使いことで理解を深めましょう。→Amazonのトランジスタをみる  


トランジスタを使ってボリュームを回すとなにかが作動したり変化するという使い方も面白そうですし、暗くなったらチャイムが鳴るとか、雨水が一杯になるとアラームが鳴るとか、気温が下がってくると、何かをする・・・・というように、「何々であればどうする・・・」ということをセンサーとトランジスタでできるようになれば、面白いですね。

「既製品にはない楽しみ方」ができるようにと、ここではまず、LEDを用いて電力(電流)増幅回路を説明します。

これらの基礎はむづかしいものではありません。トランジスタを用いてDCモータの回転数を変えたり、コンプリメンタリ・ペアを用いた極性の切り替えや少し変わった発展的な応用事項についても、次第にイメージできるようになると思います。

この記事は技術文書ではないので、トランジスタが初めての方にもわかるようにしたいので、何回も基本的な内容を説明して、実際に回路を組んでそれを確かめながら進めていきます。

もちろん、ここで説明するものは、トランジスタの基本のさらにそのごく一部分ですが、「いの一番」「初歩の初歩」を知ることで、「何かができるようになる満足感」を感じていただくのを主眼にしています。

バイポーラトランジスタ

  

古くからあるトランジスタで、ここでは、2SC1815を使います。

これらの型番のトランジスタは数十円と非常に安いものですし、その他電子工作の本などでもしばしば出てくるものですので、数個を同時に購入しておくといいでしょう。

同様のものでなくても使えます。しかし、最初から、どんなトランジスタが使えるのかを理解するのは難しいかもしれません。

ここでは専門的解説ではありませんが、選択する場合には、「低周波電圧増幅用」「低周波電力増幅用」などから探すといいでしょう。

例えば、何が使えるのかを見る場合は、WEBで「低周波電圧増幅 バイポーラ」などで検索すると、2SA1832 TTB001 2SD1415 2SB962・・・などたくさんの型番がヒットしますので、その中から、どのぐらいの電流が扱えるのかをデータシートなどの仕様内容を確認するのですが、これも専門的ではじめのうちはわかりにくいと思います。しかし、不思議ですが、徐々に慣れてきます。

次のページでは、どのようなものでも使えることも説明しています。ともかく、手持ちがなければ、何かを購入しておいて、一緒に実験していきましょう。

2SC1815は、150mA程度までの電流が扱えますし、500mA程度流せる安価なものもあります。ここではまず、データシートの簡単な読み方をしって、適当なトランジスタを探してみましょう。

下はデータシートの例です。2SC1815に限らず、ほとんどのトランジスタのカタログはWEBに掲載されていますので、必要なものを印刷しておくといいでしょう。

2SC1815のカタログ例

着目するところは、赤で囲んだ「絶対最大定格」「電気的特性及び、それを示すグラフ」です。

2SC1815最大定格値 東芝資料

まず重要なのは絶対最大定格です。ここには、使用できる条件範囲が示されており、これを超えると、トランジスタが破損するということで、この定格以内で使用しないといけません。

電子工作に使用する電源電圧は12V程度までが多いですので、ほとんどの電力増幅用のバイポーラトランジスタが使用できます。

「突撃電流」「逆電圧」など、瞬間的なものに対処する必要はあるのですが、これらは、必要な場合に対策を考えればいいことすし、扱う電圧が低いのであまり気にすることもないのですが、電圧、電流、温度などが関係していることがわかります。

ここでは、コレクタ電流が150mAまで流せるということに注目しておきます。もっと多くの電流を流したいのなら、この数値が高いものを探さないといけません。

2SC1815電気的特性2SC1815データ

その他で見ておくポイントは、電気的特性の直流電流増幅率が100程度であることや、コレクタ電流を100mA流す場合には、ベース電流は少なくとも1mA以上に必要であることや、さらに、電源電圧は1Vでは100mA流したときの増幅率が低下するので、高い電源電圧を使うようにしたほうがいいこと、熱による増幅率の影響がどれくらいあるのか ・・・ などを見ておくといいでしょう。

