楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

電子工作に使えそうなトランジスタ

  

ここでは電子工作にNPNバイポーラトランジスタを使うことを考えてみます。

【お断り】この電子工作の記事は、初歩の内容で、直流の低電圧・低電流のアナログに限定しており、大きな電力や交流、高周波、デジタル回路・・・といったものはほぼ扱いません。

「トランジスタ」をWEBで検索すると、いろいろな種類や型番が出てきます。そこで、安価で一般的なもので、増幅作用とスイッチングの初歩的な内容で、工作に使えるような何かを考えてみます。

ここでは、トランジスタを使って電流コントロールするというために、主にNPNバイポーラトランジスタ2SC1815を使って考えていきます。(この型番でなくても、いろいろなものがつかえることも紹介していきます)

この「増幅作用」は、小さな電流の変化によって大きな電流の変化をさせるというものです。

これは、小さな電流をトランジスタに流すことによって、大きな電流を生み出すイメージがあるのですが、そうではなくて、あくまでも、小さな電流をコントロールすることによって、電源から大きな電流を取り出すのが「増幅」です。

また、もう一つの「スイッチング」は、「無接点のスイッチ」のようなものと思えばいいと思います。

これは、小さな信号をコントロールして、大きな電流をON-OFFする・・・などの動作を言いますが、これは、先になりますが、MOS-FETという、電界効果トランジスタを使うことで考えていきます。

その他にもいろいろなトランジスタで重要な話題もあるのですが、ここでは取り上げません。

例えば、非常に高い増幅を行う「ダーリントン接続回路」をトランジスタ内に組み込んだ「ダーリントントランジスタ」や大きな電流(電力)を扱うトランジスタなどがありますが、ここで説明するバイポーラトランジスタとFETの使い方を知れば、その他のものもイメージしやすいと思いますので、ここでは、理論はともかく、簡単で安全に扱えるものを「自分で触ってみる」ことにして、かんたんなことから始めることにします。

まずはバイポーラトランジスタとは

ここでは、低電力増幅用のポピュラーで安価なバイポーラトランジスタを使って、LEDを点灯させる回路を考えながら、トランジスタの特性の見方や選ぶときの考え方などを見てみることにします。

バイポーラトランジスタは、NPN・PNPなどと、N型とP型の2種類の半導体を組み合わせた構造で、増幅作用があリます。(ここでは、原理や理論にはふれません)

電子素子としては昔からある種類のトランジスタですので、「トランジスタ」といえば、これを指していると言っていいでしょう。

2SC1815外観

このHPで使おうとするNPNの2SC1815です。

同様の用途のトランジスタの種類はたくさんありますし、それぞれの特徴もあり、最適な物を使うとか、最大に特性を選ぶことなどを考えると難しいので、ここでは、いろいろなところで紹介されているこの2SC1815を取り上げているだけです。

各種バイポーラTr

このような外観です。よく似た形状のものが多いので、書かれた文字をルーペでしっかり見て、間違わないようにしましょう。

左から、バイポーラ型でNPNの2SC1815、PNPの2SA1015、次がNECのNPNの2SC945、一番右の2SK30Aは接合型の電界効果トランジスタ(JFET)です。

このように、形は同じですので、ルーペで型番を確認するとともに、データシートで、足が何の端子であるかを確認することが大切です。

表記の仕方や見方については、後で、簡単に説明しています。

2SC1815と2SA1015はコンプリメント・ペアとよばれて、PNPとNPNでトランジスタの特性が似たものをいい、プッシュプル回路などのように、極性を反転して同じような働きをさせたいときに使うことを想定してつくられているもので、カタログには、ペアになるものがあれば表示されていますので、必要なときには、データシートをみて選ぶことになります。

・・・・ などと最初から説明されても、何がなんだかわかりにくいのですが、読みすすめるうちにわかってくると思いますので、ここでは「使うときにはルーペで確認する」ということだけを知っておいて、あとは気にしないで読み進めてください。

ディスクリート半導体

3本足の例

半導体を使ったトランジスタやダイオードをICの中に組み込んでいないで単体の部品として使うものは「ディスクリート半導体」とよばれており、形や大きさは様々です。

このHPでは、バイポーラトランジスタと電界効果トランジスタ(FET)を取り上げます。

写真の真ん中は「バイポーラ」と書いてありますが、先にあった2SC1815などの写真の4つのものとは、全く形が違いますし、さらに、3本足でも、全く用途種類の違うものがあります。

