楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

LEDを1こから順に数を増やして点灯させる

このページでは、1つのLEDを点灯することから始めて、50個程度のLEDを同時に点灯できるように、電流・電圧と明るさの関係を見ながら、始めて電子工作をする方のために、色々なことを寄り道しながら確かめていきましょう。

LEDの電子工作では、ある程度の数量のLEDを、あらかじめ揃えておくと便利です。 LEDの種類は大変多いのですが、まず、砲弾型のLED数色を100個程度持っていると、いろいろなことで使い道があります。 Amazonや楽天に、安価なセット品がいろいろ販売されています。 そして、これから電子工作を始める方は、こちらの記事の、電子工作を5000円で始めるスタータ用の部品類を参考にして、揃えていただくのがいいでしょう。

10種200個のセットがあれば、何にでも使える  

前のページでは、LEDのタイプが同じでも、色や種類によって、仕様が微妙に違っているので、たくさんのLED を同時に点灯させると、明るさを合わせるのが難しそう・・・ということがイメージできました。

ここでは、同じ種類のLEDを、まず、1つを点灯させる回路をみたあとに、複数個のLEDをつないだときの様子などを確かめていきます。

1つのLEDを点灯させる場合の基本的な考え方

砲弾型普通タイプのLEDであれば、製品の仕様数値が異なっていても、そんなに厳密に考えなくても、使い方はそんなに変わりません。

こちらのページで、電流量と見た目の明るさを紹介していますが、普通タイプの砲弾型のLEDでは、2V・15mAという数値(仕様)で考えていきます。

これは、1つのLEDでは、「電圧降下が2Vあり、15mAの電流を流して光らせる」・・・ということです。 そして、2Vより高めの電圧で、抵抗器を直列にして使います。

基準のLED点灯のための回路図標準的なLEDの点灯回路

このような回路が一般的です。 5Vの電源であれば、余分な3Vを抵抗器で電圧を下げて、なおかつ、抵抗器とLEDには、(直列につながれているので) 同じ電流が流れるので、この回路にある抵抗器は、電圧降下と電流値の制限という2つの役割があります。

PR

5Vの電源を使う場合を例に、抵抗Rの値を求めましょう

このHPでは、5Vの電源を用いますので、LED点灯に余分の電圧は、(電源の5V)-(LEDに必要な2V)=3V ですから、この3Vを抵抗器で下げてやればいい・・・ということです。

さらに都合のいいことは、この回路のように、[電源+]→[抵抗R]→[LED]→[電源-] ・・・ と、回路で電子部品が「直列」になっていると、「LEDと抵抗器に同じ電流が流れる」という原理から、オームの法則を用いて計算で抵抗値を求めることが出来ます。

オームの法則を使って計算します

オームの法則 R=E/I から、電源電圧が5Vであれば、 R=(5-2)V / 0.015A = 200Ω の抵抗をつなげばいい・・・と計算できます。 

このオームの法則を使う場合は、単位を合わせることを忘れないようにしましょう。 R(抵抗値:Ω)=E(電圧:V)/I(電流:A) ですね。15mAは0.015Aです。

この場合は、うまく、200Ωという割り切れた答えになりましたが、市販されている抵抗器(この場合は1/8ワット型)の抵抗値は飛び飛びになっています。 

私の手持ちの抵抗器では、150Ω→200Ω→220Ω→270Ω→330Ω となっていますので、計算した抵抗器の近くのもので代用すれば問題ありません。

他の記事でもでてきますが、LEDの電流値と見かけの明るさの関係を見ると、大きめの抵抗器を使えば、ほとんど問題はありません。

こちらのページで、10~20mA程度になるようにしておけばよいことを示しています。

ちなみに、この220Ωの場合を計算すると、200Ωで15mAが、220Ωになると I=E/R=(5-2)/220≒0.0136 約14mA ですので、抵抗値の違いは、そんなに気にしなくていいということがわかります。

参考ですが、LEDに流したい電流とその時の抵抗値を計算すると、多めの25mAが流れるようにするには120Ωを、5mA流すだけでいいのなら600Ωという計算値ですから、たくさんのLEDで遊ぶ場合は、いろんな値の抵抗器を購入しておくと便利です。 一度、いろいろ、試してみてください。

これは1/4Wで@1円程度です。1/8WでもOKです。

5mAでも、LEDが暗いということはないので、私は、何も考えずに、5Vの電源では220Ωを使うようにしていますが、反対に、電流を流しすぎるのはよくありません。120Ω以下にすると、25mA以上の電流がながれて焼け切れる可能性が高いので、不必要に、大きい電流を流さないようにするのがいいでしょう。

