楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

電子工作に使えそうなスイッチ類

押しボタンスイッチやリレーなどは電子工作に欠かせません。 ここではメカニカルなものだけで、半導体リレーなどの電子的・無接点のものは除いてます。

あわせて、突入電流、サージ電流、チャタリングなど、スイッチに起因するノイズなどを簡単に説明します。

(この記事は、OMRON、村田製作所のHPと、誠文堂新光社 小島昇著 電子部品図鑑などの書籍やHPを参考にさせていただきました)

スイッチ(有接点スイッチ)

スイッチは、①回路の開閉 ②電気の流れの変更 などに用いられる電気部品です。

用途によって、様々な形や種類のスイッチ類があります。


電子工作に用いるスイッチ類は、大電力を切り替えるという用途は少ないので、「検出用スイッチ」「マイクロ・・・」とよばれる小さなものが使用されます。

しかし、分類や呼び方、区分は電力用スイッチ類と同様ですので、ひと通りを知っておくといいでしょう。

その区分には、「極と投」「接点の接触形式」「動作による分類」などがあり、使用する負荷や用途に適したものを使うようにします。

主なスイッチの形式には次のようなものがあります。

スイッチの種類と回路図

極と投

「極」とは「回路数」のことで、「投」は「接点数」のことです。

1操作(例えばボタンを押し込も操作など)で1回路のON-OFFができるものを1極、3回路を同時にON-OFFができるものを3極といいます。

上の図で、1回路1接点スイッチは、「1極単投」、2回路2接点スイッチは2極双投という言い方もあります。

上のように「1接点、2接点」と呼ばれたり、次に説明する「接触方式」を含めて呼称されることもあります。

例えば、上の図の1回路2接点スイッチは、「1極双頭型」「単極双投型」「C接点1回路スイッチ」などといろいろな呼び方がありますが、これらは同じものです。

接点の接触形式

A接点、B接点、C接点の3種類の形式があります。 小文字でa接点、b接点、c接点と表示されていることも多いようです。

A接点は「メーク[Make]接点」、B接点は「ブレーク[Break]接点」と呼ばれることもあります。

スイッチの接点の種類と動作

動作

小電力用の押しボタンスイッチには、押している間がONになる「モーメンタリー」動作と、押した後に手を離してもONのままの「オルタネート」動作のものが基本です。


商用電源用では、それに加えて、プッシュプル、プッシュロック、ターンリセットなどがあります。

よく使うものは、下図でイメージできると思います。

スイッチの動作形式

小電力用スイッチの例

私が電子工作に使っている手持ちのスイッチのうちの数種類を示します。

押しボタンスイッチ例 プッシュスイッチ

モーメンタリーの1回路1接点スイッチ(A接点)のプッシュスイッチは、比較的大電流用途のものをいう場合が多いのですが、電子機器で多く使われる形状の小さなものは「タクトスイッチ」などと呼ばれます。

テクとスイッチは回路基板に取り付けて用いるタクタイルスイッチ(Tactile Switch)のことで、押すと、「プチッ」とした感触があるモメンタリーの小型スイッチのことを指します。

リミットスイッチは、マイクロスイッチを樹脂などで埋め込んだスイッチを言い、電子工作では、下のようなヒンジタイプのものが使いやすそうです。

リミットスイッチ例 リミットスイッチ

これは、モーメンタリーの1回路2接点スイッチ(C接点)のリミットスイッチで、例えば、扉や引き出しなどを開閉するとスイッチがON-OFFするような用途に使われます。

プッシュスイッチ例 オルタネートタイプのプッシュスイッチ

オルタネートの2回路2接点スイッチ(C接点)は、ON-OFF状態が保持されたりリミットスイッチとしても使えるので、電気機器にはたくさん使われています。

トグルスイッチ例 トグルスイッチ

これは保持タイプの1回路2接点スイッチ(C接点)です。 バーをどちらかに倒すことでON-OFFするスイッチで、中立位置(常時OFF)のあるものもあります。

その他には、スライドスイッチ、ロータリースイッチなど、たくさんの形状、種類、呼び方のものがあります。

電卓などに使用されている、導電ゴムを接点にしたキーパッドなどの特殊なもの(カスタム仕様)を含めると、さらに非常に多くのスイッチ類があります。

、電子部品用のスイッチなどは、寸法などが規格化されていますので、プリント基板やブレッドボードに用いるときにはリード(足)のピッチと細さに見合うものを購入するようにしましょう。


スイッチに関するいくつかの注意点・問題点

【使ってみないとわからない使用感】 スイッチ類は非常に多くの種類があって、何を買っていいのか戸惑うのですが、種類(回路数と接触形式)を間違えなければ、全くハズレはないものの、使用感などはデータシートではわからないところもありますので、自分の求めるものは、できれば、自分で感触を見て購入するのが無難な感じがしています。

