楽しく遊ぶための初心者にもわかる電子工作のヒント

電子サイレンIC「SC1006」を使って遊ぶ

この電子サイレンの音は、車の盗難防止用の警報音でよく耳にするもので、けたたましい音が鳴り響くので、聞いてみると「これの音か・・・」とわかる、誰もが知っている音を出すICがSC1006です。

ここでは、けたたましい音を出すのではなく、このIC「SC1006」を使って、回路をアレンジして楽しんでみようと思います。

このICには6種類のサイレン音が内蔵されており、それを連続して鳴らすように作られています。

電子サイレンIC「SC1006」 

IC自体は安いですし(R2年10月:秋月電子@50円)、外付け部品も少なく、色々と回路の発展性もありそうです。 しかし残念ながら、データシートの回路図が丁寧でないので、1から回路を考えていって、このICがどんなものかをみていきましょう。



SC1006のデータシートがわかりにくい

  

このICを購入した秋月電子さんのページからデータシートがダウンロードできるのですが、英語であるうえに、説明のない記述などもあって、かなりわかりにくいものです。 データシートから、必要そうなところを抜粋しました。

端子図抜粋

データシートの抜粋

適当な紹介ですが、読んでみると、出力(BZ1・BZ2)の抵抗R2は1kΩ、発振端子に300kΩを用いると128KHzで発振する。 VDDには4.5VまでがOKで、出力端子からは3mA程度が出力される・・・などが読み取れます。

この回路は、出力端子の一方だけを使って、NPNトランジスタのダーリントン接続を使って、スピーカーを鳴らす回路のようです。

この情報があれば、まずは、スピーカではなくて、圧電サウンダー(圧電スピーカ)をつないで、どんな音が出るのか、部品の抵抗や容量はいくらにするといいのか・・・をみていくと何かがわかってきそうです。

このように、外付け部品が少ないので、適当な勘で部品をつないでみて、もしも、何か都合が悪ければ、そのときに「別のものに変えればいい」という方針でやってみましょう。

回路を考えてみましょう

圧電サウンダーを使うとすれば、トランジスタは1つで問題なさそうです。

トランジスタの図記号は「NPNタイプ」になっていますので、このHPで使い慣れている 2SC1815 を使うことにします。 

2SC1815のコレクタ電流は150mAくらいまでは流すことができますが、もっと電流値の大きいトランジスタを使うと、スピーカに変えたときに大きな音が出せそうですが、スピーカの許容電力が0.5Wのものが手元にあるので、乾電池2個の3Vとすると、 電力P=電流Ix電圧V から、0.5=Ix3 で167mA から、2SC1815でも使えそう・・・ということなどをイメージしていきます。

そこで以下のような回路を考えたのですが、その次はデータシートにあるようなダーリントン回路でダイナミックスピーカーを鳴らすことも考えていきます。

検討回路図(検討回路図)

①発振端子は300kΩで128kHzと書いてありますが、128kHzは人間の耳で聞こえないはずですが、データシートには220kΩ・85kHz~220kΩ・177kHzという数字が書いてあって、これもよくわからないので、この範囲をカバーするように、500kΩの可変抵抗にして抵抗値によって音がどうなるのかを確かめることにします。 また、安心のために、可変抵抗を絞っても抵抗がゼロにならないように、固定抵抗を直列に入れてあります。

②電解コンデンサは、しばしば(何も考えないで)10μFを使うことが多いので、最初は10μFで試してみます。 もちろん、4.7μFから47μFの電解コンデンサでどうなるのかを見るために、あらかじめの準備はしています。

③電源は4.5V以下であればいいので、乾電池2個をイメージして3Vで試します。 これも、データシートにはVinがVDDの±0.3Vということが書いてあるのですが、この意味がよくわからないので、どのくらいで動作するのかは、電源電圧を変えて見るつもりです。

④データシートではダイオードを通して電圧をかけています。 このような図はWEBなどでも見かけますが、手元にあったERA32-02(200V・1A)を使ってみたのですが、特に変わった感じがありませんでしたので、ここではダイオードは使いません。

⑤圧電スピーカの並列の抵抗器なども適当に値を決めて、次のような回路にしました。

試作回路【回路1】【回路1】

SC1006の6番ピンは、5番ピンと同じ出力がでているようです。 今回はどちらか片方を使うことにします。(3番ピンは「TEST」となっているのですが、データシートには使い方が書いていないので、これも今回は使いません)

ブレッドボードに配線しました。

ブレッドボードに組んだ回路

3Vの電源につなぐと、小さい「ピー」と言う音が聞こえましたので、500kΩのボリュームを回して、聞こえやすい状態にしますと、聞き覚えのある6つのサイレン音が繰り返し聞こえてきます。

