楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

LEDを複数個同時に点灯させてみよう

  

前のページ(→こちら)では、LEDは(1)適当な電圧が必要なこと (2)流れる電流値で明るさが変わること などを見てきましたが、ここでは、LEDを複数個点灯させる場合を考えていくために、・・・

  ・LEDを直列につないだときの電流電圧の実測
  ・並列のつないだときの電流電圧の実測
  ・50このLEDを並列つなぎで同時点灯させる
  ・LEDの交流での点灯    ・・・などを実際に実験しています。

電流電圧を測定してみるのが理解しやすい

LEDのつなぎ方 直列と並列

①がLEDが一つの場合の基本回路。②はLEDが2つの直列つなぎ ③が並列つなぎの場合です。

直列した場合は、回路の部品に流れる電流が同じになるので、①では、抵抗器とLEDが直列になっているので、抵抗器に流れる電流もLEDに流れる電流も等しいはずです。 ここでは、実際に測定してみることにします。

頭で考えることもいいのですが、簡単な回路をブレッドボードに組んで、電圧と電流をはかってみます。 これでも、結構大変だということがわかります。

例えば、抵抗器の誤差の少ないものを選ぶことや、数値を四捨五入すると、オームの法則通りにならないことや、数値が微妙に変動する・・・などが出てきて、その原因を考えるだけでも「よい経験」ですので、自分で一度やってみることをオススメします。

A・Vはテスターでの電流(mA:ピンク)・電圧値(V:黒)です。

LEDが1つの場合 (①:これが基本形です)

LED1つの基本回路

ここで重要なことは、抵抗器とLEDそれぞれで電圧降下があることと、抵抗器にも、LEDにも、回路全体にも、流れる電流は13mAで同じ・・・というところです。

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余談ですが、この200Ωは、LEDが2V・15mAという仕様であるとして、R=V/A=(5-2)/0.015=200Ω として200Ωに決めました。 

そしてその結果、実測すると、LEDの電圧降下は2Vではなく2.2Vで、電流は15mAではなく13mA(0.013A)が流れて点灯しているということがわかりました。 実測値と計算値が若干違うのですが、この場合は、「実測値が正しい」ということにしよう(→こちらで決めた決まりごとです)・・・ということですが、同時に、このようなオームの法則の計算には、できるだけ慣れていってください。

LED2こを直列にすると(②の場合)

直列の場合

それぞれの部品に流れる電流量は直列になっているので「同じ」ですが、LEDが2個になると、13mAだった電流が1/3以下の4mAに減ってしまいました。

LEDの計算上では、2V15mAのLEDなので、これをもとにRの電流値を計算すると、I=V/R=(5-2-2)/200=0.5mA なので、実測値と異なるのですが、なぜ、こんな結果になったのでしょうか? 

これに答える前に、電源電圧を2倍にして、同じように測定してみます。

LED2こを直列にして、電圧を上げた場合(②aの場合)

明るく輝きました。 つまり、電圧が上がれば流すことができる電流に余裕ができて、明るく輝くということです。

直列で電圧を上げた場合

電圧を2倍の10Vにすると、電流量は、5Vの場合の6倍と、一気に増えました。 

LEDの2V15mAの仕様でRの電流を計算すると、I=V/R=(10-2-2)/200=30mA ですので、この電流値は、計算値に近い値になっています。

つまり、5Vの電源電圧では、2つのLEDを点灯させる力がなかったということです。

2つのLEDを点灯させるには、2x2=4Vが、5このLEDでは、2x5=10V、n個のLEDを直列で点灯させようとすると、(2xn)Vの電圧が必要になります。

ここで、電源電圧を上げるのではなくて、200Ωの抵抗値を下げると、電流がたくさん流れるように思いますね。 実際はどうなるのでしょうか。 確認しておきましょう。

電流制限抵抗を半分の100Ωにすると・・・少し電流が増える

直列で、制限抵抗値を下げた場合

5Vで2つのLEDを点灯させるには、2こx2V=4V 以上であればいいはずなので、電圧的には足りているのですが、まだまだ、抵抗が大きすぎる・・・ということですね。 

このときの状態を計算で確認してみましょう。

上と同様に計算すると、I=V/R=(5-2-2)/100=10mA 流れるはずですが、実測値はそれより低い原因は、LEDの電圧降下が計算で用いた2Vではなく2.1Vとなっているので、これを、すべての実測値から計算してみると、(4.9-2.1-2.1)/100=7 となって、計算通りになっているのがわかります。

7mAの電流でも、そこそこ明るく点灯しているのですが、規定の15mAの電流を流そうとすると、R=V/I から計算すると、47Ωの抵抗を使うといいことがわかります。

結論としては、直列の場合は、電圧を上げるか、電流制限用の抵抗値を下げることで、明るさが調節できるということがわかりました。 

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制限抵抗なしにすると、何Vで点灯する?

