楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント:LED
LEDの点灯には、抵抗器を回路に直列にいれる方法が一般的で、これでLEDに加わる電圧を下げるとともに、適当な電流で発光させる役目をします。この抵抗値は計算で簡単に求めることができます。

LEDは抵抗器を使って点灯させる のが一般的

LEDは下の回路のように、順電圧(LEDを点灯することのできる電圧で、LEDの種類により、2V~3.5V程度です)以上の電圧の電源(例えば5Vなど)を用います。 また、抵抗器を回路に直列にして、電圧調整と電流の制限を同時に行う使い方が一般的です。

(注)このHPでは、この図のように抵抗器を使った点灯をしていますが、その他では、定電流ダイオードを用いたり、高い電圧をパルスにして加える方法などもあります。 しかし、安価で簡単な抵抗器を使う方法が一般的です。

一般的なLED点灯回路

(注)ボタン電池で3Vタイプの高輝度LEDを抵抗器を使わないで直結で点灯させている製品もありますが、乾電池の電圧が低下すると流れる電流が減って暗くなるので、このような使い方は一般的ではありません。

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LEDを点灯させるための基本

一般的にはLEDの順電圧(LEDを使うと電圧降下する電圧)以上の電圧の電源を用いて、明るさに応じた電流を流すために、抵抗器を直列につないで使用します。

例えば、2Vの普通タイプのLED1つを点灯させるには2V以上の直流電源を、3Vの高輝度タイプでは、3V以上の直流電源を用いて、余分な電圧と電流を抵抗器を直列につないでコントロールして点灯させる方法が一般的です。

このときの電流、電圧、抵抗値の関係は、オームの法則を使って簡単に計算して求めることができます。(他のページでも繰り返して説明しています)

例えば、5Vの電源を使って、2VタイプのLEDを10mA程度の電流で点灯させる場合では、LEDが点灯すると、2Vタイプであれば2V程度、3Vタイプであれば3V程度の電圧降下が生じるので、余分な(5V-2V)=3V の電圧を下げる必要から、抵抗器を回路に直列につないだ回路で点灯させます。

このような直列回路では、回路に直列の部品(抵抗器とLED)には、同じ電流が流れるということを利用して計算できるのですが、この「直列の回路中の部品には同じ大きさの電流が流れる」という考え方は、よくでてくるので覚えておきましょう。

そこで例えば、電源電圧と使用するLEDの種類がわかっていて、LEDに流す電流量を決めると、「抵抗器」の抵抗値が計算できます。

抵抗値を求めるにはオームの法則 V=AxR を用います

Vは電圧、Aは電流、Rは抵抗 で、式を変形して R=V/A としてRの値を計算します。

この場合は、10mAは0.01Aですので、単位をVボルト、Aアンペア、Ωオームにして計算します。すると、

 R=E/A = (5-3)/0.01 = 200Ω となります。

200Ωの抵抗器を上の回路のように直列に入れると、回路内のLEDにも抵抗器にも、すべて同じ 10mA の電流が流れますので、LEDにも10mAの電流が流れて発光します。

回路内の電流を一定にするための抵抗器を「電流制限抵抗」という言い方をします。

このとき、抵抗器に電流が流れるので発熱します。 しかし、LED単球では10mAの小さな電流量なので、小さな抵抗器でOKです。

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(参考)発熱量を計算してみましょう。 (わかりやすいので古い単位のcalで計算しますが、1calは1ccの水の温度を1℃あげることができる熱量で、現在はジュールという単位を使います)

1分間発熱量cal=0.24x電圧Vx電流Ax秒 から、0.24x2x0.01x60≒0.3cal なので、空気中に放熱もあって、抵抗器に触れてもほとんど発熱は感じないでしょう。

このときに流れる電力は 電圧Vx電流A=2x0.01=0.02W ですので、1/8型(125mW型)の小さな抵抗器でもOKということになります。


LEDの明るさは電流量に関係する

電流が大きくなると、電流の熱作用によって回路中のLEDと抵抗器の温度が上がります。

下のグラフは、電流制限しない場合には、LEDに加わる電圧で、電流量が急変することが示されています。

LEDの特性例

データシートの特性のグラフでみると、2VのLEDに2Vの電圧をかけると10mAの電流が流れて発光しますが、2.2Vになると約30mA、2.4Vでは80mAもの電流が流れます。

それを防ぐために、抵抗器を直列にして電圧と電流をコントロールするのですが、明るさがほしいために、例えば、30mAの電流で使用しようとすれば、2VタイプのLEDでは 2Vx0.03A=0.06W の電力量になります。

通常の抵抗器は使用する電力の2~3倍のものを用いるように推奨されているので、1/8(0.125W)型の抵抗器では熱による劣化の懸念がでてきますので、30mAを流す場合には、もっと大きな抵抗器をつけなければいけないことになります。

LEDは消費電力が小さいと言うことを過信してはいけないことに注意しましょう。

このように、LEDに流れる電流は小さいというイメージを持っていると大変なことになります。 砲弾型など一般的なLED(2Vタイプも3Vタイプも同じで)は、10mA程度で使うように考えておきましょう。


→次ページ LED点灯時の電流電圧の計算値と実測値

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