楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

サーミスタと温度センサICの例を紹介します

温度センサには ①熱起電力を利用する「熱電対」 ②精密温度測定に利用される「白金測温体」 ③サーミスタ ④温度センサIC などがあり、様々な目的で利用されています。

①は測定温度範囲が広いのですが、冷接点(基準接点)の温度補償が複雑ですし、②は高精度ですが、3点の抵抗測定などがあるので、ここでは、電子工作レベルで使いやすそうな、簡単で安価で0-100℃程度の温度範囲のセンサとして、 ③サーミスタ  ④温度センサIC について取り上げます。

また、センサーではないのですが、サーモスタット(サーマルスイッチ)についても簡単に紹介します。

サーミスタと温度センサICの例 サーマルセンサ67F070

(お断り) ここで紹介する内容は、技術的にきっちり検証された内容ではなく、電子工作に使えそうなヒントにできる程度の簡単な内容です。 

最初はサーミスタから・・・



サーミスタ

「サーミスタ」は温度によって抵抗値が変わる半導体電子部品です。 

サーミスタには、性質の違う2種類のものがあり、①温度が高くなるにつれて抵抗値が下がるもの ②温度がある温度に達すると、急に抵抗値が増すもの と2つの特徴ある性質を持つサイリスタが、用途に応じて使われています。

①は温度に対する抵抗値の変化が大きいことで、汎用的に使えそうな温度センサで、いろいろな用途に利用しやすそうので、ここではこの①の使い方を取り上げます。

この①のサーミスタは、温度に対して抵抗値が下がる「負特性:Negative」があることからNTCサーミスタと呼ばれており、温度測定や温度補償回路などに用いられます。

また、ここでは取り上げませんが、②のサーミスタは温度が上がると抵抗値が増す「正特性:Positive」からPTCサーミスタ と呼ばれて、過昇温警報や温度制限回路などに適しています。

通常は「サーミスタ」といえば、この①のことをさしています。 

サーミスタの例

これは①のタイプの標準的なもので、25℃における抵抗値が10kΩで、温度が上がるとともに抵抗値が下がるという特性があります。

ここでは紹介していない②のタイプのPTCサーミスタは、製造している村田製作所さんのものが有名で、「ポジスタ」と呼ばれており、これは、装置の温度が高くなると過熱状態を検知したり、過電流保護回路を働かす用途で自動車や家電製品などに使われています。

抵抗値が急変する特性を、リレーなどと組み合わせて利用すると電子工作でも面白い使い方ができそうですが、通常の電子工作では、①が多く使われているようですので、ここでは①のタイプを説明します。

抵抗の変化を電圧・電流の変化に変える

サーミスタ(NCTサーミスタ)は、素子の温度が上がると、抵抗値が下がる性質を持っています。

ここでは、103AT-2という型番を用いて説明しますが、通常の使い方を考えると「温度変化によって抵抗値が変化する」・・・と、温度と抵抗の関係は使いにくいということから、通常は「温度変化を電圧変化に変えて」使用されます。

このためには、サーミスタに電圧をかけて、抵抗値の変化を電流変化に変える方法や、抵抗を直列に入れることで、電源から「分圧した電圧」を取り出す方法が用いられます。

サーミスタを使う回路例

上の右図のように、電流変化(または抵抗変化)を利用する場合でも、抵抗値が変化すると電圧が変化するので、通常は、温度と電圧変化の関係として用いるのが一般的です。(ここに書いた変化曲線は適当なものでイメージ図です)

一般的に製品化を考える場合には、抵抗値を直並列にするなどで、必要な温度範囲の変化を直線に近づける工夫が必要になります。 この直線的な関係にすることを「リニアライズ」といいます。

温度を測りたい範囲の変化が直線的になるようにすることで温度誤差が少なくなるので、固定抵抗を入れて電圧変化にすると、直線的な変化になって扱いやすくなります。

データシートに記載の抵抗値が基準になります

ここで使用するサーミスタ「103AT-2」ですが、データシートの温度と抵抗値の関係は下表のようになっています。

サーミスタの温度と抵抗変化例 抵抗変化例

室温25℃で規定の抵抗値(この場合は25℃で10kΩ)になるように作られています。

サーミスタ単体を空気中におくと、その温度によって抵抗値が変わるので、それをこの表から読めばいいのですが、この数表を見やすいようにグラフに書いてみると、直線的ではないために、表にある温度の間の温度を知ろうとすると、面倒なので、少し使いにくいようです。

サーミスタを使って温度を測る

例えば、この写真のように、サーミスタだけの抵抗値では、室温33℃で7.74kΩとなっていて、この抵抗値をデータシートの表で見ると、30℃と40℃の間の抵抗値になっているのがわかります。

ただ、表は10℃ごとなので、30何度なのかを知るためには、区間が直線と考えて計算する方法もありますが、誤差は避けられません。

そのために、下のような方法で抵抗変化を電圧変化に変換すると直線に近づきます。 これがリニアライズです。

サーミスタ回路検討

5V(実測4.94V)の電源を用いて、10kΩ(実測9.99kΩ)の抵抗をサーミスタに直列にすることでOUTの出力電圧を測定してみました。

出力電圧の測定

ここで、サーミスタの環境温度を変えるのは大変なので、上の回路図の右側のように、サーミスタの代わりに可変抵抗で模擬的な抵抗値を与えて出力電圧を測定した結果が次のグラフです。

