楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

リップルカウンターICをアナログで使う

このHP記事は電子工作で使えそうな電子部品を、気軽に使うためのヒントにしていただくもので、誰でもが使えるように、実例を交えて紹介しています。


ここでは、74HC4040・74HC4020などのICを使います。 「カウンター」という名前がついていて、デジタルICのイメージですが、アナログの電子工作用として、タイマーやスイッチのような使い方ができるICです。

ここで使用したIC類

左は、今まで使っているタイマーIC(555D)で、その右の2つが16ピンのカウンターICです。

難しいことは差し置いて、東芝さんのデータシートを参考にして説明していますが、難しいところはナナメ読みしていただくといいでしょう。

上の写真の、真ん中の 74HC4060 は、発振用のインバータが内蔵されていて、少ない外付けで部品で、発振回路が付加できるようになっています。

4060は10個の出力が、また、74H4020は発振回路用端子がないことで、12個の出力がピンに出力されるもので、入力するクロックの立ち下がり信号時に、その出力先が順次に切り替わる ・・・ というICです。

カウンターの動作

今回は、このHPでよく使う、上の写真左のタイマーICの「555」を使って、パルス周期のタイミングをクロックIC(74HC4040)の入力ピンに与えると、QA→QB→QC・・・と、各ピンに接続したLEDが、順次に時間差をもって点灯する・・・という動作をします。 

このように、数(クロックの回数)を数えていくカウンターは「リップルカウンター」と言われています。

バイナリーカウンターのタイミングチャート

このCK(バー付きCKですが、書けないので「CK」としています)は、入力するクロックの発振波形の例で、方形波の立ち下がりの時点のカウントをして、図のように、出力が順次に下の段に移っていく仕組みです。

この図は4段目までのON-OFFのタイミングを示していて、クロック波形の、1つ目のたち下がりでQAがONになり、2つ目のたち下がりでQAがOFFになるとともに、QBがONになり3つ目のたち下がりで、QBがOFFになり、QCがONになる ・・・ というように、時間の経過で、順次にLEDが点灯~消灯していきます。

そして、下段になるほど、ON-OFFの間隔が長くなります。

この図の例では、わかりやすいように、クロックはデューティ比(ON時間とOFF時間の割合)が50%のものとして書かれていますが、たち下がりのタイミングで進むので、クロックの波形は、そんなに気にする必要はありません。

入力するパルスの周期が1秒とすれば、QAは1秒後(クロックの1周期後)にONになり、2秒後(クロックの2周期後)にOFFになるし、4段目のQDの場合では、2(4-1)=8秒でONに、その8秒後にOFFになるし、N段目では、2の(n-1)乗後にONになる・・・という動作になるということから、出力するまでの時間は、長さを調節したいピンにつないで、タイマーの周波数を決めると、特定の時間にON-OFFする「タイマー」や「スイッチ」として使用できるということですので、これなら、デジタルを考えないでも、アナログ的にも使えるということですね。

これらはCMOSのICですから、内部でダイオードによる静電対策はされてはいますが、静電気には注意しないと破損する可能性があります。 ICに触れる時は除電してからICにふれる・・・などの注意を忘れないようにしましょう。

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74HC4020(発振用ピンなし) と 74HC4060

74HC4060と4020のピン配置図

どちらも16ピンのICですが、左の4060は内部クロック用の端子(9・10・11ピン)があるのに対して、4020はそれがありません。 それに変わって、少し多くの「出力端子」が割り当てられている・・・という違いがありますが、私がこれらのICを購入した価格は100円程度の同価格でした。

ピン配置図で、「Q*」と表されているのが出力端子で、4020はQ1から始まって次はQ4になっていて、それから最後はQ14までの12出力であるのに対して、4060はいきなり「Q4」から始まって、Q11がなくて、Q14の10出力で終わっています。

東芝さんのデータシートを見ると、Q1からQ4に飛んでいない、連続した出力端子のある74HC4040 というICがあるようですが、(私は購入していませんが) Q1からQ4に飛んでいるのは、16ピンに納める必要があって、さらに使いやすさを考えて、時間の短い部分やめて長時間側に持っていっただけのことのようなので、(後で紹介しますが)発振回路の実験をするなら、74HC4060 のほうが、いろいろ楽しめるかもしれませんし、また、4020でも、飛んでいるという違和感はありませんでした。

アナログ的な使い方の一例

東芝さんのデータシートが日本語で見やすいので、これを利用させて頂いて使い方を見ましょう。

74HC4060と74HC74HC4020のデータシートによる接続図

これは「論理図」と書かれた図ですが、結線図としてみていいでしょう。 1から15の番号はピン番号で、書かれていないNo.8のGND(アース)とNo.16の電源用のピンです。