・・・。このように、やはり、ひとつひとつ見ていかないと、何がなんだかわかりにくいのですが、これらも、こんな物があるという程度で見ておく程度でいいでしょう。

いくつか購入して用意しましょう

現在は、バーポーラトランジスタだけを使って工作する記事が少なくなりました。

電子工作の主流は、ICやマイコンなどを使って遊ぶ記事が多くなっていますが、マイコンやパソコンから命令を出力しても、それで扱える電流、電力は小さいと、トランジスタなどを使って動作させることも必要になるので、トランジスタの知識は、いろいろなことに役に立つはずです。

電子部品は安くなるとともに革新も進んでいます。これから使おうとする2SC1815はオリジナルの(株)東芝では廃番になっているようですが、幸いに、オリジナルの会社製でないものもWEB上でたくさん安価なものが出回っています。

まだまだバイポーラトランジスタの需要があるということなのでしょう。

後で説明しますが、このHP の内容は、「低電力増幅用」であればほとんどのものが使えますので、電子部品を扱うWEB店で5個程度づつ数種類を買って見てもいいし、アマゾンのサイトでは、大量のものが安価に販売されていますので、電子工作を楽しみたい方は、いくつかを購入して実際に使ってみることで理解を深めるのが手っ取り早いでしょう。→Amazonのトランジスタをみる  


たとえば、トランジスタを使ってボリュームを回すとなにかが作動したり変化するという使い方や、暗くなったらチャイムが鳴るとか、雨水が一杯になるとアラームが鳴るとか、気温が下がってくると、何かをする・・・・というように、「何々であればどうする・・・」ということをセンサーとトランジスタでできるようになれば、面白いですね。

ここではまず、LEDを用いて電力(電流)増幅回路を説明します。

この記事は技術文書ではないので、トランジスタが初めての方にもわかるようにしたいので、何回も基本的な内容を繰り返し説明して、実際に回路を組んでそれを確かめながら進めていきます。

もちろん、ここで説明するものは、トランジスタの基本のさらにそのごく一部分ですが、「自分で何かができるようになる満足感」を感じていただくのを主眼にしています。

バイポーラトランジスタ

  

古くからあるトランジスタで、ここでは、2SC1815を使います。

これらの型番のトランジスタは数十円と非常に安いものですし、その他電子工作の本などでもしばしば出てくるものですので、数個を同時に購入しておくといいでしょう。

同様の型番でなくても使えます。最初であれば、どんなトランジスタが使えるのかを理解するのは難しいかもしれませんので、この2SC1815を購入するか、「低周波電圧増幅用」「低周波電力増幅用」などで探すといいでしょう。

例えば、何が使えるのかを見る場合は、WEBで「低周波電圧増幅 バイポーラ」などで検索すると、2SA1832 TTB001 2SD1415 2SB962・・・などたくさんの型番がヒットします。

次のページでは、どのようなものでもほとんどどれも使えることを説明しています。ともかく、手持ちがなければ、2SC1815を購入して、一緒に実験していきましょう。

2SC1815は、150mA程度までの電流が扱えますし、その他でも、500mA程度流せる安価なものもあります。ここではまず、データシートの簡単な読み方をしって、適当なトランジスタを探してみましょう。

下はデータシートの例です。 この2SC1815に限らず、ほとんどのトランジスタのカタログはWEBに掲載されていますので、必要なものを印刷しておくといいでしょう。

2SC1815のカタログ例

着目するところは、赤で囲んだ「絶対最大定格」「電気的特性及び、それを示すグラフ」です。

2SC1815最大定格値 東芝資料

まず重要なのは絶対最大定格です。ここには、使用できる条件範囲が示されており、これを超えると、トランジスタが破損するということで、この定格以内で使用しないといけません。

電子工作に使用する電源電圧は12V程度までが多いですので、ほとんどの電力増幅用のバイポーラトランジスタが使用できます。

もちろん、慣れるに従って、「突撃電流」「逆電圧」など、瞬間的に発生するノイズなどに対処する必要はでてきますが、これらは、必要な場合に対応を考えることしして、電圧、電流、温度などが関係している「絶対最大定格は厳守する」・・・と覚えておいてください。