これを実験すれば、電流が流れすぎて、LEDが切れてしまう危険性があるので、あまり推奨できるものではありませんが、可変電源を用いて、これをやってみました。

小さな電圧でのLEDの点灯のようす

結果はこのように、やはり、1つのLEDに対して、2.0V程度の電源電圧を考えておくのがいいということですが、ちょっとでも電圧をあげすぎると、電流が流れすぎて、LEDが切れてしまいます。

(注意) 前ページ(→こちら)の特性グラフを見ると、1つあたりのLEDで、1.5Vでは0mA、1.75Vでは3mA、2.0Vでは20mA、2.1Vでは32mAとなっていて、2V以上で、0.1Vの違いで、急激に流れる電流量が増えるので、注意が必要です。 電流制限抵抗なしでは、電流が流れすぎて、簡単にLEDが切れてしまうので、必ず、抵抗を直列にして電流を制限してLEDを点灯させるようにしましょう。

LED2こを並列にすると・・・電流が分散する (③の場合)

並列の場合

電流の流れを見ると、電源→抵抗→並列LED・・・と、直列になっているので、上の②と同じように、回路中では、同じ14mAの電流になっていることが確認できます。

しかし、注目する点は、14mAの電流が、並列になっているLEDに半々に分かれて流れて、LED1つあたりの電流量が減っています。 

つまり、LED2つを並列にすると、1つあたりでは、総電流量の1/2になり、5つ並列にすると、1つあたりの電流量が1/5になって、明るさが減少することがわかります。

つまり、LEDを並列につないで、明るく輝かせようとすると、LED1つあたりの電流量を増やす必要があります。 

そのためには、②a・②bでみたように、電源電圧を高くするか、抵抗値を小さくする方法が考えられます。

ここでは、電圧を2倍の10Vにした場合を例に実測してみました。

電源電圧を2倍にすると・・・(③aの場合)

並列で電圧を2倍にした場合

2倍の予想のよりも少し多くなってしまいました。 1つのLEDに19mA流れています。

(注)計算で言えば、LED2つで30mA流れるようにするには、V=A・R=0.03x200=6V にすればいいのですが、ここでは、イメージを持っていただきたいので、2倍の電圧にしています。 

ただ、ここで、電流量に注意が必要です。

全体では39mAものやや大きい電流が流れていて、抵抗器に手を触ると、かなり熱くなっています。(しつこいようですが、この状態を計算してみると、I=V/R=(10-2-2)/200=40mA と、実測と計算があっています) 

40mAの電流が流れるので、1/8W型の抵抗器では小さすぎるようです。

ここで、W(電力)=A(電流)xV(電圧)=I2xR=0.039x0.039x200≒0.3W なので、1/8W型(0.125W)の抵抗器は不適で、一般的には、2倍の電力の余裕を考えて、1Wの大きな抵抗器が必要・・・ということになります。 

このように、電流が増えると、発熱に気を配る必要があります。

なお、ここでは確かめていませんが、5Vの電源電圧で、抵抗値を下げて、1つのLEDに15mA流すようにする場合を考えてみましょう。

並列のLED2つで30mA流せばいいので、R=V/I=(5-2)/0.03=100Ω の抵抗をつなげばいいということです。 また、5個並列にすると、15mAx5=75mA 流すので、(5-2)/0.075=40Ω にすればいいことになります。 

これについては、後で、50個のLEDを並列にして同時点灯させるところで確認しますが、適当な市販の抵抗値でワット数の大きいものがあれば、簡単に多数個のLEDの点灯ができそうですね。

