LEDに流れる電流値で明るさが変わります。 その電流値は、加える電圧と関係するので、通常の回路の中でLEDを点灯させる場合は、LEDにあった電圧と電流を調整して使用します。
電流量を調整し、LEDを点灯する一般的な回路
通常は、5Vや12Vという回路の中でLEDを使う場面が多いので、2V(や3V)のLEDを点灯させるには、LEDに流れる電流を一定値に調整する方法が取られます。
この方法には、 ①抵抗器を使用する ②定電流ダイオードCRDや定電流源IC(CCR)を使用する ③専用のドライバーを用いる ・・・などの方法があります。
その他では、多くのLEDを点灯するために、デジタルICやマイコンなどを使って、パルス電流を用いて点灯する方法などがあります。
パルスを用いる方法で、よく使われるのが「ダイナミック点灯」(→こちらの記事中でも紹介)と呼ばれるもので、デジタル回路ではよく使われています。
ここでは、最も一般的な、抵抗器を使って、電圧と電流を調整して使う方法を中心に説明します。
LEDと抵抗器を直列にして、流れる電流を調整する
2Vで点灯させる普通タイプの砲弾型LED1つを点灯させる例で説明します。
このグラフは、LEDに2Vの電圧を加えると、10mA程度の電流が流れて点灯し、加える電圧が高くなると、急激にたくさんの電流が流れ出す・・・ということが示されています。
もしも、加える電圧が安定しており、LEDを点灯するためだけであれば、2.0Vの電源にLEDを接続すれば、流れる電流が決まっているので、それで問題ありません。
しかし もしも、2.5Vが加わると、このLEDはすぐに焼き切れてしまうでしょうし、0.1Vの電圧変動でも、このグラフで分かるように、電流の変動で明るさが大きく変わるので、このような、直接にLEDを電源に接続する例は特殊で、例えば、3Vタイプの高輝度LEDを乾電池2本(約3.2V)やリチウム電池(新品で3.2V程度) で点灯させるLEDランプ(懐中電灯)などに見られます。
通常の電子回路では、5Vや6.3Vなど電圧が使われることが多いので、2VなどのLEDに適した電圧ではない電源の場合がほとんどですので、一般的なLED点灯方法は、下の回路図のように、抵抗器を回路に直列に入れる回路にして、余分な電圧を下げて、さらに、LEDに流れる電流を一定にする・・・という方法をとります。
この抵抗値を計算すれば、希望の電流量(=希望の明るさ)が簡単に得られます。
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抵抗値は、オームの法則から、簡単に計算できます
上の図の例では、「2VのLED」をつかって、15mA程度の電流を流して点灯させる場合の抵抗値を考えましょう。
ちなみに、高輝度LED(または白色LED)とよばれるLEDでも、LED1個あたりでは、15mA程度の電流で使うのが一般的で、むしろ、もっと電流が少なくても、非常に明るいので、特に仕様が明示されていたり、最高の輝度を得ようとする場合を除いては、「LEDは15mAで使う」・・・と思っていてもほとんどは問題はありません。
普通タイプの場合は、LEDで2Vで使う(つまり、2Vの電圧降下がある)ので、5Vの電源であれば、3Vの電圧を下げて、15mAの電流値になる「抵抗器」を使えばいいことになります。
直列にLEDと抵抗器がつながれていると、LEDにも抵抗器にも、同じ15mAの電流が流れますから、抵抗器について、オームの法則を使うと、簡単に計算できます。
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オームの法則は 電圧V=電流Ax抵抗R です。
そこで、ここでは、「抵抗値R」を求めたいので、 R=V/A=(5-2)/0.015=200 から、200Ωの抵抗器にすればいい・・・と計算できます。
この計算では、単位を揃えることに注意しましょう。0.015Aは15mAです。
LEDに流れる電流量と見た目の明るさ
LEDは、電流が流れることで発光しますが、0.1~1mAの少ない電流でも発光が確認されて、10~20mAの電流量で十分な明るさになります。
流れる電流が多いと、明るくはなるのですが、寿命が短くなったり焼損します。
LED特性のグラフの例(日亜化学さんのカタログ111130による)をみると、電圧を上げていくと、たくさんの電流が流れてLEDは明るく輝きますが、2倍の電流にしても、2倍の明るさにならないことが示されています。
(日亜化学さんのデータ)
電流を多く流しすぎると、電流による熱のために、LEDが切れてしまったり、寿命を縮めることになりますので、普通タイプでも高輝度タイプでも、15mA程度が流れるように設計するのがいいのですが、その妥当性を見てみましょう。
下の写真は、うすオレンジの砲弾型LED(2Vタイプのもの)を使って、可変電源を使って、LEDに流れる電流値を変えて点灯させたものです。
