楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

電界効果トランジスタFETを使ってみよう


「電界効果トランジスタFET」を、簡単な回路で使ってみましょう。

この記事は、趣味の電子工作で、FETとはどのようなものなのか、どのような使い方ができるのか・・・などを、専門的な内容をひかえて紹介しています。 動作の原理や構造などの説明もありません。

FETの種類を分類すると、次のように、JFETとMOSFETがあり、さらに図のように区分されます。JFETはJ-FET、MOSFETはMOS-FETと表記される場合もあります。

FETの分類

JFETは、低雑音と高い入力インピーダンスのために、ゲート電流が少なく、温度安定性も高いのですが、出力(ドレイン電流)が小さいので、オーディオなどの、信号増幅や高周波用に用いられることが多いようです。

それに対して、MOSFETは、ゲートの電圧によって、大きな出力(ドレイン電流)制御ができ、低消費電力なので、デジタル回路や電流の制御に向いています。

FETは消費電力が少ないので、集積回路(IC)に組み込まれて、広く使用されています。

この、NチャンネルとPチャンネルの違いは、トランジスタ半導体の内部構造の違いで、電流の流れる方向の違いがあるもので、通常は、Nチャンネルの製品が多いようです。

これは、Nチャンネルの方が、低電圧で使用できること、構造的に小型化しやすいこと、製造コストの低いこと・・・などの特徴があり、そのために、Pチャンネルの製品に比べて、Nチャンネルの製品が多いようです。

それらから、私達アマチュアが電子工作で簡単に使いやすいのは、どちらかといえば、MOSFETで、販売されている種類の多い、エンハンスト型のNチャンネルのものをつかってスイッチング動作に利用するのが使いやすそうです。

まず最初のうちは、『FETを使う場合は、MOSFETのNチャンネルのエンハンストタイプのものを「ソース接地」になるようにして使う』・・・ということで考えておくのがいいでしょう。

ここでは、電子工作でどのようにFETが使えるのかや、どのような使い方をするのか・・・を、基礎的なところもあわせて見ていくことにします。

電界効果トランジスタ: FET

原理やしくみなどはここでは説明していませんが、FETはトランジスタの1種です。 

今まで見てきたバイポーラトランジスタのように、3本の足を持ち、その3つの足でバイポーラトランジスタと同じように、増幅やスイッチング(電流のON-OFFなど)ができる素子で、構造的な違いからバイポーラトランジスタに対して、「モノポールトランジスタ」という呼び方をされています。

トランジスタの外観比較

バイポーラトランジスタでは、NPNとPNP型があり、コレクタ・ベース・エミッタの3本足がでていて、ベースに加える電流量によって、コレクタ電流を変化させていました。

FETの場合も、その3本足は、 ドレイン・ゲート・ソースと呼び、N型とP型があり、ゲート・ソース間の電圧変化で、ドレインの電流が変化します。

つまり、バイポーラトランジスタは、小さな電流で回路の電流をコントロールしますが、FETは小さな電圧で回路に流れる電流をコントロールするという違いがあります。

単体で使うFETの外観形状を見ると、JFETの多くは、小電力用のバイポーラトランジスタ(例えば、2SC1815)と同じ外観形状のものが多く、MOSFETは、大電流が扱えるので、大電力用のバイポーラトランジスタに見られるような、背面に放熱板を取り付けて使うような外観形状のものが多いようです。

いずれにしても、その他の電子部品と形状がにているので、本体の表示に注意する必要があります。


JFETとMOSFETは特性も用途も全く違う

JFETとMOSFETの用途は全く違うものなので、それらを比較するというのは適当ではないでしょう。 そのために、それぞれの特徴や使い方などの違いを知っておくといいでしょう。

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FETの大きな特徴は、入力インピーダンスが高くて、低電力で動作することですので、多くの部品を小さなパッケージに詰め込んでいるIC(集積回路)では、バイポーラトランジスタに代わって、FETのICが主流になってきています。

ディスクリート半導体(増幅や発振などに使用する能動素子)として、単体で使う場合のFETの特徴では、 ①電圧で制御する素子  ②入力インピーダンスの高い回路を組める  ③電力損失が少ない ・・・ ということがあげられ、FETは、バイポーラトランジスタと同様に ①増幅作用 ②スイッチング の用途に使用されます。

