楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

電界効果トランジスタFETを使うための基礎の基礎

バイポーラトランジスタと同じように、もう一つのトランジスタ「電界効果トランジスタFET」を使ってなにかすることを考えてみましょう。

電界効果トランジスタ・・・って何?

  

難しいことはともかく、FETの基本の知識を知って、今までやってきたような、LEDやモーターなどのコントロールにつかえるかどうかを考えていこうと思います。


FETには「接合型FET(ジャンクションFET、JFETなどと書かれている場合もあります)」と「MOS型FET」があり、そのそれぞれに「Pチャンネル」と「Nチャンネル」があります。そして、それぞれに異なった「型番」がついています。

例えば、2SK2233(Nチャンネル)、2SJ334(Pチャンネル)などです。

バイポーラトランジスタでNPNとPNPでコンプリメンタリ・ペアとして使うものがありました。しかし、JFETの一部ではコンプリ的な使われ方をしているものもありますが、MOS-FETでは、それぞれの特性も違うので、個々のものと考えればいいのでしょう。

チャンネルの違いで、FETへの電流の流し方や特性は全く違います。さらに、「Nチャンネル」の製品が「Pチャンネル」の製品にくらべて、たくさんあるようなので、ここでは、Nチャンネルで説明をします。

バイポーラの「バイ」は「2」や「複」という意味(NPN・PNPの接合)でしたが、FETは「モノポーラ(またはユニポーラ:NP・PNの接合)」という説明がされています。

このFETの大きな特徴は、

電圧で制御する素子であること 
②入力インピーダンスの高い回路を組める

・・・ というところに特徴があるようです。

また、バイポーラトランジスタと同様に ①増幅作用 ②スイッチング に使用できるのですが、バイポーラとFETは、それぞれに得手不得手がありますし、回路図の図示記号も違いますし、使い方も異なります。

しかしバイポーラトランジスタと同じように簡単に使うことができれば、楽しいし、知っておくにこしたことはありませんね。

今まで遊んできた用途などには、このMOS-FETを色々な用途に使えそうなので、そのあたりを実験をしながら紹介していきたいと思います。

私の手元には少し古いFETしか無いので、それを用いて説明しますが、バイポーラトランジスタと同様に、基本の特性の見方や考え方がわかれば、いろいろなものが使えますし、とにかく、工夫ができればいいということなので、そのような説明をしていきましょう。


FETの記号

FETについても、いろいろな図示記号があるのですが、ここでは、BSch3VというFREEのCADソフトを使わせていただいているので、それにしたがって、下記のような記号を使います。

FETの図示記号

図示記号の見方

ここで使う2種類のFET

これを使用します。 写真のように、2SK30Aは「K30A GR 8A」と書かれています。そして、2SK2231は(写真では見にくいですが)「東芝セミコンダクタのメーカーマーク・k2231 7・G」とあります。

K30Aは「2SK30A」、GRは特性(この場合は、東芝の特性区分)で、8Aはメーカーの管理番号のようです。

K2231も同様に、2SK2231で、7はロット番号、GはRoHSとの互換性があるという意味のようです。(RoHSは、EU域内で使用する電気関係部品類の有害物質の使用を制限する指令で、後で使おうとするCdSセルなどは、これに適合していません)

しかし今、この2SK30Aも2SK2231も製造中止になっています。だから、2SK30Aは、2SK117、2SK246、などに、2SK2231も、2SK2232、2SK2312、2SK2313などが特性的に似通ったものですので、それらで充分代替できるはずですので、それらを購入するといいでしょう。

いずれの現在販売されている新しい製品では、廃番となったものよりも「性能の良いもの(使用範囲が広いもの)」になっていますので、このような低電圧低電流でラフな使い方をしている程度では、データシートで見比べると、いろいろな型番のものが使えるはずです。

このHPの記事では、しっかりとした製品を作るわけではないので、データシートを詳しく検討する必要もないでしょうし、最大定格内であれば、たとえ間違ってつないでも、トランジスタが壊れることはほとんどありません。(壊れても、安いものですので、あきらめられるでしょう)