ここでは、コレクタ電流が150mAまで流せるということに注目しておきます。もっと多くの電流を流したいのなら、この数値が高いものを探さないといけません。

2SC1815電気的特性2SC1815データ

その他で見ておくポイントは、電気的特性の直流電流増幅率が100程度であることや、コレクタ電流を100mA流す場合には、ベース電流は少なくとも1mA以上に必要であることや、さらに、電源電圧は1Vでは100mA流したときの増幅率が低下するので、高い電源電圧を使うようにしたほうがいいこと、熱による増幅率の影響がどれくらいあるのか ・・・ などを見ておきます。

これらをきっちりと理解するにはいろいろな知識が必要になるのですが、ここで使おうとしているのは、直流の少電力の制御だけですので、使ってみてから、何かあれば考えればいい・・・ということにして先に進みます。

ちなみに、私の手元にあるその他のいくつかのトランジスタについて使えるかどうかを見たところ、NPNタイプでは、2N2222、2N3904、2SC945など多くの電力増幅用のトランジスタが使えそうだということがわかりました。

次のページで紹介しています) 反対に、S9018などのように、2SC1815よりもコレクタ電流の許容値が少ないものもあります。

このように、データシートを絶えず見ていると、それが使えるのかそうでないのかが徐々にわかってきます。

ともかく、手元にトランジスタがあるなら、これから使おうとするのような少電力の用途では、どんなNPNトランジスタであれば使えそうな感じですので、データシートをみて、手持ちのものが使えるようなら使ってみましょう。


基本的な回路で考えてみましょう

まず、一般的には、電圧増幅や電力増幅は「エミッタ接地方式」で考えるのが基本・・・と覚えておいてください。

ここでは、電子回路の勉強ではないので、その他の方式については、必要に応じて考えることにして、エミッタ接地で考えていきます。

トランジスタを使った実験回路

上左がエミッタ接地方式の回路例です。

3本の足については、データシート(仕様書等)で確認します。矢印で示される足が「エミッタ」ですが、これが直接にGND(アース)に接している回路を「エミッタ接地」という言い方をしています。

例えば、この図で負荷(右図の場合は抵抗器とLED)がエミッタの下側にあれば「コレクタ接地」ということになり、この違いなどを理解しなくてはいけないのですが、ここでは、「かんたんに増幅できたらいい」・・・としていますので、細かいことはスルーします。

この図は、トランジスタ2SC1815を使って、ボリュームを回すことでLEDの明るさを調節できるような回路です。これを例にして考えてみましょう。

基本回路は左の図です。

右側が実際の回路図ですが、ボリュームの下側にアースへの「みどりの点線」があリます。

突然、このような回路が追加されることがよくあります。 これは説明されないとよくわからないと思うのですが、ボリュームを最大にすると、多分、LEDは消灯するのですが、その状態でも、少しの電流がトランジスタのベースに加わって、LEDが消えてくれないかもしれない・・・ということを防ぐために付加された回路なのです。

つまり、可変抵抗を最大にした時に、LEDが消えてほしいので、余分な電流をアースに流してしまおうというための回路です。

これは後で説明しますが、最初からそれを考えるのは難しいと思いますので、ここでは、アースを取っていない状態で進めていきます。


回路を見てみます。

赤枠のLEDの下にある固定抵抗は「LEDの電流制限抵抗」でしたね。LEDに一定の電流を流して光らせるためのものです。

たくさんの電流を流すとLEDが切れてしまいます。そのために、抵抗器を入れると、抵抗とLEDには(計算上は)同じ電流が流れるので、抵抗を入れることによって、電圧降下とともに、流れる電流を制限してやろう・・・という考え方のために回路に直列に入れています。

(直列つなぎの場合は、そこに流れる電流は同じという基本的な内容ですが、わかりにくかったら、もう一度合成抵抗のところを読んで理解してくださいね)

この抵抗値を決めるための計算をします。 そのための仮定として、

①LEDで2Vの電圧降下がある 
②LEDには15mAの電流を流して光らせる ・・・とします。

(これは一つの仮定ですが、基本的なことですので覚えておきましょう。 1.9V・10mAなどと書いてあることもあります。これであれば10mAの電流を流すのが標準で、1.9Vの電圧降下があるLEDということです)

そうすると、オームの法則 R=E/Iから、R=(5-2)/0.015=200Ω というように数値が導き出せます。

この200Ωですが、この抵抗値の抵抗器は市中では販売されていませんので、市販されている抵抗器で最も近い値の「220Ω」を使う・・・ということで、この抵抗値は220Ωにすると決まります。

