楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

オシロスコープSDS1022の初歩の使い方

この機種は、最安価帯の製品ですが、私のような趣味の電子工作では十分な性能で、初心者でも、簡単に使える、コスパの高い製品だと思います。

SDS1022の外観

私は、Amazon のサイトで日本の代理店「エスシーエス」さんのものを購入しました。 英文のクイックマニュアルが同梱されていますが、製品の利用者登録をすると、そこそこ読める日本語で書かれた、くわしい取扱説明書(PDF)がWEBで入手できます。

エスシーエスさんの対応も早いので、購入してすぐに利用者登録を済ませて、日本語取説を入手して使用するのがいいのですが、初級者の使い方も限られています。

電圧を測る要領で使えば、簡単に使えます。 ここでは、すぐに使えるように、押さえておくべきポイントなどをクイックレファレンス風に紹介します。

OWONのSDS1022デジタルオシロスコープ

  

これは、2チャンネルの卓上型、7インチのカラーディスプレイ、バンド幅は20Mz、サンプリングレートは100MS/s とあります。 最安価格品ですが、私のような、趣味で電子工作を楽しむためには十分な性能です。

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もう1ランク高いものを求めようとすると、2倍ほどの金額になってしまうので、この価格で、コンパクト、スッキリしたデザイン、3万以下の低価格帯・・・と、コスパの高い魅力的な製品だと思います。

参考に、Amazonや楽天に、どんな製品が紹介されているのかをチェックしておくといいでしょう。

  

→Amazonのオシロスコープのページを見る

→楽天のオシロスコープ一覧を見る


WEBから利用者登録をすると、PDFの日本語の取説がダウンロードできるようになります。 これは、和訳文なので、文章には若干の違和感がありますが、それで詳しい使い方がわかります。

また、同梱の英語のクイックマニュアルは、平易な英語とはいえ、日本語でないので、どなたでもすぐに使える範囲の内容が必要になると思って、ここでは、「初心者用クイックガイド」を想定して、私なりの使用法を紹介します。

ここでの内容は、(1)最初の立ち上げ時にやることと注意点 (2)実際に波形の観察のための設定や注意事項 ・・・ までを紹介します。

【参考】 以下が日本語の取扱説明書の目次です。 じっくりと腰を落ち着けて取り組みたい方は、このHPではなく、最初からそちらを利用してください。

使用説明書の目次

それでは順に説明していきます。

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まず、立ち上げ時にやること

使用方法1

ここでは、1チャンネルだけを使用するとして説明します。

外形はコンパクトです。 100Vのコンセントにさして使います。

プローブの設定スイッチの確認

プローブ倍率設定

写真のように、X10 にしておきます。通常はこの「X10」側で使います。

オシロスコープの電源を入れます

電源をONすると

セルフチェックが行われたあとに、このような画面になってから、測定用画面に変わります。

プローブの確認画面

まずはこのボタン

まず、プローブをつながないで、「Utility」ボタンを押すと、画面に「右メニュー」が出るので、「Fanction」-「Adjust」-「Default」で、プローブの表示が「10X」になっていることを確認します。

10Xになっていなければ、選択ボタンで変更します。(通常は10Xで使いますし、一度設定しておくと、次回からも、このままで、確認は不要です)

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プローブ補正

プローブの取り付け

次に、プローブをCH1にさして締め付けます。 

このあと、プローブ調整をするので、この時、BNCジャックの写真に見える調節穴が上になるように、写真のようにさし込むようにしましょう。

オートセットで使う

そして、右側の下部にあるキャリブレーション端子にプローブの先端を接続し、「Autoset」ボタンを押すと、画面には、下のような波形が出ます。

標準波形観測

(左下にT:F:Vppの文字情報(数字)などが見えますが、これを表示させる方法は後で説明します。また、方形波表示の大きさは、違うかもしれませんが、これも次に説明します)

ここでは、方形波の形だけを見てください。

上のような波形ではなく、下のように変形した方形波になっていれば、調整穴に付属のプラスチックドライバーを使って、上の写真のような、きれいな方形波になるように調整します。

不具合の場合の設定方法 不具合の場合の設定方法2

説明書では、「一度設定すると設定が常に有効」になっていると書いてありますが、慣らし運転(ウォーミング)を充分に取って使用すれば、安定した波形になっているようですが、最初のうちは、何回か確認するといいでしょう。

加えて、測定する時の注意ですが、取説には、『安全のために、プローブ先端の可動部分を持って測定しないように・・・』との注意書きがあります。 もちろん、当然のことなのですが、これについては、最初のうちから正しい持ち方をするように、慣れておきましょう。

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以上で、使用前調整が完了です。 これで通常の測定を開始できるようになっています。

慣らし運転を30分間するように・・・と書かれています。 多分、普段は数分間おくのが精一杯だと思います。ただ、5℃以上の温度変化があると、誤差が生じる・・・とありますので、室温と機器の差には気をつけておきましょう。

測定中などで、5℃以上の大きな温度変化があったり、置き場所の環境が極端に変わる場合などは、「自己校正」を行って、精度を確保する必要がありますので、それについて説明します。