これらをきっちりと理解するにはいろいろな知識が必要になるのですが、ここでは、単なる直流の少電力の制御だけですので、使ってみてから、何かあれば考えればいいのです・・・ということにして先に進みます。

ちなみに、私の手元にあるその他のいくつかのトランジスタについて使えるかどうかを見たところ、NPNタイプでは、2N2222、2N3904、2SC945など多くの電力増幅用のトランジスタが使えそうだということがわかりました。

次のページで紹介しています)しかし、S9018など、コレクタ電流の許容値が少ないものもあります。こういうことがわかってくれば、データシートを見て使えるようになってきます。

ともかく、手元にトランジスタがあるなら、このような少電力では、何でも使えそうな感じですので、データシートをWEBで探して、使えるようなら使ってみましょう。


基本的な回路で考えてみましょう

まず、一般的には、電圧増幅や電力増幅は「エミッタ接地方式」で考えるのが基本・・・と覚えておいてください。

ここでは、電子回路の勉強ではないので、その他の方式については、必要に応じて考えることにして、エミッタ接地で考えていきます。

トランジスタを使った実験回路

上左がエミッタ接地方式の回路例です。

3本の足については、データシート(仕様書等)で確認します。矢印で示される足が「エミッタ」ですが、これが直接にGND(アース)に接している回路を「エミッタ接地」という言い方をします。

例えば、この図で負荷(右図の場合は抵抗器とLED)がエミッタの下側にあれば「コレクタ接地」ということになりますが、ここでは、かんたんに増幅できたらいい・・・としていますので、細かいことはスルーしてもいいでしょう。

この図は、トランジスタ2SC1815を使って、ボリュームを回すことでLEDの明るさを調節できるような回路です。これを例にして考えてみましょう。

基本的な考え方としては、『わからない数値のところは「適当に」数値を決めてそれをもとにしてオームの法則などによって未知数を埋めていくようにする・・・』ということで進めていきます。

そして、計算や考え方が正しいかどうかは、最終的に測定してみればいいのです。多分、このような基礎的な回路を考えた人も、結果から理論を考えることが多いので、まず手を動かすことを優先しましょう。

まずここで、ボリューム側をアースしている点線がありますが・・・。

これは、ボリュームを最大にしても少しの電流がトランジスタのベースに加わるので、LEDが消えてくれないかもしれない・・・ということを防ぐために、可変抵抗を最大にした時に、余分な電流をアースに流してしまおうというための回路ですが、これは後で説明します。

最初は、そのアース部分がない・・・として計算するのが簡単ですので、回路を組んで確認するまでの計算などは、アースを取っていない状態で進めていきます。


赤枠にある固定抵抗は「電流制限抵抗」でしたね。LEDに一定の電流を流して光らせるためのものです。

たくさんの電流を流すとLEDが切れてしまいます。そのために、抵抗器を入れてやると、抵抗とLEDには(計算上は)同じ電流が流れるので、抵抗によって、流れる電流を制限してやろう・・・という考え方のために回路に直列に入れています。

(直列つなぎの場合は、そこに流れる電流は同じという基本的な内容ですが、わかりにくかったら、もう一度合成抵抗のところを読んで理解してくださいね)

この抵抗値を決めるための仮定として、

①LEDで2Vの電圧降下がある 
②LEDには15mAの電流を流して光らせる ・・・とします。

(これは一つの仮定ですが、基本的なことですので覚えておきましょう。 1.9V・10mAなどと書いてあることもあります。これであれば10mAの電流を流すのが標準で、1.9Vの電圧降下があるLEDということです)

そうすると、オームの法則 R=E/Iから、R=(5-2)/0.015=200Ω というように数値が導き出せます。

市販品では、この200Ωの抵抗器は販売されていません。そのために、市販されている抵抗器で最も近い値の「220Ω」を使う・・・ということで、この抵抗値は220Ωにすると決まります。

次ですが、上の図で、点線青枠の上側の固定抵抗は、トランジスタのベース電圧を与えるものです。 「バイアス」ともいわれますが、別の電源から電圧電流を与えるのではなく、LEDを光らせる電源から分圧させてトランジスタのベースに加える方法です。