【ノイズの発生があります】 スイッチや接点があるものは、ON-OFFの際にノイズが発生します。

部品単体のことよりも、このノイズのことを知っておくと良いので、簡単に説明します。

突入電流・サージ電流・チャタリング

これらは、瞬間的な電流変動で、スイッチ以外でもコイルやトランス、接点のある回路などで発生するヤッカイモノで、回路に悪い影響を与えます。

完全に防止することは難しく、専門的で多岐にわたるので、イメージできる程度の紹介程度にとどめます。

下図は、直流の場合のイメージ図です。

突入電流、チャタリングについては電源を入れたときのイメージを示し、サージは運転(作動)中に起こる場合の状態をイメージ図にしています。

スイッチに内在する問題説明イメージ図 (イメージ図です)

完全な除去は難しいのですが、実際の回路に用いられる一般的な対策例をこちらの次のページ(自己保持回路)の後ろの方に紹介しています。

【突入電流】 

回路中にコイル(巻線)があれば、自己誘導が起きて電流のON-OFFの瞬間に大きな電流が発生します。 

また、コンデンサでも、その性質上、電源を入れた瞬間に大きな電流が流れます。

白熱電灯などでも、抵抗と電流による温度変化などで同様に、スイッチを入れた瞬間に大きな電流が流れます。

それらで起こる、特に電源を入れたときの大きな電流を突入電流といいます。

スイッチを切った瞬間には、逆向きの過大電流が流れる場合があります。

ときには、この過大電流は「電流の熱作用」で発熱を生じ、誤作動や故障の原因になリます。

スイッチやリレーなどでは過大電流に対する、ある程度の余裕を持った設計がされているのですが、これを防止する基本的方法としては、大きい電流を急に加えないことが最善の対策となります。

また、電子機器では、コイルによる高い逆電圧は機器を破壊する場合もあるので、ダイオード類やコンデンサを使った対策が一般的ですが、根本対策は簡単なものではありません。

【サージ】 

突入電流は、回路で生じるものですが、サージは雷などの放電、電流や磁界電界の急変などによって、過渡的な電圧変化(サージ電圧)に伴う電流変化(サージ電流)が生じるものを含んだものなので、これは、回路内外に起因するものだと言えます。

スイッチによるON-OFFの瞬間に電流の急変やスパークの発生などがあると、非常に短時間のサージ電流が発生する場合があります。

同様に、交流回路においても、ノイズが外部から回路内に侵入することで、電流だけでなく波形の乱れによる様々な問題が出ます。

これについても、やはり完全な対策は簡単ではありません。

【チャタリング】 

接点の接触の瞬間に発生する接点の振動で電流が急変(振動)する現象をいいます。

ON時とOFF時にこれが発生する場合があります。 ・・・ というよりも、たえず起こっているものだとされています。

可動接点があれば生じ、また、根絶も簡単ではありません。

*****

つぎに、電子工作のように、小さな電力で作動させるスイッチで、スイッチを購入する場合の注意点があります。

「最小負荷電流」に注意が必要です

スイッチやこのあと説明するメカニカルリレーなどの接点がある電子部品については、耐電圧などの定格には気をつけるのは当然なのですが、特に低電力の電子工作では、その反対に、定格内であっても、小さな電流電圧で作動させるときのことにも注意しなければなリません。

それは「最小負荷電流」について意識しておく必要があります。

接点のON-OFFで電流を流したり切ったりする場合に、通常は、接触部の摩耗と「セルフクリーニング」が同時に起こって、それで接点の状態を正常に保っています。

しかし、小電力になると、その自浄作用に対する力が小さくなって、セルフクリーニングが充分に行われないために、接触不良等が生じやすくなります。 

いわゆる、劣化している状態になります。

これの対策には、①小電力(微小電流、微小電圧)でスイッチやリレーを常用するところには「微小負荷用」のものを使うか、②データーシートなどに示されている仕様に「最小負荷電流」が示されているものを購入して、「最小電流以上で使用する」ことを心がける必要があります。

これは意外なことですが、微小電流で使う場合の問題として覚えておく必要があります。

寿命

スイッチやメカニカルリレーなどの有接点部品は、「機械的耐久性」「電気的耐久性」に関係する寿命があります。

最近の部品類は、何十万、何百万回の開閉に耐えるように作られており、非常に長寿命になっているものの、環境や条件によっては、その何分の一以下になるのは通例だと考えておく必要があります。

開閉頻度の高いものは、余裕を持って定期的に取り替える必要のあることもの・・・だと考えておきましょう。

例えば、10万回に耐える仕様であれば、毎秒1回、四六時中開閉していれば、1日60x60x24=86400秒 なので、数字的には、1日少ししか保証されていないことになります。