これで、1つの値が決まりました。

次ですが、上の図で、点線青枠の上側の固定抵抗は、トランジスタのベース電圧を与えるもので、ここでは、別の電源から持ってくるのではなくて、電源から分圧させてトランジスタのベースに加えるために、青点線内の抵抗器によって、電圧を下げて、さらに、電流値を制限してトランジスタのベースに加えるための方法です。これについて考えていきます。

この抵抗値を決めるためには、ベースに流れる電流が、トランジスタを通ってコレクタに流れる電流をコントロールさせるのですが、この時に、(ボリュームが0Ωの時に)最大15mA程度のコレクタ電流が流れてLEDが点灯するように計算して、その抵抗値を決めてやればいいことになります。

この「可変抵抗=ボリューム」の役割ですが、ボリュームを回して抵抗値が増すことで、ベース電圧が下がり、その結果、LEDの光が弱くなります。

上の固定抵抗と直列になっているので、可変抵抗器と固定抵抗には同じ電流が流れます。そして、ボリュームを回して抵抗値が増えると、ベースに加わる電圧が小さくなることがイメージできますか? 

つまりここでは、可変抵抗器の抵抗が「0」の場合で、コレクタ電流が最大になるようにベース電流を計算すればいいことになります。

この書き方では、わかリにくいかもしれませんが、わからなくても、何回か同じような内容を書いていきますので、徐々にでも、わかってくると思いますので、ここではこれを、変な文章と思わずに読み進めてください。

【説明の補足】この書き方での電流と電圧と電力というものがわかりにくいのではないでしょうか? 私も、長い間、何のことかわかりませんでした。

ここまでの説明で、少し変?・・・だと思わなければ問題ないのですが、上には、「ベース電流ではなくて、ベース電圧」と書いてあります。この辺がわかりにくかったのですが、しばしば、「電圧と電流はよく似たもの」と考える場面がよく出てきます。

これについては、都度に説明するようにしますが、今回の場合は、ベース電流を制御することで、LEDを通してトランジスタに流れるコレクタ電流を制御するということを言っています。 つまり、直列に繋がれた回路に流れる電流値を変えるということは、その電圧値を変えているということが言える・・・というのです。

まだまだわかりにくいでしょうが、ここでは、これは、「こんなものだ」と受け取っておいてください。

トランジスタの特性で検討するところは、特性表を見ます

まず、この回路では、先の表にあった「最大定格」を超えるような条件ではなさそうですので、コレクタ電流を決めるときに、まず、「電流増幅率」に着目します。 

ここでは、電流増幅率は、標準の「100」として考えます。 データシートには色々な試験値が示されていますが、全く条件が合致した試験値が示されているとは限りませんので、示された表の数字で適当なものを選ぶことになりますが、これは、徐々に慣れるしか仕方がないような気がします。

ここで、「適当」というのは、変な言い方ですが、上のグラフにあるのは、25℃でのエミッタ電圧が6Vのとき150ですので、ここで使おうとしている 100 ではなく 150 として計算してもいいでしょうし、極端に言えば、200 で考えてもいいというのが「適当」ということですが、後で実測しますので、何かの数字を使えばよいということで 100 とします。


トランジスタを考える時の「3つの基本」

これからの内容は、理解して覚える必要があります。計算の基本になる考え方ですので、何回もでてきますので、覚えるようにするといいでしょう。

【1番目】 ここでは、コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h という関係を利用します。必要なIcとhが分れば、これを使って、必要となる「ベース電流」が求められることになります。

【2番目】 次に、コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie と考えます。

エミッタ電流はコレクタ電流にベース電流が加わったものになりますが、ベース電流に対するコレクタ電流の増幅率が100なので、コレクタ電流に比べてベース電流は1/100、すなわち、1%ですので、その程度の違いがあっても問題ないと考えて、コレクタに流れる電流とエミッタに流れる電流は計算しやすいように、「等しい」と考えてよい・・・とします。簡単にしようというだけのことです。

【3番目】 更に、エイヤッと、 エミッタベース間電圧Vbe=0.7V とします。

コレクタ電流を流すためには、ベースとエミッタ間に電圧を与えないといけません。これは、どのトランジスタにも必要なもので、下の特性表を読むのも一つの方法ですが、細かい条件は合致しないので、それを「エイヤッ」と「0.7V」とするのです。 

下のデータシートにもあるのですが、トランジスタの型番や条件によって、多くは 0.6~0.8程度 なので、これを 0.6や0.65 として計算する人も多いようですが、ここでは 0.7 と決めただけのことです。

