楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント:LED
 LEDは電流量で明るさが変化します。抵抗値や電流値の関係はオームの法則で簡単に計算できます。 一定以上の明るさになると電流を増やしても明るくならずに寿命を縮めるだけです。10mAで十分な明るさが得られます。

LED点灯時の電流や電圧の計算値と実測値

抵抗器の抵抗値や電圧・電流値の関係は、オームの法則を使って計算した値と実測値はきっちりと一致しないものです。

試しに、計算値と実測値を比較してみましょう。

ここでは、5Vの電源を用いて、順電圧2Vの砲弾型のLEDを 200Ω の抵抗器を直列にして発光させると、電流値はオームの法則の計算では、 (5V-2V)/200Ω=0.015A(15mA) と計算できます。 そして、回路を組んで実測値を測定すると、下のように13.3mAと、微妙に違っています。

誤差の原因の一つは、「呼び値」の正確さに起因するもので、例えば、テスターで抵抗器の抵抗値を測定すると 200Ωとしていたものが198Ω 、電源電圧は5Vとしていたものが4.92V 、そして、LEDの順電圧は2Vとしていたのが2.18V になっているなどが誤差に関係しているようです。

測定値をもとに再計算すると、電流値は (4.92V-2.18V)/198Ω≒0.0138A で、抵抗器とLEDの電圧降下の和は4.86V と、きっちり合ってくれませんが、この程度の誤差は「いつもあるもの」と考えておきましょう。

それもあって、私は、LEDの電流制限用の抵抗は、何も考えないで「5Vの電源では電流制限抵抗は200か220Ωで点灯させればいい」と割り切っています。 

もちろん、電流量が変わればLEDの明るさは変わります。 しかし、明るさの違いに影響する数字ではないでしょう。

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LEDに流れる電流量と見た目の明るさについて

LEDに電流が流れることで発光し、電流が増えれば明るくなります。 

また、0.1~1mAという少ない電流でも発光しますし、10mA程度の電流量であれば十分な明るさになります。  

ただ、流れる電流が多いと明るくはなるのですが、明るさは電流量に相当しないで、寿命が短くなったり焼損しやすくなるので、10mA程度の適当な電流量で使うのが無難です。

LED特性のグラフの例(日亜化学さんのカタログ111130による)をみると、電圧を上げていくと、電流量に対する明るさの程度は小さくなっています。 

つまり、20mAで点灯していたLEDに2倍の40mAの電流を流しても、2倍明るくはならないことがデータで示されています。

LEDの電流と相対光度の例(日亜化学さんのデータ)

電流を多く流しすぎるとLED内部の熱でLEDの劣化が進み、寿命を縮めるだけですから、普通タイプでも高輝度タイプでも、仕様の上限で使用しないで、15mAを超えないで適当な明るさになるように設計するのがいいでしょう。

(おことわり)ここで示す写真は私が実験しながら撮影したもので、きっちりと撮影条件が管理されていないものなのですから、様子をイメージするための写真として見てください。


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LEDは大電流を流して使わないのが得策

LEDは電流を多く流すと明るくなります。

まず、2Vタイプと3VタイプのLEDに流れる電流を変えて、その時の明るさの様子を写真にとりました。

LEDに流れる電流値と明るさの比較写真1

一般的な仕様では、2Vの普通タイプは20mA、3Vの高輝度タイプは30mAまでで使うようにしなければ極端に短寿命になります。

そこで、LEDに流れる電流を5→10→20mA と変えたときの写真を見ると、2Vタイプは10mA、3Vタイプは5mAで十分に明るいですし、5mAから4倍の20mAにしても4倍の明るさではなっていません。

さらに、下の実験では、流れる電流が増えるにつれて明るくなっているのですが、LEDの寿命を考えると、一般に推奨されている 10mA以下の電流量で使うのが安心でしょう。

もっと明るくしたいのなら、多数個のLEDを使うようにすればいいことで、早期に焼損することを考えると、無理な使い方をしないのが無難です。

普通タイプのLEDと高輝度タイプのLEDの明るさ比較

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LEDの電流値と明るさの関係を追加して調べました

LEDは流れる電流量で明るさが変わりますので、下のように、ブレッドボードにLEDと半固定抵抗を使って、電流量と光の明るさを比較してみました。

右側の写真は、明るさの違いがわかりやすいように、薄い紙を通して真上から光り方を見ています。

このように、普通タイプでも高輝度タイプでも、電流を増やせば明るくなるのですが、2Vタイプでは10~15mA程度が、また、高輝度タイプでは5~10mAで十分な明るさがあります。 

電流が2倍になっても、2倍明るいというものでもない点を見ておいてください。


さらに、LEDは微小な電流でも点灯しています

そこで、さらに、もっと小さな電流にしてみました。

このように、0.01mA(10マイクロアンペア)でも点灯しています。しかし、もちろん明るくはありませんが … 。

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LEDを発光させるための最低電圧

LEDは、LEDに加わる電圧で流れる電流が決まりますが、光らせるための最低電圧があり、それ以上の電圧を加える必要があります。

メーカーの特性値のグラフを見ると、電流が流れ出す電圧(つまり、LEDが点灯するための電圧)は、2Vタイプは1.8V、3Vタイプは2.6V程度とも読み取れますが、実際に実験したところ、2Vタイプでは1.7V程度、3Vタイプでは2.6V程度でした。

正確な実験ではないものの、2V・3Vなどの呼び値の少し下の電圧から1mA程度の電流が流れて光り始めということです。

LEDを点灯する最低電圧の例

逆に、1mA以上が流せない低電圧になると、微小な発光をしていても、LEDの役目は果たす明るさにはならないということですね。

いろいろと実験しましたが、ともかく、LEDは寿命を考えて、電流を流しすぎないように使うようにしましょう。

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→ LEDはそれぞれで特性は違う

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