FETにはバイポーラトランジスタと同様に3本の足が出ています。さらに、2SK30A(JFET)は、大きさも形も、バイポーラNPNの2SC1815などと全く同じ外形ですので、ルーペを用意しておいて、間違わないようにしましょう。

MOS-FET Nチャンネル(MOS-FET Nチャンネルの図示記号です)

3本の足は、ドレインDrain、ゲートGate、ソースSourceです。

バイポーラとは呼び方は違いますが、イメージは「コレクタ=ドレイン」「ベース=ゲート」「エミッタ=ソース」という感じで、電流の流れ方もG→Sに流れますので、コレクタ→エミッタに流れるという感じですね。

G-S間の「電圧」を制御することで、D-S間の「電流」をコントロールすることができます。

構造の違いから、JFETとMOS-FETでは、記号の形は違います。

普通は、N形(Nチャンネル)のものをソース接地で使います。

(後で説明していきますが) スイッチとして使うのであれば、「エンハンストタイプ」というのが使いやすいでしょう。

エンハンストとは、下の図のように、ゲートに加える電圧によって、急激にドレーンに流れる電流を制御できる「MOS型FET」が使いやすいのですが、これらの技術的用語や内容も、バイポーラと同じように、徐々に覚えるようにしていくといいでしょう。

FETのディプレッションとエンハンスト

英和辞書で引くと、ディプレッションとは、「押さえつけられた、減衰する」という意味で、エンハンストとは「能力を高める」という意味ですので、上の図のように、ゲート・ソース間の電圧で、減っていくのか増えていくのか・・・という感じですね。

ここでは、ドレイン電流を大きく変えたいので、「エンハンスト」タイプを使おう・・・ということになります。

バイポーラトランジスタとの大きな違いは、ゲートにかける「電圧」によって、負荷に流れる「電流」をコントロールすることができます。

バーポーラのときは、ベースに加える「電流」でコレクタ電流をコントロールしましたが、MOS-FETは、高電流を簡単に流すことができますし、価格的にも100円以下のものも多いですから、ある意味で使いやすいと思います。

そこでまず、「なぜMOS-FETがいいのか・・・」ですが、まずここでは、今までやってきた電子工作には、JFETは使いにくい・・・ということから説明をします。

つまり、今までのようなLEDやモーターを回すなどには、JFETが向いていないということですが、これは、「JFETが使えない」というより、そのような用途には向いていない・・・というだけのことです。

JFETは少電流のオーディオ用途向きなので使いにくい?

手元に、2SK30Aという、古い型番の、接合型FET(ジャンクションFET・JFET)があります。

NチャンネルのJFETではその他の型番でも見方や考え方は同様ですので、これで説明します。とりあえず、特性の見方から見ていきましょう。

特性的には・・・

特性表

FETの特性表2

このFETは、主に、オーディオ用などに使われています。これは、JFETのNチャンネルのディプレッションタイプになります。

バイポーラトランジスタと違って、ともかく、FETは電圧で出力がコントロールできるので、それが強みです。

しかし、上に見るように、流せるドレイン電流が10mA以下なので、LEDの点灯をコントロールするような場合でも、流せる電流が小さすぎるので、今までやってきた工作には、ちょっと使いにくいのです。

この図の見方は、左半分の、右上がりのカーブの部分が重要です。

ゲートに「負電圧」をかけると、ドレインD→ソースS の方向に電流が流れるのですが、この図では、-0Vのときにドレイン電流が最大になり、3mA程度の電流を流すことができる・・・ということが読み取れます。

図式号の中に、小さく「D」と書いているのは、JFETは、原理的に、ドレインDとソースS の「足」を入れ替えても、どちらの「足」であっても、プラス側からマイナス側に電流が流れるので、便宜的に、「D」をいれることで、「この回路ではD→Sに電流が流れる」ということを意識できるようにしています。