可変抵抗は、多回転の半固定抵抗を使えば、かなり正確に抵抗値を調整できます。

測定結果グラフ 測定結果表

結果は、このグラフのように、ほぼ直線になっています。 そのために、ある温度の時の出力電圧は、1次式 y=ax+b として 出力電圧=傾きx温度+0℃の電圧 で計算できるようになります。

この場合は、例えば、33℃の出力電圧は、傾きが(3.49-1.31)/50=0.0436  で、1℃の電圧差が0.0436Vということで、0℃の電圧が1.31Vなので、0.0436x33+1.31 から、33℃のときの電圧は2.75Vと計算できます。

逆に、上左の回路で得た電圧から温度を算出することもできますね。

抵抗値を使うと扱いにくい?

ここで、(前に戻るのですが)「温度-抵抗値」について、温度幅を上表と同じ0-50℃の範囲をグラフにすると、下のようになります。

データシートの抵抗値と温度 データシートの表抜粋

この温度範囲では、かなり直線に近づいているようですが、やはり直線ではないので、電圧に変換したほうが直線に近づいているので、補間誤差(表にある数字の間の場合の誤差)は電圧を用いるほうが少なくなっているでしょう。

また、この抵抗値との関係は右下がりの曲線ですので、右上がりになっている電圧と温度の関係のほうがイメージ的にも使いやすそうな感じがしますね。

固定抵抗を変えるとどうなる?

次に、固定抵抗を変えると、出力電圧がどうなるのかを見るために、10kΩを6.70kΩと32.8kΩに変えて測定しました。

実験結果集計

見た目では6.7kΩのときのほうが、直線的な感じがしますし、10kと6.7kの2つは直線的ですが、あと一つの33kになると、直線ではなくなってきます。

あるサーミスタメーカーの解説に、「固定抵抗値を直並列するなどで、温度範囲内の直線性を変えることができる」・・・とありました。

実際に回路を考える場合は「直線性」を検討したほうが良いのでしょうが、このサーミスタ(103AT-2)は室温25℃を基準にしているので、固定抵抗の値は難しいことを考えないで、サーミスタの呼び抵抗(この場合は10kΩ)にすると、このグラフにみられる程度の直線性が得られるので、使う場合にも大きな問題はないと考えていいでしょう。

ただ、電源電圧や固定抵抗値が変わると、出力電圧が変わるので、それに合わせてグラフ(や数表)を作り直さないといけないことになるのが少し不便なところでしょう。

ただ、これを測定する場合でも、疑似抵抗を使って測定すると、大した手間ではありませんし、一度やっておくと後々使えます。

もちろん、ここで使用したものと同じであれば、ここにある数字を利用いただくといいでしょう。

また、この電圧変換と直線化(リニアライズ)では、電源電圧の分圧が出力電圧なので、『出力電圧=電源電圧/(サーミスタの抵抗+固定抵抗)x固定抵抗』 という関係があります。

例えば、40℃になると何かの機器をON-OFFさせようとして、その時の出力電圧を求めたいなら、固定抵抗が10kΩであれば、40℃のサーミスタの抵抗値は5.827kΩなので、 5/(5.827+10)x10≒3.16Vとなります。

少しですが、実測値と50mV違っています。 

上のグラフでは、きっちりした値が読めませんが、ほぼ3.1V程度です。 そして、もう一つの1次式から、0.0436x40+1.31を計算すると、3.054Vとなり、やはり少し違います。

これらの違いは、精密測定ではないので、目をつむればいいのですが、気になる方は傾きの基準位置を変えたり、もっと個々について精密に測定すれば、ある程度は改善できるでしょう。

さらに、サーミスタの型番が変われば、これらの値は変わりますので、実際になにかに使おうとすると、考え方や要求精度は変わりますので、ここでは、一例を示している・・・ということで見ておいてください。

型番が変わったりすると、データシートから数字を引っ張り出す必要がありますが、電源電圧、サーミスタの抵抗値、固定抵抗の値、出力する電圧・・・ のうちの1つの値を求めることは問題ないでしょう。

なお、さらに注意する点としては、電源電圧が高い場合には、固定抵抗を小さくしすぎると電流が増えて発熱の影響がでたり、温度変化が急速な場合は、その温度環境になるまで、ある程度の時間が必要な点ですが、これらはどのようなセンサを用いても何らかの問題があるので、個別に対応しなければならないのは仕方がありません。

温度への応答時間もデータシートに掲載されていますが、わたしが使っている感じでは、応答が遅いという感じはありません。


これを使って何をするのか・・・というような応用例は後日に考えるとして、サーミスタは「電圧変化」を利用しますので、簡単に「増幅」ができますので、応用範囲も広い感じがします。