下図では温度によってベースエミッタ間電圧が変わっていることが示されており、0.4V以上のベース・エミッタ電圧をかけないとベース電流が流れないことが読み取れますので、そのために、そこそこのベース電流を流すためには、どのようなトランジスタでも、0.6~0.7V程度の電圧をベース-エミッタ間にかけてやる必要があるので、それを 0.7V と決めただけです。

ベース電流と負荷電圧

以上のこの3点から、(ボリュームの抵抗値は後で決めるとして) 必要な数値が(一応)計算できます。 もう一度書くと、

①コレクタ電流Ic=ベース電流Ibx電流増幅率h
②コレクタ電流Ic=エミッタ電流Ie
③エミッタベース間電圧Vbe=0.7V
   ・・・の3点です。

この回路では、この3つを使わなくても良いのですが、エミッタ側に抵抗があったりして複雑になっても、常に、この3つで未知の数値を求めることができます。

この基本の考え方はよく使います。何回か出てくる間に、覚えていきましょう。

それでは計算しましょう。

①から、ベース電流は 0.015A/100=0.00015A つまり150μA流すことによって、(5-0.7)=4.3Vの電圧降下させるのですから、R=E/I から、28.7KΩの固定抵抗をつければ良いことになります。

そして、市販の抵抗では、28.7kΩという値のものはないので、22kΩか33kΩを使用すればいいことになります。

(LEDに220Ωの電流制限抵抗をつけていますので、33kΩではなくて22kΩにしたとしても、LEDに電流が流れすぎて危険になることはありませんが、一般的には、電流を多く流さないように、大きめの抵抗を選ぶのが安全だと言えます。このため33kΩが正解だとしておきます)

これらの抵抗に流れる電力(電圧x電流)は小さいので、1/4Wでも、1/8Wなどの小さい抵抗器でいいでしょう。

さて、最後のボリュームの抵抗値ですが、「エイヤッ」と100kΩとしましょう。

可変抵抗ですので、もっと大きい1MΩなどでもなんでもいいのです。 ここでは、ボリュームを回しても、LEDが点いている(あるいは、全く点灯しない)のなら、可変抵抗値を変えればいいだけですので、ここでは適当に100kΩの可変抵抗器を使うのですが、それが適当かどうかは計算してみるといいかも知れません。しかし、このような「勘での『適当な』値ぎめ」はたびたび必要なことと思っておいてください。

慣れてくるとわかってくるのですが、このようなLEDを点灯する回路では、電流値が少ないので、燃えだすことはありませんので、しばしば、適当な思い切りで値を決めるのも「アリ」でしょう。

ボリュームの抵抗が最小の「0Ω」の場合には、ベース電流は計算したように150μAですし、最大抵抗のときには、(5-0.7)/(100000+33000)≒33μAと計算されます。

もしも、1MΩの可変抵抗を使うとすれば、最小電流は、(5-0.7)/(1000000+33000)から、4μAとなり、ボリュームを最大抵抗値にしたとしても、いずれにしても可変抵抗器には「常に」若干の電流が流れています。

つまり、100kΩの可変抵抗で、この33μAがLEDの明るさにどのように作用するのかわかりませんが、このままにしておくと、LEDが消えない可能性も考えられるので、それをアースに流して、ボリュームを最大にした時に、ベースに電流が行かないようにしよう・・・というのが今回の上の回路図(緑の点線部分)です。

ボリュームで抵抗値を最小にした時にベース電流が最大になって、コレクタ電流も最高になるのですが、この場合に、100kΩの抵抗に流れる電流は、いくらになるのでしょうか? 

ちょっと計算が面倒そうな感じなので、まずは測定してみましょう。・・・ 8μAでした。

これを計算しようとすると、どうすればいいのでしょうか? 