単体で使用するFETでは、大電流が使用できて、電力効率の良いMOSFETは重要な電子部品です。

ここでは、FETについて、少し古いタイプですが、JFET(2SK30A)とMOSFET(2SK2231)について、東芝さんの資料から、その違いや特徴をみていきます。

JFETとMOSFETの用途の違い 

JFETの2SK30AとMOSFETの2SK2231のデータシートを見ると、その冒頭に、次のような、大まかな用途・目的などが書かれています。 

これをみると、両者の特徴は大きく異なっているのがわかりますし、用途も全く異なります。

データシートに見るFETの特徴 東芝

色々な特徴が挙げられていますが、JFETは「低雑音」、MOSFETは「取り扱いが簡単」・・・ というところが特徴的です。

ここには、出力される電流のことは書かれていませんが、データシートの「電気的特性」を見ると、ドレイン電流(出力で扱える電流)は、JFETは「数mA」で、MOSFETの多くは「数A」となっていて、扱う電流量が全く違います。

エンハンスメント型とディプレッション型の違い

MOSFETには、ディプレッション型とエンハンスメント型の2つのタイプがありますが、これは、下の出力図のように、出力の傾向を表すタイプの違いをさします。

ただ、MOSFETのディプレッションタイプはほとんど出回っていないので、ここでは、説明には、JFEのディプレッションタイプを使って説明します。

「エンハンスメント型」は、ゲート・ソース間電圧(ここでは「ゲート電圧」と書いています)をかけないとドレイン電流が流れないものを言い(下図の右側)、MOSFETでは、このエンハンスメント型が主流です。(さらに、後ででてきますが、Nチャンネルのエンハンスメント型が主流です)

それに対して、ゲート電圧をかけなくてもドレイン電流が流れるタイプの「ディプレッション型」に分類されています。(MOSFETではほとんどがエンハンスメント型です)

エンハンスメント型は、ゲート電圧が0Vの状態で電流が流れないOFF状態になっているので、「ノーマリーオフ制御」という言い方をされ、もう一方のディプレッション型は、ゲート電圧が0VでONの状態になっているので、ノーマリーオンと言われます。

MOSFETをスイッチング用途に使う場合に、ノーマリーオンでは使い勝手が悪いことから、エンハンスト型(のNチャンネル型)が多く使われています。

その、ディプレッション型とエンハンスメント型の出力イメージは以下のようなものです。(ディスプレッション型のMOSFETの例がほとんどないので、JFETの図を使っています)

ドレイン電流の比較 図3

上左はディプレッション型の代表的なJFET(2SK30A:ただし製造中止)の静特性の例です。(MOSFETでないことに注意して図を見てください) 

0V(電圧がかかっていない状態)で、上左は3mA程度の電流が流れており、これがノーリーオンと言われ、0Vの時が最大電流値になっています。 この図では、ゲートに負電圧をかけて出力のドレイン電流をコントロールをします。

それに対して、上右がエンハンスメント型のMOSFET(2SK2231)の例です。

これを見ると、ゲートに十分な電圧をかけた状態(図では2.5~10Vの場合)でも、ドレインソース電圧が0Vであれば、このときはドレイン電流が流れていない(ノーマリーオフ)のですが、ドレインソース間に電圧がかかると、大きなドレイン電流がながれます。 

この特性を利用して、電流を流すか流さないか・・・という、スイッチング用途に使われます。 もちろん、立ち上がり部分を使えば、ドレインソース間電圧によって、ドレイン電流量をコントロールすることも利用できるのですが、普通は、そのような使い方よりも、電流を流すか流さないか・・・というスイッチのような使い方をすることが多いようです。


NチャンネルとPチャンネルの違い

難しい説明は省き、一般的な知識として知っておくと良い程度の内容を説明しますが、この、NチャンネルとPチャンネルの違いは、内部構造の違いで、それによって、ゲートへ電圧の加え方やドレイン電流の流れ方が違います。

MOS-FET Nチャンネル これは、MOSFETのNチャンネルの図示です。

上の図3のMOSFET(Nチャンネル)のグラフの特性を見ると、ドレインソースにプラス電圧が加わっておれば、ゲートソース間に+の電圧が加わっていくと、ドレイン電流が流れます。

それに対して、JFETのNチャンネルでは、上の図3の左図のように、ゲートに電圧をかけない0Vの状態で、ドレインからソースに電流が流れている「ONの状態」にあり、ゲートにマイナスの電圧をかけて、電圧が下がっていくと(つまり、マイナス電圧が上がると)、ドレイン電流が減少していきます。