電源電圧が違う場合にも、必要な抵抗値は、計算で求めます

電源電圧が5Vの場合は200Ωの抵抗器でしたが、 6.3Vの場合には、(6.3-2)/0.015≒287Ω 、12Vの場合は (12-2)/0.015≒670Ω です。 これよりも、少し大きめの抵抗器を使えば問題ないでしょう。 

PR

LEDを2つ以上を点灯 : 直列つなぎと並列つなぎ

ここでは、多くのLED を同時に点灯する場合を考えていきます

①1つのLEDを点灯させる場合 ②LEDを直列につなぐ場合 ③LEDを並列でつなぐ場合 について、その様子を実験しながら見ていきます。

LEDのつなぎ方 直列と並列

(参考)この回路図の部品配置は、上の図と違っていますね。 少し書き方を変えると、別の回路のように思うでしょうが、慣れるまでは、自分の頭の中で、電流の流れをイメージするように回路図を見て慣れていくようにするのがいいでしょう。 

このHPの回路図は、Bsch3Vというフリーソフトを利用せてていただいており、これは、最新JISに沿った書き方ではない、古い図示法ですが、まだまだ多くの方が、今でもこの図示法を使っていることもあって、あえてこれを使わせていただいています。

PR

直列:全回路部品に同じ電流  並列:全LEDに同じ電圧が

LEDだけでなく、抵抗の場合でも、直並列つなぎの場合は、この考え方が使えます。 いろいろなところで役に立つので、覚えおきましょう。

LEDや抵抗器を直列した場合は、回路の部品に流れる電流が同じになる ので、上図の①の場合では、電源に、LED1つと抵抗器1つが直列になっていますから、抵抗器に流れる電流もLEDに流れる電流も等しくなっています。 

実際に測定してみることにします。

頭で考えることもいいのですが、簡単な回路をブレッドボードに組んで、電圧と電流をはかってみると納得できるでしょう。 

ただ、実際に確認しようとすれば、抵抗器の誤差も影響するし、測定値も、オームの法則通りにならないことや、測定のたびに測定値が微妙に変動する・・・など、いろいろな問題が出てきます。

それは、プロがやっても同じですから、「何が正しく、何がおかしいのか・・・」を考えるのは「よい経験」ですので、一度は自分でやってみることをオススメします。

丸A・丸Vに書いてある数字が、テスターでの電流(mA:赤)・電圧値(V:黒)です。

実際に回路の電流電圧を測定してみる

LEDが1つの場合 

LED1つの基本回路

上に書いた方法で、 (5V-2V)/200Ω=0.015A になるだろうと、抵抗値を200Ωと決めたのですが、測定値を見ると、若干少ない電流値ですが、回路に流れる電流は同じ値になっています。

実測すると、計器の精度、部品の特性、測定の誤差などが含まれます。 これを、実測値を使って計算すると、 (4.9-2.2)/200=0.0135 と、計算値に近くなってきます。

ここでは、①抵抗器とLEDで電圧降下していて、②その合計が電源のVになっていることと、③抵抗器にも、LEDにも、回路全体にも、流れる電流は13mAで同じ・・・というところを見ておいてください。

PR

LED2こを直列にすると・・・極端に暗くなった

直列の場合

LEDを増やすと、LEDが電圧を下げる働きをするので、1つLEDが加わると、回路に流れる電流量は減ります。

もちろん、回路に流れる電流(各部品に流れる電流)は、直列つなぎになっているので「同じ」ですから、そうなると、LEDが2個になると、電圧が落ちて、電流を流す力が低下したために、1個では13mAだった電流が、1/3以下の4mAに減っています。

2V15mAのLEDなので、抵抗器Rの電流値は、 I=V/R=(5-2-2)/200=0.5mA という計算値です。 これでは、LEDの光は極端に暗くなってしまいますね。

電圧が低いので、充分な電流を流す力がない・・・ということのようです。 そこで、オームの法則の式 V=IR から、電源電圧を上げれば、電流は増えるはずです。

2個直列の場合で、5V電圧を2倍の10Vにすると・・・

電圧を5V→10Vと2倍にすると、計算値では、I=V/R=(10-2-2)/200=30mA と、かなり大きな電流が流れると予想できます。

10Vにして測定すると、流れる実測の電流値は 4mA→26mA と激増して、明るく輝きました。

この数字も、若干、計算値と違うのですが、例えば、2VとしたLEDの電圧降下の値が、実際は2.3Vになっていますから、LEDの特性で、計算した電流値にならない場合も出てきます。

