「イライラ棒」のアクションを考えましょう
自作のイライラ棒(こちらのページ)で、移動棒が通路のアルミ線に触れると、音がでたり、LEDが光るようになりましたが、どうも「ゲーム感」が乏しいので、ここでは、「失敗するとチャレンジが終わりになる」というような回路を考えてみます。
一つの方法として、リレーを利用した自己保持回路が使えそうです。
自己保持回路については、こちらの記事でも説明していますが、工作機械などを起動するために「押しボタン」の起動スイッチを押すと、機械が動き始めるのですが、押しボタンから手を離しても機械は動き続けるようになっています。
それを止めるには、「停止スイッチ」を押すと機械が止まる・・・という動作をする回路が自己保持回路です。
イライラ棒の自己保持回路
上の図の動作を「イライラ棒」に当てはめると、「ONスイッチを押す」動作は、イライラ棒の移動棒が通路のアルミ線に接触する状況です。
そうすると、「ゲームオーバー」になり、「音がなり、LEDが点灯」する・・・というようにしようと思います。
そして、音や光を止めるのは「OFFスイッチを押す」のですが、この動作は、再スタートのための「リセットスイッチ」と考えることができます。
この回路の一例は次のようなものです。
この回路図では、LEDは一つではなくて、派手に数10個点灯させる・・・というイメージにしています。
自己保持回路を働かすには、2回路2接点のリレー(この回路では「5V用」)を1つ使えば可能です。
この図では、C接点のスイッチが2回路分ついており、コイルに電流が流れると、その両方のスイッチが切り替わります。
2回路のうちの片方で「自己保持状態」をつくり、もう片方のスイッチで、音や光のアクションをさせるのですが、ここでのアクションは小電力のものですので、LEDとブザーは並列につないで同時にアクションをしようと考えています。
それでは、これを組み立てて試運転してみることにしましょう。
このゲームの一連の流れを見ると、
最初は、左端に移動棒を置いてスタートします。
アルミ線に触れないように左端から反対に移動棒を進めて、右端まで行けば「OK」です。
もしも途中で、うっかりアルミ線に触れてしまうと、スイッチがONになり、リレーのコイルに電流が流れて、2回路のリレー内のスイッチが切り替わって、ブザーが鳴りLEDが光ります。
その時、イライラ棒が接触後にアルミ線から離れても、すでに「自己保持回路」が働いていて、常時、リレーに電圧がかかている状態(LEDやブザーがONの状態)が維持されているので、ゲーム終了です。
「音とLED」を止めるには、停止スイッチを押します。そうすると、リレーが切れて、上の図の状態にリセットされる・・・というものです。
ブレッドボードに実験回路を組んでみましょう


リレーは4.5V用のNECのEF2-4.5NUHというのが手元にあったので、それを使っていますが、DC5V用で2回路のC接点がついているものであれば、どんなものでもいいです。小電力用の小さなもので、100-200円程度です。
リレーはいろいろなことで遊べるので、数個同時に購入しておくといいでしょう。
また、ここで用いるリカバリー用のB接点スイッチ(押すと切れるスイッチ)も、適当なものがなかったので、C接点(2接点)のものを使っています。
ここで使ったのは小さなリミットスイッチですが、リレーもスイッチもブレッドボード専用ではないので、ブレッドボードに取り付けるために、足を細工しています。
また、初回は試験的なもので「自己保持状態」を確認するだけですので、ブザーは取り付けないでLEDの点灯だけで動作確認しています。
さらに、リレーコイルのサージ電圧対策もしたほうがいいのですが、これらもやっていません。(これは、後で簡単に説明します)
イライラ棒部分は、このように、ワニ口クリップで移動棒と通路(アルミ線)につなぎました。
注意する点としては、リレーのコイルに加える電圧は極性があります。動作を確認して結線するといいでしょう。(もしも接続が逆になっているとON-OFF動作をしません)
また、リレーのC接点についても、データシートには表示されていますが、私自身も、しばしば接続方法を間違うことも多いので、事前にテスターなどで動作状況を見ておいて、印をつけておくと組み付ける時に便利です。
イライラ棒ゲームをやってみると、アルミ線に触れないで最後まで移動棒を進めるのは至難の業で、いつも1/3程度のところで、アルミ線に触れてスイッチが入ってしまいます。これは、練習するしかないでしょう。
また、軽くアルミ線に触れる程度ではスイッチが入らない場合もあります。しかしこれは、「おまけ感があって」 適当に感度が鈍い程度がちょうどいい感じ・・・と思っています。(感度を良くするには、ピカピカに磨くとよいのでしょうね)
LED用の電流制限抵抗はLED1個ですので、ここでは、いつものように220Ωを使いました。
今回は、ワニ口クリップで移動棒をつないでいますが、迷路が複雑になるほど、かなり手首の回転が必要になり、そのとき、コードが邪魔になって回しにくかったり、外れてしまうので、本番用は細くて長いコードに変えて固定するほうが良さそうなので、そレを考えて、銅線とステンレス線のはんだ付けができるかどうかをテストしてみました。
普通は銅線とステンレスのはんだ接合は、特殊なフラックスを使うと可能ですが、ステンレス用のものは酸性の高いもので、サビや安全性に不安なので、普通に使っているフラックスを充分につけて、ハンダゴテの温度調節を400℃程度の高めにすることで、実用的な程度の接合ができました。