つまりこれは、ゲートに加える負電圧をコントロールすることで、ドレインからソースに流れる電流を制御できるということです。 

次に、JFETのPチャンネルの場合ですが、 ゲートに電圧をかけなくても電流が流れているのはNチャンネルのものと同じですが、下のように、Nチャンネルとは違って、ゲートに加える電圧も、ドレイン電流の流れる向きも逆です。(グラフの座標数字のプラスマイナスが、NチャンネルのものとPチャンネルのもので違っている点を見ておいてください)

下図のように、PチャンネルのJFETでは、ゲートにプラスの電圧をかけると、電流が減っていき、ついに流れなくなります。

PチャンネルJFETのドレイン電流の例

この図では、電流の向きが逆ですが、実は、JFETは、ドレインもソースも同じ種類の半導体を接合して作られている「モノポール構造」なので、ドレインとソースを逆にしても同じ動作になります。 

つまり、電流の流れる方向でドレインとソースを区別しているので、このようなグラフになっています。

別の言い方で、NチャンネルのFETは、ドレインからソースに電流を「吸い込む方向に流れる」 また、もう一方のPチャンネルのFETは、ソースからドレインに吐き出す方向に流れる・・・というような言い方で表現されていますが、電流の流れ方が違うということです。


MOSFETの場合ですが、販売されている型番の多くは、Nチャンネルのエンハンスト型で、Pチャンネルのものは少ない現状です。 

Nチャンネルの上の図3を見ると、ゲートソース間に充分な電圧(図では2.5V~10V)をかけた時のドレインソース間の電圧に対するドレイン電流を見ると、0Vではドレイン電流が流れていなくて、電圧をかけるとドレイン電流が急に増えていく・・・という状態になっています。

それが、PチャンネルのMOSFETになると、下図のように、加える電圧も、流れる電流も、Nチャンネルとは座標の数字が全て反対になっています。

PチャンネルMOSFETのドレイン電流の例

つまり、NチャンネルでもPチャンネルでも、電流の向きが違うだけですので、どちらでもいいのですが、使う場合の統一性を考えて、Pチャンネルの製品よりも、Nチャンネルの製品が多いということにされているのかもしれません。

このように見ていくと、趣味の電子工作をする上では、Nチャンネルのエンハンスメント型のMOSFETは安価で、入手できる型番も多いので、ともかく、NチャンネルのMOSFETを使う・・・と考えておくのがいいでしょう。

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FETの図示記号と表示の見方

FETの図示については、このHPでは、BSch3VというFREEのCADソフトを使わせていただいているので、このHPの記事は、それにしたがって、下記のような記号を使っています。

FETの図示記号

ここで使う2種類のFET 外観の例

2SK30Aは、本体に「K30A GR 8A」と書かれています。 そして、2SK2231は(写真では見にくいですが)「東芝セミコンダクタのメーカーマークと型番のk2231 7・G」とあります。

このK30Aは「2SK30A」の略称で、東芝の資料では、GRは特性(この場合も、東芝さん独自の特性区分)で、8Aはメーカー管理番号です。

K2231も同様に、2SK2231の略称で、7はロット番号、GはRoHSに準拠して、有害物質は使っていない・・・という表示です。

この2SK30A と 2SK2231 の両方ともに、現在では製造中止になっているものの、まだまだ普通に流通していて入手可能ですが、代替品でも問題なく使えますので、できるだけ、新しい型番のものを使うようにするのがいいでしょう。

2SK30Aに代わる、新しい製品としては、2SK117、2SK246、などが代替品として使えますし、2SK2231も、2SK2232、2SK2312、2SK2313などが特性的に似通ったものですので、問題なく代替できます。

バイポーラトランジスタと同様に、FETも互換性が高いので、データシートの最大定格内の電圧・電流に気をつけておけば、特殊なものを除いて、同様に使えるはずですから、安価なものを使うといいでしょう。

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JFETの使い方で、負電圧をかけることがわかりにくい

「負電圧をかける・・・」ということが、私自身、ちょっとわかりにくかったので、ここで、NチャンネルJFETの負電源のかけ方について説明します。

JFETの静特性の例

この図で、左半分の、右上がりのカーブの部分のゲート電圧が、マイナスの電圧になっていることに注目ください。

これは、ドレインソース間の電圧が10Vのときに、ゲートに「負電圧」をかけると、ドレインD→ソースS に流れる電流が変化することが示されています。 ゲートにかかる電圧が正電圧(プラス)では作動しません。