実際に測定するとわかるのですが、LEDの電流値も絶えず変動していますし、周囲温度やLED自体の温度の影響があるようなのですから、この程度の実験値のばらつきは出てきます。

ここでは、直列つなぎの場合は、①回路に流れる電流が同じということと、②LEDを直列に増やすと、電圧が充分でないと、電流を流す力がなくなって、総電流値が下がってしまう・・・というところを見ておいてください。 

直列で電圧を上げた場合

直列の場合で、1つの抵抗で回路を作ろうとすると、2V・15mAのLEDでは、LEDを2つ点灯させるには、2x2=4Vが、5このLEDでは、2x5=10V、n個のLEDを直列で点灯させようとすると、(2xn)Vの電圧が必要になります。 

特性のばらつきを考えると、それ以上の電源電圧を用意する必要があります。

電流をたくさん流せるように、抵抗値を下げると???

ここで、電源電圧を上げるのではなくて、200Ωの抵抗値を下げる方法もありそうですね。 その場合はどうなるのでしょうかを確認しておきましょう。

電流制限抵抗を半分の100Ωにすると・・・少し電流が増える

直列で、制限抵抗値を下げた場合

5Vで2つのLEDを点灯させるには、2こx2V=4V 以上であればいいはずなので、電圧的には足りているのですが、まだまだ、抵抗が大きすぎる・・・ということのようですね。 

これを計算で確認してみましょう。

この場合では、I=V/R=(5-2-2)/100=10mA 流れるという計算ですが、7mA しか流れていません。

これは、LED1個の電圧降下を2Vとしたためで、実測値の2.1V で計算してみると、(4.9-2.1-2.1)/100=7 となって、計算通りになっているのがわかります。

いくらの抵抗にすれば15mA流れるのかを計算しましょう

7mAの電流でも、そこそこ明るく点灯しているのですが、規定の15mAの電流を流そうとすると、R=V/I から計算すると、47Ωの抵抗を使うといいことがわかります。

これらが、オームの法則を使って、簡単に計算できることも、面白いことですね。

以上のことから、LEDを直列する場合は、個数に応じて、①十分に光らせるだけの電圧にするか、②電流制限用の抵抗値を下げることで、電流量が計算できて、適当な明るさに調節できる・・・ということがわかりました。

PR

LEDを並列にすると・・・多数個点灯は簡単??

まず、2個のLEDを並列つなぎで点灯させる場合をみます。

並列の場合

実験すると、このように、全体の電流(ここでは14mA)が2つのLEDに分散されて、1/2の電流がそれぞれのLEDに流れています。 

1つあたりの電流は少なくなるので、LEDは暗くなっています。

つまり、1つの抵抗を介して、LED2つを並列にすると、1つあたりでは、総電流量の1/2になり、5つ並列にすると、1つあたりの電流量が1/5になって、明るさが減少することがわかります。

LEDに流れる電流を15mA程度まで高めると明るくなるか?

そのためには、電源電圧を高くするか、抵抗値を小さくする方法があります。

もちろん、下のような回路にして、LEDそれぞれに電流値を設定した抵抗器をつければ問題ありません。通常は、このように、個々のLEDに対して抵抗を入れる方法が一般的です。

一般的には、LEDそれぞれに抵抗を直列にして使います

書き入れた数字は、頭で考えた「思考実験値」ですが、LEDを50個点灯させる場合は、50個の抵抗器をつければいいのです。

ここでは、総電流に対する抵抗器も大きいものが必要になるという問題を押さえておきたいので、1つの抵抗器の場合で考えていきます。

そこで、直列の場合にやったように、電圧を2倍の10Vにした場合を例に実測してみました。

電源電圧を2倍にすると・・・

並列で電圧を2倍にした場合

2倍の予想のよりも少し多くなって、1つのLEDに19mA流れました。

(注)計算で言えば、LED2つで30mA流れるようにするには、V=A・R=0.03x200=6V にすればいいのですが、ここでは、イメージを持っていただきたいので、2倍の電圧にしています。 

ただ、ここで、電流量に注意が必要になってきます。

全体では39mAという、やや大きい電流が流れていて、抵抗器に手を触ると、かなり熱くなっています。 (しつこいようですが、この状態を計算してみると、I=V/R=(10-2-2)/200=40mA と、実測と計算があっています) 