電源は、いずれも、2~6Vで使用可能ですので、このHPで常用している、5Vの電源が使用できます。 

4060ではNo.11ピン、4020ではNo.10ピンにクロックの発振電圧を入力すると動作します。

ここでは、74HC4060を使って、今まで使い慣れた555タイマーICを使ったクロックを入力しますが、データシートには、下のような発振回路の説明があって、これをやってみたのですが、これは、うまくいかなかったので、これについては、記事の後ろで少し紹介していますが、よければトライしてみてください。

データシートにある発振クロックの例

出力の電流は±25mAとなっていますので、直接にLEDを点灯できますので、ここでは、LEDを点灯させて様子を見ます。

もしも、時間タイマーとして、リレーなどの少し大きな電流を必要とする場合では、トランジスタを使って増幅すればいいので、そうなると、時限スイッチとして使えば、色々な使い方が考えられそうですね。

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LEDを順次点灯させる回路図の一例

ここで使った回路図

このような回路を考えてみました。

74HC4060は発振回路を内蔵しています。 しかしここでは、9・10番をオープンにして、何もつながずに、No.11番に外部のクロックを入力すると74HC4020と同じように使えますので、ここでは、このHPでしばしば使っている、タイマーIC「555」を同電圧の5V電源で使って、それをクロック入力端子(No.11)に入力してその様子を見ます。

タイマーIC「555」の回路図例方形波入力用の回路

なお、確認用のブレッドボードに組んだ回路では、LEDをすべて集合して、1つの220Ωの制限抵抗を使って回路を組んでいます。 このような感じです。

タイマーICを使った74HC4060の動作用回路

LEDの点灯の様子

ブレッドボードの配線の様子

発振周期を0.5秒以下にゆっくりにすると、LEDを左からQ4→Q5→Q6・・・→Q14と、規則正しい順番で右側の周期の長いLEDに移っていきます。 それを見ていると、結構楽しいです。

0.5秒の周期では、1周期が全部完了するのが 214/2秒と、気の遠くなる時間がかかりますので、もっとクロック周期を早めて、適当な時間にすると、出力の端子順(4060ではQ4からQ14)に接続したLEDが、遅延しながら順次に点滅していくのがわかります。

この「555を使った回路」で、R1=2.2k、R2=33k、C1=22μにすると、周期は1秒少しで、22μを0.1μに変えると0.05秒程度になりますので、タイマーICのR・Cを変えてその様子を見てください。

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このタイマーIC「555」については、私の記事のいろいろなところで紹介しています。(こちらを参考に) CR値を変えると、発振周波数も波形も変わります。 

スイッチの時間設定をするには、半固定抵抗を使うなどの工夫がいりそうですが、タイマーIC「555」側でデューティ比を決めてやって、カウンターIC側で時間を選ぶことでタイマースイッチとして使えそうだということがわかります。

(参考)74H4060の自己発振回路を使う

最後に、データシートにある、クロック発振(上に紹介済み)で、CR発振とX-tal発振を試したのですが、うまくいきませんでした・・・が、この様子を紹介しておきます。

うまく発振してした例では、下のように結線するとうまく発振して、そして、カウンター動作もうまくいきました。 写真のように、LEDは2つにした回路ですが、参考に紹介しておきます。

うまく発振した改造回路例

データシートどおりでうまく行かなかった結線の様子

C=0.1μFでR=400kΩでは1秒程度の周期になりました。 50kΩでは、0.1秒程度の周期、また、C=0.01μFで400kΩにすると、約0.1秒の周期でしたので、半固定抵抗を使えば、目的の秒数に設定することができます。

ただし、この図のように結線すると、発振はするのですが、周期はやや不安定で、揺らいでいます。

CR発振なので、こんなものかもしれないですし、私のやり方に問題があるのかわかりませんが、回路をテストされる方は、それらもみていただくといいでしょう。

また、さらに、上のデータシートに紹介されている、Xtal(水晶発振子)で、10MHzのX-talを用いて、下図のRf=1kΩ、C1=C0=100pFとすると、下の写真のように三角波に近いサイン波を発振しているのが確認できたのですが、カウンターの方がうまく動作してくれません。

クロック周波数が、カウンターのタイミングに対して、高すぎるのかもしれませんが、理由もよくわかりませんので、別の機会に見直してみようと思っています。よければ、これもあわせて、いろいろ試していただくといいでしょう。

Xtalで発振しても動作しなかった様子

以上、大雑把な内容での紹介ですが、74HC4040・4020などは、デジタル用のICという感じですが、アナログ用途で、時間タイマーとした機能として使ったり、LEDの時間差点灯など、何かのアイデアがあれば使ってみるといいでしょう。

何よりも、ICの価格も100円程度ですので、いろいろ試してみるのも面白いでしょう。

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