この抵抗器によって、トランジスタのベースに流れる「電流値」を決めるものです。電圧を下げながら電流を制限するということをしようとしています。

この抵抗値を決めるためには、ベースに流れる電流が、トランジスタを通って増幅される時に、(ボリュームが0Ωの時に)最大15mAのコレクタ電流が流れるように計算して、その抵抗値を決めてやればいいのです。

この「可変抵抗=ボリューム」の役割ですが、ボリュームを回して抵抗値が増すと、ベース電圧を下げることになり、その結果、LEDの光が弱くなります。

可変抵抗器は上の固定抵抗と直列になっているので、その固定抵抗と同じ電流が流れます。また、可変抵抗値が増えると、電圧降下が大きくなるということもイメージしてください。 

だからここでは、可変抵抗器の抵抗が「0」として電流の最大値で計算すればいいことになります。

この書き方では、わかリにくいかもしれませんが、わからなくても、何回か同じような内容を書いていきますので、徐々にでも、わかってくると思いますので、ここではこれを、変な文章と思わずに読み進めてください。

【説明の補足】この書き方での電流と電圧と電力のこともわかりにくいのではないでしょうか?

ここまでの説明で、少し変?・・・だと思いませんでしたか? 思わなければOKですが・・・。
上には、「ベース電流ではなくて、ベース電圧」と書いてあります。なぜでしょう?。

このように、しばしば、「電圧と電流はよく似たもの」と考える場面がよく出てきます。これについては、説明が必要な都度に説明するようにしますが、今回の場合は、ベース電流を制御することで、LEDを通してトランジスタに流れるコレクタ電流を制御するということを言っています。 つまり、直列に繋がれた回路に流れる電流値を変えるということは、その電圧値を変えているということが言える・・・というのです。

まだまだわかりにくいでしょうが、ここでは、これは、「こんなものだ」と受け取っておいてください。

トランジスタの特性で検討するところは、特性表を見ます

この回路では、先の表にあった「最大定格」を超えるような条件ではなさそうですので、この中でまず、「電流増幅率」に着目します。 

同条件での試験値は示されていないので、書かれてあるうちの適当な数字を選ぶのですが、ここでは、電流増幅率は、標準の「100」として考えることにします。

「適当」というのは、変な言い方ですが、上のグラフでは、25℃のときエミッタ電圧が6Vのとき150ですので、100ではなく150で計算してもいいでしょうし、200で考えてもいいのです。

上の電気特性表の直流電流増幅率のところには、25,70,100,700等の数字があります。詳しい条件もわからない状況では、標準などのところからとりあえず値を決めて、もしも仮定が間違っていれば、測定すればいいのですから・・・。

トランジスタを考える時の「3つの基本」

これからの内容は、理解して覚える必要があります。計算の基本になる考え方です。

【1番目】 ここでは、コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h という関係を利用します。これを使って、必要となる「ベース電流」が求められることになります。

【2番目】 つまり、コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie と考えます。

エミッタ電流はコレクタ電流にベース電流が加わったものとして考えるのがいいのですが、ベース電流に対するコレクタ電流の増幅率が100なので、コレクタ電流に比べてベース電流は1/100、すなわち、1%ですので、その程度の違いがあっても問題ないと考えて、コレクタに流れる電流とエミッタに流れる電流は計算しやすいように、「等しい」と考えてよい・・・という考え方です。

【3番目】 エイヤッと、 エミッタベース間電圧Vbe=0.7V とします。

コレクタ電流を流すためには、ベースとエミッタ間に電圧を与えないといけません。これは、どのトランジスタにも必要なもので、下の特性表を読むのも一つの方法ですが、細かい条件は合致しないので、それを「エイヤッ」と「0.7V」とするのです。 (下のデータシートにあるように、条件によって0.6~0.8程度ですので、0.6や0.65で計算する人も多いようです。ここでは0.7と決めただけのことです)