ここまで、複数個のLEDを使い場合の様子や注意点を見てきましたが、ここまでの知識をもとにして、本題の「LEDをたくさん同時点灯させる」ということを考えていきましょう。

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たくさんのLEDを同時点灯させる

今まで確かめてきた知識で、電圧と電流を調整することで、多くのLEDを点灯できそうだということがわかりました。

n個のLED(2V・15mA)を「直列つなぎ」にすると、(2xn個)Vと、必要な電圧は高くなりますが、低電流という点が優れています。 しかし、1つが切れると、全体が消えてしまいます。

「並列つなぎ」にすると、電圧は低くても、同じ明るさにできるようですが、固定抵抗器のオーム数が限られていたり、(0.015xn個)Aの電流が流れるので、電流と熱対策をしないといけません。

そうなると、直並列の併用などにすると、ブロックごとに光る強さを変えたり、色によって光り方の違うLEDの光り方を調節したり・・・ということや、種類の違うLEDでも、光り方が違うので、それらを調節していけば、かなりたくさんのLEDを同時に点灯させることができそうだ・・・ということが推測できます。

イルミネーションを作るときの接続イメージ

ただ、頭の中でイメージできても、実際にそれでイルミネーションを作ろうとすると、いろいろな条件が加わるので、簡単とは言えないのですが、できそうなことだけはイメージできます。

そこで、1つのLEDが切れても、あまり明るさに影響しない「並列つなぎ」によって、50個のLEDを点灯させてみようと思います。

ここでは実際に、多数のLEDを点けることに挑戦する場合の考え方やアプローチの仕方も交えて、砲弾型のLED(上で用いたものと同種類))を用いて、数を増やすとどうなるかを実際にやってみました。

1→5→10→20こを並列につないでみます

並列ですので、各LEDには同じ電圧が加わり、LEDの数が増えると、1つあたりの電流量が 1/n に減ります。下の写真は、電源5Vで電流制限抵抗を200Ωにして、順に数を増して点灯させた様子です。

20このLEDをつけてみます

20こつないでも、全てが点灯していますが、数が増えるにつれて、明るさが減少しています。(写真ではLED先端のレンズの位置や写真を撮る方向の影響で、写真の写り方が違っていますが、ほぼ全部が同じ明るさで光っています)

電流量を見ると、並列にすると、総電流量はほとんど増えていないけれども、LED1つあたりの電流量は減っています。

LEDの個数を少なくしていきました

20こ点灯状態で、1つのLEDの電流を測ると、1mA以下(テスターは0mA)しか流れていなかったのですが、それを、19,18・・・とLEDの同時点灯させている数を減らしていくと、12こになったときに、ようやく、テスターの数字が1mAになりました。(誤差があるので、正確ではありませんが、14/20=0.7mA、14/12≒1.3 と、1mAを超えたあたりで「光っている」ように見えます)

明るく輝かせるためには、LED1つあたりで、少なくとも5mA以上の電流値がほしいのですが、そのためには、電流制限抵抗の値を小さくするのが1つの方法です。

ここでは5Vの電源ですので、R=10Ωの制限抵抗にすると、I=V/R=(5-2)/10=300mA で、LED1つだけの電流を15mAと仮定すると、 300/15=20こ と、20個のLEDを明るく点灯できるはずです。 

また、R=5Ωにすると、(5-2)/5=600mAなので、600/15=40このLEDの同時点灯ができるし、さらに、1Ωの抵抗器の変えれば、200このLEDを並列にして明るく光らせる・・・ ということが計算上から予想できます。

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ここでは、1Aが許容値の電源ですし、LEDの特性の微妙な違いもあることを考えて、10Ωの抵抗器で、50このLEDを用意して、その点灯の様子を見ることにします。

このときの注意点としては、LEDの個数を、少ない状態から順に数を増やすと、少ない時点で電流が流れすぎて、LEDが焼き入れるので、一気に50こを点灯させる必要があります。 

また、300mAの電流が10Ωの抵抗器に流れるので、0.3x0.3x10=0.9Wなので、ワット数の大きい抵抗器が必要になるので、大きなセメント抵抗(5W)を使って点灯させたのが下の状態です。

実測値で262mAの電流が流れているので、やはり、すぐに抵抗器が熱を持ち、抵抗値が下がるので、電流測定がしにくかったのですが、やはり熱には気をつけないといけません。