実際的には、このような使い方はしませんし、それで壊れてしまうことも少ないと思いますが、有接点の部品は、「劣化するもの」ということを認識して、重要な部分は更新(定期的に取り替える)するように対策する事を考えておくのがいいでしょう。


リレー(メカニカルリレー)

最近の電子工作は無接点のものもありますが、ここでは、多く使われる有接点のリレー(ここではメカニカルリレーをいいます)について紹介します。

これらのリレーを使って電子工作の回路を組むと、結構、楽しみがあります。

小さな信号を加えるだけで、商用電力や大きな電流の機器などを簡単に制御できるのは魅力的です。

リレーも、スイッチと同様に、回路のON-OFFや信号とワーク(動作させる機器)回路を分けることができるようになっています。

メカニカルリレー1 メカニカルリレー2

メカニカルリレーの特徴

このように書くと難しいようですが、回路が分離できるというのはすごいことですね。

リレーも特徴を説明する回路図

リレーコイルに電流を流すと、「カチッ」と小さな音がしてON-OFFするのは、レトロ感もあって、電子的な無接点リレーとは違う楽しさや面白さが感じられると思います。

小さいリレーはマイクロリレーと言う呼び方もあり、通常でよく使うものは、負荷側が「1回路1接点」または、「2回路2接点」のものが一般的です。 上の写真は両方とも2回路2接点です。

1接点のものはON-OFF動作のみですが、2接点のものは、ON-OFFとともに、信号の分岐ができるので利用範囲も広いでしょう。

保持動作

動作では、リレーに電流を流している間はその状態を「保持」しています。

それを利用して、機械などの電源をONすると、スイッチから手を離しても機械が動き続け、「OFFスイッチ」を押すことで機械を停止する・・・という基本動作をさせることが多いのですが、それを「自己保持回路」といっています。

自己保持回路の説明はこちらのページで紹介しています。


その他のメカニカルなスイッチ類

電子工作で使えそうないろいろなスイッチがあるので紹介します。 いずれも100円以下の安いものですので、使いみちを考えるのも面白いでしょう。

リードスイッチ

リードスイッチ例

小さなスイッチです。 磁石(マグネット)を近づけると内部に封入された接点がくっついて ON になり、磁石を遠ざけると OFF になります。

磁石の位置でタイミングなどを決める用途で使えそうです。 

ドアの開閉の感知もその例ですが、磁石の接近でLEDランプを点滅させるのは、簡単な回路でできます。(これは1例で、いろいろ考えると面白いでしょう)

リードスイッチの実験 リードスイッチを使った回路例

実例

アームの回転に合わせて点滅するYou Tube動画を御覧ください

ギヤボックスのアームの先に小さなマグネットを貼り付けてあり、ギヤモーターでアームを回すと、永久磁石がリードスイッチに近づいた時にLEDが光ります。

例えば、鉄道模型の電車が踏切に近づくとランプが点滅するとか、何かが動き出すタイミングを取る・・・など、なにかに使えそうなアイテムですね。

転倒(傾斜)スイッチ

傾斜スイッチ例1 傾斜スイッチ例2傾斜スイッチ例3

私の手元にあるものの写真ですが、これらは中にボールや「振り子」が入っていて、それが移動して接点に接触・離脱をすることでスイッチのON-OFFができるようになっています。

きっちりとした角度でON-OFFするという高精度さは無いのですが、これらもうまく使うと面白い物ができそうです。

たとえば、水平においたテーブルが傾くとブザーが鳴る・・・などの、バランスゲームのようなものを考えるのも面白いかもしれません。


Aruduinoのセンサキットにあったスイッチ類

Aruduino(アルディーノ・アルデュイーノ)についてはこちらのページでも紹介していますが、ワンボードコンピュータで動作させる開発環境を提供するためにイタリアで開発されたツールです。

それに使うMade in China製の安価なセンサキットが多く販売されており、それを購入したところ、アナログの電子工作で使えそうなものがあるので紹介します。

ボールスイッチ Ball switch

ボールスイッチ ボールスイッチ2

中に小さなボールが入っており、振るとそれが動くのが感じられます。傾けると2つの端子が導通するようになっており、上に紹介した「傾斜スイッチ」と同じようなものです。

水銀スイッチ Tilt switchとLight Cup

購入したセンサキットには同じ構造のものが2つ入っていました。傾けると水銀が流動して接点をつないでONになる・・・というものです。

そのうちの(下の写真の) Light Cup では、同じものが2つセットにしてあり、ArduinoのWEB記事を見ると、この2組をつないで動作させると、交互にLEDが点灯するプログラムが紹介されていました。

