楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

フォトレジスター(CdSセル)を使ってみよう

フォトレジスターとは、光の強度で抵抗値が変化する電子部品で、硫化カドミウム=CdS を使うので、「CdSセル」と呼ばれていて、この呼び方のほうが一般的です。

CdS外観例

このCdSセルは、明るい光を受けると抵抗値が減少して数百Ωの抵抗値ですが、逆に暗いところでは抵抗値が増えて、数MΩになります。

光の量によって抵抗値が大きく変化する素子です。

この性質で、「暗くなったら電気をつける」「明るいときにはファンを回し続ける」などの、明るさに反応する利用範囲の広いセンサーです。

光の有無や光の強弱(の程度)で大きく抵抗値が変化するので、簡単な回路でそれを利用できるので、初歩の電子工作向きで使いやすいセンサーです。

下に書いたように、カドミウムが使われていることから、「フォトダイオード」「フォトトランジスタ」などの、光の強さを電流の量に変換するセンサ(→こちらで紹介)に代替する傾向はありますが、CdSセルは非常に優れた性質で、代替品はありません。

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CdSセルの「カドミウム」について

これが気になる人も多いかもしれませんが、カドミウムの入ったCdSセル自体を使用することは、危険なことではなく、体内に入ると危険・・・ということです。 

すでに「カドミウムCd」汚染は進んでおり、自然の放射性物質と同様に、避けることが難しいものですが、お米を食べても、体内に取り込まれるのですが、現在は、管理されているので、普通の食事では危険レベルではありません。

多量に摂取すると、イタイイタイ病で知られるような腎・肝機能低下や骨の機能が失われるので、RoHS(特定有害物質の使用制限)などで、世界的にカドミウムを含む製品を作らないように規制していて、これは、製造者(工場など)の規制で、CdSセルを使う、私達の規制ではありません。

日本は、世界的にみてカドミウムの生産、消費、輸出が多い国で、カドミウムの代替品がないものは、製造され続けています。 

CdSセルは、日本が外国の低価格に勝てないために、すでに製造されていないのですが、安価で優れたセンサーですから、現在も、日本で、外国製品が流通販売しています。

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現状では、CdSセルは使ったあとは廃棄しない

消費者(私達、電子工作者)は、どうすればいいのか・・・といえば、今のところ、安全に回収する仕組みができるまでは、捨てないで持ち続ける・・・というのが順当でしょう。

平たくいえば、CdSセルを使わないのではなく、家庭ごみなどで、安易に廃棄してはいけない・・・ということです。

CdSセルよりも、ニッカド電池1個を、生ゴミに混ぜて出すほうが、何十倍も危険です。 カドミウムの含有量が多いからですが、気になる方は、「カドミウム 危険性」などでWEB検索してみてください)

ほとんどの金属類は、無害のものが少ないくらいで、「有鉛ハンダ」の鉛(Pb)が問題にされることがありますが、「無鉛はんだ」も無害ではありません。危険度が低いということです。 

過剰反応も問題ですが、無知も危険です。 

うまく使うための正しい知識を持っていれば、危険や環境汚染は回避できます。 

優れた特性を持つCdSセルですので、うまく使っていきましょう。


CdSセルの特性

このCdSセルは価格も100円以下で、電子工作では、使いやすいもので、明るさによって、抵抗値が大きく変化します。 

実際に室内と戸外でどの程度の抵抗値になるのかを測ってみました。

直接に、テスターの抵抗レンジで測定します。

戸外での抵抗値 室内での抵抗値

日の当たる戸外では252Ω、室内では24KΩで、これに、黒い袋をかぶせて光を遮ると、何と、10MΩ以上に抵抗値になりました。

暗くなると抵抗値が増し、その差は実に、10000000Ω/252Ω=40000 倍以上もの抵抗値が変化するという、非常にすぐれた素子です。

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簡単な回路で特性を見てみましょう

CdS点灯基本回路   ブレッドボードで

このように、5Vの電源にLEDをつないで、CdSに照明光を当てると、抵抗値が低下して、10.7mAの電流が流れ、LEDが点灯します。 

そして、光源を遠ざけると、LEDは消灯します。

この状態の回路に流れる電流を計算してみましょう。

光を当てたときの抵抗値は①260Ω、当てないときが ②26KΩ とすると、光を当てた①の場合は、(LEDの電圧降下が2Vとすると) (5-2)/260=0.0115A=11.5mA となってLEDが点灯します。

次に暗い②の場合ですが、(5-2)/26000=0.000115A=115μA と1mA以下ですので、普通の室内の明るさでは点灯しない・・・ということが計算できます。

普通タイプのLEDは1mA程度から点灯し始めます。(電流とLEDの明るさはこちらの記事を参照)

もちろん、点灯する明るさを調節するには、抵抗器を直列に入れることで、ある明るさにならないと点灯しない・・・というように調整できますね。

ここでは、LEDの順電圧を2Vとして計算していますが、計算値と実際の値が違う場合がでても、CdSセルの抵抗の変化量が大きいので、気にしなくてもいいでしょう。

ただ、この回路はおかしいですよね・・・???