この図の特性が「ノーマリーオン」で、ゲート電圧が0Vのときに、ドレイン電流が最大で、3mA程度の電流が流れています。

余談ですが、JFETは、原理的に、ドレインDとソースS の「足」を入れ替えても、プラス側からマイナス側に電流が流れるので、DとSが、どちらの「足」であってもいいことになるのですが、便宜的に「D」を書きいれて、「この回路ではD→Sに電流が流れる」・・・ということをわかりやすくしているようで、このために、あえて、図示記号には、小さく「D」を表記している場合が多いようです。

グラフには、0VのときのドレインD電流が最大で、負電圧を加えていくと、D電流が少なくなっていく様子が示されています。

つまり、JFETは、このカーブの直線に近い範囲を利用することで、歪の少ない増幅ができる・・・というのがJFETの特徴です。 もちろん、ゲート電圧で、スイッチとして使うこともできます。

しかし、図で見ると、0mAと約3mAの制御ですから、あえてJFETを使うこともなさそうです。 ともかく、この様子を、少し実験して確かめてみます。

少ない電流変化なので、JFETは使いにくそうですが、ここでは、使い慣れたLEDを点灯させてみます。 3mAでもLEDは十分点灯しますから・・・。

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この図では、JFETが正常に作動しません

JFETを使うための回路を、今までやってきたバイポーラトランジスタのイメージで書いてみると、下のようなものができるのですが、これでは、ゲートに正電圧が加わるので、この回路では動作しません。

ダメな回路例(これはダメな回路例)

FETは電圧で制御する必要があり、さらに、ここでは「負電圧」が必要なので、このような回路では、ゲートにはプラスの電圧か加わるので、一つの方法としては、別の電源から負電圧を加えることが必要です。

動作させるための回路例

これは1つの方法ですが、ドレインに負電圧をかける方法は、下図のように、もう一つの別の電源を用いて、2つを合体させます。図の、電源の極性を見ておいてください。

負電源を結合する

左の枠が負電圧を供給する電源部分です。

この回路をブレッドボードに組んで、ゲート電圧・ドレイン電流を測定してみました。

回路をブレッドボードで組んでみた

0Vのときに、4.1mAの電流が流れて、LEDが点灯しています。 このJFET単独では、これが目いっぱいの最大電流量です。

そして、ボリューム回して、負電圧を大きくしていくと、ドレイン電流量が減っていき、-2.22Vのときに、0mA となりました。

上の静特性のグラフとは少し値が違いますが、傾向を見ておいてください。 

電圧を下げていく(マイナス電圧を大きくする)とドレイン電流は減っていき、最終的には、ドレイン電流が流れなくなります。

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ただ、この回路のように、JFETを使って何かの簡単な工作をするのは、ちょっと使いにくそうだ・・・という感じですね。 だから、このHPでも、JFET単体で使うことは、やらないつもりです。

そこで、もう一つのFETの「MOS-FET」について見てみましょう。

MOS型FETの使い方は難しくない

手元に、少し古い型番の2SK2231がありますので、これを使って説明します。 

ここでもお断りしておきますが、この記事の内容は、「このように使う」というものではなく、「バイポーラトランジスタと同じように使ってみたところが、このようになりました」というものです。 

ともかく、使ってみる・・・ ということで、いろいろなことを試していきましょう。

まず、使う前に、絶対最大定格をを確認します。 5VでLEDを点灯させるだけですので、ともかく問題なさそうですね。

MOS-FETのデータシート1

この2SK2231では、5Aもの電流を流すことができるのですが、使用時の温度が150℃を超えるとFETが壊れてしまう・・・という数字もありますので、大電流を流す場合は、放熱板などでの熱対策を頭に入れておかないといけません。

ここでは、小電流ですので、裸のままで使います。

また、MOS-FETのNチャンネルでは、JFETのNチャンネルと違って、負電源でなくてもいいので、電源電圧をそのまま利用して、ゲートに加えてやればいい・・・という便利さがあります。

