楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

電子工作キットでの、うまく動いた時の感動は格別です

Amazonのサイトなどでは、安価な中国や台湾製の電子工作キットがたくさん販売されています。 

私も、電子工作を初めてすぐに、Amazonで販売されているキット商品をいくつか購入して楽しみました。

こんなキットを作ってみました

①オシロスコープ組み立てキット 約5000円
②LCRチェッカー 約2000円
③周波数カウンターのキット 約1800円
④各種波形の低周波発振器 約500円
⑤信号発生器 約1100円 

などです。 もちろん、Amazonや楽天などで販売されている商品は、1年も経つと、価格の変動だけでなく、品物も入れ替わってしまうことも多いのですが、いずれの製品(キット)も、安価に、うまくまとめてあり、個々に部品を購入して作ると、このような安い価格では収まらないので、キットは、たいへんお得感があります。

ただ、キットを作って、それが動かない・・・と言うこともでてくるでしょう。

そうなると、どうしていいのかわからなくなりますが、それが、個々の部品に異常があるのか、はんだ付けの仕方が悪いのか、動いているけれど、正確なのか・・・などの原因も特定できないことも多く、また、使い勝手の悪いところなどの、設計上の問題点が露呈することもあります。 しかし、それは、「そんなものだ」と割り切るくらいでないといけません。

私の例でいうと、動かない原因のほとんどが「自分のはんだ付けの不具合」によるものです。 

品物の部品などによるものではありませんから、ハンダ部分をチェックして、はんだ付けをやり直すことを何回かやると、うまく動きます。

しかし、それでも「動かない・・・」というものもあるのは仕方ないことで、これらのセット品は、精度や実用性に期待しないで、作る楽しさやはんだ付けを楽しむもの・・・という程度に考えていないと、変な商品を掴まされた・・・というようないやな感じが残ります。

また、テスターや試験機のキットは、よく考えないといけません。 それを信頼していいのかどうかは、悩むところですので、出来れば、試験機で使用するには、しっかりした製品を購入するのが安心です。 実用性を期待するなら、キットの購入は控えたほうがいい感じがします。

まずここでは、上のキットを組み立てたときの感想や問題点、失敗談などを書いておきますので、キット選びなどの参考にしてください。

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①簡易オシロスコープ : あると便利な程度

簡易オシロキット

私が購入して作ったキットは、現在では、これと同等品は販売されていないのですが、購入時は5000円だったのが、下のように、その半額程度になって販売されています。

キットの価格も変動しています

そして、こちらのAmazonのページ(オシロスコープ) をみると、組み立て済みの完動品でも、1万円以下から販売されています。

測定器として実際に用いるのならば、完動品を購入したほうが安心で、簡易タイプのこれらの製品では、操作性や機能に期待できませんから、よく使うのであれば、安価なタイプでいいので、通常のデジタルオシロスコープがオススメです。

私がこの簡易オシロスコープキットを購入したときは、通常のオシロスコープはたいへん高価で、安価なものでも5万円以上していましたので、この簡易オシロスコープのキットは、たいへん重宝したのですが、その後に、2万円台で高性能なデジタルオシロが販売されて、それを購入して使っています。 やはり、使い勝手は、抜群に優れています。(→こちらに記事

2万円台のデジタルオシロスコープでも、コスパは高く、操作性や使い方も、キットや1万円以下のものとは比較にならないほど優れていますから、いろいろ、電子工作をやっていこう・・・という方は、簡易タイプではなく、最初から、完動品のデジタルオシロスコープの購入を視野に入れておくといいでしょう。

②LCRテスター : 持っていると便利・・・という程度

LCRテスターのキット

一般のテスターでは測定できない、インダクタンスやキャパシタンスが測定できるので、便利そうに思えますが、実際の作業をやっていても、ほとんど使うことがありません。手巻きコイルなどの測定ができるので、あると便利なことは確かです。 

こちらのAmazonのLCRテスターのページ (Amazonのページにリンク)をみると、キットで販売されている同様の商品数は、一時に比べて減っていますし、それに変わって、キットよりもシンプルで使いやすそうな製品(完成品)も、安価なものが、たくさん販売されています。

測定器として実際に使用する場合は、キットでは、どうしても、製品の安定さや正確度に不安があるので、3000円台からしっかりした製品(完成品)が販売されているので、それらの製品を購入するほうが無難です。

私の記事(→こちら)で組立方法や使い方を紹介していますが、作る楽しさはありますし、そこそこの実用性はあるものの、あえて持っていなくてはならないものではありません。

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③周波数カウンター : 作る楽しさだけで、実用性は小さい

周波数カウンターのキット

周波数をデジタル表示するものです。上の入力端子にいれた電圧の周波数がデジタル表示されます。

手持ちのオシロスコープで値を確認すると、結構、正しい値が表示されています。

問題点は、AmazonのHPからダウンロードする説明書が英語なので、読んでも、よくわかリません。 もしも、購入して組み立てを考えておられる方は、同じ設計のもので、秋月電子さんの説明書を『SKU-21-010-340_manual_j_aki.pdf』でWEB検索して、ダウンロードするといいでしょう。

このキットは、PICマイコン、7セグLED、水晶発振子などが使われて、安価に組まれて正確度も高いのですが、私自身は、オシロスコープで周波数確認するので、これを使うことはありません。