下図では(温度によって異なるのですが) 0.4V以上のベース・エミッタ電圧をかけないとベース電流が流れないことが読み取れます。

そのために、そこそこのベース電流を流すためには、どのようなトランジスタでも、0.6~0.7V程度の電圧をベース-エミッタ間にかけてやる必要があります。それを0.7Vとしているだけです。

ベース電流と負荷電圧

この3点から、(ボリュームの抵抗値は後で決めるとして) 必要な数値が(一応)計算できます。もう一度書くと、

①コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h
②コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie
③エミッタベース間電圧Vbe=0.7V
   ・・・の3点です。

この回路では、この3つを使わなくても良いのですが、エミッタ側に抵抗があったりして複雑になっても、常に、この3つで未知の数値を考えることができます。

この基本の考え方はよく使います。何回か出てくる間に、覚えていきましょう。

それでは計算しましょう。

①から、ベース電流は 0.015A/100=0.00015A つまり150μA流れることによって、(5-0.7)Vの電圧降下させるのですから、R=E/I から、28.7KΩの固定抵抗をつければ良いことになります。

そして、市販の抵抗は、28.7kΩというものはないので、22kΩか33kΩを使用すればいいことになります。

(LEDに220Ωの電流制限抵抗をつけていますので、33kΩではなくて22kΩにしたとしても、LEDに電流が流れすぎて危険になることはありませんが、一般的には、電流を多く流さないように、大きめの抵抗を選ぶのが安全だと言えます。このため33kΩが正解だとしておきます)

これらの抵抗に流れる電力(電圧x電流)は小さいので、1/4Wでも、1/8Wなどの小さい抵抗器でいいでしょう。

さて、最後のボリュームの抵抗値ですが、「エイヤッ」と100kΩとしましょう。

可変抵抗ですので、もっと大きい1MΩなどでもなんでもいいのです。 ここでは、ボリュームを回しても、LEDが点いている(あるいは、全く点灯しない)のなら、可変抵抗値を変えればいいだけですので、ここでは適当に100kΩの可変抵抗器を使うのですが、それが適当かどうかは計算してみるといいかも知れません。しかし、このような「勘での値ぎめ」はたびたび必要なことと思っておいてください。

慣れてくるとわかってくるのですが、このようなLEDを点灯する回路では、電流値が少ないので、燃えだすことはありませんので、しばしば、思い切りで判断するのも「アリ」でしょう。

ボリュームの抵抗が最小の「0Ω」の場合には、ベース電流は計算したように150μAで、最大抵抗値では、(5-0.7)/(100000+33000)≒33μAと計算されますね。

もしも、1MΩの可変抵抗を使うとすれば、最小電流は、(5-0.7)/(1000000+33000)から、4μAとなり、ボリュームを最大抵抗値にしたとしても、いずれにしても可変抵抗器には「常に」若干の電流が流れています。

つまり、100kΩの可変抵抗で、この33μAがLEDの明るさにどのように作用するのかわかりませんが、このままにしておくと、LEDが消えない可能性も考えられるので、それをアースに流して、ボリュームを最大にした時に、ベースに電流が行かないようにしよう・・・というのが今回の上の回路図(緑の点線部分)です。

ボリュームで抵抗値を最小にした時にベース電流が最大になって、コレクタ電流も最高になるのですが、この場合に、100kΩの抵抗に流れる電流は、いくらになるのでしょうか? 

ちょっと計算が面倒そうな感じなので、まずは測定してみましょう。・・・ 8μAでした。

これを計算しようとすると、どうすればいいのでしょうか? 

何か難しそうですが、ベースからエミッタに流れる時に トランジスタ内で 0.7V 電圧低下するというのが「3つ目」の考え方でした。

つまり、100kΩで0.7Vが電流が流れて0Vになるのですから、R=E/I から 0.7/100000=0.000007A、すなわち、計算では7μAが流れます。 測定値8μAでしたが、少し違うのは、いろいろな少しずつの誤差のため・・・と考えればいいでしょう。次の図でイメージしてください。

検討用回路の例

そうなると、ボリュームが最小のときは、100kΩの抵抗がないとして計算した電流値が150μAは、100kΩに計算値で7μAが流れるので、ベース電流Ibは150-7=143μAがベースからエミッタ側に流れる電流値ということになります。