下のグラフでは、ゲートソース間の電圧が2.5V以上の場合に、ドレイン-ソース間の電圧を変えた時のドレイン電流が示されています。 

これは、パルス電圧の場合のグラフなので、定常電圧と違うのでわかりにくいのですが、いずれにしても、ゲートソース間で、ある程度の(たとえば2.5Vで0.5A流れるというように)電圧があって、ドレインソース間で0V以上の電圧がかかっていれば、ドレイン電流が流れるので、スイッチとして使えるはず・・・ということです。

MOS-FETのデータシート例3

ここでは、このグラフの見方もわかりにくいので、バイポーラトランジスタを使ってLEDを点灯させる場合と同様に、バイポーラトランジスタをMOSFETに変えた場合を実際にやってみます。

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ハイサイド・ローサイド

回路を決める前に、WEBの記事などで、このハイサイド・ローサイドという言葉が出てくることがあります。 その意味を覚えておいてください。

これは、下のように、FETのおく場所を基準に、負荷の位置を言うものです。

ハイサイド・ローサイドの意味

FETの上側(アースから遠い側)に負荷を置くのがローサイドです。 

一般の電子回路では、電源電圧(回路の電圧)が一定でない場合も多く、共通のアースが取りやすように、ローサイドの回路が一般的です。 

しかし、自動車の計装品などでは、バッテリーが1つで、車体がアースの場合は、いろいろな負荷をアースしやすいように、「ハイサイド」の回路が適しているとされ、自動車の回路では、ハイサイドの回路 が組まれるようです。

ここでは、普通に「ローサードの回路」で考えることにします。

LEDを点灯させてみる

LED点灯回路の例

これは、100kΩのボリュームを回して、ゲートに加わる電圧を変えた場合に、どういう状態でLEDが点灯するのかを見る・・・・という回路で、MOSFETはたくさん電流を流す能力があるので、220ΩはLEDの電流制限抵抗として使っています。

ゲート電圧を可変できればいいので、ここにある 100kΩ は適当に選んだものですから、10kΩでも、1MΩでも問題ありません。

100kΩを使えば、A=V/R=5/100000=0.05mA の電流が流れます。 抵抗値を変えると電流値が変わるだけで、可変抵抗器にすることで、電圧は5V~0Vの間で可変できます。

LED回路をブレッドボードで

0電圧時 MAX電圧時

測定してみると、無負荷の電源電圧は4.94Vで、この回路でボリュームを回すと、ゲート電圧は0Vから4.89Vまで変化しています。

そのとき、約2.7Vで電流(ドレイン電流)が流れ始めて、LEDが点灯し始めており、約3.6V以上で、ずっと13.2mAが流れます。

ボリュームでゲート電圧を連続的に変えているので、ボリュームに沿って電流が変化している電圧範囲が利用できますし、ボリュームを使わずに、電流を十分に流すことができる電圧(たとえば4V)をゲートに「ポン」と加えれば、スイッチ的な動作ができることになります。

次に、100kΩの可変抵抗を、CdSセルに変えてみて様子を見てみましょう。

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明るさで抵抗値が変化するCdSセルを使ってみましょう

こちらのページで使ったCdSセルですが、光の明るさによって、250Ω~10MΩ程度まで抵抗値が変化します。

CdSを使ってブレッドボードで 明るいとき

CDSを使ったMOSFETの例

このCdSセルを使って、この図のように、上の100kΩの可変抵抗をCdSセルに変えて回路を組んでみると、写真のように、室内で少し明るいと、CdSの抵抗が下がって、ゲートに電圧がかかり、さらに、ドレイン・ソース間に電圧がかかっているので、13.2mAの電流が流れてLEDが点灯します。

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つぎに、CdSセルを布などで覆って、徐々に暗い状態にしていくと、セルの抵抗が増すのでゲート電圧が下がり、この場合では、約2.6VでLEDが消灯し、ドレイン電流は0mAになりました。

これは、上で100kΩのボリュームを使ったときとほぼ同じように、電圧変化でLEDが点滅する動作が確認できました。

なお、ここでは、回路に電圧計があるので、電圧計を通して、ソースに電圧を落としているので、うまく動作していますが、電圧計をつけない場合は、抵抗器を付加して、ゲート電圧をゼロにする工夫が必要になります。