はんだ付け箇所も多くて、うまく動いてくれたときは感動します。 私は、動くまでに苦戦しており、はんだ付けを3回やり直して、ようやく動いた・・・ということもあって、結構楽しめるキットです。

④各種波形の低周波発振器 :性能を期待してはダメ

低周波発振器のキット

私の組んだキットで、唯一、うまく動いていないものです。 方形波は問題ないのですが、それ以外の波形は、うまく発振してくれません。 タイマーIC「555」を使った簡単なCR発振なので、あんまり期待はしていなかったのですが、きれいなサイン波を発振してくれたら便利だろう・・・と思って、このキットを購入したのですが、案の定、だめです。 

暇なときに、ゆっくりと取り組んで、動かすつもりですが、安価なものですから、このように、何回もやり直し「動かしてやろう・・・」と頑張るのも、『楽しみ』のひとつだと思っています。

電子工作をやっていると、ちょっとした場面で、発振波形がほしい時があります。私は、秋月電子さんの下のような「555」を使用したキット品を組んで、これを利用しています。秋月さんの説明書は、よく分かるように書かれているので安心です。 これは500円程度のキット品で、もちろん、方形波だけの発振器ですが、興味があればチェックしてみてください。

低周波発振器のキット(2)

⑤信号発生器 : うまく作られているけど電源電圧設計がダメ

信号発生器のキット

サイン波は、意外に、うまく発振させることが難しいのですが、安価な割には、いい状態で発振してくれます。

ただ、この電源電圧が20Vの点はいただけません。 しかし、最新の Amazonの信号発生器キットのページ をみてみると、同じ製品では、9Vで使用できるように改良されていますし、安価な別の製品も販売されています。 商品の改良や移り変わりも激しいようです。

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以上のように、キットは、実用性に期待しないで、作る楽しさで選んで作ると、結構楽しめます。 

組み立ててうまく動いたときの達成感は最高

  

楽天やAmazonで検索すると、様々なキット類が販売されています。気に入ったものを探して組み立てるのも、一つの楽しみ方でしょう。

Amazonや楽天で販売されている多種多様なキット類

下のリンクで、楽天・Amazonの上とは違うページを紹介しています。見ているだけで楽しいものです。

  

→電子工作キットの楽天の商品を見る

→電子工作キットをAmazonのサイトで見る


説明書は不完全なものが多い

中国製などの外国製品のキットは、簡単な説明図がある程度のものがほとんどで、英語や中国語だけのものも多く、極端な場合は、どのように使うのか、よくわからないものもあります。

Amazonなどで販売されているキットは、世界中に販売されている商品ですから、設計的に問題あるものはなさそうですし、欠品や部品不良もないので、Made in China と、不安がる必要もないでしょう。。 

商品ページをよくみると、設計製作した会社とは別の会社が、自分の会社名で販売しているものも多いようですから、WEB検索をすると、ユーチューブなどに、同様の商品を紹介している場合があるので、それを参考にできる場合もあります。

私は、購入したものすべては、特に、説明書がなくても組み付けることができましたので、ほとんどの方は、いい加減な説明書であっても、問題はないでしょう。

ただ、はんだ付けをして、1回目で動いてくれないこともあって戸惑うかもしれませんが、私が作ったものでは、部品の欠落や部品の不良は全くありませんでしたから、出来不出来は、自分のはんだ付けにかかっているといっていいでしょう。

私自身、はんだ付けは得意だと思っていたのですが、完全に、打ちのめされました。はんだ付けの難しさがわかっただけでも、値打ちがありました。

もちろん、「動いた!」と言っても、きれいな波形でなかったり、ノイズを拾っていたり・・・というものは仕方がないので、「計測器」として使えないレベルのものもあっても仕方がないので、そのことも頭に入れておかないといけません。

ただ、私の感想を言えば、これらは簡単に組み上がるものの、使い方などの説明がほとんど書いていないので、詳しい説明がないと困ると思う人や、不完全さを嫌う人は、購入しないのが無難でしょう。

また、China 製の製品ですが、問題があったことはありませんが、もしもキットを組み立てて、動かなかった時の対応や補償を得るのは難しいでしょうし、クレームの手続きも簡単でなさそうなので、それが嫌なら、キットの購入は避けるべきでしょう。

はんだ付けの良し悪しは、うまく動くかどうかにつながります 

何度も書いているように、私自身は、はんだ付けに慣れていると思っていたのですが、たくさんの箇所を連続的にはんだ付けをしていくと、いわゆる「イモハンダ」という状態になって、うまく接合していない箇所ができています。 

これが、変な動作をする原因になるのですが、キットの組立では、はんだ付け不良で動かない・・・というケースは、意外と多いと思います。

意外と気づかないはんだ付けの不良 

これらは、一度で動かなかったものの基板部の写真ですが、写真の、矢印の部分が怪しそうです。 虫眼鏡やマイクロスコープで詳細に見直すと、いくつかの不審箇所見つかります。 

キットが動かない場合には、それを順番に潰していくと、最後には動いてくれるはずです。 動かないと言って、製品のせいにするのではなく、動かない場合は、何回でも、はんだ付けを見直す・・・ということも、楽しさの一つでしょう。

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日本は、かつては電子立国でしたが、今は残念ながら、コスパを考えると、中国などの他国から遅れていますし、China製品が劣るとか、購入するのを不安がるのは時代錯誤です。

安価な商品を提供してくれる中国企業に感謝して、ぜひ面白そうな安価なキットを探して、電子工作を楽しんでください。

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