私自身は当面はAruduinoを使うことはなさそうなので、そのうちの1つを分解したところ、水銀の玉が流動して2本の端子を短絡させることによってON-OFFスイッチの働きをしていることがわかります。

3~4本の足がでていますが、いずれもスイッチとして使用するのは2本の端子で、Tilt switch のモジュールでは、両端2本(Sとマイナス)がスイッチON-OFF用で、真ん中とマイナス端子の2本をつなぐと、ONになったときに、小さなLEDが点灯するようになっています。

そして、Light Cup も、スイッチが入るとLEDが点灯するようになっています。

このユニットを傾けるとONになり、もとに戻すとOFFになります。

ティルトスイッチ ティルトスイッチ2

ライトカップ ライトカップ2

ライトカップ3 

傾斜させると、内部で水銀が接触してスイッチがONになる様子

ライトカップ4

確実にON-OFFするのですが、中に「水銀」が使われているので、安全を考えると、この製品も、ボールを利用した傾斜スイッチに変わってゆき、今後は次第に消えていくのでしょう。

振動スイッチ

このスイッチは、振動を加えるとスイッチが入る仕組みになっているようです。しかし残念ながら、うまく作動しません。(故障しているようです)

使えないので分解したところ、写真のように、比較的太い芯棒に銅線のコイルが巻かれており、センサに振動が加わると、バネが揺れて芯棒に接触してスイッチが入る仕組みになっています。

うまく作られているのですが、きっちりと働かなければ用をなしませんし、アナログで使おうとすると、一度ONになった情報を自己保持回路などで「保持」してやるなどの使い方をする必要がありそうです。

また、チャタリング(短時間で何回もスイッチがON-OFFすること)の悪影響がでそうなので、アナログでは、使い方が限定されそうな感じがします。

マイコンなどでプラグラムを組めば問題なく使えそうな感じですが、製品が壊れているので、結局、どの程度の振動でON-OFFするのかは確認できませんでした。

ショックスイッチ ショックスイッチ2

ショックスイッチ3 

分解すると、心棒にコイルがあり、全体が振動すると、コイルと芯棒が短絡して導通する仕組みです。

その他のスイッチには、もちろん、上で紹介したリードスイッチ(磁石を近づけるとONになるスイッチ)が2種類含まれていますので、それを含めると、8つのスイッチがAruduino用のセットに組み込まれています。

このセンサキットには37種のモジュール化された部品がセットになっていて、1モジュールあたり50円以下と安いので、何かのヒントになればと思って購入しました。

もちろん、不完動品やアナログでは使えないものもあるので、必要なものを単品で揃えるほうが無駄にならないとは思うものの、これだけあると、結構面白いものです。こちらのLEDの記事中にアマゾンのリンクを紹介していますので、興味があればご覧ください。


→リレーを使った自己保持回路

→目次のページへ 




  
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(来歴)R2.3記事作成  R2.4見直し  R2.8様式2カラムに  最終R3.7見直し

電子工作記事の目次

最小限必要なことのおさらい(1-1)

最小限必要なことのおさらい(1-2)

電子工作に使う電源のいろいろ(1-3)

最小限 必要な準備をしましょう

LEDで遊んでみよう

Arduino用センサキットのLEDで遊べそうですか

7セグLEDをアナログ的に使う

バータイプLEDを使ってみる

ろーそくICとはどんなものなのでしょうか

モーターを使って遊んでみよう

DCモーターの回転数を変えてみる

DCモーター用のドライバー

モータードライバーNJU7386を使ってみる

電子工作に使えそうなバイポーラトランジスタ

バイポーラトランジスタの互換性を見てみよう

バイポーラトランジスタのダーリントン接続

電界効果トランジスタFETの基礎

発振によってBEEP音を出してみよう

マルチバイブレータでLED点滅

その他の発振回路:少部品で確実に発振する回路

CdSセルを使ってみよう

電子工作に使えそうなスイッチ類

メカニカルリレーを使った自己保持回路

磁気に反応するホールICを使ってみる

磁気センサの「磁気抵抗素子」

メロディーICを使ってみましょう

サーミスタと温度センサICを紹介します

光を利用する発光受光素子

フォトインタラプタとフォトリフレクタ

オペアンプの使い方(1)オペアンプと電源

オペアンプの使い方(2)コンパレータ

オペアンプの増幅回路

オペアンプの増幅(2)

オペアンプを使った発振回路

タイマーIC NE555を使って見よう

タイマーIC「555」を使い倒そう 

コンデンサマイク用ミニアンプを試作

10進カウンタICとシフトレジスタIC

ボルテージディテクタ・リセットIC

バイナリカウンターを使ってみよう

テスターとオームの法則から始まる電子工作

応用のページのINDEX(目次)

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