何か難しそうですが、ベースからエミッタに流れる時に トランジスタ内で 0.7V 電圧低下するというのが「3つ目」の考え方でした。

つまり、100kΩで0.7Vが電流が流れて0Vになるのですから、R=E/I から 0.7/100000=0.000007A、すなわち、計算では7μAが流れます。 測定値8μAでしたが、少し違うのは、いろいろな少しずつの誤差のため・・・と考えればいいでしょう。次の図でイメージしてください。

検討用回路の例

そうなると、ボリュームが最小のときは、100kΩの抵抗がないとして計算した電流値が150μAは、100kΩに計算値で7μAが流れるので、ベース電流Ibは150-7=143μAがベースからエミッタ側に流れる電流値ということになります。

アースを取ることで、少しだけトランジスタのベースに流れる電流が減ることになりますが、それはともかく、考えたことが正しいかどうかは、回路を作ってテストすればいいのです。

ブレッドボードで回路を作ってみましょう

使用した部品等 LEDと2SC1815

点灯させてみた

このように組み立ててから、電流を測るために、回路の一部を切って、テスターをつないで、下の回路図に沿って測定した値を示します。

回路の実測結果

ボリュームを回すとベース電流が0から0.12mAになり、それに伴ってコレクタ電流が0から11.5mA流れるようになっており、ほぼ、計画通りになりました。

写真のように、ボリュームを回すと明るさが変化します。これで目的達成で、成功です。

これまで、ボリュームからアースさせることを無視して計算をしてきましたが、これは、コレクタ電流に比べるとベースに流れる電流は小さいので、無視しても問題ないと考えたためでした。

しかし、ボリュームを最大にしても0.034mAがベースに流れるのであれば、増幅率が100なので、3.4mAがコレクタに流れた状態になるので、ボリュームを回してもLEDは消えずに点灯しっぱなしになってしまいます。

だから、ボリュームを最大にした時に電流をアースに流してベースの方に流れないようにするのがこの「アースを取る」ことなのです。

こういうことは、初心者の方が回路を頭の中でイメージしても思いつかないし、予期して考えることは無理なことと思いますので、回路を組んで見て、それを動作をさせてみるとLEDが消えてくれない・・・ ということがわかって初めて、次の手を打つ必要があることがわかります。

つまり、このように「なぜボリュームいっぱいにしても『消えないのだろう』」というような問題が起きてからでないと解決策がわからない・・・ということも起きてしまうのは仕方がないことです。

これがある意味で「電子工作の面白さ」でもあり「難しさ」なのですが、ここでの内容を読んだだけではわかりにくいと思いますので、読み流しながら手を動かして見るようにしてください。


【電流増幅率は・・・】 ここで、最初に、電流増幅率を100としましたが、ベース電流の最大値0.12mAとエミッタ電流の最大値11.6mAから、約97の増幅率のなっており、「エイヤッ」と決めた値も、結果的に正解だったようです。

このようなトランジスタを使って、簡単に電力増幅をすることができますので、、まず、自分の手で回路を作って、それを計算して、最後に測定して確かめる・・・という一連のことをやっておけば、真の理解ができていくと思います。

書籍などに載っている回路は、実際に回路を組んでいるので、ほとんど問題は起きないのですが、自分で考えて回路を組むと、予期しないことやわからないことが起こるかもしれませんが、それは仕方がないことで、自分が楽しもものでは「危険がなければいい」という程度に考えておくのがいいかもしれません。

次の記事は、少し寄り道して、2SC1815以外の、いろいろなトランジスタか使えるということを紹介しています。

→バイポーラトランジスタの互換性を見てみよう

→ INDEX(目次)のページへ


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電子工作記事の目次

最小限必要なことのおさらい(1-1)

最小限必要なことのおさらい(1-2)

最小限 必要な準備をしましょう

LEDで遊んでみよう

Arduino用センサキットのLEDで遊べそうですか

モーターを使って遊んでみよう

DCモーターの回転数を変えてみる

DCモーター用のドライバー

電子工作に使えそうなバイポーラトランジスタ

バイポーラトランジスタの互換性を見てみよう

バイポーラトランジスタのダーリントン接続

電界効果トランジスタFETの基礎

発振によってBEEP音を出してみよう

マルチバイブレータでLED点滅

その他の発振回路:少部品で確実に発振する回路

CdSセルを使ってみよう

電子工作に使うスイッチ類

メカニカルリレーを使った自己保持回路

磁気に反応するホールICを使ってみる

磁気センサの「磁気抵抗素子」

メロディーICを使ってみましょう

サーミスタと温度センサICを紹介します

光を利用する発光受光素子

オペアンプの使い方(1)オペアンプと電源

オペアンプの使い方(2)コンパレータ

オペアンプの使い方(3)非反転増幅

オペアンプの使い方(4)反転増幅回路

オペアンプを使った発振回路

タイマーIC NE555を使って見よう

コンデンサマイクのためにミニアンプ試作

テスターとオームの法則から始まる電子工作

応用のページのINDEX(目次)

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