これはともかく、明るくなるとLEDが点灯するのではなくて、暗くなるとLEDを点灯させたいので、下のような回路に変更しました。

暗くなるとLEDが点灯するように回路を変えると・・・

改良した回路例

ここでは、Rxの値を決める必要があります。そのために、ここで、ドレイン電流が取り出せる「ゲートしきい値」を思い出してください。

2SK2231のゲートしきい値は、データシートでは「2V」でした。 つまり、暗くなってCdSの抵抗が増えて、2V以上のゲート電圧になるようにRxを決めればいいことになります。

CdSが明るさによって、250Ω~10MΩに変化するとすれば、例えば、CdSが10kΩのときに3VになるRxは、 Rx/(10000+Rx)=3/5 から、Rx=15kΩ です。 また、100kΩのときは Rx=150kΩ となるので、50~100kΩ程度の抵抗をつけるといい・・・ということがわかります。

ここで、先にあった、『明るくなるとスイッチが入る』回路の場合では、抵抗器代わりになっていた電圧計を抵抗Rz とすると、CdSが10kΩで点灯させるには、10000/(Rz+10000)=3/5で、Rz≒6600Ω ですので、先ほどの回路で電圧計のかわりに、この程度の抵抗器を用いればいいということになります。

しかし、CdSの抵抗変化は非常に大きいので、抵抗値を厳密に考えて決める必要もなく、適当にやってみても、ほとんどは、うまくON-OFFしますので、一度試していただくといいでしょう。

*****

このように、CdSの抵抗値の変化を利用して、MOSFETを「スイッチ」・・・として使用できます。

その他に何かできそうなことを考えてみよう!

ここまでのFETの説明は充分ではないのですが、MOSFETを使うと、結構、いろいろなところに使えそうな感じがつかめたのではないでしょうか。

数アンペアの電流を流すことができるMOSFETですので、バイポーラトランジスタ以上に、利用範囲は大きいようです。

MOSFETを使う参考回路例

スイッチとして作動させるためには、上図のようなイメージで使えそうです。(この図はイメージです。 実際の回路を考える場合は、ゲートソース間にしきい電圧を加える必要がありました・・・ね) 

もちろん、製品として回路を組む場合は、安全やノイズ対策なども必要になります。 しかし、使い方の基本さえわかれば、それは色々改良していけばいいでしょう。

ただ、これを、「負荷の下に直接スイッチを付けても、同じだ・・・」と考えてはいけません。 FETにスイッチの役目をさせるところが重要です。

つまり、バイポーラトランジスタの場合も同様ですが、小さな変化を与えることで大電流の負荷をコントロールする・・・というところに妙味があります。

基本的に、MOSFETは、電圧で機器(負荷)をコントロールできるので、ベース電流によってコレクタ電流をコントロールするバイポーラトランジスタと違って、様々なものに使えそうだ・・・という感じがするでしょう。

MOSFETはいろんなことに使えそう・・・

身の回りを見回すと、スイッチやセンサーになりそうなものはたくさんあります。

上では、CdSセルを使った回路を考えましたが、サーミスタを使用すると、温度によるコントロールなどもできそうですし、また、窓辺にある金魚鉢にテスター棒を突っ込んで抵抗を測ってみると、40kΩ程度の抵抗値でしたので、水量の変化を捉えて、これも何かにつかえそう・・・ということなどが頭に浮かぶと思います。

例えば、対向する金属板2枚をスイッチ代わりに使って、水に浸かるか浸からないかで、水量コントロールすることなども思いつきますね。

この使い方では、水のないところでは抵抗値が無限大で、水が金属板まで来ると40kΩ程度まで抵抗値に下がることが確認できました。

40kΩの抵抗でも、そこにかすかな電流が流れるので、MOSFETを利用して、水量の調節などもできるでしょうし、水に浸かる面積で抵抗値が変化するので、水位などのコントロールにも応用できそうですね。

ちなみに、手を湿らせてテスターで「手~手の人間の体の抵抗」を測ると150kΩという数値でしたから、手の湿り方や握る強さで抵抗値が変化します。 

これもMOSFETを使って何かできるかもしれません。

微弱な電流電圧であるようなら、バイポーラトランジスタでダーリントン回路を組めばいいのですが、FETで考えてみよう ・・・・ として考えを発展させるのも面白いでしょう。

このHPでは、低電力の内容しか扱っていませんので、危険性は少ないので、ちょっと部品を組み替えたりして、失敗を恐れないで、いろいろ考えて試してみることを楽しんでいただけたらと思います。

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