安価な電子工作キットは役に立つのかどうなのか?
Amazonのサイトなどでは、発振器などの安価な電子工作キットがいくつか販売されています。 私も、ご多分にもれずに数種類を購入して組み立ててみたのですが、トータル満足感は50/50というところでしょうか。
私の例を紹介して、購入する場合に何かの参考になれば・・・と思って、紹介させていただきます。 なお、私が使ってみて満足しているものについては、別の記事で取り上げていますので、ここでは、それ以外の、あまり満足していないものも合わせて写真入りで紹介しています。
ただ、「これを買ってはいけない」というものではありません。 安価で上手くセットが組まれていますし、機能的に問題があっても、そこまで要求できない範囲と言えますので、それを知っておけば、今後の、いい勉強材料になるかもしれないと考えるためです。
私自身は、満足していなくても、なんとも思いませんが、電子工作を始めたばかりの人がキットを購入して「動かない」・・・となると、困った問題です。
多分、メーカーや販売店が新しいものに取り替えてくれる場合もありますが、回路設計自体が低価格になるように設計されていますので、「その程度のもの」と割り切らなければどうにもできない部分もあるように思います。
ここでは、私の考え方、遊び方を書いていますので、読み流していただくといいと思います。
私の組み立てたキット類
下に楽天やAmazonのページを紹介していますが、結構安い価格で面白そうなキットがたくさんあります。私が電子工作を初めて約半年の時点で購入したキット類にはこの写真のようなものがあります。(微妙に見にくい写真サイズにしているのは、変に誤解を持たれると困ると思ったからです)
左から、①低周波発振器、②信号発生器、③周波数カウンター、④LCRチェッカー、⑤波形発生器・・・ですが、現在使用しているのは、①と④だけで、その他は使い勝手などが悪くて、すぐにお蔵入りしています。
販売されているキットにはこれ以外にも楽しそうなものが多いので、つい買ってみたくなりますが、「あるとどうなのか?」というと、多くは、使いみちがなくて、作るだけの楽しみ程度というのが普通でしょう。
ただ、作っていると結構暇つぶしにもなりますので、私は、何でも「ボケ防止」と思うことで楽しむようにしています。
簡単に独断で評価をしてみました
ここでわかると思うのですが、価格は「非常に」と言っていいぐらいに安いものです。 電子部品(パーツ)自体が全体的に非常に安くなっているのもあるのですが、これを組むために部品を個別に揃えると、この価格以上になってしまいますので、キットになっていれば、気軽に購入できるものです。
そして、これらのほとんどは、「はんだ付け」をするのがメインの作業です。
200箇所以上をはんだ付けするものもあって、半田付けのトレーニングにもなります。
作り方の手順も、特に問題があることもないので、英文、中文で書かれた説明書は見なくても、基板に書かれた絵のとおりに「はんだ付け」すれば問題ありませんし、部品の欠損や不良は全くありませんでした。
秋月電子さんのキットは、日本語ですし、説明もよくわかりますが、その他のものは、特に、組み上げてからの使い方などが不十分です。
しかし、WEBでユーチューブの動画などもあるので、(それも、何語かわからないものもありますが)、全くわからないことはありません。
むしろ、作れないことはないのですが、使い方などの説明がほとんど書いていないので、使い道がわからないなら作らないほうがいいように思います。
私自身の例では、精度の悪い発振器は使えませんし、周波数カウンターはオシロスコープで用を足しています。
そういうこともあって、この総合評価は、辛口かもしれませんが、私が使っていないものは、動かないのではなくて、「使えない」「精度などがイマイチ」という意味で、これらは結局、購入して作ったものの、使っていなくて「無駄」・・・ということで△マークにしています。
逆に言えば、○は役に立っています。
具体的な問題点
△については、私の購入した商品だけが問題かもしれませんし、またそれを公にして、メーカー評価を下げると問題ですので、ここでは、一般論として、購入するときに注意したほうが良い点などを示します。
1.作りやすさ・楽しさ
部品表を確認して、基板に合わせて、はんだ付けをすることが主な作業です。この5つで、一番時間がかかったのは、LCRチェッカーで、それでも3時間程度で完成します。
これだけ盛りだくさんの部品があって、2000円以下ですので、びっくりします。
これだけの部品があっても、作るだけ(基板に組み付けるだけ)であれば、小学生にもできそうですが、特に、注意事項などが詳しく書かれていませんので、静電気や熱に対する注意など、電子工作の基本がわかっていないと、出来上がった時の動作に影響することもあるかもしれません。
やはり最低限の電子知識が必要ですので、小学生であれば大人の指導がいるでしょう。