アースを取ることで、少しだけトランジスタのベースに流れる電流が減ることになりますが、それはともかく、考えたことが正しいかどうかは、回路を作ってテストすればいいのです。

ブレッドボードで回路を作ってみましょう

使用した部品等 LEDと2SC1815

点灯させてみた

このように組み立ててから、電流を測るために、回路の一部を切って、テスターをつないで、下の回路図に沿って測定した値を示します。

回路の実測結果

ボリュームを回すとベース電流が0から0.12mAになり、それに伴ってコレクタ電流が0から11.5mA流れるようになっており、ほぼ、計画通りになりました。

写真のように、ボリュームを回すと明るさが変化します。成功です。

これまで、ボリュームからアースさせることについては、無視して計算をしてきましたが、これは、コレクタ電流に比べるとベースに流れる電流は小さいので、無視しても問題ないと考えたためでしたが、しかし、ボリュームを最大にしても0.034mAがベースに流れるのであれば、増幅率が100なので、3.4mAがコレクタに流れることになりますので、点灯しっぱなしになってしまいます。

だから、ボリュームを最大にした時に電流をアースに流してベースの方に流れないようにするのがこの「アースを取る」ことなのです。

このようなことは、初心者が回路を頭の中で考える場合には難しいことです。

だから、回路を組んで見て、動作をさせてみて、今回のように「なぜボリュームいっぱいにしても『消えないのだろう』」というような問題が起きてからでないと解決策がわからない・・・ということも起きるのは仕方がないことです。

これがある意味で「電子工作の面白さ」でもあり「難しさ」なのですが、ここでの内容を読んだだけではわかりにくいと思いますので、読み流しながら手を動かして見るようにしてください。


【電流増幅率は・・・】 ここで、最初に、電流増幅率を100としましたが、ベース電流の最大値0.12mAとエミッタ電流の最大値11.6mAから、約97の増幅率のなっており、「エイヤッ」と決めた値も、結果的に正解だったようです。

このようなトランジスタを使って、簡単に電力増幅をすることができますので、、まず、自分の手で回路を作って、それを計算して、最後に測定して確かめる・・・という一連のことをやっておけば、真の理解ができていくと思います。

次の記事は、少し寄り道して、2SC1815以外の、いろいろなトランジスタか使えるということを紹介しています。

→バイポーラトランジスタの互換性を見てみよう

→トランジスタを用いてDCモーターを制御する(実験しながら考え中です。しばらくお待ち下さい)

→ INDEX(目次)のページへ


その他の記事紹介

大阪市営渡船 【大阪市営渡船を歩きました
大阪市には8か所渡船が運行しています。全工程の地図と渡船の時刻表をつけています。歩く距離は15kmほどで、乗船は無料。自転車も乗船OKですので、季節のいい時にトライしてはどうでしょう。

大阪城の公衆トイレ  【大阪城のトイレを全部紹介
大阪の主要な観光名所で外人さんもたくさん訪れる大阪城の公衆トイレを紹介しています。時間とともに改善されてきているのですが、コンセプトがないというか、全体的にいま一つという感じがするのですが、全部の外観写真を見て、皆さん、どう感じます?

ナイフ作りと熱処理を実践 【ナイフを作りながら熱処理の基本を学ぼう
鋼の熱処理・焼入れは、専門的で難しそうですが、鋼種や基本のポイントを押さえれば家庭のガスコンロで焼入れができます。金のこをナイフに加工して、それを熱処理しながら方法や熱処理理論などを説明しています。

焼入れして硬化するステンレス鋼 【焼入れするステンレスのウンチク
焼入れして硬くできるマルテンサイト系ステンレス鋼は、カスタムナイフの材料として人気があるのですが、熱処理の仕方や熱処理による性質がわかりにくいという声を聞きます。それらについて説明しています。

Hanako's Papa のインデックスのページ 【INDEXのページへ
私のすべての記事のINDEXページです。
Page Top▲
(来歴)R2.1記事作成  R2.2見直し R2.4見直し