明るいときにLEDが消えるのでは、あまり役に立つような回路とは言えません。暗くなるとLEDが点灯する・・・でないといけませんね。

つまり、この場合は、LEDが点灯するのは実用的な使い方ではないことになりますが、LEDを点灯させるのではなくて、明るくなれば「カーテンが閉まる」・・・というような回路であれば、この回路も使えます。

このように、LEDやモーターと連動させて、役に立つ動作を実現させてくれるセンサーがCdSセルです。 

ともかく、アイデア次第で面白いものが出来そうですから、次に、明るくなればLEDが点灯するのではなくて、暗くなったらLEDが点灯する回路を考えましょう。

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バイポーラトランジスタを使う、今までの回路で・・・

下左の回路図がボリュームでLEDの明るさを変える回路でした。(こちらのページで紹介しています) 

それを下右図のように、ボリュームの代わりに、CdSセルを使えば暗くなると点灯する回路になります。

回路比較

最終回路ブレッドボードに

これで、比較的薄暗い室内では12.3mAの電流が流れてLEDが点灯し、周囲が明るくなると消える状態になります。

もっと暗くならないと点灯しないようにするには、CdSの直上か直下に100-500kΩの可変抵抗(ボリューム)をつけて調節するといいでしょう。

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さらなる応用は?

このCdSセルのその他の使い方は、いろいろとイメージできるでしょう。

「夜が明けて明るくなるとベルや音楽を鳴らす」 「夕方暗くなってくると、イルミネーションを光らせる」 「簡易照度計のようなものをつくってみる」 「白い紙に書いた黒い線に沿って模型の車を走らせる」・・・ など、「明るい」「暗い」のキーワードで何か考えてみるとアイデアがどんどん浮かぶでしょう。

たとえば、先程の、「明るくなるとカーテンを開けたい」ということを実現しようとすれば、リレーなどを使ってモーターなどを動かせればいいですし、黒い線に沿って模型自動車を走らせて、黒い線から外れると、モーターを回して方向転換する・・・なども、下のような回路で簡単に実現できそうですね。

動作原理をイメージしてみると、リレーを用いると簡単に実現できそうです。

モーターを回す場合では、明るいと CdSセル の抵抗が少なくなり、トランジスタのベース電流が増え、コレクタ電流がたくさん流れて、リレーが作動し、モーターが回ってカーテンが動く・・・というイメージになります。

リレーを使った回路例

もちろん、これをそのまま実用化するには、いろいろ問題があります。

例えば、リレーが動作するかどうか、電流が足らないのではないか、MOS-FETを使ったスイッチ回路のほうがいいのではないか・・・、などなど、気になるところもあるのですが、まず考えたことを形にして、うまくいかなかったら、改良していく・・・ というのが電子工作の面白いところでしょう。

実際に確かめてみましょう

このモーターの実験では別電源が必要ですが、ここでは、同電源を使って、LEDの回路でこの回路がうまく動くかどうかを見ましょう。(5Vで動くDCモーターであればLEDでなく、モーターが使えますね)   下が回路の例です。

リレーとCdSで作った回路 今回使ってリレー

ブレッドボードに組んだ状態は、下のようになりました。(実験のために、リレー部分で発生するノイズの対策・・・などは除いています)

電流を測るための線など、余分なものがあるので複雑そうに見えますが、この回路を組むのは難しくはありませんので、ぜひ自分でやってみてください。

ここでは回路図中の100kΩの可変抵抗はつけていませんが、このボリュームは、明るさの変化でリレーがON-OFFするタイミングを調節するためのものです。

夜間点灯回路をブレッドボードに組んでみた

うまくいきましたか?

周りが明るい状態ではCdSの抵抗値が下がっています。 この状態では、アース側にたくさん電流が流れるので、トランジスタのベース側に電流がほとんど流れないので、トランジスタのコレクタ電流も少なく、リレーを動かすことができない状態です。

周りが暗くなってくると、CdSの抵抗が増えていくと、アースに流れる電流が減っていき、ベース側に流れる電流が徐々に増えて、トランジスタに流れるコレクタ電流が増えていき、ある時点でリレーの電磁石を引き寄せるだけの電流が流れます。

そうなると、リレーのスイッチが入る・・・ということになります。

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この図では、負荷をLEDにしていますので、「明るくなるとLEDは消える」状態になっています。

このリレーは「C接点」ですので、もう一方側にLEDをつなぐと「明るくなるとLEDは点灯する」という状態になりますね。
(スイッチの動作についてはこちらのページを参考に)

ここでは5Vで作動する2回路2接点のリレーを使っていますが、1回路2接点のものであれば、100円程度ですので、いくつかの種類の違うミニリレーを購入しておくと、いろいろなところで使って遊べるでしょう。

5Vの電源からLEDを点灯していますが、上のモーターの図のように、独立した電源を使うと、この小さなリレーでも2Aまでの余裕があるので、モーターなどをON-OFFできます。 モーターを使った工作も面白いと思います。

こちらのページで、CdSセルの抵抗値変化や、抵抗値変化を電圧変化に変えて、変化を直線化する方法などを紹介しています。

【参考】他のページでも紹介している「タミヤ」のページですが、面白い製品や、役に立ちそうなグッズがあります。アイデアを練るためだけでも面白いページですので紹介しておきます。


【さらに参考ですが】 この回路で実測した、制御のためのベース電流とリレーを駆動するコレクタ電流を示します。

CdS回路の電流値

このように、18mA程度の小さなコレクタ電流でリレーが動くので、このような簡単なトランジスタ回路でも、いろいろなことができそうです。

ともかく、手を動かして遊んでみましょう。

CdSセル以外にも、光を遮ると作動するセンサーなどもあリますので、順次に紹介していく予定ですが、これらのセンサーは安い部品ですので、目に止まれば購入しておいて回路を考えて遊んでみるといいでしょう。

ともかくこのCdSセルは、非常に抵抗変化が大きいので、比較的その閾値(境界値)を操作しやすいので、使い方の自由度は高いセンサーだと思います。

この「CdSセルは、明るさを抵抗値に変える」ということを覚えておくと、何かひらめいたときに使えそうですね。

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(来歴)R1.12記事作成   R2.8様式2カラムに  最終R6.1月に確認
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