2.説明書
英文説明書は、多くはわかりやすい英語ですので、中文や中国人が訳して和文よりも、英語で読むといいのですが、やはり「英語」ですので、和文のようにはいきません。
そして「日本語の取扱説明書あり」と書いてあっても、あまり期待してはいけません。中国人の変な日本語訳よりも、英文のほうが読みやすいくらいですから・・・。
総じて言えることは、説明書には、使い方や調整の仕方などが詳しくは書かれていません。
困ったことですが、「説明書は役に立たない」というぐらいに考えて製品をチョイスしないといけないくらいです。
送られてくるのは、このような状態で、国外からメール便で送られる場合もあります。その場合は、2週間以上かかるのですが、価格が安いこともあって、そういう複雑な仕組みで品物が動いていることにびっくりします。
これらのキット以外でも感じることですが、中国製品(China)の一般的な傾向は、どうしても「使用者に優しくない」感じが拭えません。
電子パーツは、中国製が国際品質ですので、キットの商品の品質などは問題ありませんが、ソフト的な部分は、秋月電子さんなどの日本の販売者で購入する中国製品には、わかりやすい配慮がされているところを見ると、中国製を購入した場合のハードルは簡単にはなくならない感じもします。
3.製品の動作などの問題点
評価に△や?をつけたものは、仕様に書かれた性能が出ていないのですが、それが「ダメ」というものではありません。
例えば、信号発生器が3つありますが、秋月さんのものは、方形波が6種類出るだけの、そこそこ使える波形レベルですが、その他は方形波に加えて、三角波やサイン波も出る仕様になっていて、多仕様なのですが、波形がかなり乱れているという、なんとも言えない問題があります。
回路設計自体がCR発振で、この価格で完璧な発振は「無理」な感じもすると思っていますので、私は特に不満もないですが、それをどのように評価するのかは難しいことです。
例えば、Amazonに苦情を言うと、対処してくれるかもしれませんが、代替品を再製作しても、設計が同じであれば、大した改善は期待薄です。
仕様が盛り沢山すぎるというのも考えものですが、逆に、それらしいものになっているのもすごいなぁ・・・と思います。
たとえば、これが「サイン波」だ・・・と言われると、私も疑問を感じるのですが、手前に置かれたオシレーターが1700円と聞くと、納得できる人と、そうでない人がでてくるでしょう。
私の答えは、「容認」ですが、これに不満の方は、これらを購入してはいけない・・・となります。
さて、私の結論ですが・・・
もしも、商品が日本ブランドであれば、それが大企業の製品でなくても、まず大丈夫と思えますね。
もちろん、大企業の製品でも、その多くがChinaを含めた外国製ですが、品質は、日本の会社が保証しているので大丈夫でしょう。
それが、Amazonなどで外国製品(例えばChina)を購入する場合はどうでしょう。
まず、China 製の完成品については、私自身は、今までたくさん購入していますが、問題があったものは皆無です。
むしろ、今や価格でも品質でも、日本が外国に抜かれているのですから、「製品」では心配することはないのですが、今回のような半製品は、正規の部品が揃っていれば、それ以上のもの(PRされている仕様を満足すること)を要求することは微妙です。
Amazonでは代替などで対応してくれるかもしれないですが、本質的には開封後に手を加えていますので、クレームとするには難しいことです。
今回のようなキットでは、満足な品質が確保されていたのは、Amazon購入品の4個中1個でしたが、もしもこれが日本の会社のものであればどうなのか・・・という問いかけ方もありますが、この質問は現実的でありません。
簡単な電子回路をかじってくると、私でも、この価格レベルでは、問題がないということはない(何か問題はある)と感じてきています。簡単な回路はそんなものです。
それを防ぎたいなら、Amazonや楽天であれば、まず、お客様レビューで判断するか、レビューがない商品は「買わない」というようにするくらいでないといけないでしょう。
ともかく、このように安くて楽しめる電子工作キットです。うまく動かなくて憤るよりも、うまく動くと「ラッキー」と考えるぐらいにしておいて丁度いい程度でしょう。
さて、冒頭の、「安価な電子工作キットは役に立つのかどうなのか?」 という問いに対しては、「役には立ちませんが、楽しむことができます」というのが私の回答です。
このHPに書いている私の記事も、部品数の少ない簡単な回路ですので、いろいろな問題があると思いますが、趣味の電子工作のレベルは商用回路ではありません。それを楽しめてボケ防止になるものだと思って、ぜひ沢山の人が楽しんでいただけたらと思っています。
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