オシロスコープの自己校正の方法

①プローブを取り外して、何もついていない状態にします。

②パネルボタンの「Utility」を押して、右メニューの「Function」-「Adjust」-「Self Cal」の順に選択するだけです。

そうすると、下の画面のように自動で内部で校正を行ってくれます。

自己校正中の画面

この画面メモリが消えると内部校正終了で、プローブをつなぐとすぐに測定ができます。

一連の初期操作として、これがすぐにできるように、やり方に慣れておくようにしましょう。

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波形測定といくつかの注意点

ここでは、低電圧のAC波形を見る場合で説明します。

【アースが共通になっています】
オシロスコープは、電圧計と同じような使い方です。 

電圧を測る要領で2点間にプローブをつないで計測しますが、仕様の限度を越える高電圧や高周波電圧は避けるのはもちろんですが、特に、2CHで使用する場合には、両方のGND(アース)は共用になっているので、異なったアース電圧をとって測定してはいけないことを頭に入れておかないといけません。

通常は、一つの回路で2点を測る場合などはGNDが共通ですので、これによる問題はないと思いますが、このことは覚えておいてください。

【文字情報を活用しましょう】
測定は簡単です。 テスターで電圧を測るときと同じ要領です。 プローブで2点につなぐと、その波形が表示されます。

そのときに、下のように、画面左下に「波形の文字情報」を表示させると非常に便利ですので、その表示方法について、次に説明します。

文字情報を活用

波形の文字情報表示

従来のアナログオシロスコープでは、カーソルを用いて、電圧や振幅を読み取っていましたが、デジタルオシロスコープの多くは、内部で波形を演算することで、文字情報で表示ができるようになっていますので便利です。

画面への文字情報のプリセットの方法

文字情報のプリセット

この「Measure」ボタンと「Multipurpose」ノブを使います。

まず、波形の測定ができる状態で、「Measure」ボタンを押すと、したのように「右メニュー」がでますので、「AddCH1」の選択ボタンを押します。

文字情報のプリセット2

すると、下のような「左メニュー」が表示されます。

文字情報のプリセット3

項目を「Multipurpose」ノブを回して、「AddCH1」の選択ボタンを押すと、画面左下に、「文字情報」が張り付きます。

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ここでは、「周期:Period」「周波数:Frequency」「ピークトゥピーク電圧:Vpp」を表示させています。 他に、次のような項目があり、いくつも表示することができます。

Mean: 波形全体の算術平均
RMS: 波形全体の二乗平均電圧
Max: 最大振幅のピーク電圧
Min: 最小振幅の負のピーク電圧
Top: 方形波のフラットベース電圧 ・・・など

注意点は以上です。 これらが終われば、通常の測定ができます。 ただ、ここで1つだけ、基本的な注意点があります。

画面いっぱいを有効に使って波形を測定しましょう

これは自作したオシレータを利用して、その波形を観察した例です。 次の3つの写真の文字情報の部分を見てください。

上下幅を大きく振らすのがコツ

上下幅を大きく降らすのがコツ2

上下幅を大きく降らすのがコツ3

これは、同じ信号を、振幅だけを変えて表示していますが、これで見ると、水平成分の「周期」「周波数」はほとんど変わっていませんが、(さわっていないので当然ですが) Vppの値が大きく異なっています。

このように、オシロスコープの内部で画面の状態を読み取って『文字情報』を表示させていますので、基本的には、常に大きな波形で読み取るようにしたほうがいい・・・ということを知っておくといいでしょう。

ここで説明する使用法は以上です。 取扱説明書には、様々な項目が説明されていますので、ここではくわしい紹介はしませんが、便利そうな項目をピックアップしておきます。

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取説にある便利そうな内容(項目のみを抜粋)

・直流バイアスを含む方形波の直流部分を遮断して表示する
・波形を反転する
・プローブの減衰量調整
・波形計算
・高速フーリエ変換演算
・波形のズーム
・トリガーコントロール
・波形の保存と呼び出し
・回路のゲイン計算方法
・ノイズ解析の方法
・回路の入出力をX-Y座標グラフで調べる

このような使い方ができますので、詳細は説明書を見ながら使ってみてください。

おわりに

電子工作を始めると、発振回路などでは、その波形を見たくなるでしょう。 

これまで私は、5000円程度で自作したキット品を使っていたのですが、2インチの画面ですので、上の方形波を表示させると、下のような感じになっています。 

高価で高性能な製品になればなるほど、得られる情報が変わってくるのは当然ですが、オシロを持っているか持っていないかでは、格段の差があります。 

小さい画面の簡易オシロではわかりにくい

この波形が、今回のオシロスコープで見ると、次のようになるのですから、やはり値打ちがあります。

同じ波形でも見え方が違う

紹介は以上です。 上のような安価なキット品でも、結構役に立ちますので、ともかくオシロを使うようにすると、多くの情報が得られることに驚きます。 安価なものでもいいので、何か1つを購入されることをおすすめします。

  →Amazonの安価なオシロスコープのページ

  →楽天の安価なオシロスコープのページ

もちろん、予算が許せば、高級品がいいのは当然です。 しかし、初級者では、ここで紹介した最安価帯の製品でも、問題なく使えることは確かです。

最後ですが、この記事は、私が実際に使った内容を書いていますが、不備があればご容赦ください。 私自身、電子が専門ではありませんが、少しでもお役に立てば幸いです。


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