そしてこの、「負電圧」というところがポイントです。これは後で説明します。

左半分は、ドレイン・ソース間電圧が10Vの場合の特性図ですが、右半分の一番上の線を見ると、ゲート・ソース間0Vのときには、ドレイン・ソースの電圧が10Vから60Vと変わっても、電流値が変化しないということが示されています。

すなわち、10-60Vの電圧の「何かの器具や装置」に流れる電流を、0から3mAまでの間でコントロールできます・・・ということが示されています。

そして、そのドレイン電流が最大になるのは、ゲート電圧が-0Vのときですよ・・・ということです。

JFETを使うための回路を、今までのイメージで書いてみると下のようなものができます。

JFETの検討用回路(ダメな回路例)

しかし、この図のように、今までにやってきたような、「電源の電圧を下げてゲートに加える方法」ではダメです。

これでは、FETのゲートには「正電圧」が加わります。つまり、マイナスの電圧をかける必要があるのです。 イメージ的には、右の図の書き方のほうが、わかりやすいでしょう。

これを見ると、今までのバイポーラトランジスタのベースに加える「電流」は、電源電圧を抵抗器によって下げるとともに「電流値の制限」をさせていたのですが、FETは電圧で制御することと、さらに、ここでは「負電圧」が必要なので、電源電圧が使えません。

つまり、負電圧を加えるには、「別の電源を用意する」必要があります。このような方法で、2つを合体します。

負電源をつける

左の枠が負電圧を供給する方法です。

これは私もよくわからなかったところですが、この図で、「負電圧」がドレインに加わるということをゆっくり考えて見てください。

この回路をブレッドボードに組んで、ゲート電圧・ドレイン電流を測定してみました。

回路をブレッドボードで組んでみた

-0Vのときに、4.1mAの電流が流れて、LEDが薄っすらと点灯しています。

ボリューム回して、負電圧を上げていくと、-2.2Vのときに電流がOmAになりました。つまり、負電圧を上げるとドレイン電流は減っていき、最終的には、ある負電圧になると、それ以下の電圧では、ドレイン電流が流れなくなりました。

この回路では、220Ωの電流制限抵抗により、最大で (5-2)/220=13.6mAの電流が流れるはずですが、(この計算の仕方を忘れたら、前の記事に戻って再確認しましょう)JFETの能力で制限されて、4mA程度しか電流が流せない・・・ということです。

このために、JFETは、ちょっと使いにくそうだ・・・ということなのです。そこで次は、もう一つのFETのMOS-FETについて見てみましょう。

MOS型FETについて

手元には少し古い型番の2SK2231があります。WEBにある東芝のデータシートでは、廃番のために、「新しい製品には使わないでくださいね・・・」と書かれてあります。

他の型番のものを使う場合であっても、説明としては、これと同じ見方考え方でいいので、このデータシートをお借りして説明します。

2SK2331のデータシート例

青枠のところを見ておきましょう。
絶対最大定格は、絶対にこれを超えて使用してはいけないという数値です。

MOS-FETのデータシート1

この2SK2231では、5Aもの電流を流すことができるのですが、150℃を超えるとFETが壊れてしまうという数字もあります。放熱が必要になるのです。ただし、これらの数字も、ここでは、大きな電流は流しませんので、特に気にしなくていいということになります。

MOS-FETのデータシート例2

「ゲートのしきい値」については、「スイッチ機能を利用するには、これ以上の電圧をゲートにかけてやる必要がある」・・・というものです。

カタログの冒頭に、このMOS-FETは、「4V駆動」と書いてありますが、下のグラフで見ると、ドレイン-ソース間に4V以上の電圧をかけ、ゲートに2-5V程度の電圧変化を与えると、充分な電流が流れる状態になるなどが図で示されています。

その下の「オン抵抗」ですが、これは、電流が流れているときのFET自体の抵抗値です。

もちろん「0Ω」が理想なのですが、FETには若干の抵抗による電力ロスがあります。 そしてそれは、ゲート電圧が高いほうが、また、ドレイン電流を多く流すほうが抵抗が低くなっているところを見ておいてください。