(おことわり)ここで示す写真は、きっちりと撮影条件が管理されていないものなので、イメージ写真として、見てください。
電流量が多くなるにつれて明るくなります
2VのLEDに流れる電流とその時の明るさを見ると、電流が増えるほど、明るくなっていることがわかります。
そして、一般的なLEDの仕様では、20mAを越えないように使用することが推奨されており、100mAになると、短時間に破損するものが多いのですが、10mA程度の電流で、すでに、十分な明るさになっていることがわかります。
その他に、色々なケースを写真にとってみました。
まず、2Vタイプと3VタイプのLEDに流れる電流の様子をテスターの電流値が見えるように写真にとりました。
3Vタイプは格段に明るいことがわかります。
そして、2Vタイプも3Vタイプも、電流が増えるにつれて明るくなっていますが、特に、高輝度タイプのLED は、5mAの少ない電流でも、十分に明るいことがわかります。
それを、LEDの発光部分だけを比較する写真ですが、寿命を気にしなければ、電流を上げればいいのですが、推奨される20mA以下の、10~15mAで使うのがいいのでしょう。
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もちろん、「明るい方がいい」という場合もあります。 しかし、砲弾型LEDの先端は「レンズ」になっているので、正面から見ればかなり明るく見えるので、設計するときは、寿命を考慮して、仕様の上限に関係なく、15mA程度が流れるようにすれば十分で、もしも、もっと明るさが必要な場合は、無理をせずに、3V用に高輝度タイプを使ったり、LEDの数を増やしすようにすればいいですね。
もちろん、砲弾型にこだわらない場合は、明るいLEDが販売されています。
LEDの寿命は40000~50000時間
WEBの記事に見られる寿命数字です。
これは、24Hr点灯しっぱなしで6年程度・・・ということになります。
私の家の玄関の常夜灯の例をみると、高輝度LED1灯のランプですが、点灯しっぱなしで7年以上使っていますから、適正電流であれば、この数字は、無理なく正しく使えば、非常に長寿命だ・・・と言えそうです。
しかし、私の勤務していた工場の天井灯を、省エネ対策で、水銀灯からLEDランプに変えたのですが、火を使う工場でしたので、天井の温度が60℃を越えていて、半年(約5000時間)で切れてしまった・・・という失敗もあります。
LEDは高温環境には非常に弱いようです。
無理に電流をたくさん流さない
LED単品の定常最大電流は、データシートをみると、2Vタイプは20mA以内、3Vタイプは30mA以内とされているのが多く、使用できる短時間の最大電流は100mAとなっています。
用途によって電流量を高めに設定して、明るい状態で使うか、低めにして長時間使うようにするかを考えて使えばいいのですが、明るいほうを望むのであれば、普通タイプではなく、3Vタイプの高輝度LEDを使えば解決できますし、先にも書いたように、それ以上の明るさがほしいなら、LEDの個数を増やせばいいのいですから、あえて、たくさん電流を流して、寿命を短くするのは良くないと考えておくほうがいいでしょう。
砲弾型LEDのカバーの先端はレンズになっていて、3~5mAという少ない電流量であっても、用途によっては、そんなに暗く感じませんから、あえて、たくさんの電流を流す必要はないといえます。
LEDが発光する最少電流を調べてみた
LEDは、加える電圧が小さくなるに従って、流れる電流値は減って、光の強さは減って暗くなってきますが、急に電流が流れなくなって消灯するのではなく、1mA以下の、0.5mA→0.1mA→0.03mA という、非常に小さい電流量になっても、少しですが、光っています。
ほとんど光っていない状態になる電圧は、LEDの色や種類によって、ばらつきはあるのですが、2Vタイプでは、1.4V程度、3Vタイプは、2.4V程度でした。(これは、一例です)
もちろん、その時の電流はゼロではなく、0.01mA以下の、マイクロアンペアオーダーの、非常に少量の電流が流れているのですが、目では発光は確認できません。
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2Vタイプは1.7V、3Vタイプでは2.6V程度以上の電圧が必要
LEDは、LEDに加わる電圧で流れる電流が決まります。
メーカーの特性値のグラフを見ると、電流が流れ出す電圧(つまり、LEDが点灯するための電圧)は、下のように、2Vタイプでは1.7V程度、3Vタイプでは2.6V程度以上です。
逆に言えば、1mA以上が流せない低電圧になると、微小な発光をしていても、LEDの役目は果たす明るさではありません。
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