500kΩのボリュームを回すと、若干の音程とスピードと音量が変化します。 

音が大きいところが全体に聞きやすい音になるようなので、よく聞こえる状態にしておけば、特に、たえずボリュームを触ることもなさそうです。

データシートには抵抗と周波数の関係が示されていますが、自分の耳で聞いて調整するので十分な感じです。

結果的には、あらかじめ「適当に」決めた抵抗値やコンデンサ値については、特に問題もなかったようです。

製品にするには、各部の電流や電圧を確認して最良の状態にする必要がありますが、趣味で作る分には音が出ればいいだけなので、詳しい測定などは今回はやりません。

圧電スピーカと並列の220Ωを100Ωに変えても、特に何も変わった感じがしませんし、適当に決めた10μFのコンデンサも4.7μF~47μFにしてみたのですが、これも特に変化もありませんでした。 

すなわち、回路図に詳細値が書いていないのは、いくらでも大した違いがない・・・ということでしょうか。

スイッチSWを押すと1音のぴよぴよが連続して鳴ります

SWを押すと、「ピヨピヨピヨ」という1音だけの連続音になります。 SWを戻すと、また6音が繰り返して鳴ります。

ここでは押釦スイッチにしましたが、常用するのであれば、どちらかに固定できるトグルスイッチやスライドスイッチなどにするといいでしょう。

音の大きさはそんなに大きくはありません

さらに、電源の電圧を0Vから4.5Vに変えて、音がどうなるのかを確かめてみました。 

その結果、2V弱ぐらいで音がなり始めて、いちおう4.5Vまでの確認したところ、電圧が高いほど音は大きくなりますが、バカでかい音にするのではないなら、3V程度で問題ないでしょう。

この回路の音の大きさは、市販されている自動車の盗難防止の製品で聞くような大きな音ではなく、小さな部屋で用いる警報音として使える程度の音で、うるさいことはありません。

ダーリントン回路で音を大きくする・・・

この回路で、①1kΩの抵抗値を小さくする、②大きな圧電スピーカを使う、③圧電スピーカの並列抵抗を変える・・・などで、少しは音は大きくなりそうですが、基本的には圧電スピーカでは音の大きさが限られるので、データシートにあるようなダーリントン回路を使って、小さなダイナミックスピーカーを鳴らしてみましょう。

スピーカ類

ダーリントン回路についてはこちらにも私の記事があります。

私が慣れているエミッタ接地の回路図にしました。

ダーリントン回路でスピーカーを鳴らす回路【回路2】【回路2】

ブレッドボードに組んだ回路例

同 遠景

この回路でスピーカを鳴らしてみると、イラツクくらいの大き目の音になりました。

スピーカに流れる電流を測定してみると、(出ている音によって電流値が変わるようですが) 最大で60mA程度の電流が流れています。 

スピーカは0.5W用ですので、この状態では、 0.06Ax3V=0.18W ですし、2SC1815でもまだ余裕があるので、1kΩの場合のベース電流を実測すると1mAでまだ余裕があるので、抵抗値を小さくしてベース電流を増やしてみたり、電源電圧を高めにするなどして、大きな音が出るようにする・・・などを試しても面白いのですが、大音響の警報機を作ることが目的でないので、今回はここで置いておきます。

いろいろとアレンジをして楽しんでみよう

電子工作の面白さは、「何かを考えて、そしてそれをやってみる」ことだと思っています。

今回も、よくわからないデータシートをみながら、いろいろとやってみることでそれなりの目的の状態になったのですが、この「6種類のサイレン」を鳴らすだけで終わったのではもったいない気がします。

実際に回路を組んでの紹介はしませんが、何かの付加回路を考えてみるのも面白いでしょう。

例えば、このSC1006を使った秋月電子さんの「振動サイレンキット」の説明書(秋月電子さんのHPからダウンロードできます)では、非常に面白い回路を考案されています。

面白いと感じた1点目は、傾くとスイッチが入る「傾斜スイッチ」とSBSという素子を使って、一度スイッチが入ると、自己保持状態(スイッチが入りっぱなし)になるとともに、傾斜スイッチ回路がONになることを利用して、回路に流れる電圧をかさ上げして音が出る・・・という回路になっています。 

さらにもう1点は、SC1006の(ここでは使用しなかった)もう一方の出力端子を利用して、音に合せてLEDが点灯する回路にしています。 

流石に「電子のプロ」が考えると「すごい」回路を考えられるものだと感心しているのですが、このように、一つの基本回路に何か違った回路を付加することをイメージして、それを実際に回路に組んで確かめる過程は楽しいものです。

例えば、音に合わせて1つのLEDが点滅するのを発展させて、いろいろなLEDが出力電圧にあわせて点滅するようにしたり、この回路は、鳴りっぱなしなので、スイッチを付けることやタイマーで一定時間経過すると止まることだけでもやってみると面白いと思います。

電子工作には完成形がないので、決まりきった回路を組み立てて楽しむ以外にいろいろとアレンジをして AT HOME を楽しみましょう。



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