もっとも、このHPの記事で取り扱うような電子工作で遊ぶのには、そんなに詳しい内容はいらないのですが、知っておくと、何かに役立つでしょう。ともかく、すごいデータが提供されていることに驚きますね。

MOS-FETのデータシート例3

あと一つ、「ハイサイド・ローサイド」という言葉が出てくるかもしれません。

ローサイド、ハイサイド

FETに対する負荷回路の位置を示す言い方で、通常は、ローサイドで考えればいいでしょう。

自動車の計装品などでは、バッテリーが1つで、車体がアースの場合は、いろいろな負荷をアースしやすいように、「ハイサイド」の回路が適していると考えられており、自動車内ではハイサイドの回路が組まれています。

一般の電子回路では、電源電圧が変わる場合も多いので、共通のアースが取りやすいということから、ローサイドの回路が一般的です。そのために、ここでは、ローサードの回路で考えます。

何か基本的な回路をつくって測定して動作を確かめてみましょう。

LEDを点灯させてみる

LED点灯回路例

ボリュームを回してゲートに加わる電圧を変えて、どういう状態でLEDが点灯するのかを見てみようというものです。

220ΩはLEDの電流制限抵抗です。ゲート電圧を0から5Vに可変できればいいので、100kΩは適当に選んだものです。これは、10kΩでも、1MΩでも問題ありません。

LED回路をブレッドボードで

0電圧時 MAX電圧時

測定してみると、ボリュームによって、ゲート電圧は0Vから4.89Vまで変化します。そして、約2.7Vで電流が流れ始めて、LEDが点灯し始めて、約3.6V以上では、ずっと13.2mAになりました。

つまり、約2.7Vを境にして、負荷の電流をON-OFFできるスイッチの役割が得られるということです。

CdSセルを使えないでしょうか?

次に、100kΩの可変抵抗に変えて、CdSセルに変えてみると、どうなるでしょう? こちらでのページで測定したCdSセルは、光の明るさによって、250Ω~10MΩ程度まで抵抗値が変化しました。

CdSを使ってブレッドボードで 明るいとき

CdSを使った回路例

それで100kΩの可変抵抗をCdSセルに変えて回路を組んでみると、写真のように、室内でも、少し明るいと、LEDが点灯します。

電流も充分流れているようです。

CdSセルを覆って、徐々に暗い状態にしていくと、セルの抵抗が増すので電圧が下がってゆき、約2.6VでLEDが消灯し、電流は0mAになります。これは、100kΩのボリュームを使ったときとほぼ同じ電圧です。

すなわち、CdSが「スイッチの役割」をしているという感じがわかります。

その他に何かできそうなことを考えてみよう!

これでFETの最低限の説明は終わりです。

さてこれから、これをつかって、何か遊べないか?・・・ということがこのHPの本来の目的です。

基本のスイッチ回路

スイッチの原理は、上図のような回路と考えられます。これを、「負荷の下に直接スイッチを付けても、同じだ・・・」と考えてはいけません。バイポーラトランジスタの場合も同様ですが、小さな変化を与えることで大電流の負荷をコントロールする・・・というところに妙味があります。

今までやってきて、基本的には、MOS-FETは、電圧で機器(負荷)をコントロールできるので、スイッチでもセンサーでも色位なものが使えそうだ・・・ということが大事なことです。

身の回りを見回すと、スイッチやセンサーになりそうなものはたくさんあります。

CdSセルもそうでしたが、サーミスタで温度によるコントロールなどもできそうですし、窓辺にある金魚鉢にテスターを突っ込んで抵抗を測ってみると40kΩ程度でしたので、それを利用して、水量の感知などもできるかもしれません。

また、手を湿らせてテスターで抵抗を測ると150kΩで、これは、湿り方や握る強さで抵抗値が変化しますので、これも何かできるかもしれません。

このようなことをいろいろ考えていこうというのがこのHP の目的です。

既成の電子工作は「完成されすぎている」ので、面白味が無いので、失敗しながらいろいろ考えて試してみることを楽しんでいただけたらと思います。

結構、身の回りにも、何かありそうな感じがしませんか?

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