はんだ付けが難しそうなら、下のようなスリーブで締め付ける・・・などで対策するのも一つの方法でしょう。
単調なブザー音とLEDの点灯だけではアクションが少しさみしいので・・・
「7色点滅LED」を30個の同時点灯をさせてみましょう。
この7色点滅LEDは、様々な色に変色して点滅するすぐれもので、100個単位で購入すると1つが10円以下で、いろいろなことに用いると結構楽しめます。(こちらに記事)
電流計算で、このLEDは3Vの順電圧で、1個あたり20mAの電流が流れるとすると、抵抗値は (5V-3V)/0.02A から 100Ωの抵抗を使えばいいことになります。
並列につなぐとして、0.02x30=0.6A x3V=1.8W となり、発熱すると危険なので、100Ω5Wのセメント抵抗を用いて、ブレッドボードに取り付けて、これを点灯させてみましょう。
30個を点灯させた状態ですが、「すごい」というほどではありません。 ですが・・・何か色が変な感じです??? 数を少なくしたときと比較してみると・・・・色の感じが何か違います。
LEDの数を1つから徐々に数を増やしていくと、青色が減少して、赤色がかってきていることに気づきます。 ちなみに、電圧降下の状態を確認すると、下のように、電圧が不足していくために、数が多くなると青色系が発色しなくなっていくようです。
5Vの電圧を、定電圧電源に変えて、加える電圧を6.5V程度に上げると青色が見え始めますし、4V以下になれば、赤色しか発色しないことがわかりました。
原理や理屈はよくわかりませんが、流れる電流値が多くなると、電圧が下がるという例は、しばしば遭遇します。この場合は、電圧を6.5V以上に上げても、LEDがぶっ飛ぶなどの危険性はないでしょうが、ここでは深入りしません。
このような場合には、LED回路をテスターで電流を測ることができないので、定電圧電源の電流計で電流量を確認すると、LED1個では20mA程度の電流が流れているのですが、30個を6.5Vで点灯させても60mA以下でした。
つまり、写真でもわかるように、このLEDは点滅しているので、計算したような大きな電流が常時に流れているのではないこともわかります。
30個の点滅で、ラスベガスなどで明るい電球が点滅しているイメージには及びませんが、結構派手になりました。 ラスベガス状態にするのは簡単ではなさそうですが、これで少しだけその感じに近づきました。
今回は同じ種類のLEDを並列にしただけですが、直並列にして電圧を上げたり、違うLEDを使って、電流制限抵抗値を変えるなどで「ギラギラ状態を作り出す」のを試してみるのも面白いと思います。
今回は、自己保持、ブザー、LEDをつけた状態で、いったん中断しますが、このような発展性を自分で1から考えていくと、いろいろな楽しみ方が無限に広がリます。 例えば、・・・
・ブザーの種類を変えたり、増やしてみる
・スタンバイ時であることがわかるように待機時用LEDをつける
・タイマーを併用してタイムを競う ・・・ なども面白いでしょう。
タイマーは、デジタル回路では考えてもいいのでしょうが、アナログ回路ですので、電子的なものを作るよりも、ルービックキューブ用の競技タイマーを使うのはどうでしょう。 →こちらでアマゾンの競技用ターマーのページを見る
ストップウオッチなどでもいいですが、このタイマーは安くてうまくできています。
そしてさらに・・・
・カウンターのような機能を考えて、3回まではセーフにする
・アルミ線に近づくと音が鳴ったり変化させる
・・・など、できるできないは別にして、アイデアを考えて、それを具現化するよう、いろいろ考えを巡らせるのも面白いものです。
考えることは無料ですしアイデアは宝になります。
リレーの接点・コイルの雑音やサージ対策
一般的に、コイルや接点の開閉時には、突入電流、サージ電流、雑音などが発生しますので、いつも、対策を意識しておきましょう。
今回の回路では、マイコンやICや高周波回路というものはありませんし、ON-OFF頻度も多くないので、完璧な対策が必須ではありませんが、面倒なものではありませんので、コイルや接点は「常に対策する」と考えておくほうがいいでしょう。 頭に入れておくと良いでしょう。
リレーメーカーのOMRONさんのHPなどにも詳しい説明もありますので、参考にされるといいでしょう。
この対策としては、今までは「抵抗とコンデンサ」を使うことが一般的でしたが、簡単な方法として、「ダイオードを使う」ということを覚えておくといいでしょう。
どんなダイオードを使えばいいのかは難しいのですが、当面は、ショットキーダイオード、リカバリダイオード、スイッチングダイオード・・・など何でもいいので、①逆耐電圧が使用電圧の10倍以上 ②使用する電流にあったもの ・・・ の中から、安いものを使えばいいでしょう。
今回で言えば、5Vを使っているので、50V以上の逆耐圧のもので、順電流が100mA程度以上あればいいので、それを以下のように接続します。
私は100V1A用の1S10(50円以下)や、100V200mAの1N4148(5円以下)のものを使っています。
これで完璧かどうかはわかりませんし、いろいろな方法がある割には、あまりいろいろな記事には説明も少ないのですが、やり方のそれぞれに長短所はあるにしても、ともかく、これが最低限の対策と考えておきましょう。
今回は以上ですが、面白いアイデアが浮かべばそのときに追記します。
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