そうすると、たとえば、こちらで紹介したオペアンプやコンパレータを使うとON-OFF動作や何かができそうな感じがします。

WEBの記事を見ますと、サーミスタは様々なところに使われています。 温度測定や温度制御はもちろん、温度補償のためにこれらが用いられています。

さて、次にもう一つの「温度センサIC」について見てみましょう。

温度センサIC:MCP9700A

温度センサIC  MCP9700A MCP9700Aの足 結線図

温度センサICは、バイポーラトランジスタと同じような形をした「摂氏温度が電圧に比例して直読できるIC」で、「リニアアクティブサーミスタIC」というのが正式名称のようです。

ここでもちいるIC(MCP9700A)は、1℃の温度差が10mVの電圧差で高精度に出力されるようになっている電子部品です。

そしてうれしいことに、非常に安価ですし、温度を測るためだけでは、付帯部品もほとんど不要です。

このICでは、LM35という型番が最もポピュラーなようですが、ここでは、それ以上に安価なMCP9700Aを用いて紹介します。

回路図の一例

使い方は、3本の足につなぐだけです。

このMCP9700Aの場合は、0℃で500mV、100℃で600mVの電圧が出力されます。

ポピュラーな「LM35」との違いは、500mV(0.5V)のバイアスがかっていることです。

つまり、LM35は、たとえば、0℃で0V、100℃では1Vの出力電圧ですが、MCP9700Aではそれぞれに500mVが加えられた、0.5V、1.5V が出力されます。

価格を考えない場合は、0℃で0mVになるLM35のほうが使いやすそうな気がしますが、マイナス温度とプラス温度と0℃を跨いだ温度(例えば-20℃から+50℃など)を測りたい場合は、このMCP9700Aのほうが使いやすそうです。

「外付け部品が不要」とありますが、データシートの注意書きには、図のように1ピン(Vdd)と3ピン(GND)間に0.1~1μFのバイパスコンデンサ(パスコン)を「ピンに近づけて」取り付けること、また、ノイズの多い電源電圧をVddに入れる場合は200Ωの抵抗と1μFのパスコンを使うように指示があります。

温度センサICを使った測定例

今回は、Vdd(1番ピン)に3Vの電源をつないで、出力と室温を表示しています。 パスコンは使っていません。

テスターは830mVを示しているので、500mVを引くと330mVで、10mVが1℃なので、ICの温度示度は33℃ になっています。

温度計も33℃ですので、同じ示度になっています。(温度計の方もいい加減ですので、「プラスマイナス1℃の範囲の精度」と言っていいでしょう)

0℃以上の室温対象ならLM35は500mVのバイアスがないので使いやすそうな感じもしますが、冷蔵庫などに使う場合を考えて、このIC(MCP9700A)は、プラスマイナス処理をする手間を掛けないようにしているのでしょう。

データシートによれば、精度は「25℃を基準として、0~70℃の範囲で1℃以下」とあります。写真で比較している温度計よりも高精度なはずです。

付加する電圧は2.3~5.5Vとなっているので、上記の3Vを5Vにしたところ、830mVが834mVになりました。(電源電圧の違いで0.4℃の差が生じています)

どちらの室温が正しいのかは現状ではわかりませんが、温度の精度測定は難しそうなのでやりませんが、付加する電圧で若干の出力(示度)が変わるようですが、これも誤差の範囲ということで、±1℃の範囲で正しい・・・と考えておけばいいでしょう。

このように、簡単に温度が測定できる特徴のあるICですが、WEBの記事では、マイコンを使った例が多く掲載されています。

サーマルスイッチ 67F070(67L070)

67F070の外観

バイメタル式のサーモスタットで、型番67F070では、末尾の070が70℃で動作し、Fはその温度になったら「閉じる」(電気が流れる)動作をします。

回路に直列につなぐだけで、使用法も取り扱いも非常に簡単で、たとえば、指定以上の高温になれば「ファンを回して冷却する」などを簡単に行うことができます。

もう一方のタイプの 67L070 では、70℃になれば「開く」(電流を遮断する)動作ですので、購入時に動作温度と動作を確認して購入する型番を間違わないようにします。

型番によって動作温度が50~130℃までの製品ラインアップがあり、復帰温度も動作温度のおよそ20℃下の温度で復帰して繰り返し使用でき、115V1Aで1万回の開閉寿命があるので非常に安定して使用できます。

こういう物がある・・・ということを知っておくといいでしょう。

ただ、私はこの製品を@50円程度で購入したのですが、他の温度仕様の製品がなかった事と、WEBでの製品価格が千円以上になっているものもあるなど、非常にまちまちなので、購入しようと思っても、「購入に難有り」という場合もありますので、それもあわせて頭に入れておきましょう。


このHPはアナログが基本で、さらに高価な部品は使用しないようにしています。また、実際の使用例については別に考えるとして、ここではまず、部品の特性をイメージしていただいて応用を広げていただきたいと思っています。

温度センサーを使用して、実際に何かの動作をさせようとするには、オペアンプやコンパレーターを使って警報を出す方法などは、そんなに難しくなさそうなので、これらの部品は安価ですので、安いものを購入しておいて、時間を見つけて楽しんでみてください。

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