39mAの電流が流れているので、1/8W型の抵抗器では小さすぎる・・・という問題が出てきます。 これを計算で確かめてみましょう。

W(電力)=A(電流)xV(電圧)=I2xR=0.039x0.039x200≒0.3W となり、1/8W型(0.125W)の抵抗器では、発熱で抵抗器が破損する懸念があります。

一般的には、抵抗器は、使用する電力量の2~3倍のワット数の抵抗器を使うこととされています。

40mAの電流を常時流そうとすると、0.3Wx2 より大きい、1W程度の大きな抵抗器が必要・・・ということになります。 

このように、LEDは省エネと言われるのですが、使用する個数が増えて、流れる電流が増えると、発熱も多くなります。 

時々、手で触って、熱くないかどうかを見る癖をつけておくのも、トラブルが防止に役立ちます。


抵抗値を下げた場合の思考実験

「思考実験」なので、測定した数字ではありませんが、5Vの電源電圧で、抵抗値を下げて、1つのLEDに15mA流すようにする場合を、頭の中で考えてみましょう。

並列のLED2つで30mA流せばいいので、R=V/I=(5-2)/0.03=100Ω の抵抗に変えればいい・・・ということになります。

さらに、5個のLEDを並列にすると、全体では、15mAx5=75mA 流すので、(5-2)/0.075=40Ω にすればいいことになります。 

たくさんのLEDを一度に点灯させてみよう・・・というのが目標でしたので、たくさんのLEDを並列につなぐ場合には、このように計算して、その電流量に見合ったワット数の市販の抵抗値があれば、1つの抵抗器でたくさんのLEDを点灯ができそうです。

さらに次のページでは、「LEDをたくさん同時点灯させる」ということを考えていきましょう。


→ INDEX(目次)のページへ 

PR

Page Top▲
(来歴)R1.12記事作成   R5.7記事を分離   最終R5.8に見直し
PR

このHPのLED記事

全記事の目次はINDEXのページに。

LEDを使う電子工作は、普通タイプの砲弾型LEDが使いやすい
 ・形が似ているので、きっちり区分する
 ・高輝度より普通タイプが使いやすい
 ・LEDの電圧・電流特性の例
 ・LEDを点灯する回路図
 ・LEDの電流量と見た目の明るさ

LEDの点灯の状態を実験で掘り下げてみましょう
 ・LEDが点灯する最小電流
 ・LEDは種類・色ごとに特性が違う
 ・ぱっと一瞬で点灯しているのか

LEDを1こから順に数を増やして点灯させる
 ・LED1つを点灯させる場合
 ・並列、直列にして同時点灯させる場合
 ・実際に回路の電流電圧を測定する

LEDをたくさん同時点灯させるためのアプローチ
 ・同時点灯では、何をチェックするか
 ・50個のLEDを同時に点灯させる

少し変わったLEDの点灯について
 ・交流でのLEDの点灯の様子
 ・LEDのダイナミック点灯について

LEDに流す電流値と見かけの明るさを調べてみた
 ・LEDは電流の大きさで明るさが変わる
 ・LEDを点灯させる最適な電流値

Arduino用センサキットのLEDモジュールを使ってみる
 ・セットには5種類のLEDモジュール
 ・アナログでRGBのLEDは使いづらい

7セグメントLEDをアナログ的に使ってみる
 ・アノードコモンとカソードコモン2種類あり
 ・個々のセグメントを点灯させてみる
 ・ディップスイッチで各セグメントを点灯
 ・7セグデコーダICを使う

バータイプLED(5ドット・10バー)を使ってみる
 ・バータイプICにデジタルICを使う
 ・音楽に合わせてLEDが光る回路例
 ・マイクでバーLEDを作動させる回路例

ろーそくIC を使ってみましょう
 ・ローソクICの例
 ・使い方は簡単です

その他の電子工作記事

電子工作を始めましょう(6記事)

LEDで遊ぶ(10記事)

DCモーターを使ってみよう(4記事)

トランジスタで遊ぶ(4記事)

いろいろな発振(5記事)

電子工作に使うパーツ類(11記事)

オペアンプを使う(5記事)

タイマーIC 555(2記事)

ECM用ミニアンプ試作(1記事)

デジタルICを使う(3記事)

★電子工作の全目次ページ

★応用のページの目次ページ

★関連記事の目次ページ

★私の全記事(目次)

PR