50個点灯しています

50この場合では、1つのLEDの電流は6mAでした。 LEDを30こに減らすと10mAになり、20個では、13mAと、目標値に近い値になりましたが、下のように、見た目のLED1つ一つの明るさも電流量を反映しているようです。

明るさの比較

本題は以上です。これだけのことをやっていくだけでも、結構楽しめますので、ぜひ、手を動かして楽しんでください。 以下には、LEDの関連する事項を紹介します。

LEDのダイナミック点灯

ここまでは、アナログ回路でLEDの点灯を見ていますが、LEDの個数が増えると、流れる電流が増えますし、熱対策なども必要になります。

そのため、しばしば、デジタル回路を用いて、「ダイナミック点灯」という方法が取られます。

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一般的には、「タイマーIC」と「カウンターIC」を用いて、多数のLEDを順番に断続的に点滅させる方法が一般的ですが、点滅する間隔が短いと、人間の目には残像が残って、「点滅ではなく点灯している」状態に見えます。

これを利用して、たくさんのLEDを同時点灯しているように見せよう・・・と考えられたのが「ダイナミック点灯」と呼ばれる方法です。

これについては、デジタル回路を紹介する機会があれば紹介しますが、ここでは触れません。(こちらに関連記事あり

例えば、ダイナミック点灯回路で、30個のLEDを、毎秒30回点滅させて順次に点灯させると、LED1つ分の電流で30個のLEDを点灯させることが出来る事になり、省電力化が可能になりますので、省エネ対策が必要な場合は、これを利用する場合が多いようです。

交流でもLEDは問題なく点灯します

LEDは「発光ダイオード」と呼ばれるように、ダイオードですから、本来から「一方にしか電流を流さない」整流作用があります。

そのために、交流であっても、問題なく点灯するはずです。

トランスを利用して100V の電圧を下げて、LEDを点灯してみました。

交流での点灯

電源電圧は6.6Vで、217Ωの抵抗(いずれも実測)を付けて、順電圧3.5Vの白色LEDをつなぐと、写真のように、明るく点灯します。

交流は、プラスマイナスの電流電圧が交互に入れ替わっていますので、LEDはどちら向けにつないでも整流(半波整流)されるので点灯します。

下のように、10個の白色LEDを交互の向きにつないでみても、下の写真のように、問題なく点灯しています。

交流での点灯2

これも何かの折に覚えておくと使えるかもしれません。

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更に寄り道です。

7色に点滅するLEDが販売されています

アマゾンで7色に自動点滅するLEDがあったので購入しました。(次のページでいくつかのLEDを紹介しています)

これは、「順電圧3.5-4.0V LED5mm RGB(Fast)」という表示があるMade in Chinaのものですが、100球1パックを購入したのですが、1つが10円程度で、嘘みたいに安い価格で、点灯させるとカラフルで、見ていても、非常に面白いものです。

変わり種LEDの例

基本の1つを点灯する回路で、220Ωの電流制限抵抗をLEDをつないだだけですが、色を変えながら点滅します。その様子を動画で撮っています。 →ユーチューブの画像を見る 

また、トランジスタの増幅を利用して、これを使って遊んでいる記事(→こちら)もあります。参考に。

ただ、これを交流で点灯させるとダメでした・・・

電源はこれまで使った5Vを用いて、その他もこのHPで説明用に使っているものですが、これを「交流電源」につないでみました・・・ が、結果は、うまく点滅しませんでした。 

点灯するのですが、7色の変色も点滅もしません。(LED3つを並列にした写真です)

そして、普通のLEDでは、極性に関係なく点灯しましたが、3つのうちの1つの極性を入れ替えると、3つとも消灯してしまいます。

交流での点灯3

このLEDがどんなものなのかも、どうしてそうなるのかもよくわかりませんが、ともかく 「なんでもやってみる精神」でやってみたのですが、ともかく、何でもチャレンジしてみると、その過程で、面白いことに出会えるかも知れませんね。

このように、LEDは気軽に色々なことを実験して楽しめます。Amazonや楽天には、LEDを使った電子工作製品などがたくさん販売されています。下のリンクを参考に何かで遊ぶと結構楽しめますよ・・・。

→ Amazonの電子工作用LEDのページへのリンク  

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